クラシックレビュー
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early music / orchestral / concerto / chamber / instrumental
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.
 

レオンハルト

Froberger: Works for Harpsichord
Gustav Leonhardt

フローベルガー(1616-1667)はフレスコバルディに次ぐ初期バロックの鍵盤音楽の大家。シュトゥットガルトに生まれ、まず父親に音楽の手ほどきをうけた。ローマでフレスコバルディに師事したのちヨーロッパ各地を巡って活動し、多くの音楽家に多大な影響を及ぼしたとされる。かれの作風はメランコリックで情感豊かなところがあり、「死」をテーマとした作品が多いことでも知られている。
このレオンハルト盤には『皇帝フェルディナント3世陛下の死に寄せる哀悼歌』(1657)が収められている。また『組曲第20番』の第1曲は「来たるべき死に寄せる瞑想曲」と題され、自分自身の死を想定したアルマンドになっている。だから暗い、と考えるのは単純すぎるが、この時代の器楽曲としてはめずらしいくらいの情感を感じさせる。レオンハルトはよほど相性がいいのか、ドイツ的(思索的で内省的)な解釈を聴かせて素晴らしい。この盤は1962年にヴェストファーレンの古城で録音されたもの。45年も前のものとは思えないほど音がいい。かれはのちにもう1枚フローベルガーを録音(右記)しているが、わたしは懐かしさ(LPを擦り切れるほど聴いた)もあってこちらをよく聴く。

1. トッカータ第12番 イ短調
2. 組曲第20番 ニ長調
3. 幻想曲第2番 ホ短調
4. 皇帝フェルディナント3世陛下の死に寄せる哀悼歌
5. トッカータ第3番 ト長調
6. 組曲第1番 イ短調
7. トッカータ第10番 ヘ長調
8. 組曲第15番 イ短調

Gustav Leonhardt, Cembalo (Ruckers)

・Recorded in 1962
Deutsche Harmonia Mundi
05472 77200 0

国内盤で
Works for Harpsichord

チェンバロ作品集(新録音)

ヴェルレー Froberger: Pieces de Clavessin
Blandine Verlet

こちらは1989年録音のブランディーヌ・ヴェルレー盤。曲目はレオンハルト盤と(1)(3)(5)(11)が重複。よく知られた『ブランシュローシュ氏の死に寄せてパリで書かれたトンボー』が含まれるほか、『組曲第12番』もある。これのアルマンドが「王子フェルディナント4世殿下の悲しい死に寄せる哀悼曲」で、つごう4曲が「トンボー」もしくは「ラメント」である。
奏者がラテン系だからか深刻さはないが、どこか憂鬱な影が射す。このアルバムのブックレットにはフローベルガーを「17世紀のショパン」と書いてあり、ロマン派のメランコリーを引きあいに出している。あながち牽強付会とも言えないと思う。主情的とも言える感情の深さがあるのである。

ところでフローベルガーは鍵盤音楽の組曲を確立した作曲家とされている。ここに収められた4曲はすべて「アルマンド」「ジーグ」「クーラント」「サラバンド」で構成され、ゆったりした舞曲で締めくくられるようになっている。かれより後「ジーグ」を最後に置く組曲が定着していくのだが、静かに余韻を残して終わるフローベルガー作品は独特の深みを感じさせる。またトッカータやファンタジアといった曲種も華々しいとは限らず、きわめて自由に書かれながらも落ち着いた風情である。

1. 組曲第20番 ニ長調
2. トッカータ第11番
3. 幻想曲第2番
4. 組曲第12番 ハ長調
5. トッカータ第3番
6. 組曲第18番 ト短調
7. ブランシュローシュ氏の死に寄せてパリで書かれたトンボー
8. トッカータ第2番
9. リチェルカーレ第7番
10. 組曲第10番 イ短調
11. 皇帝フェルディナント3世陛下の死に寄せる哀悼歌

 

Blandine Verlet, clavecin (Ruckers)

・Recorded in 1989
Auvidis Astree E 8716

Froberger: Pieces de Clavessin

 

モロニー Froberger: Pieces pour le clavier
Davitt Moroney

あまり演奏されないようだがフローベルガーはオルガン用の作品も書いており、オルガンでもチェンバロでもかまわないという曲もある。モロニー盤は筆写譜としてヨーロッパ各地に伝わるフローベルガー作品からオルガン向きの曲を拾い出し、歴史的オルガンで演奏したもの。比較的知られた『ドレミファソラによる幻想曲』を含む。題名どおり「ドレミファソラ」のモティーフからゆたかな幻想の世界が広がっていくもので、師匠フレスコバルディを髣髴させる自由さとスケールがききもの。11分に及ぶ『トッカータ イ短調』も面白いのだが、さまざまな工夫が聴かれる小品たちもそれぞれ楽しい。機能和声以前なのでそれゆえの「理屈っぽくない」面白さがある。どうもこの人、半音進行はあまり好まなかったようだ。和声上の危うさや曖昧さを感じないのはそのせいだろう。

(曲目省略)

 

Davitt Moroney, orgue Robert-Dallam(1653), eglise de Lanvellec - Cotes d'Armor

・Recorded in 1996
Temperaments TEM 316007

Pieces pour le clavier

エンリコ・バイアーノ Froberger: Diverse curiose Partite per Cembalo
Enrico Baiano

オランダ、フランス、英国とつづいたのでイタリアの奏者エンリコ・バイアーノを。イタリア人だからということもないだろうが、明るいフローベルガーである。「さまざまなめずらしい曲集」と題されているように、これまであまり採り上げられてこなかった作品が多い。そして明るくエネルギッシュな作品が多いのである。レオンハルトやヴェルレーたちはフローベルガーの一面だけしか伝えてこなかったのではないかと思えてくる。
使用楽器はファッキーニ(17世紀)の二段チェンバロのコピー。パワフルでクリアな演奏と録音が「北方の音楽」のイメージをくつがえしていく。フローベルガーはフレスコバルディの弟子だったのであり、諸国を巡ったコスモポリタンでもあった。ドイツっぽいばかりがかれの顔ではなかったのだろう。バイアーノのアプローチは明るいとはいっても脳天気なわけではなく、アルマンドやサラバンドの高貴さ、落ち着きはしっかり再現されている。トッカータのルバートの効かせ方なども面白く、即興性を感じさせる。

1. トッカータ第10番
2. 組曲第17番
3. トッカータ第2番
4. リチェルカーレ第7番
5. トッカータ第3番
6. 組曲第16番
7. ブランシュローシュ氏の死に寄せてパリで書かれたトンボー
8. 組曲第19番
9. トッカータ第15番
10. 組曲第18番
11. トッカータ第7番
12. 幻想曲第4番
13. 皇帝フェルディナント3世陛下の死に寄せる哀悼歌

 

Enrico Baiano, cembalo (Facchini)

・Recorded in 1996
Symphonia SY 96152

Diverse curiose Partite per Cembalo

 
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