ジャズCDレビュー
ビッグバンド   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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  BIG BAND 1 / 2 / [3] / 4 / 5

TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS /COMBO / VOCAL

ナット・ピアース Big Band at the Savoy Ballroom
The Nat Pierce Orchestra

ライヴみたいなタイトルだがじつはスタジオ録音。ピアニストのナット・ピアースをリーダーとするビッグバンドが、バック・クレイトンをゲストに迎えて吹き込んだもの。え?それだけで中身の想像がつくって?当たりです。ベイシーのコピー。
ナットはウディ・ハーマンのとこにいた人でベイシーの真似が巧く、ランバート、ヘンドリックス&ロスの録音にベイシーの代役として起用されたりしている。かれ自身ベイシーフリークなので、このアルバムの録音は楽しかったに違いない。ソロはベイシー並みに(?)短いけれど実にノリがいい。
アレンジはナットのほかバック・クレイトンや名手ラルフ・バーンズ。ソリストにもトニー・オルテガ、ポール・クィニシェットやフランク・レハクらが揃っており、ご機嫌なソロを聴かせてくれる。ベイシー親爺さんの苦笑いが見えるようだ。「おいおいナット、やるじゃないか」ってね。

 

Buck Clayton, Skip Reider, Don Stratton,
Doug Mettome, Al Stewart, trumpets
Frank Rehak, Jim Dahl, Bill Elton, trombones
Tony Ortega, Dick Meldonian, alto saxes
Paul Quinichette, Dick Hafer, tenor saxes
Gene Allen, baritone sax
Turk van Lake, guitar
Nat Pierce, piano
Bill Tackus, bass
Gus Johnson, drums

・Recorded in 1958

Big Band at the Savoy Ballroom

ほかには
Boston Bust Out
ジャズ・フォー・ヤング・モダンズ
Play Paris

 
1. Stompin' at the Savoy
2. 7th Avenue Express
3. Love Letters
4. Pepper Green
  5. Whaddaya Know
6. Moody Chant
7. After Glow
8. Middle Man
クインシー・ジョーンズ Quincy Jones: This Is How I Feel About Jazz

クインシー・ジョーンズは1951年、ライオネル・ハンプトンのバンドにトランペッターとして参加した。アート・ファーマーやクリフォード・ブラウンが同僚だった。当時ソロをまかせてもらえず、くさっていたと伝えられる。かれが認められたのはトランペットではなくてアレンジ。5年後には押しも押されもせぬ若手アレンジャーのトップに躍り出ていた。
クインシーはプロデューサーとしても能力を発揮し、50年代後半は仏バークレイで活躍。ダブル・シックスの名盤を世に送ったことで知られている。その後マーキュリーに移ると守備範囲を広げ、『涙のバースデイ・パーティ』(レスリー・ゴーア)の全米No.1ヒットを産み出す。自らのアルバムも次々ヒットさせ、グラミー賞26回受賞。米国音楽界になくてはならぬ存在となっていった。…何を書いてるんだ。

このアルバムものちの作品を思わせる豪華な顔ぶれだ。メンバーを替えていくつものセッションを組んでいる。アレンジもかっこよくて、何故引っぱりだこだったのかよくわかる。知的にスマート。その一方で、この時期すでにソウルフルなアレンジをやってるのも興味深い。
“Walkin'”でラッキー・トンプソンにソロとらせるなんて、うまい配役。マイルズの名盤から2年しか経っていないわけで、インパクトあっただろうなー。他のソリストではフィル・ウッズが目立つけれど、ハンク・ジョーンズ、ズート・シムス、ミルト・ジャクソンあたりもさすがのソロをとっている。オールスター・バンドならではの楽しさだ。

 

Quincy Jones Orchestra
featuring
Art Farmer, trumpet
Jimmy Cleveland, trombone
Herbie Mann, flute & tenor sax
Phil Woods & Gene Quill, alto saxes
Lucky Thompson & Zoot Sims, tenor saxes
Pepper Adams, baritone sax
Milt Jackson, vibes
Hank Jones, piano
Paul Chambers, bass
Charlie Persip, drums
and others

・Recorded in 1956

This Is How I Feel About Jazz
私の考えるジャズ

懐かしのレスリー
The Essential Collection
涙のバースデイ・パーティ

 
1. Walkin'
2. Stockholm Sweetnin'
3. Evening in Paris
4. Sermonette
5. A Sleepin' Bee
6. Boo's Blues
7. Dancin' Pants
  8. Be My Guest
9. Kings Road Blues
10. Bright Moon
11. The Oom Is Blues
12. Ballad Medley: What's New/We'll Be
   Together Again/Time on My Hands/
   You Go To My Head/Laura
ラロ・シフリン Schifrin: Sade

正式なタイトルは“The Dissection and reconstruction of music from the past as performed by the inmates of Lalo Schifrin's demented ensemble as a tribute to the memory of the Marquis de Sade”という。訳せば「サド侯爵の思い出への捧げものとしてラロ・シフリンのいかれた合奏団の収容者どもによって演奏された過去の音楽の解体と再構築」ということになる。ギネスものの長さ。
「過去の音楽」といっても出自がすぐわかるものはあまりない。「解体」してベースパターンだけ拝借したものもある。新大陸の作品を素材にした『しだれ柳の影の下で』も含まれるが、残念ながら原曲を聴く機会がない。
わかりやすいのは『ヴェルサイユの散歩道』。ヴェルサイユの作曲家ラモー(かれは散歩を日課にしていた!)の『ソーローニュの雌鶏』をほぼそのままチェンバロでやっている。ベースとドラムスを従えたトリオで、シフリンが軽快にスウィングしていく。ちなみにフランス語の「雌鶏」には「愚か者」という意味もある。
ジェローム・リチャードソンのフルートが美しい『古いレース』はテレマンの『無伴奏フルートのための12の幻想曲』から主題を借りている。『アリア』はパーセルのオペラ『ディドーとエネアス』から。
「解体と再構築」によって、よくあるクラシックのジャズ化とはひと味もふた味もちがうアルバムになっている。そもそもクラシックが素材だなんて気づかないかも。アレンジはうまいしバンドメンバーは一流だし、聴き応え満点。

 

Lalo Schifrin, piano, harpsichord &
arrangements
Clark Terry & Snooky Young, trumpets
J.J. Johnson & Kai Winding, trombones
Jerome Richardson, flute, alto & tenor saxes
Gloria Agostini, harp
Harry Lookofsky, violin
Gene Bertoncini, guitar
Richard Davis, bass
Grady Tate, drums
Rose Marie Jun, vocals
and others

・Recorded in 1966

Schifrin: Sade

シフリンといえば…
Music from Mission Impossible
Dirty Harry Anthology
Bullitt

 
1. Old Laces
2. The Wig
3. The Blues for Johann Sebastian
4. Renaissance
5. Beneath a Weeping Willow Shade
  6. Versailles Promenade
7. Troubadour
8. Marquis de Sade
9. Aria
10. Bossa Antique
ラロ・シフリン Lalo Schifrin: Return of the Marquis de Sade

『リラクシン・アット・シャラントン』だと?「カマリロ」じゃないのかっ!『ヴェネツィアの夜』って何だっ!…とお怒りのかた、冷静に。これは前項VERVE盤の続編であります。真面目なはずがないって。
“Schifrin/Sade”の長ったらしいタイトルはペーター・ヴァイスの戯曲『マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』をもじったものだった。1967年にピーター・ブルック監督によって映画化されている。『リラクシン・アット・シャラントン』のタイトルはその種明かしをしているわけ。
「解体」されたバッハ作品の断片が使われたり、基本路線は同じ。VERVE盤で演奏された曲の「再構築」もある。前回はビッグバンド編成だったのに対し、今回はストリングスを活用。(7)〜(9)はフルオーケストラを入れた豪華版だ。
ラロ・シフリンのピアノとハープシコードが大活躍。トム・スコットのサックスとフルートも素晴らしく、とくにソプラノがいい。前作と較べたらこっちのほうが純粋にジャズしてる印象がある。

 

Lalo Schifrin, piano, harpsichord &
arrangements
Brian Bromberg or Ray Brown, bass
Jeff Hamilton or Grady Tate, drums
Tom Scott, flute, tenor & soprano saxes
Dennis Budimir, guitar
Marcia Dickstein, harp
Edie Lehmann, vocals
London Philharmonic Orchestra
and others

・Recorded in 2001

Return of the Marquis de Sade

同時期の録音
Brazilian Jazz
Intersections
Gillespiana

参考までに
ジュスティーヌ

 
1. Relaxin' at Charenton
2. A Lover's Mask
3. Come My Way
4. A Night in Venezia
5. The Marquis is Back
  6. Justine
7. Bach to the Blues
8. Eine Kleine Jazz Musik
9. Madrigal
ゲイリー・マクファーランド

The Gary McFarland Orchestra
Special Guest Soloist: Bill evans

ゲイリー・マクファーランドの独創性とビル・エヴァンスのセンスが幸福な出逢いを果たした名盤。マスターが学生時代から上記“Schifrin/Sade”に次いでよく聴いていたアルバムだ。しかしこの二枚のアルバムを指して「何故ヘンなものを聴くのか」と疑問を投げかける同級生が少なくなかった。わたしはヘンなものが好きなわけじゃない。独創的なものが好きなだけなんだが…。
まず編成が独創的だ。ヴィオラとチェロ二本ずつというストリングス。それに木管(フルートとクラリネット)が加わってバックグラウンドを形成する。リズムセクションはギター、ベース、ドラムス。ソロイストとしてヴァイブとピアノ(ジム・ホールのソロはちょっとだけ)。
曲(すべてオリジナル)も独創的。編成を活かしたソフトなサウンドだが和声感覚が新しい。ビル・エヴァンスと共演するために書き下ろされた曲ばかりで、エヴァンスの特徴を引き出すように工夫されているのだ。旋律線のユニークさ、形式からの自由という、のちのマクファーランド作品に顕著な特徴もすでにあらわれている。
エヴァンスはこのセッションにたいへん乗り気だったと伝えられ、繊細で叙情的なソロをたっぷり聴かせてくれる。“Night Images”で聴かれるヴァイブとの会話も美しい。フリーリズムで、コードの指定もせずに、敏感に反応し合いながら秘やかな音楽を紡いでいく。
リズムセクションの素晴らしさもアルバム成功の要因。エド・ショーネシーの繊細で軽やかなドラムスはアルバムのコンセプトにぴったり。そしてリチャード・デイヴィスのシュアなベース。伊達にクラシックやってなかったなと思わせる。

 

Gary McFarland, vibes
Bill Evans, piano
Jim Hall, guitar
Phil Woods & Spencer Sinatra, woodwinds
Richard Davis, bass
Ed Shaughnessy, drums
Julian Barber, Ala Goldberg, Aaron Juvelier,
Joseph Tekula. strings

・Recorded in 1962 & 63

The Gary McFarland Orchestra

これもおすすめ
The October Suite

 
1. Reflections in the Park
2. Night Images
3. Tree Patterns
  4. Peachtree
5. Misplaced Cowpoke
6. A Moment Alone
ゲイリー・マクファーランド

Gary McFarland: America the Beautiful
An Accout of Its Disappearance

ゲイリー・マクファーランドの最高傑作となったジャズ交響組曲。『美しきアメリカ』というタイトルだがアメリカ賛美の作品ではない。ついぞ現れることのなかった約束の地「美しきアメリカ」への、いわば失望の表明なのだ。ジャケットのハクトウワシは涙を浮かべている。
道路の脇には使い捨て文化のシンボルであるビールの空き缶が散らばり、街には人工的なペットであるプードルが闊歩し、浅薄な立候補者の演説に喝采を送る大衆…。マクファーランドはそんなアメリカの現在の姿(35年以上前だが)を、音で表現してみせる。下記のような6楽章構成で、ときに皮肉をまじえながら嘆かわしいアメリカの現実を表現しているのだ。
マクファーランドが折に触れて試みてきたさまざまなスタイル、技法が集大成された作品で、弦楽器やエレクトリック・ギター(エリック・ゲイル)が活躍する。ジャズ、クラシック、ロックの垣根が取り払われた典型的フュージョン。オーケストラ・メンバーもジャズとクラシックの強者(ヒューバート・ロウズやアーロン・ロザンドが参加)が揃っており、演奏レベルの高さも特筆ものだ。
オリジナルLPはかれがカル・ジェイダーたちと作ったスカイ(SKYE)レーベルから出ていたもの。円熟期にあたり、この名作を発表したのち急逝してしまったのが残念でならない。

 

Marvin Stamm, Snooky Young, Richard Willams, Randy Brecker, trumpets
Garnett Brown, trombone
Harvey Phillips, tuba
Ray Alonge, horn
Jerome Richardson, Joe Farrell, Danny Bank, Hubert Laws, reeds
Aaron Rosand, Gene Orloff, violins
George Ricci, cello
Warren Bernhardt, piano
Eric Gayle, guitar
Chuck Rainey, bass
Bernard Burdie, drums
and others

・Recorded in 1968

America the Beautiful
アメリカ・ザ・ビューティフル

Skye時代の2in1
America the Beautiful

 
1. On This Site Shall Be Erected...
2. 80 Miles an Hour Through Beer-Can Country
3. Suburbia, Two Poodles and a Plastic Jesus
  4."If I'm Elected..."
5. Last Rites for the Promised Land
6. Due to Lack of Interest, Tomorrow
  Has Been Cancelled
oliver nelson Oliver Nelson Orchestra: Afro/American Sketches

オリヴァー・ネルソン(1932-75)が気鋭のコンポーザー、アレンジャーとして頭角をあらわしたのはこのアルバムから。60年代を通じて超売れっ子として開花していくネルソンが咲かせた、最初の大輪の花である。
作品はすべてかれのオリジナル。アルバムタイトルは米国黒人の過去・現在・未来をあらわす。『ジャングルの歌』はアフリカの大地に暮らす黒人たちを描き、奴隷狩りを思わせるシーンもあらわれる。打楽器が表現するのはアフリカの勇敢な戦士たち。『奴隷解放のブルーズ』はアーシーな味わいのご機嫌なブルーズ。黒人たちが希望を持っていた時代の表現だろうか。しかし曲は『憧れありき』『北上』を経て『幻滅』に至る。南北戦争の勝利によって奴隷解放を導いてくれたはずの北部も、黒人たちを受け容れようとはしなかったのだ。
このジャズ組曲が録音されたのは1961年。公民権運動の炎が熱く燃えさかり、キング牧師もまだ活躍中だった。ジャズ界でもミンガスが、ローチが、米国黒人の自由と権利を主張していた。最終曲『自由の踊り』は手に入れるべき自由を讃えたもの。

ネルソンはさまざまな変拍子、楽器用法の変化など多彩な技を活かして42分に及ぶ壮大な組曲を構築している。29歳にして巨匠の域。ソリストも腕っこきばかり。真摯で熱っぽく、きわめて完成度の高いアルバムを作りあげている。

 

Oliver Nelson, tenor & alto saxes
Ernie Royal, Joe Newman, trumpets
Britt Woodman, Urbie Green, trombones
Jerry Dodgion, alto sax & flute
Eric Dixon, tenor sax & flute
Julius Watkins, Ray Alonge, horns
Don Butterfield, tuba
Patti Bown, piano
Art Davis, bass
Ed Shaughnessy, drums
Ray Barretto, percussion
and others

・Recorded in 1961
Prestige Records PR-7225
OJCCD-1819-2

Afro/American Sketches

プレスティジ時代のネルソンは
こちら

 
1. Message
2. Jungleaire
3. Emancipation Blues
4. There's a Yearnin'
  5. Going Up North
6. Disillusioned
7. Freedom Dance
oliver nelson Oliver Nelson's Big Band
Live from Los Angeles

LP時代にマスターが「スカッとしたいとき」最もよく聴いたビッグバンド・アルバムがこれ。1967年6月にロサンゼルスの「マーティーズ」で収録されたオリヴァー・ネルソン・ビッグバンドの熱血ライヴだ。
3日間のライヴからいいとこ取りしているのでどれもいいのだが、なかでもフランク・ストロジャーとトム・スコットをフィーチャーした“Milestones”と4人のトランペッター、ボビー・ブライアント、フレディ・ヒル、コンテ・カンドリ、バディ・チルダースが代わる代わるソロをとる“Down by the Riverside”がお気に入りだった。前者はアルトのストロジャーが熱いソロを聴かせ、そこにスコットのテナーが挑みかかるように被ってくる。数コーラス二人で吹きまくったのち、スコット一人になって天馬空を行くがごとき自在でスリリングなモードジャズを展開していく。まさに手に汗握る8分間。
後者は4人が我こそはとばかり技巧の限りをつくすブロウイングセッション。競争心丸出しで、4人とももっと吹かせろって感じなのが面白い。
もちろん(3)や(7)のようなリラックスした演奏もあり、メル・ブラウンの黒いギターがのたうつトラック(4)(5)もある。ネルソンのアレンジはシンプルで、ノリのいい演奏を引きだすのに成功している。

 

Bobby Bryant, Conte Candoli, Freddy Hill,
Buddy Childers, trumpets
Billy Byers, Lou Blackburn, Pete Meyers, Ernie Tack, trombones
Frank Strozier, Gabe Baltazar, alto saxes
Bill Perkins, Tom Scott, tenor saxes
Jack Nimitz, baritone sax
Mel Brown, guitar (4&5)
Frank Strazzeri, piano
Monte Budwig, bass
Ed Thigpen, drums

・Recorded in 1967 (Live)
Impulse Records AS-9153
0602498842256

Live from Los Angeles
ライヴ・フロム・ロサンゼルス

ほかには
Swiss Suite
Skull Session
スカル・セッション

 
1. Miss Fine
2. Milestones
3. I Remember Clifford
4. Night Train
  5. Guitar Blues
6. Down by the Riverside
7. Ja-Da
 
  BIG BAND 1 / 2 / [3] / 4 / 5 TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS /COMBO / VOCAL