ジャズCDレビュー
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  BIG BAND 1 / 2 / 3 / [4] / 5

TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS /COMBO / VOCAL

 
デューク・エリントン Duke Ellington: Ellington '55

1953年12月から55年5月にかけてシカゴとニューヨークで録音された10曲。選曲が面白いアルバムだ。ご覧のように10曲中6曲までが他人のレパートリーなのだ。ベニー・グッドマン、グレン・ミラー、カウント・ベイシー、ファッツ・ウォーラー、ライオネル・ハンプトン、コールマン・ホーキンスの、それぞれの十八番(おはこ)ばっかり。もちろんエリントンだから真似なんかしてない。知的で独創的な、かっこいいアレンジでこれらの作品が「エリントンふう」に生まれ変わっている。
ギョッとしたのは『ハニーサックル・ローズ』。なんとブラスのソリでパーカーの『スクラップル・フロム・ジ・アップル』が現れるのだ。パーカー・ファンならご存知のように『スクラップル…』は『ハニーサックル…』のコード進行を拝借して書かれたもの。エリントン親爺、他人の作品の種明かしをしているわけ。
ボーナストラックの『スウィングしなけりゃ意味ないね』もご機嫌。トランペット・バトル、サックス・バトルからレイ・ナンスのヴォーカルまで楽しめる。
個々のソロイストでは大スター、ポール・ゴンザルヴェス(ts)とラッセル・プロコープ(cl)、ハリー・カーネイ(bs)が大活躍する。

Clark Terry, Cat Anderson, Willie Cook, trumpets
Ray Nance, trumpet, violin & vocals
Quentin Jackson, Britt Woodman, Alfred Cobbs, trombones
Russell Procope, alto sax & clarinet
Rick Henderson, alto sax
Paul Gonsalves, Jimmy Hamilton, tenor sax & clarinet
Harry Carney, baritone sax & bass clarinet
Duke Ellington, piano
Wendell Marshall, bass
Dave Black, drums

・Recorded in 1953 - 55

Ellington '55

初期の名演集
A列車で行こう
Sophisticated Lady
Masterpieces by Ellington
同時期の超名演ライヴ
Ellington at Newport 1956

 
1. Rockin' in Rhythm
2. Black and Tan Fantasy
3. Stompin' at the Savoy
4. In the Mood
5. One O'Clock Jump
  6. Honeysuckle Rose
7. Happy-Go-Lucky Local
8. Flying Home
9. Body and Soul [Bonus track]
10. It Don't Mean a Thing [Bonus track]
マヘリア・ジャクスン

Duke Ellington: Black, Brown and Beige
Featuring Mahalia Jackson

ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンを迎えた“Black, Brown and Beige”は、数あるエリントンの傑作の中でも最上位に位置する。ブラック、ブラウン、ベージュはいずれも黒人の肌の色を示す。1958年、米国黒人の自意識が高まる中で、ジャズはファンキーを産み出していた。ファンキーはゴスペルやブルーズを採り入れたもの。しかしエリントンの本作はゴスペルの化身を共演者に迎えながら、ファンキーとはちがう方向で黒人性を表現した。ジャズに聴こえないという評もあるが、これは芸術音楽なのだ。クラシックというと誤解を招くだろうが、ジャズを超えたところにあり、分類は意味をなさない。
エリントンという人間の中に流れ込んでいるさまざまな音楽が、ブレンドされ、昇華されてかれの楽器であるオーケストラを通して立ち現れる。時にそれは激しくスウィングするが、また重く地を這うような音楽にもなり、祈りや哀しみを歌うのだ。
“Black, Brown and Beige”は6曲で構成される組曲。“Come Sunday”の名で知られるあの旋律がライトモチーフのように全体を支配する。抑制されたナンスのヴァイオリンやカーネイのバリトンがなんと美しいことか。第4曲で聴かれるマヘリアの歌声は胸を打つ深さ。そして曲そのものの持つ強力な磁力。先入観なしに聴くなら、エリントンがジャズを超えた優れた作曲家だったことが理解できるだろう。

 

Mahalia Jackson, vocals
Clark Terry, Cat Anderson, Harold Baker, trumpets
Ray Nance, trumpet & violin
Quentin Jackson, Britt Woodman, John Sanders, trombones
Jimmy Hamilton, clarinet
Russell Procope, clarinet & alto sax
Bill Graham, alto sax
Paul Gonsalves, tenor sax
Harry Carney, baritone sax
Duke Ellington, piano
Jimmy Woode, bass
Sam Woodyard, drums

・Recorded in 1958
Columbia Legacy
CK 65566

Black, Brown and Beige

Such Sweet Thunder

 
1. Black, Brown and Beige
2. Track 360 (aka Trains)[Alt. take]
  3. Blues in Orbit (aka Tender)[Alt. take]
4. Black, Brown and Beige [Alt. take]
エリントン

Duke Ellington featuring Paul Gonsalves

伝説の男ポール・ゴンザルヴェスを「徹底的に」フィーチャーしたデューク・エリントン1962年録音。ゴンザルヴェスは1950年からのメンバー。56年のニューポート・ライヴで27コーラスの超ロングソロをとってから一躍大スターとなっていた。飲兵衛でバンドに多大な迷惑をかけ続けた男だが、ノってしまうと天才的なフレーズがとめどなくあふれ出る手のつけられないテナー吹きだった。
ソロは全部ゴンザルヴェス。ジョニー・ホッジスもローレンス・ブラウンも出番なし。破格の待遇である。特等席に据えられたゴンザルヴェス氏、よほど気分がよかったのか天馬空を行く豪快爽快なソロを連発。まさに天衣無縫(漢字が多いな)。
エリントンは例によってエキセントリックな新アレンジでこれらおなじみの曲を生まれ変わらせている。とくに“Caravan”あたり、エリントン・ビギナーはコケるかも知れない。なんじゃこのへんてこな『キャラヴァン』はっ。しかしこれがエリントンの真骨頂。メロディラインを変えてまで斬新なコード進行を採るんである。そういう「異様な」進行にもかかわらず自在なアドリブを展開するゴンザルヴェスもすごい。神がかりとでも言うしかない。

 

Paul Gonsalves, tenor sax
Duke Ellington and his orchestra

・Recorded in 1962

Featuring Paul Gonsalves

Tell It the Way It Is!
Gettin' Together!
Ellingtonia Moods & Blues
エリントン&コルトレーン

 
1. C-Jam Blues
2. Take the "A" Train
3. Happy-Go-Lucky Local
4. Jam with Sam
  5. Caravan
6. Just a-Sittin' and a-Rockin'
7. Paris Blues
8. Ready, Go
ポピュラー・エリントン

The Popular Duke Ellington

1966年のRCA録音。タイトルどおりポピュラーなエリントン・ナンバーを揃えた「売れ筋」ねらいのアルバムだった。しかし、なんだいつもの曲じゃないか、というわけにいかないのがエリントン。かれの録音に単なる再演はない。前項でも触れたように、録音するたびに曲が生まれ変わっている。
これからエリントンを聴いてみようというビギナーの方には最適。代表作ばかりだし録音も優秀(40年も前とは思えない!)。曲ごとにいろいろな人がソロをとるから、メンバーがそれぞれ独特の音色を持っていることがよく判る。ただうまいだけじゃなくてきわめて個性的なのだ。魔法のようなエリントン・サウンドの秘密は絶妙のアレンジ+奏者固有の音色だったことが判ると思う。さんざん聴いたよという人にもお奨めできるアルバムだ。

 

Cootie Williams, Cat Anderson, Mercer Ellington, Herbie Jones, trumpets
Lawrence Brown, Buster Cooper, Chuck Conners, trombones
Jimmy Hamilton, clarinet
Johnny Hodges, Russell Procope, alto saxes
Paul Gonsalves, tenor sax
Harry Carney, baritone sax
Duke Ellington, piano
John Lamb, bass
Sam Woodyard, drums

・Recorded in 1966

The Popular Duke Ellington
ポピュラー・デューク・エリントン

Masterpieces by Ellington

 
1. Take the "A" Train
2. I Got It Bad and That Ain't Good
3. Perdido
4. Mood Indigo
5. Black and Tan Fantasy
6. The Twitch
7. Solitude
  8. Do Nothin' Till You Hear from Me
9. The Mooche
10. Sophisticated Lady
11. Creole Love Call
12. Caravan
13. Wings and Things
14. Do Nothin' Till You Hear from Me [Alt. take]
極東組曲

Duke Ellington's Far East Suite

なんて美しい音色の連中が揃っているのだろう、というのが『極東組曲』を聴いた第一印象だった。ジミー・ハミルトンのクラリネットにしろハリー・カーネイのバリトン、クーティー・ウィリアムズのトランペットにしろ、甘露したたるような魅力的な音色で聴き手の心をとろかしていく。理屈抜きの生理的快感。かれらはほとんど奇をてらうことなく流ちょうな語り口で主題を歌い、アドリブを飛翔させる。
エリントンがストレイホーンと共作した曲じたいには色々ご意見もあるだろう。『デリーの青い鳥』のどこがインド風なのかとか、『イスファハン』は極東じゃないだろうとか、『アドリブ・オン・ニッポン』のアドリブが少ないとか…。しかしそんなこた瑣末事である。エスニックな音階やメロディラインを織りまぜながらかれらがこれまで書いたことがなかったタイプの曲を書き、それが素晴らしい完成度を見せている、そこんとこを楽しもう。
CD化にあたって追加された7トラックは余計な気がする。77分にもなってしまった(US盤のみ)し、トータルアルバムとしての完結感が損なわれてしまう。だからマスターは9トラック目までしか聴かない。 (右記国内盤はオリジナル通り)

 

Cootie Williams, Cat Anderson, Mercer Ellington, Herbie Jones, trumpets
Lawrence Brown, Buster Cooper, Chuck Conners, trombones
Harry Carney, Russell Procope, Johnny Hodges, Jimmy Hamilton, Paul Gonsalves, woodwinds
Duke Ellington, piano
John Lamb, bass
Rufus Jones, drums

・Recorded in 1966
BMG/ Bluebird
82876 55614-2

Duke Ellington's Far East Suite
極東組曲

 
1. Tourist Point of View
2. Bluebird of Delhi (Mynah)
3. Isfahan
4. Depk
5. Mount Harissa
6. Blue Pepper (Far East of the Blues)
7. Agra
8. Amad
  9. Ad Lib on Nippon
10. Tourist Point of View [Alt. take]
11. Amad [Alt. take]
12. Bluebird of Dehli [Alt. take]
13. Bluebird of Dehli [Alt. take]
14. Isfahan [Alt. take]
15. Depk [Alt. take]
16. Mount Harissa [Alt. take]
ニューオリンズ組曲 Duke Ellington: New Orleans Suite

デューク・エリントンによるジャズの故郷ニューオリンズへのオマージュ。エリントンにはいくつもの優れた組曲があるが、これはアフロ=アメリカンのネイティヴな音楽がどっしりとベースにあるため、誰にでも聴きやすい仕上がりになっている。曲名一覧を見ていただくとお判りのように、歴史をたどるのでもなく観光案内をするのでもない。デルタの自然やニューオリンズの街を讃え、サッチモやシドニー・ベシェに敬意を表し、9つの曲がゆるやかに連なっていく。
ちなみに(3)でサッチモの役回りを演じるのはクーティー・ウィリアムス。(7)ではジョニー・ホッジスに久しぶりにソプラノを吹かせるつもりだったのだが、セッション2日前にホッジスは急死。急遽代役となったのはポール・ゴンザルヴェスだった。それから(5)のウェルマン・ブロウはジャズ初期のベース奏者で、エリントンバンドにも在籍していた人。(8)のジャン・ラフィートは今やディスニーランドでおなじみのカリブの海賊。かれもニューオリンズに関連があったか!
忘れてならないのはワイルド・ビル・デイヴィスの特別参加。かれのオルガンがかもし出すディープなブルーズフィーリングはこのアルバムの大きな魅力のひとつだ。

 

Cootie Williams, Cat Anderson or Money Johnson, Mercer Ellington, Al Rubin, Fred Stone, trumpets
Booty Wood, Julian Priester, Dave Taylor, Chuck Conners, trombones
Russell Procope, Johnny Hodges, Norris Turney, Harold Ashby, Paul Gonsalves, Harry Carney, woodwinds
Duke Ellington, piano
Joe Benjamin, bass
Rufus Jones, drums
Wild Bill Davis, organ (1)

・Recorded in 1970
Atlantic 1580-2

Ellington: New Orleans Suite

エリントン:女王組曲

 
1. Blues for New Orleans
2. Bourbon Street Jingling Jollies
3. Portrait of Louis Armstrong
4. Thanks for the Beautiful Land on the Delta
5. Portrait of Wellman Braud
  6. Second Line
7. Portrait of Sidney Bechet
8. Aristocracy a la Jean Laffitte
9. Portrait of Mahalia Jackson
 
  BIG BAND 1 / 2 / 3 / [4] / 5 TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS /COMBO / VOCAL