ブルーズ・レビュー
tampa red   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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タンパ・レッド

Tampa Red: The Guitar Wizard

今となっては忘れられたミュージシャンという感のあるタンパ・レッド。かれはボトルネック奏法(スライドギター)の最初期の名手で、「ギターの魔術師」と呼ばれていた。タンパ・レッド(Hudson "Tampa Red" Whittaker, 1904-1981)のレコーディング・キャリアは1928年から1960年に及ぶ。当盤はデビュー録音から1934年まで、初期のSP音源を集めたもの。約半数がピアニスト兼シンガー、ジョージア・トム(Georgia Tom Dorsey, 1899-1993)を含む。
“It's Tight Like That”はレッドとトムが参加したPapa Too Sweet & Harry Jonesのレコード。ブギウギふうの明るい曲で、この録音がかれらの出世作とされている(大ヒットを記録したそうだ)。思いのほか軽いのでブルーズを聴いている感じがしないが、ボトルネックの素晴らしさは充分味わえる。
(3)の“No Matter How She Done It”から(9)までがジョージア・トムとのデュオ。トムはのちにゴスペルシンガーに転身してブルーズを歌わなくなってしまうから、貴重な録音といえるだろう。(10)以降の録音はタンパ・レッドのソロ。ギターはうまいが歌は下手、なんて言う人もいるが、味のある歌唱は捨てがたいものがある。かれは1950年代に雲隠れしてしまい、1960年に再発見されてレコーディングを行った。それも悪くはないのだけれど、ここに収められた若き日の勢いのある演奏は格別。かのエルモア・ジェイムスにも影響を与え、B. B. キングも尊敬していた(いくつかの曲をカヴァーしている)という卓越した技と洗練された感覚が確認できる。音の状態もかなりよい。

 

Tampa Red, guitar & vocals
Georgia Tom, piano & vocals
Papa Too Sweet, vocals (1,2)
Harry Jones, vocals (1)

・Recorded in 1928 - 34

♪ It's Tight Like That

The Guitar Wizard

同時期の録音(重複あり)
Bottleneck Guitar (1928-1937)
雲隠れ前の録音
Keep Jumping
復帰後の録音は
Don't Tampa with the Blues
Don't Jive with Me

ジョージア・トムは
The Essential Georgia Tom
この人もぜひ
Bricks in My Pillow

 
  1. (Honey) It's Tight Like That
2. Big Fat Mama
3. No Matter How She Done It
4. Reckless Man Blues
5. Don't Leave Me Here
6. Dead Cats On the Line
7. Things 'Bout Comin' My Way
8. You Can't Get That Stuff No More
9. If You Want Me To Love You
  10. Turpentine Blues
11. Western Bound Blues
12. That Stuff Is Here
13. Sugar Mama Blues No.1
14. Sugar Mama Blues No.2
15. Black Angel Blues
16. Things 'Bout Comin' My Way
17. Denver Blues
big joe williams

Big joe Williams: Walking Blues

デルタ・ブルーズの巨匠ビッグ・ジョー・ウィリアムス(1903-1982)1961年の録音。Bluesvilleから“Studio Blues”と“Blues for 9 Strings”という2枚のLPで出ていたもの。どちらも同じ10月7日(58歳の誕生日直前)のセッションで、ラリー・ジョンソン、ウィリー・ディクソンが参加している。
ビッグ・ジョーは顔の大きい傷がこわいが、声もドスの効いた迫力あるもの。有無を言わさず捕まえられてしまう感じだ。おい若いの、俺の話を聴け!へぇ、聴かさしていただきやす(笑)。
9弦ギターもビッグ・ジョーの特徴のひとつ。通常の6弦ギターを改造したもので、写真を見ると高音3コースが複弦になっている。これのきしんだような音色が(ボロギター!)ひなびた雰囲気を高め、デルタのコットンピッカーズの暮らしが目に浮かんでくる。(6弦、12弦を使っている曲もある。)
大物なのだが若い頃は録音に恵まれず、“Baby, Please Don't Go”で初録音を果たしたのは32歳のとき。しかしその後はめちゃ多い!それにかれの曲は、ブルーズ界はもとよりR&Bやロックの世界でもさまざまにカヴァーされている。あなたもどっかで知らずにビッグ・ジョーの作品を聴いていたかも知れないよ。

 

Big joe Williams, vocals & 9 string guitar
Wille Dixon, bass
Larry Johnson, harmonica

・Recorded in 1961

Big joe Williams: Walking Blues

Baby, Please Don't Go
Classic Delta Blues
I Got Wild
Piney Woods Blues
Nine String Guitar Wizard
Blues on Highway 49
Going Back to Crawford

 
  1. Levee Camp Blues
2. Low Down Dirty Shame
3. Gambling Man
4. Ain't Gonna Rain No More
5. Feel So Good
6. Prowling Ground Hog
7. Back Home Again
8. Sugar Babe
9. Tell Me Mama
10. Studio Blues
11. I'm a Fool About My Baby
  12. 38 Pistol Blues
13. Pearly Mae
14. Walking Blues
15. Highway 45
16. Meet Me at the Bottom
17. Skinny Mama
18. Jockey Ride Blues
19. Coal and Iceman Blues
20. Army Man Blues
21. Black Gal You're Sure Looking Warm
22. Pallet on the Floor
スリム・ハーポ

The Best of Slim Harpo

スリム・ハーポ(1924-70)ってのは体型がスリムでブルーズハープがうまいから?そのまんまやんけ。本名はJames Isaac Moore っていうらしい。そーゆー立派な名前にもかかわらず、歌の内容はたわいがない。(15)とか(16)なんて題名からして恥ずかしい。印象もほんわかしたR&Bってところ。
しかしこの力の抜けたところが不思議なかっこよさを感じさせるのが面白い。ストーンズのファンは連中が“I'm a King Bee”をカヴァーしてたのを憶えているだろう。“I've Got Love If You Want It”はキンクスが採り上げていた。ほっとけない魅力があるのだ。大ヒットした“Rainin' In My Heart”など、硬派のブルーズ・ファンはお気に召さないだろうが、お洒落なR&Bバラッドになっている。泣かせる語りまで入っちゃったりして…。
インストに徹した“Buzzin'”や“Snoopin' Around”もご機嫌だ。ハーポのハープもいいけどギタリストがうまい。

 

Slim Harpo, harmonica & vocals
Guitar Gable, guitar
Clinton Perrodin, bass
Clarence Etienne, drums
Willie Parker, sax
and others

・Recorded in 1957 - 67

The Best of Slim Harpo

2枚組アンソロジー
The Excello Singles Anthology
こんなんもありま!
Sting It Then!

 
  1. I'm a King Bee
2. I've Got Love If You Want It
3. Wonderin' and Worryin'
4. You'll Be Sorry One Day
5. Strange Love
6. Bobby Sox Baby
7. One More Day
8. Rainin' In My heart
  9. Blues Hangover
10. Buzzin'
11. Still Rainin' In My Heart
12. Snoopin' Around
13. Te Ni Nee Ni Nu
14. Tip On In, Part 1
15. Shake Your Hips
16. Baby, Scratch My Back
T・ボーン・ウォーカー

T-Bone Walker: Stormy Monday Blues

モダン・ブルーズ・ギターの父、T-ボーン・ウォーカーのMCA録音をBGOがCD化してくれた。BGOというのは“Beat Goes On”の略で、ジャズやブルーズの名盤を復刻している英国のレーベル。オリジナルLPを尊重した編集で好感がもてる。
T-ボーンは1910年の生まれなので、57歳のときの録音だ。50年代は酒の飲み過ぎで胃をやられて病院に入ったりしていたが、60年代はヨーロッパを中心に活発に活動していた。これはその、調子がよかった時代の代表的録音。
背中でギターを弾くという曲芸パフォーマンスはかれが広めたもので、フレディ・キングらが真似をした。ギター演奏そのものはジャズの影響、とくにチャーリー・クリスチャンのスタイルが採り入れられている(そんなに似てはいないが)。これが間接的に多くのブルーズ・ミュージシャンに受け継がれていく。たとえばB.B. キングやバディ・ガイはもっとも影響を受けたミュージシャンとしてT-ボーンの名を挙げている。アルバート・キング、チャック・ベリーもコピーしていたことがある。この流れはさらにエリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベックたちにまでつながっていくのだ。たいへんな人物である。

 

T-Bone Walker, vocals and guitar
McKinley Johnson, Melvin Moore, trumpets
John "Streamline" Ewing, trombone
Preston Love, alto sax
Mel Jernigan, tenor sax
John Williams, baritone sax
Lloyd Glenn, piano
Mel Brown, guitar
Ron Brown, bass
Paul Humphrey, drums

・Recorded in 1967

Stormy Monday Blues

Beginning 1929-1946
The Complete Imperial Recordings
Funky Town

 
  1. I'm Gonna Stop This Nite Life
2. Little Girl, Don't You Know
3. Every Night I Have to Cry
4. I'n Still in Love with You
5. Cold Hearted Woman
  6. Treat Me So Low Down
7. Stormy Monday Blues
8. Confusion Blues
9. I Gotta Break Baby
10. Flower Blues
t-bone walker

T-Bone Walker: T-Bone Blues

テキサスのギター親爺ことT-ボーン・ウォーカーの代表アルバムの一つ。1955年から1957年にかけてのセッションをまとめたものだ。こういう有名アルバムについて何か言うのは怖い(笑)のだが、ひとこと。
マスターがまず興味を惹かれたのはバーニー・ケッセルの参加。ブルーズのうまいケッセルとジャズもうまいT-ボーンとの共演なのだ。これがご機嫌。この二人とR. S. ランキンのソロ・リレーも楽しめる。
もうひとつの楽しみはジュニア・ウェルズらシカゴ派との共演セッション。選曲もいいし、何度聴いても飽きない永久保存盤だ。

 

T-Bone Walker, vocals & guitar
with
Barney Kessel, guitar
R. S. Rankin, guitar
Plas Johnson, tenor sax
Junior Wells, harmonica
Ray Johnson, piano
Joe Comfort, bass
Earl Palmer, drums
and others

・Recorded in 1955 - 57

T-Bone Blues
T-ボーン・ブルーズ

I Want a Little Girl
モダン・ブルーズ・ギターの父

 
  1. Papa Ain't Salty
2. Why Not
3. T-Bone Shuffle
4. Play on Little Girl
5. T-Bone Blues Special
6. Mean Old World
7. T-Bone Blues
8. Call It Stormy Monday
  9. Blues for Marili
10. Shufflin' the Blues
11. Evenin'
12. Two Bones and a Pick
13. You Don't Know What You're Doing
14. How Long Blues
15. Blues Rock
J・B・ハットー

J.B. Hutto & His Hawks: Hawk Squat

シカゴ派スライドの鬼 J. B. ハットー(1926-83)によるスタジオセッション集。3つのセッションからなり、すべてにサニーランド・スリムが参加している。
マスター旧知のブルーズ親爺はエルモア・ジェイムズみたいだと言うが、確かに似ているところがある。でもそれがどうした。グレートな奴の影響は避けがたいんである。サウスサイドの匂いがぷんぷんするハットーのギターはちゃんと個性を主張しているし、充分魅力的。ライヴほどではないにしても、ラフでワイルドなところはたっぷり味わえる。
サニーランドの渋いサポートがたまらなくいい。オルガンソロもいい。しかしそれ以上にいいのがフランク・カークランドだ。アルバート・キングとの共演でも知られるドラマー。ノリのいいリズムはかれのおかげ。熱いソロも聴かせて大活躍だ。

 

J. B. Hutto, guitar & vocals
Sunnyland Slim, piano & organ
Maurice McIntyre, tenor sax
Lee Jackson, guitar
Junior Pettis or Dave Myers, bass
Frank Kirkland, drums

・Recorded in 1966 & 68

J.B. Hutto: Hawk Squat
ホーク・スクワット

J.B. Hutto: Slidewinder
スライド・ワインダー
ボトルネック・ブルーズ・ギター

 
  1. Speak My Mind
2. If You Change Your Mind
3. Too Much Pride
4. What Can You Get Outside That You Can't
  Get at Home
5. The Same Mistake Twoce
6. 20% Alcohl
 

7. Hip-Shakin'
8. The Feeling is Gone
9. Notoriety Woman
10. Too Late
11. Send Her Home To Me
12. Hawk Squat

タジ・マハール

Taj Mahal: Senor Blues

あるCDショップで、タジ・マハールが「ROCK」のコーナーに置いてあるのを見た。なんでROCKやねん。しかし「BLUES」の範ちゅうにおさまるミュージシャンではないし、悩んだ結果の分類か、単純に音楽を聴いてロックだと思ったか…。このアルバムなど「JAZZ」のコーナーに置いてもいいかも。
アルバムタイトルの『セニョール・ブルーズ』はジャズピアニストのホレス・シルヴァーが書いたもの。1956年と古いが、かれの代表作のひとつだ。タジ・マハールはトランペットとサックスをフロントに据え、シルヴァーとほとんど同じ編成でやっている。ホーンの輝かしく自信に満ちたプレイはオリジナルがかすんでしまうほどかっこいい。体育会系ホーン。タジ・マハールのヴォーカルもそうだ。ジャズファンはビル・ヘンダーソンのヴォーカルを入れたシルヴァーの録音(1958年)を知っているかもしれない。それも見事にかすんでしまう。わたしは「ブルーズも聴くジャズファン」なので、少々複雑な思いにとらわれた。
ジャンル外カヴァーはほかにもある。マーヴィン・ゲイ(12)とオーティス・レディング(13)だ。とくにオーティスは昔よく聴いたので興味を持ったが、とくべつ変わったことはやっていないのに充分タジの個性が出ているし、モダンでかっこいい。懐かしさ半分新鮮さ半分で、ついのせられてしまった。

 

Taj Mahal, vocals, harmonica, dobro & kazoo
Johnny Lee Schell, guitar
Jon Cleary, piano
Mick Weaver, organ
Larry Fulcher, bass
Tony Braunagel, drums
with
The Texacalli Horns

・Released in 1997

Taj Mahal: Senor Blues

ほかには
Taj Mahal
Rising Sons
Giant Step
Phantom Blues
Blue Light Boogie
Live at Ronnie Scott's [DVD]

 
  1. Queen Bee
2. Think
3. Irresistable You
4. Having a Real Bad Day
5. Senor Blues
6. Sophisticated Mama
7. Oh Lord, Things Are Gettin' Crazy Up In Here
  8. I Miss You Baby
9. You Rascal You
10. Mind Your Own Business
11. 21st Century Gypsy Singin' Lover Man
12. At Last (I Found a Love)
13. Mr. Pitiful
 
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