ジャズCDレビュー
ジャズ・トロンボーン   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
ジャズ・トップページ ブルーズCD ボサノバCD クラシックCD 吹奏楽CD
演奏家インデクス
TRUMPET / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL

Page [1]

 
カーティス・フラー

Curtis Fuller: Blues-ette

1曲目の『ファイヴ・スポット・アフター・ダーク』を耳にしたことのないジャズファンはまずいないだろう。カーティス・フラーの代表作というだけでなく「時代を代表するアルバム」でもある。ハードバップ全盛の1950年代後半、アフロアメリカンの自覚を前面に出したファンキー・ジャズが派生した。ファンキーは一世を風靡し、アート・ブレイキーの『モーニン』はそのシンボルとなった。そば屋の出前持ち伝説を生んだのはよく知られている。
メッセンジャーズの音楽監督だったベニー・ゴルソンはアート・ファーマーやカーティス・フラーと組み、ソフトな路線を追求していく。その成果が“ジャズテット”である。音色もソフトな連中だ。その音色を活かした上品なヘッドアレンジメントとメロディアスなソロが受け、ファンキーのもう一つの流れが形成されていった。

トロンボーンとテナーサックスという中低音楽器のアンサンブルがこのアルバムの特徴だ。アレンジもアプローチもジャズテットの延長線上にある。落ち着いた響きと軽快なスウィング感との絶妙なマッチング。フロントラインの二人のなめらかなソロはたいへん耳あたりのよいもので、これにハマったジャズファンは数知れない。そして「名盤請負人」トミー・フラナガンの職人芸。さりげなくて渋いのだが、この人が出てくると全体が引き締まった感じになる。

Curtis Fuller, trombone
Benny Golson, tenor sax
Tommy Flanagan, piano
Jimmy Garrison, bass
Al Harewood, drums

・Recorded in 1959

Blues-ette
ブルースエット

ジャズテットは
ミート・ザ・ジャズテット

 
1. Five Spot After Dark
2. Undecided
3. Blues-ette
  4. Minor Vamp
5. Love Your Spell is Everywhere
6. Twelve-inch
J & K

The Great Kai & J. J.
J.J. Johnson & Kai Winding

同種楽器の双頭コンボが続々結成された1950年代中ごろ、アル&ズート、フィル&クイルとならんで好評を博していたのがJ&Kのバンドだった。トロンボーン2本という渋く重くなりそうな編成から軽快でお洒落なサウンドを引きだしたかれらの名手ぶりに当時のジャズファンはびっくらこいたのである。
当アルバムはかれらの再会セッション。右のような超贅沢リズムセクションを従えた超ご機嫌セッションで、楽しいの楽しくないのって(どっちやねん)。低音楽器2本の美しいハーモニーは男性歌手のデュエットみたいな感じ。ほんとに人間の声みたいに温かいのである。それだけでも気持ちがいいが、何の苦もなく軽々スウィングしていく二人のうまさ。楽器の制約をまったく感じさせない自在なプレイが素晴らしい。あえて比較すればカイよりJJのほうがうまいけれど、この息のあったアンサンブルには文句なし。二人が対位法的にからむところなどわくわくさせられる。

追記)このアルバムはインパルスレーベルの記念すべき第1号リリースだったもの。ジャケットに〈AS-1〉の文字があったのを覚えている。

 

J. J. Johnson, trombone
Kai Winding, trombone
Bill Evans, piano
Paul Chambers or Tommy Williams, bass
Roy Haynes or Arthur Taylor, drums

・Recorded in 1960

The Great Kai & J. J.
ザ・グレート・カイ&J.J.

参考盤
Jay & Kai +6/In person

アル&ズートはたとえば
You 'n Me
From A to Z
フィル&クイルなら
Phil Talks with Quill
Phil & Quill with Prestige

 
1. This Could Be the Start of Something Big
2. Georgia on My Mind
3. Blue Monk
4. Judy
5. Alone Together
6. Side by Side
  7. I Concentrate on You
8. Theme from Picnic
9. Trixie
10. Going, Going, Gong!
11. Just for a Thrill
JJジョンソン:JJインク

The J. J. Johnson Sextet: J.J. Inc.

「トロンボーンのパガニーニ」というのはプライアー(『口笛吹きと子犬』を書いた人)のニックネームだった。しかしJJ・ジョンソンもジャズ・トロンボーンのパガニーニだろう。なにしろこの楽器がちっとも難しそうに聴こえない。
このアルバムはJJのパガニーニぶりと作・編曲の腕前を楽しめるもの。米国先住民の名前がついた“Mohawk”は6/4の変拍子。“Fatback”は12/8で書かれている。ちょうど変拍子が流行っていた時代で、流れに乗ったわけだ。どちらも特徴的で面白い作品。かと思うと“Shutterbug”みたいにずいぶんシンプルな突っ走り作品もあるし“In Walked Horace”なんて、曲名から想像がつくようにホレス・シルバーそっくりのファンク。なかなか多彩である。三管編成を活かしたアレンジもうまい。
ソロも好調。JJならではの切れ味のいい、ピッチの確かな演奏だ。デビュー間もないフレディ・ハバード(22歳)が活きのいいソロをとるのも聴きどころ。とにかくお兄さん張り切っている。もひとり張り切ってるのがアルバート・ヒース。かれは1958年からJJのバンドに加わっているが、時代を思うと斬新なドラマーだった。
そうそう、未発表テイクのうち“Blue 'N' Boogie”が面白いのでぜひ。かれはマイルズの“Walkin'”でこの曲をやってたわけで、編成も全く同じ。勢いのあるかっこいい演奏を聴かせてくれるが、どうちがうか。

 

J. J. Johnson, trombone
Freddie Hubbard, trumpet
Clifford Jordan, tenor sax
Cedar Walton, piano
Arthur Harper, bass
Albert Heath, drums

・Recorded in 1960

J.J. Inc.

これも人気作
ダイアルJ.J.5
At the Opera House

Blue 'N' Boogieは
The Miles Davis All Stars

 
1. Mohawk
2. Minor Mist
3. In Walked Horace
4. Fatback
5. Aquarius
  6. Shutterbug
7. Blue 'N' Boogie
8. Turnpike
9. Fatback [Long Version]
スライド・ハンプトン

Slide Hampton: All Star 69

スライド・ハンプトンのエキサイティングなクァルテット。1969年にパリのパテ・マルコニのスタジオで録音されている。要するにEMIフランスだ。
ピアノに新進気鋭のヨアヒム・キューンを迎え、ベースはNHOP、ドラムスはハードバップの生き残りフィリー・ジョー・ジョーンズという不思議な布陣。一見異質と見える連中を坩堝に入れて熱すると、見事な化学反応を起こす。まぶしい光を発して目もくらむばかり。芳香漂ううちに透きとおった宝石のような生成物が姿をあらわす。
ふだんはコンヴェンショナルな印象のあるスライド・ハンプトンがアグレッシヴでスリルのあるソロを聴かせる。堂々とした音色、自在なフレージングが快感。ペデルセンの技術とセンスを活かした創造的なベースワークも素晴らしい。フィリー・ジョーもソロで、バックで、怒濤の力演だ。
一番すごいのはヨアヒム・キューン。まるで狂乱のピアノ。フリージャズをかれなりに昇華し、モードを基本にしながらもおそろしく刺激的なインプロヴィゼーションを展開していく。
5曲中4曲がスライド・ハンプトンのオリジナル。相変わらず曲作りもうまい。唯一の他人の曲(4)が同業者JJ・ジョンソンの作品というのも面白い。これだけが美しいバラッドである。

 

Slide Hampton, trombone
Joachim Kuhn, piano
Niels Henning Orsted Pedersen, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1969

All Star 69
オリジナルジャケットで
ファビュラス・スライド・ハンプトン

トロンボーンアンサンブルで
Spirit of the Horn
シンプルに楽しむには
Roots
ジャズ・イン・パリにも名演あり
Exodus

 
1. In Case of Emergency
2. Last Minute Blues
3. Chop Suey
  4. Lament
5. Impossible Waltz
ジャック・ティーガーデン

Jack Teagarden: Jazz Great

ジャック・ティーガーデン(1905-64)はサッチモ、アール・ハインズ、ベニー・グッドマンらと共演してきた「バップ以前」最大のトロンボニスト。ほとんど独学だというが、テクニック、音楽性とも超一流の奏者である。
ニューオリンズスタイルのエッセンスとも言うべき選曲と演奏。ODJB、ジェリー・ロール・モートン、ビックス・バイダーベックらの名曲を揃え、ジャックらしい洗練された演奏で聴かせてくれるのがミソ。メンバーもすごい、というか面白い。エドモンド・ホール、デイック・カリー、ウォルター・ペイジらビックネームに混じって、あのレナード・フェザーがピアノを弾いて(3曲のみだが)いるのだ。
和気あいあい。しかし脳天気にはならない。じっくり聴けるオールドジャズである。テクニックのひけらかしは避けられ、歌うことに重点が置かれている。落ち着いているので曲のよさも際立ってくるというもの。歌うといえばジャックのヴォーカルが味わい深い。しみじみ情感ゆたかな歌唱である。

 

Jack Teagarden, trombone & vocals
Jimmy McPartland, trumpet (2,4,5,7)
Dick Cary, trumpet (3.8.9)
Fred Greenleaf, trumpet (1,6,10)
Edmond Hall, clarinet (2,3,4,5,7,8,9)
Kenny Davern, clarinet (1,6,10)
Dick Cary, piano (2,4,5,7)
Leonard Feather, piano (3,8,9)
Norma Teagarden, piano (1,6,10)
Walter Page, bass (2,3,4,5,7,8,9)
Kass Malone, bass (1,6,10)
Jo Jones, drums (2,4,5,7)
Ray Bauduc, drums (1,3,6,8,9,10)

・Recorded in 1954

Jack Teagarden: Jazz Great

これも豪華メンバー
Jack Teagarden's Big Eight

 
1. King Porter Stomp
2. Eccentric
3. Davenport Blues
4. Original Dixieland One Step
5. Bad Acting Woman
  6. Misery and the Blues
7. High Society
8. Music to Love by
9. Meet Me Where They Play the Blues
10. Riverboat Shuffle
svatopluk kosvanec

Kosvanec & Friends: Prague Jazz

オーナーが最近イタリア、イタリアと言っているので、対抗してチェコ。トロンボニスト、スヴァトプラク・コシュヴァネッツのワンホーン・アルバムだ。写真を見るとかなりのベテラン。マリガンと共演したことがあり、現在プラハ放送ビッグバンドのメンバー。プラハのジャズ・アカデミーで教えているそうだ。
ピアノのドクター・ヴォジテク・エッカート、ベースのペートル・コルジニェク、ドラムスのパーヴェル・ツボルジルもプラハのジャズシーンでは名を知られた連中だという。(チェコ語が表記できないのが残念)
やっているのはオーソドックスなジャズ。わたしたちモード知りませんので、という感じのとっつきやすい平明な音楽だ。スタンダードとオリジナル曲が混じっているが先鋭的なアプローチはなし。ノリはいいがたたみかけるような演奏もしない。気持ちよくスウィングしてリラックスさせてくれるのだ。テクニックがしっかりしているので安心して聴いていられる。カーティス・フラーが好きな人にはいいかも。

 

Svatopluk Kosvanec, trombone
Dr. Vojtech Eckert, piano
Petr Korinek, bass
Pavel Buddy Zboril, drums

・Recorded in 1998
Cube/Metier Sound & Vision
MJCD 9801

 

 
1. Softly As In a Morning Sunrise
2. Belinda
3. Monkish
4. Kvetnice
5. Just Friends
  6. Tangerine
7. I've Got Your Number
8. Dobre Narazeny Tenisovy Loket
9. Cindy
10. Laura
コンラッド・ハーウィグ

Conrad Herwig: Another Kind of Blue
The Latin Side of Miles Davis

ドイツふうにコンラート・ヘルヴィヒと読みたいところだが、ハーウィグというらしい。そのハーウィグさんがブルーノートでやったライヴは全編マイルズ・デイヴィスのレパートリー。しかも名盤『カインド・オヴ・ブルー』の5曲を曲順もそのままに(最後の曲だけが『キリマンジャロの娘』から)。「問題」は副題にあるようにラテンタッチでやっちまったこと。
冒涜だと言われそうだ。ラテン・パーカッションがポカスカ入る“So What”なんて想像したこともなかったしな〜。でもやってることは真面目だ。トロンボーンはうまいし、ブライアン・リンチのトランペットも輝かしくていい。そしてパキートだのゴメスだのいかにもラテン系の名前の連中がこれまたうまいんである。アルトのパキート氏(キューバのミュージシャン)なんてかなりアグレッシヴなソロで盛り上げてくれる。デイヴ・ヴァレンティンのフルートもいい味を出している。みなさん心配したほど(笑)脳天気な演奏はしていなかった。“Blue in Green”なんかずいぶん落ち着いた演奏だよ。
ときどきサルサを聴いているような錯覚に陥るのはアレンジのせい。それがいやじゃなかったら心おきなく楽しめると思う。

 

Conrad Herwig, trombone
Bryan Lynch, trumpet
Paquito D'Rivera, alto sax & clarinet
Mario Rivera, baritone sax
Dave Valentin, flute
Edsel Gomez, piano
John Benitiz, bass
Robby Ameen, drums
Richie Flores, congas & percussion

・Recorded in 2003 (Live)

Another Kind of Blue

コルトレーンやっちゃったやつ
Que Viva Coltrane
ほかには
Hieroglyphica
Land of Shadow

 
1. So What
2. Freddie Freeloader
3. Blue in Green
  4. All Blues
5. Flamenco Sketches
6. Petits Machines
トロンボーンファイア Trombonefire: Sliding Affairs

ブックレットにこう書いてある。トロンボーン4本のフロントラインというのはリスキーなビジネスに思えるだろうと。スライド・ハンプトンやJ&Kなど複数のトロンボーンをフロントに据えたバンドは以前にもあったけれど、たしかにビジネスとして考えるとうまくいっていた訳ではない。しかし売れる売れないと内容の良し悪しはまったく関係がないわけで、このトロンボーンファイア(すごい名前!)は一聴の価値あり。非常にレベルの高いバンドだ。
曲はメンバーのオリジナル中心。有名な『キャラヴァン』はエリントンのトロンボーン奏者だったファン・ティゾールの作品。最後の『ビッグ・アリス』はピアニストのドン・プーレンが書いたもの。アレンジはメンバーの分担で、同種楽器の統一感を活かした美しい響きが印象的だ。
テクニック満開のソロが熱いので地味な印象はゼロ。よくこれだけの名手を揃えたものだ。リーダー格のヘルリッヒなど超人的なうまさで聴き手を圧倒する。リズム隊も切れ味がよく、よどみなく軽やかに疾走していく。ミュンヘン在住のピアニスト、ウォルター・ラング(リー・コニッツ、ロイ・ハーグローヴらと共演歴あり)のセンスのよさも魅力だ。
 

Johannes Herrlich, trombone
Adrian Mears, trombone
Hermann Breuer, trombone
Eberhard Budziat, bass trombone & tuba
Walter Lang, piano
Thomas Stabenow, bass
Matthias Gmelin, drums

・Recorded in 2001
Laika Records
3510146-2

Sliding Affairs

Different Moods
The Sound of a Rainbow
The London Trombone Sound

 
1. Fuller & Fuller
2. Caravan
3. The Blessing of a Beautiful Bride
4. No Rules Allowed
5. On the Edge
  6. 1.2.79
7. The Bus Blues
8. Once or Twice
9. Big Alice
 
Page [1]
TRUMPET / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL