ブラスバンド、吹奏楽
フィリップ・スパーク   アドマックス「カフェ」  
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ロビン・カンター Robin Canter: Oboe Collection

古今東西のオーボエ属の楽器を片っぱしから吹いてしまったというアルバム。オーボエ属はダブルリード(二枚舌)が特徴。日本の篳篥やトルコの軍楽に用いられるズルナ(3)も同種の楽器と見なされる。それらはオーボエときいて一般に思い浮かべるのどかなイメージとは異なり、暴力的なまでのエネルギーを発散するものがある。
スペインの伝承曲『アルボラーダ(朝の歌)』(1)はドゥルサイナを使用。今でも演奏されているそうで、イスラーム文化の影響が濃厚な興味深い曲だ。
まさか英国人の『越天楽』(2)を聴くことになるとは思わなかったが、ブックレットにはこの曲のルーツは紀元前5世紀にまで遡ることができると書いてある。
ボンバルド(4)やショーム(5)はオーボエ登場以前にヨーロッパで用いられていたもの。まだワイルドさが残り、軍楽隊に使用されていたという話も頷ける。
マレの『スペインのフォリアによる変奏曲』(6)からがオーボエ。写真を見るとキイが少なくて難しそう。曲が進むにつれて楽器のメカニックが整備されていき、曲もそれを反映した難易度の高いものになっていく。わざわざそれがわかるような選曲をしたためで、有名曲かどうかにはこだわっていない。結果的にマレくらいしかおなじみの曲がないことになるが、演奏はうまいし、オーボエの歴史を時間軸でたどることができるのは楽しい。

 

Robin Canter, oboes
Dulzaina, Hichiriki, Bombarde, Zurna,
Treble Shawm, Baroque Oboe,
Classical Oboe, Romantic Oboe,
& Modern Oboe
with
James Wood, percussion
Anthony Pleeth, cello
Melvyn Tan, harpsichord
Richard Burnett, pianos

・Recorded in 1985
Amon Ra Records
CD-SAR 22

Oboe Collection

同じシリーズで
Clarinet Collection
Bassoon Collection

 
1. Traditional Spanish: Alborada
2. Traditional Japanese: Etenraku
3. Traditional Turkish: Zurna & Drum
4. Traditional Breton: An Dro Nevez
5. Anonymous: La Quinte Estampie Real
  6. Marais: Les Folies d'Espagne
7. C.P.E. Bach: Sonata in G minor
8. Kalliwoda: Morceau de Salon
9. Walmisley: Sonatina No.2 in G major
10. Pasculli: Gran Concerto

トランペット・コレクション

The Clarion Ensemble: Trumpet Collection

ジョナサン・インペットが8種類のトランペットを演奏。17世紀頃の作品から20世紀の作品まで12曲を聴きながら、それぞれの楽器を楽しもうという企画。写真が多いので、スライド・トランペットも直管のポストホルンも、その姿を見ながら聴くことができる。伴奏の鍵盤楽器もそれぞれの時代のもの(クレメンティとかエラールとか)を使用するという念の入れよう。アンサンブルもののサックブート、トロンボーンも古楽器である。
ラッパ吹きにおなじみなのはエネスコの『伝説曲』くらいだろうか。しかしそれ以前、19世紀後半のアルバン(10)あたりから超絶技巧を要求する作品になっている。スーザのバンドにいたクラーク(11)の曲も演奏効果の高い華やかなもの。
古い作品ではバロック期の歌曲が面白い。鍵盤楽器やチェロとともに伴奏楽器として使われている。まだ不自由な楽器だったはずだが、モンテヴェルディやパーセルたちは巧みに使いこなしているのだ。

 

<The Clarion Ensemble>
Jonathan Impett, natural trumpet, cornet,
keyed bugle, posthorn, slide trumpet, etc.
Susan Addison, tenor sackbut & trombone
Helen Verney, cello
Paul Nicholson, virginals, harpsichord
& pianos
Deborah Roberts, soprano

・Recorded in 1986
Amon Ra Records
CD-SAR 30

Trumpet Collection

 
1. Fantini: Sonata, Corrente, etc.
2. Monteverdi: Et e pur Dunque Vero
3. Frescobaldi: Canzona a Canto Solo
4. Purcell: To Arms, Heroic Prince
5. Scarlatti: Si Suoni la Tromba
6. Bishop: Arietta and Waltzer
  7. Donizetti: Io L'udia
8. Koenig: Post Horn Galop
9. Bishop: Thine for Ever
10. Arban: Fantasie on Rigoletto
11. Clarke: Cousins
12. Enesco: Legends
ペッカ・サヴィヨキ

Pekka Savijoki: The French Saxophone

フィンランドのペッカ・サヴィヨキによるフレンチ・サキソフォン。使用しているのはビュッフェ=クランポン。つまり、曲も楽器もフランス製。ん?奏者がフランス製じゃない?心配ご無用。サヴィヨキはシベリウス・アカデミーでサキソフォンを学んだあとパリにおもむき、かのダニエル・デュファイエに数年間みっちり教えを受けたのだ。
名器と名手。この音色はもう生理的快感と言うしかない。悩ましいというかセクシーというか、こんな温かいサックスはめったに聴けない。当カフェのオーナーはサックス吹きだが、さすがにこれには感心していた。
曲目も肩の凝らないものが中心。ラテン的明るさのミヨー『スカラムーシュ』、ひょうきん親爺ジャン・フランセの『5つの異国風舞曲』、性格的小品が並ぶモーリスの『プロヴァンスの風景』。ピアノ独奏曲を編曲したイベールの『物語』は美音の魅力が最大限に活かされた演奏だ。半音を効果的に用いた印象派ふうの原曲。その精妙さがサックスで見事に再現されている。

 

Pekka Savijoki, saxophone
Margit Rahkonen, piano
Jussi Siirala, piano (5,6)

・Recorded in 1980 & 82 (5,6)
BIS CD-209

The French Saxophone

♪ from "Histoires"

クレストンをやっている
The Contemporary American 'C'
協奏曲集は
Saxophone Concerti

See also→Saxophone Concertos

 
1. Milhaud: Scaramouche
2. Boutry: Divertimento
3. Francaix: 5 Danses exotiques
  4. Ibert: Histoires...
5. Jolivet: Fantaisie-Impromptu
6. Tableaux de Provence
ロンドン・トロンボーン・サウンド

The London Trombone Sound
Sixteen Trombones of Seven London Orchestras

ロンドンの7つのオーケストラから16人のトロンボーン奏者を選び、トロンボーンだけで古今の名曲を演奏したというアルバム。編曲はロンドン交響楽団のトロンボニスト、エリック・クリースが担当している。この人、『ボレロ』のソロで音をはずして笑いものになったそうで、その恨みを込めた(?)周到な編曲を行っている。
まさかこの曲をトロンボーンで、という曲が意識的に選ばれている。筆頭はクラプトンの『愛しのレイラ』だろう。ベース・ギターとドラムスを入れてちゃんとロックしている。『ピンクパンサー』ではジャズっぽいノリを聴かせ、アドリブも入る。軽快な仕上がりが気持ちいい。
ブラームスのピアノ作品『間奏曲』も意外な選曲。バーバーの『アダージョ』は響きが均質なのがよかったのかドンピシャではまっている。ちょっとエクアーレを連想したが、この版がこれだけで終わってしまったらもったいない。
最後に出てくる『76本のトロンボーン』は本当に76本のトロンボーンで演奏したもの。ロンドン中から学生、教師、バンドミュージシャンなどをかき集めたという。だからどうしたといえばそれまでだが、編曲は周到だし、これだけ大編成だとさすがに迫力がある。ゲテ物ではありません。

 

16 Trombones of 7 London Orchestras
Geoffrey Simon, conductor
Eric Crees, arrangements

・Recorded in 1995
Cala Records
CACD 0108

The London Trombone Sound

The London Trumpet Sound, Vol.1
The London Trumpet Sound, Vol.2
The London Horn Sound

アメリカ!アメリカ!アメリカ!
Music for Bass Trombone
Daniel Speer Trombone Consort
Trombone Concertos

 
1. Crees: Fanfare for CALA
2. Mancini: The Pink Panther
3. Gershwin: Someone to Watch Over Me
4. Monteverdi: Domine Ad Adinuandum
5. Brahms: Intermezzo, Op.119 No.1
  6. Josephs: Galop from 'Eight Aphorisms'
7. Gabrieli: Sonata Pian e Forte
8. Barber: Adagio
9. Clapton/Gordon: Layla
10. Wilson: 76 Trombones
スティーヴン・ミード

The Essential Steven Mead

ユーフォニアムの巨人スティーヴン・ミードによる楽しい小品集。先ごろ日本ではやったヘンリー・クレイ・ワークの『おじいさんの古時計』もやっている。が、これはジョージ・ドハティによって演奏時間6分を超える変奏曲になっている。ミードの超絶技巧を活かした華やかな作品だ。12曲の約半数が変奏曲で『アニー・ローリー』も『峠のわが家』も変奏主題として用いられている。
アンドリュー・ロイド=ウェッバーの『変奏曲』はパガニーニの主題による。弟のジュリアン・ロイド=ウェッバーのために書かれたチェロとロックバンド(!)のための作品だ。ブルッフの『コル・ニドライ』もチェロ作品。ユーフォニアムの音域からいってしっくりくるのだろう。柔らかく美しい音色で歌うユダヤの旋律はチェロにひけをとらない魅力を発している。
原曲をそのままユーフォニアム用に書き換えたシューベルトの『セレナーデ』、プッチーニの『わたしのお父さん』などでは、まるで人間の声のような温かさを感じさせる。ミードの驚くべき技巧、ユーフォニアムの幅広い表現力を実感できる一枚。

 

Steven Mead, euphonium
The Williams Fairey Band
Howard Snell, conductor

・Recorded in 1998
Polyphonic Reproductions
QPRL 095CD

The Essential Steven Mead

日本の名手外囿祥一郎は
ユーフォニアム・ドリーム
ファミリー・ツリー

Shoichiro Hokazono

 

1. Lloyd Webber: Variations
2. Drigo: Serenade
3. Heaton: Variations on Annie Laurie
4. Schubert: Serenade
5. Leidzen: Home on the Range
6. Woodfield: Varied Mood

  7. Doughty: Grandfather's Clock
8. Puccini: O My Beloved Father
9. Trad.: Carnival of Venice
10. Bruch: Kol Nidrei
11. Snell: Variations on Drink to Me Only
12. Golland: Peace
シンフォニック・ヴァリアンツ

Symphonic Variants
Steven Mead/ The J.W.F. Military Band/ Schillings

スティーヴン・ミードの名技を心ゆくまで味わえる一枚。ジェームズ・カーナウ作品が4曲含まれ、かれの作品集としても楽しめる。かれはユーフォニアムを学んでいたことがあるそうだ。その代表作『シンフォニック・ヴァリアンツ』は主題と4つの変奏からなる。カーナウらしい明快な曲だがドラマチックな起伏があり、技巧的には恐ろしく高度なもの。第2変奏のソフトな歌と第3変奏の超絶技巧の対比が鮮やかで、楽器の可能性の大きさを感じさせる。名手とそれを活かす優れた作品の出逢いがこうやって音楽の幅を広げていくのである。
『ユーフォニアム協奏曲』はその抒情性が際立つ。通常の三楽章形式で書かれ、素晴らしいカデンツァをもつ。

 

Steven Mead, euphonium
The J.W.F. Military Band
Major Alex Schillings, conductor

・Recorded in 1998
De Haske Records
DHR 4.008

ファンタスティック・ユーフォニアム
エクスカリバー

 
1. Galante: Raise of the Son
2. Curnow: Rhapsody for Euphonium and Concert Band
3. Van der Roost: Spirit of Independence
4. Curnow: Concerto for Euphonium
5. Curnow: To Fly Without Wings
6. Curnow: Symphonic Variants for Euphonium and Band
アレン・ヴィズッティ

Vizzutti Plays Vizzutti
Allen Vizzutti/ The J.W.F. Military Band/ Schillings

ヤマハのトランペッター、アレン・ヴィズッティ(b.1952)の自作自演アルバム。全曲自身のトランペットをフィーチャーしたもので、美しい音色、バカテクとともに作曲家としての手腕がたっぷり味わえる。
『モンタナ素描』はかれの生まれ故郷モンタナの大自然を描いたもの。スケール感のあるスカッと気持ちのいい作品だ。
『ライジング・サン』は日本の印象を描いた組曲。『富士山』『京都のお寺』『新幹線(弾丸列車)』という3曲で構成される。ペンタトニックを用いたそれなりに日本風の響き。リズムにも祭囃子を意識したようなところがある。寺院の静けさの表現はいかにも聖なる空間を描いているようで美しい。追憶の世界といった雰囲気だ。一転して現代日本の象徴みたいな疾走する新幹線。田園や都市の風景をすっ飛ばすように走り抜ける弾丸列車が描き出される。カデンツァ(長い!)でヴィズッティのテクニックが炸裂する。
祝祭的気分にあふれた『セレブレーション』とブルーズで始まる『アメリカン・ジャズ組曲』のかっこよさ! 後者はビッグバンドの雰囲気そのまま。ヴィズッティはプランジャー・ミュートなどジャズ・トランペッターの技を採り入れ、スリルのあるアドリブを展開する。

 

Allen Vizzutti, trumpet
The J.W.F. Military Band
Major Alex Schillings, conductor

・Recorded in 1997
De Haske Records
DHR 4.006

The Carnival of Venus
Rising Sun

 
1. Montana Sketches
2. The Rising Sun
3. Concert Etude, Op.49
  4. Celebration
5. American Jazz Suite
アンサンブル・ウィーン・ベルリン

20th Century Wind Quintets
Ensemble Wien-Berlin

ヴィーン・フィル、ベルリン・フィルの首席奏者たちが顔を揃えた超贅沢な木管五重奏団、それがアンサンブル・ヴィーン=ベルリン。魅力的なCDが何枚かあるが、これは20世紀の作品を集めたとびきり楽しいアルバムだ。20世紀とはいってもフランセのお洒落な『木管五重奏曲 第1番』で始まる親しみやすい一枚。米国代表バーバーの『木管五重奏のための夏の音楽』はあの『弦楽のためのアダージョ』の作者らしい静けさと官能性をもった美しい曲だ。
笑えるのがベリオの『作品番号第番』。日本題ももちろんジョークなのだが、原題“Opus Number Zoo”もZooが200に見えるからというジョーク。「納屋の踊り」「子鹿」「灰色のネズミ」「雄猫たち」という4つの部分からなり、メンバーの語りが入る。それぞれが独立した寓話になっていて、テキストはローダ・レヴァイン。
エーダー作品(1989)は当五重奏団の委嘱作で、古典的音楽形式を用いた明快な曲。リゲティの『バガテル』(1953)だけは現代音楽っぽいはず…、と思ったら意外に刺激が少ない。わたしがこれまでに聴いた中でいちばん古典的な仕上がりだ。もはや現代音楽ではなくなってしまったということか。バルトークの影響が強かった時代の作品でリズム面にその特徴がよくあらわれている。

うまさにかけては申し分のないアンサンブル。右記に示したアルバムもいずれ劣らぬ素晴らしいできばえだ。ただフランスものに関しては今ひとつ楽しくない。フランセ(当盤)にしてもプーランク(右記)にしても、軽妙洒脱な感じが乏しいのだ。資質のマッチングという点ではダンツィ、ライヒャが最高。

 

<Ensemble Wien-Berlin>
Wolfgang Schulz, flute
Hansjorg Schellenberger, oboe
Karl Leister, clarinet
Gunter Hogner, horn
Milan Turkovic, bassoon

・Recorded in 1991
Sony Classical SK 48052

20世紀の木管五重奏曲集

ほかには
ハイドン:ディヴェルティメント他
ダンツィ&ライヒャ作品集
ニールセン&タファネル五重奏曲
ラヴェル:序奏とアレグロ他
プーランク:室内楽曲集

 
1. Francaix: Wind Quintet No.1
2. Barber: Summer Music for Wind Quintet
3. Berio: Opus Number Zoo
  4. Eder: Wind Quintet No.3
5. Ligeti: 6 Bagatelles for Wind Quintet
 
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