ブラスバンド、吹奏楽
クリスチャン・リンドベルイ   アドマックス「カフェ」  
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ヨハン・デ・メイ

The Scandinavian Connection
(Johan de Meij, Soren Hyldgaard)

ヨハン・デ・メイとソーレン・ヒルドゴール(と読むのかなー)の作品集。面白い曲が多いんだけど、クリスチャン・リンドベリのソロが聴ける『T-ボーン・コンチェルト』(3)が話題を呼んだアルバムと言ったほうが話が早い。トロンボーンとT-ボーン・ステーキを引っ掛けたもので、「レア」「ミディアム」「ウェルダン」の三楽章からなる。ユーモラスなところもあるがふざけているわけではない。24分に及ぶちゃんとした協奏曲である。この曲だけライヴでバンドもトルンの団体。
それにしてもリンドベリのうまさには舌を巻く。超絶技巧という言葉はかれのためにあるのかと思える。
デ・メイの『小品組曲』(2)は1分程度のミニアチュールが連続する描写的な組曲。かれはこういう子ども向け(?)の曲もうまい。さまざまな楽器が活躍しておもちゃの兵隊やら風車やら、楽しい情景を描き出していく。
ヒルドゴールの『アンデルセン組曲』も情景が描かれている。起伏に富んだ23分を超す力作で、マッチ売りの少女も顔を出すし夢見るようなワルツもきこえてくる。

 

Christian Lindberg, trombone (3)
The Danish Concert Band
Harmonie St. Michael Thorn (3)
Jorgen Misser, conductor
Heinz Friesen, conductor (3)

・Recorded in 1997
Amstel Music
CD 9701

クリスチャン・リンドベリ
The Virtuoso Trombone
Songs for Sunset
Christian Lindberg Conducts

 
1. de Meij: Continental Overture
2. de Meij: Madurodam (Miniature Suite)
3. de Meij: T-Bone Concerto
 

4. Hyldgaard: Marche Americana
5. Hyldgaard: Hans Christian Andersen Suite
6. Hyldgaard: Tivoli Festival Overture

ヨハン・デ・メイの世界

Portrait of Johan de Meij
Koninklijke Militaire Kapel

ヨハン・デ・メイの編曲家としての一面にスポットを当てた好企画盤。自作曲は『水族館』のみで、ほかはクラシックや映画、ミュージカルの有名曲が並んでいる。
ホルストの『ジュピター賛歌』(1)はもちろん『惑星』から。ドヴォルザーク『アメリカ組曲』(2)はピアノが原曲。五音音階をもちいた懐かしい旋律、シンコペーションを活かしたリズミックな展開がアメリカふう。ラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』(3)ではソフトな仕上がりがデ・メイの編曲の妙を感じさせて見事だ。
ランケスターはオランダのピアニスト。かの女が書いたピアノ曲を編曲した『ちょうちょ』(5)では、アルト・サックスやクラリネットが次々と主役をつとめ、モンシロチョウ、アゲハチョウなどの性格的な舞曲を聴かせる。
自作の『水族館』(4)も面白い。エンゼルフィッシュ、グッピー、タツノオトシゴなどのモチーフがさまざまに変形され、手の込んだ組曲を構成していく。作品番号は若いがなかなかの手腕である。
ほかの曲ではアーネスト・ゴールドの『栄光への脱出』(6)がかっこいい。ポール・ニューマンたちが出演した大ヒット映画だったが、主題曲は映画以上にヒットしたのである。
演奏は1829年創立のオランダ陸軍軍楽隊。ヨハン・デ・メイ本人が指揮している。

 

Royal Military Band
Johan de Meij, conductor

・Recorded in 1991
World Wind Music
KMK 003

Loch Ness

 
1. Holst/de Meij: Jupiter Hymn
2. Dvorak/de Meij: American Suite
3. Ravel/ de Meij: Pavane pour Une Infante Defunte
4. de Meij: Aquarium, Op.5
  5. Lankester/de Meij: Les Papillons
6. Gold/de Meij: The Exodus Song
7. Webber/de Meij: The Phantom of the Opera
8. Webber/ Songs from the Musical "Cats"
ウォーレス・コレクション Wallace Collection: The Golden Section

ウォーレス・コレクションは名手ジョン・ウォーレスが率いるブラスアンサンブル。トランペット2本とトロンボーン、ホルン、チューバという5人編成だ。
アルバムタイトルの『黄金分割』(ジム・パーカー)は組曲になっており、それぞれにゴヤ、ホイッスラー、スーラ、マネ、ホッパー、モンドリアンの作品の名前がついている。名画のイメージを曲にしているわけだ。クラシックには同趣向の作品がいくつもあるが、吹奏楽では残念ながら寡聞にして知らない。珍しいし、聴いて楽しい作品になっている。スペイン風の『闘牛』や『ブロードウェイ・ブギウギ』などいかにもそれらしいリズムが心地よい。
ジョン・ホワイト(2)、ウィリアム・マティアス(5)も組曲。有名どころは現代音楽ファンにおなじみのジョン・タヴナー(1)、マイケル・ナイマン(4)くらい。すべて新作で、当バンドのために書かれたものが多い。わかりやすい曲ばかりでウォーレスたちものびのびした演奏を聴かせてくれるが、曲として深みに欠ける作品が混じるのが惜しい。評価は☆☆☆☆くらいでどうだろう。

 

<Wallace Collection>
John Wallace, trumpet
John Miller, trumpet
Paul Gardham, horn
Simon Gunton, trombone
Robin Haggart, tuba

・Recorded in 1997
Linn Records
CKD 092

The Golden Section

 
1. Tavener: Trisagion
2. White: Doggeret Machine
3. Parker: The Golden Section
  4. Nyman: Masque Arias
5. Mathias: Summer Dances
6. MacMillan: Adam's Rib
ウォーレス・コレクション Wallace Collection: Hammered Brass

金管五重奏ウォーレス・コレクションによる20世紀作品集。エベン、ベリオ、クセナキスという大物の作品が含まれる。
チェコの作曲家エベンの『五重奏曲』はコラール主題にもとづく変奏曲。5つの楽器を変奏ごとにいくつかの群に分け、モダンな響きの個性的な変奏曲を創りあげている。ベリオ作品はかれの『セクエンツァ』連作を思い起こさせる緊張感のある小品。変化に富んでおり聴き応え充分。ロバート・クロフォードの『ハンマード・ブラス』は打楽器をともなう組曲。ブラスとパーカッションのための練習曲だそうで、奏者たちのさまざまな職人芸が味わえる仕掛け。
クセナキス作品は…読めない。いきなりブラスの咆吼で始まる勇ましい曲で、打楽器の活躍がいかにもクセナキスらしい。5曲中もっとも現代音楽している。ウォーレスたちの演奏がもっとワイルドだったらさらに魅力が増しただろう。スティーヴ・マートランドはシェイクスピアの『テンペスト』に出てくるエリアルの歌『五尋の深さ』による。特徴的なリズムに支配されたミニマルっぽい4つの曲で構成される。

 

<Wallace Collection>
John Wallace, trumpet
John Miller, trumpet
Paul Gardham, horn
Simon Gunton, trombone
Robin Haggart, tuba

・Recorded in 2000
Linn Records
CKD 162

Hammered Brass

ベリオ:セクエンツァ
プリンス・オヴ・ブラス

 
1. Eben: Quintet
2. Berio: Call
3. Crawford: Hammered Brass
  4. Xenakis: Khal Perr
5. Martland: Full Fathom Five
フランコ・チェザリーニ

Franco Cesarini: Poema Alpestre
The J.W.F. Military Band/ Cesarini

フランコ・チェザリーニ(b.1961)自作自演アルバム。『アロルド』はヴェルディのオペラからのトランスクリプション。レスピーギの『リュートのための古いアリアと舞曲』は第1組曲の編曲。どちらも美しく巧みな楽器用法が楽しめる。
自作は3曲。『狐の王様の行進』はヨーロッパに伝わる民話が素材になっている。5曲からなる軽快な組曲で、いたずら者の狐の行状が愉快に描かれる。サンバ、タンゴ、マーチなど多彩なリズムで書かれている。
一転して『レヴィアタン(リヴァイアサン)』は重苦しい響きで始まる。レヴィアタンは「聖書」に出てくる恐ろしい怪物。チェザリーニは黙示録をイメージしており、海から現れた巨竜が荒れ狂うさまがダイナミックに描かれる。しかし怖いというよりかっこいい曲だ。聴くたびにスカッとする。
アルバムタイトルの『アルプスの詩』は題名そのまま。リヒャルト・シュトラウスの没後50年を記念して書かれた作品で、もちろんかの『アルプス交響曲』を意識している。アルペンホルンが響き、鳥たちがさえずり、そよ風が頬をなでていく…。そして雷鳴轟く激しい嵐…。最後の部分の神々しさ、やすらぎは神の祝福なのだろうか。
この素晴らしい描写力はシュトラウスに負けていない。アルプスに寄せる愛情も。そう言えばチェザリーニはスイスの生まれなのだった。

 

The J.W.F. Military Band
Franco Cesarini, conductor

・Recorded in 2000
De Haske Records
DHR 4.010-3

チェザリーニ作品は
アルプスの詩(市音)
Dynamic Band
剣と王冠
スパルタカス

「狐物語」

 
1. Arold (Verdi)
2. Ancient Airs & Dances for Lute (Respighi)
3. Le Cortege du Roi Renaud
  4. Leviathan (An Apocalyptic Rememberance)
5. Poema Alpestre
シリル・ジェンキンス Brass from the Masters, Vol.1
The Williams Fairey Band/ Gourlay/ Hurdley

ブラバンの本場英国の名品集。シリル・ジェンキンスなどマニアには当然の曲もあるが、エルガーの『セヴァーン組曲』は有名作曲家の作品のわりに録音が少ない。クラシックファンはオーケストラ編曲を知っているだろうが…。
エルガーにとって重要作ではない(有名でもないか)ものの、やさしくて親しみやすくて地味なのがいい。セヴァーン地方の風景を描いたもので、ウーチェスター城、大聖堂などの印象が音画となっている。エルガー唯一のブラスバンド作品で、なんとあのバーナード・ショーに献呈されている。
オルウィンもクラシックの作曲家。『ヴェニスのムーア人』というのはシェイクスピア作品の主人公オセロのことで、舞台そのままのドラマチックな葛藤が描かれる。
そういえばジェンキンス作品の面白いエピソードが紹介されている。作曲者は当初この超難曲に『間違いの喜劇』(A Comedy of Errors)という題名をつけていた。しかし出版社は挑発的であるという理由でこの題名を破棄。結果的にシェイクスピアでなくダンテ(『神曲』=“Divine Comedy”)を思わせる題名に落ち着いたというのだ。神業を要求するこの作品のスリルは一聴の価値あり。

 

The Williams Fairey Band
James Gourlay, Bryan Hurdley, conductor

・Recorded in 1997
Chandos Records
CHAN 4547

Brass from the Masters, Vol.1

Bone Idyll

 
1. Cyril Jenkins: Life Divine
2. William Alwyn: Overture 'The Moor of Venice'
3. Edmund Rubbra: Variations on 'The Shining
  River', Op.101
  4. Robert Simpson: Energy
5. Ralph Vaughan Williams: Variations
6. Edward Elgar: Severn Suite, Op.87
マルコム・アーノルド Brass from the Masters, Vol.2
Grimethorpe Colliery RJB Band/ Parkes/ Cutt

続編はグライムソープ・コリアリー・バンドが担当。ブラス作品も書いたクラシック作曲家が含まれるのは第1集と同じ。ブラバンに積極的だったマルコム・アーノルドは1974年の『ブラスバンドのためのファンタジー』。かっこいいけれど、もちろんアーノルドだからただでは済まない。ホルストはちょっと渋く『ムーアサイド組曲』だ。かれの弦楽合奏曲をご存知の方はそれのブラス版だと思っていただければ近い。第2楽章のおだやかに夢みるような旋律は魅力的だ。
ジョージ・ロイドの『低音主題による変容』は一種の変奏曲。といっても正直よく判らない。主題の提示があってそれに変奏が続くというスタイルではないのだ。最初からモチーフが分断されてしまうようで、混乱…。そんなことを気にしなければ緊張感のあるかっこいい作品。リズミックな処理とシャープな響きに魅せられる。

 

Grimethorpe Colliery RJB Band
Peter Parkes, Garry Cutt, conductor

・Recorded in 1998
Chandos Records
CHAN 4553

Brass from the Masters, Vol.2

Grimethorpe
A Night at the Opera

 
1. Ralph Vaughan Williams: Overture for Brass
  Band 'Henry the Fifth'
2. Malcolm Arnold: Fantasy for Brass Band
3. Dean Goffin: Rhapsody in Brass
  4. Eric Ball: A Kensington Concerto
5. Gustav Holst: A Moorside Suite
6. Granville Bantock: Comedy Overture 'The Frogs'
7. George Lloyd: Diversions on a Bass Theme
ブラック・ダイク・ミルズ・バンド Life Divine
Black Dyke Mills Band/ Parkes/ Broadbent

流れからいって出しとかないわけにいかないブラック・ダイク・ミルズ・バンド。大御所中の大御所バンドである。切れ味、風格、安定感。どれをとっても超一流。騎士道イメージの勇ましくてロマンチックな曲を集めた、えらくかっこいい一枚だ。
『三銃士』組曲(2)というのが目を引くが、もちろんあの小説の『三銃士』がテーマ。ダルタニアンを入れた4人を扱い、それぞれの人物をあらわす性格的な4楽章で構成している。若くて威勢のいいダルタニアンが最終楽章になっている。
『ケニルワース』を書いたブリスはクラシックの作曲家。モダンでシリアスな作風そのままのブラス作品で、舞台は16世紀後半。詩人ウォルター・スコットのエリザベス女王訪問を描く「城門にて」で始まる。コルネットソロの美しい「湖上のセレナーデ」はかれの代表作『湖上の美人』をイメージしているのだろうか。最後の行進曲もリズム、ハーモニーの扱いが面白く、わくわくさせてくれる。

 

Black Dyke Mills Band
Peter Parkes, Derek Broadbent, conductor

・Recorded in 1985
Chandos Records
CHAN 4506

Life Divine

 
1. Percy Fletcher: Labour and Love
2. George Hespe: The Three Musketeers, Suite
  3. Arthur Bliss: Kenilworth
4. Cyril Jenkins: Life Divine
 
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