クラシックレビュー
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early music / baroque / orchestral / concerto / instrumental
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.
 
マルティヌー/プーランク Classics for the Flute, Vol.1
Peter-Lukas Graf/ Bernd Glemser

ペーター=ルーカス・グラーフが1992年に録音したフルート作品集は、円熟期の名手の姿を見事に捉えた貴重なアルバムとなった。第1集はシューベルトの『しおれた花の主題による変奏曲』、ヴィドールの『フルートとピアノのための組曲』、そしてマルティヌーとプーランクの『フルート・ソナタ』という組み合わせ。
グラーフのファンにはそれだけで想像がつくだろう。いつもながらの安定した技巧、真摯なアプローチで曲の姿を端正に描き出していく。シューベルトでは各変奏を有機的つながりをもって奏し、統一感のある仕上がりだ。グレムザーのピアノはこの曲だけはアタックがきついような気がする。グラーフもちょっと生真面目かも。
オルガンの名手ヴィドールが遺した『組曲』はタファネルに献呈されたもの。ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』を聴いてから作曲したと伝えられ、印象派風の味わいが濃厚。ただ基本は後期ロマン派と思われる。表情ゆたかで楽しめる作品。
マルティヌーはまだ軽妙さをもっていた時代のもの。フランスっぽいというかルーセルっぽいというか、手際よくかっこよくお洒落な作品で、聴き応えも充分。この中では一番いい出来映えだろう。
プーランクは案の定というべきか、粋な感覚が今ひとつ。

Peter-Lukas Graf, flute
Bernd Glemser, piano

・Recorded in 1992
Claves Records
CD 50-9306

Classics for the Flute, Vol.1

L'Album des Six: Flute Works
Franck, Widor, Strauss: Flute Works (Pahud)
Schubert, Franck & Reinecke: Flute Works (Bennett)

Martinu: Sonata for Flute & Piano

 
1. Schubert: Introduction & Variations on
  'Trockne Blumen' D.802
2. Widor: Suite for Flute & Piano, Op.34
  3. Martinu: Sonata for Flute & Piano
4. Poulenc: Sonata for Flute & Piano
ライネッケ/プロコフィエフ

Classics for the Flute, Vol.2
Peter-Lukas Graf/ Bernd Glemser

第2集はライネッケ、ミヨー、ヒンデミット、マルタン、プロコフィエフ。こちらの方が平均した仕上がりではないだろうか。最も古いのが1883年出版のライネッケ。ブラームスの陰に隠れたドイツ・ロマン派作曲家の中で、もっとも個性的だった人物。この人のメロディ感覚はだれにも似ていない。文学作品を題材にしたこのソナタでも夢みるようなたゆたうメロディ、不思議な和声が味わえる。
マルタン作品はのちにフルート、弦楽とピアノのための版に編曲されている。同国人だからということもないだろうが、マルタンの謹厳実直さ、思索的深み、ドライな叙情のすべてが余すところなく再現された演奏だ。
プロコフィエフはこの頁だけで3種並んでしまった。以前紹介したランパルと合わせて4種類。それぞれ個性が出ていて面白い。

 

Peter-Lukas Graf, flute
Bernd Glemser, piano

・Recorded in 1992
Claves Records
CD 50-9307

Classics for the Flute, Vol.2

Schubert, Reinecke, Martinu: Flute Works
Hindemith, Prokofiev, Martinu: Flute Sonatas
Romantic Flute Concertos

 
1. Reinecke: Sonata in E minor, Op.167 "Undine"
2. Milhaud: Sonatine for Flute & Piano
3. Hindemith: Sonata for Flute & Piano
  4. Martin: Ballade for Flute & Piano
5. Prokofiev: Sonata in D major, Op.94
ゴールウェイ

James Galway: Flute Sonatas
(Franck/ Prokofiev/ Reinecke)

オリジナルLPはゴールウェイとアルゲリッチがにっこり微笑む恐怖の(なんでじゃ)アルバムだった。フランクのヴァイオリン・ソナタのフルート版とプロコフィエフの組み合わせ。当CDではフィリップ・モルと組んだライネッケが加わっている。
プロコは今まで聴いたなかで最高レベルの演奏。ゴールウェイの音色はいつも通り美しくソフトだけれども、曲の求める機械的な正確さ、冷徹なまでのシャープさが見事に表現されている。アルゲリッチのピアノともども呆れるほどのうまさだ。これほどの痛快さはなかなか味わえない。
フランクの名曲はよくフルートで演奏される。息の長い粘っこい旋律はフルートだと少々淡泊にきこえてしまう。これは誰がやっても同じで、かれらのせいではない。ただ仕上がりの美しさはさすがだ。情熱の高まりはアルゲリッチの貢献。
ライネッケも美しさはさすがだが、特徴的な旋律と和声からかもし出されるほの暗い情念は下記マイゼン盤に及ばない。

 

James Galway, flute
Martha Argerich, piano
Phillip Moll, piano

・Recorded in 1975 & 81*
BMG Classics/ RCA Victor
09026-61615-2

James Galway: Flute Sonatas
ゴールウェイ: フルートソナタ集

Prokofiev: Sonata, Op.94

 
1. Franck: Sonata in A major
2. Prokofiev: Sonata in D major, Op.94
  3. Reinecke: Sonata in E minor, Op.167 "Undine"
パウル・マイゼン

Reger, Prokofiev, Reinecke: Flute Sonatas
Paul Meisen/ Gabriel Rosenberg

わが高木綾子、藤井香織はパウル・マイゼンに学んでいる。地味な存在だが実績は豊富で、聴けば聴くほど味わいのわかる素晴らしいフルート奏者である。
上記ゴールウェイ盤のところで書いたように、ライネッケが素晴らしい。このソナタの副題は『ウンディーネ』(水の精)であり、フーケにヒントを得ている。マイゼンの演奏には悲しい恋物語を感じさせる「もの思い」がある。ライネッケの個性的な旋律線がゴールウェイ、グラーフより際立ってきこえてくる。
とっつきにくい作曲家の代表レーガー。がちがちの構成と色気のない旋律がそうさせるのだが、この作品も例外ではない。嬰ヘ短調のヴァイオリン・ソナタが原曲で、最終楽章はフーガになっている。理屈っぽい印象もあるがよく書き込まれた曲ならではの聴き込む楽しみがある。
プロコフィエフはゴールウェイ盤とは対極にあるアプローチ。いわゆる「戦争ソナタ」を書いていた1943年に作曲されているのだが、後期ロマン派の延長線上にあるような、温かさと感情のゆたかさを感じるのだ。切れ味の鋭さはあまりないが、ユニークで面白い。

 

Paul Meisen, flute
Gabriel Rosenberg, piano

・Recorded in 1986
Musikproduktion Dabringhaus und Grimm
MD+G L 3255

マイゼンの録音
バッハ:フルートソナタ集
モーツァルト:フルート四重奏曲集


Hoffmann: Undine

絵本「ウンディーネ」
フーケ:ウンディーネ

 
1. Reger: Sonata in F-sharp minor, Op.84
2. Prokofiev: Sonata in D major, Op.94
  3. Reinecke: Sonata in E minor, Op.167 "Undine"
フルート・セレナーデ

Reger: Flute Serenades
Graf/ Vegh/ Moog

あのレーガーのセレナーデというのも面白いが、グラーフとシャーンドル・ヴェーグという顔合わせにも興味をそそられる一枚。色気のないことで知られるレーガー。しかしこの二つのセレナーデはそこそこチャーミングであり、秘やかさも味わえる貴重な(?)作品だ。まあトリオだから複雑にしようがなかったということもあるだろうが、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラのアンサンブルが渋さを漂わせながらも仲よく弾んでいく気持のいいセレナーデ。解説によると二曲ともレーガーの幸福な時代に書かれたそうで、「ニ長調」は結婚したとき、「ト長調」は新居に引っ越したときのものだという。道理でうきうきしているわけだ。とはいえ声部の対位法的扱いはさすがレーガーであり、ニ長調の作品にはお約束の変奏曲も出てくる。

1. Serenade in G major, Op.141a
2. Serenade in D major, Op.77a

 

Peter-Lukas Graf, flute
Sandor Vegh, violin
Rainer Moog, viola

・Recorded in 1980
Claves Records
CD 50-8104

Reger: Flute Serenades

 
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