クラシックレビュー
声楽曲   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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合唱曲/声楽曲

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early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / theatrical / contemporary / historical recordings / etc.
 
vanhal: stabat mater

Vanhal: Stabat Mater, Symphony in D major
Prague Chamber Orchestra/ Neumann

ヴァツラフ・ノイマンたちによるヴァニュハル(1739-1813)の『スタバト・マーテル(悲しみの聖母)』。ヘ短調の「スタバト・マーテル・ドロローサ…」の歌い出しから、比類のない美しさと哀しさが名曲であることを予見させる。
これほど統一感があるのは全体にヘ短調が支配的であること、同じモチーフがくり返し用いられることによるのだろう。技巧的なソロパート(メルニク、ベニャチコヴァともにうまい)も曲の雰囲気を壊すことなく見事な調和のうちにおさめられている。
ざっと聴いた印象では常識的な範囲の曲かも知れないが、完成度の高さと表現の深みで聴かせるタイプと言えるだろう。聖母の哀しみへの共感という点で、聴き手に訴えかける力が強いのである。

Natalia Melnik, soprano
Marta Benackova, alto
Prague Chamber Choir
Prague Chamber Orchestra
Vaclav Neumann, conductor

・Recorded in 1993
Orfeo International
C 324 941 A

Stabat Mater in F minor

Vanhal: Missa Solemnis
Vanhal: 4 Symphonies

 
1. Stabat Mater in F minor   2. Symphony in D major
アブラハムとイサク Josef Myslivecek: Abramo ed Isacco
Sinfonietta Praha/ Parik

ヨゼフ・ミスリヴェチェク(1737-1781)の認知度がいかほどのものか判らないのだが、わたしの好きな古典派作曲家の一人である。ボヘミア出身でおもにイタリアで活動し、モーツァルトともつき合いがあった。かれの作品は旋律が美しく、モーツァルトを思わせるところもある。
このオラトリオは1776年にフィレンツェで初演された。テキストはメタスタジオによる。『アブラモとイサコ』というのはアブラハムとイサクのことで鷲尾いさ子とは関係がない。「旧約聖書」にある有名な話。年老いた夫婦アブラハムとサラには子どもがなく、神に祈ってようやく息子イサクを授かる。しかしイサクが成長すると、神はイサクを生贄として差し出すように命じる。アブラハムは命令を実行するため息子を連れて山に登る。そしてまさに息子を手にかけようとする瞬間、天使が現れてそれをとどめる。汝の忠誠は確かめられた。息子を手にかけてはならない。そこにいる羊を生贄として捧げよと。
「旧約」の記述はしごくあっさりしたもの。それを感情的ドラマとして表現するために、メタスタジオは老いた妻サラに出番を多く与えている。過酷な宿命を嘆かせるのである。勝手な解釈と指摘もできるが、オペラ作家らしくメタスタジオは巧みに聴衆の涙を誘っていく。ミスリヴェチェクも大げさになることなく登場人物たちの葛藤をつづっていく。初演は大成功で作曲者の名声を大いに高めたと伝えられる。

 

Vladimir Dolezal, abramo
Tatiana Korovina, Isacco
Hye Jin Kim, Sara
Victoria Luchianez, Angelo
Kuhn Mixed Chorus
Sinfonietta Praha
Ivan Parik, conductor

・Recorded in 1991
Supraphon Records
SU 3209-2 232

Myslivecek: Abramo ed Isacco

 
1. Abramo ed Isacco, Oratorio in 2 Parts

ライヒャルト

J. F. Reichardt: Lieder und Sonaten
Isabelle Poulenard, etc.

ヨハン・フリードリヒ・ライヒャルト(1752-1814)はゲーテやシラーと親交のあったインテリ…と物の本にあった。このふたりの詩に付曲した歌曲がいくつもあり、ここではゲーテ歌曲が選ばれている。
旋律の美しさには誰しも驚くだろう。自然でなめらかに流れていくせせらぎのようなすがすがしい旋律。これを聴くとモーツァルトでさえあざとく感じられる。イザベル・プルナールは清楚に、素直に歌いあげていくのでわかりやすい。
『リュートに寄せて』などシューベルトと共通する素材も採り上げられているので興味深い。つい較べてみたくなるが、ライヒャルトの美しさ、繊細さは独特のものがある。大輪の花ではないが愛すべきひな菊のような、つつましくひそやかな美が。
歌曲の合間に挿入されたソナタも美しさでは歌曲にひけをとらない。ヴァイオリンソナタ、チェンバロソナタが収められており、スケールは小さいがこれもひな菊。

 

Isabelle Poulenard, soprano
Massimo Spadano, violin
Laurent Stewart, cembalo
Arthur Schoonderwoerd, pianoforte

・Recorded in 1998
Astree/Auvidis
E 8595

Reichardt: Lieder und Sonaten

ゲーテ歌曲集
Reichardt: Erwin und Elmire
ほかには
Reichardt: Ausgewahlte Lieder
Reichardt: Lieder der Liebe

 
1. Aus Proserpina
2. Aus Euphrosyne
3. Rastlose Liebe
4. Ihr verbluhet
5. Sonata in F major for Violin & Piano
6. Mut
7. Herbstgefuhl
8. Meeresstille
9. Nahe
10. Klarchens Lied
  11. Sonata in B-flat major for Harpsichord
12. An die Laute
13. Poco Allegro for Harpsichord
14. Das Madchen
15. Der Jungling
16. Der Schmachtende
17. Der Jager
18. Sonata in B-flat major for Violin & Piano
19.Johanna Sebus - Ballade
ツムシュテーク

Schiller-Vertonungen
(Zumsteeg/ Reichardt/ Schubert)

レジーナ・ヤーコビのメゾによるシラー歌曲集。ライヒャルト(上記参照)、ツムシュテーク(1760-1802)とシューベルト(1797-1828)という3人の作品が選ばれている。伴奏はノイパルトとデュルケンの使い分け。
ライヒャルトの8曲は上記ゲーテ歌曲に較べて「シュトルム・ウント・ドランク」の傾向が強い。熱情的だったり(ことに『テクラのモノローグ』)叙事的だったり(ことに『ヨハンナのモノローグ』)するし、ピアノパートの雄弁さはシューベルト登場を予見するかのよう。もちろん旋律の美しさはそのまま。『花』(3)の可憐な表情は魅力的だ。ヤーコビの抑制のきいた歌唱も曲にぴったり。
ツムシュテークがこれほどシューベルトに似ているとは思わなかった。かれはシューベルトが5歳のとき亡くなっているので逆影響は考えられない。かれもシューベルトに影響を与えた一人なのだろう。『期待』(10)は名作といえる。
シューベルトの3曲は参考出品といったところか。素材がライヒャルトと同じなので聴き比べもできる。二人の魅力的な先輩の後に出てきて真打ち登場を感じさせるのはさすがシューベルト。しみじみした『乙女の嘆き』でアルバムは締めくくられる。

 

Regina Jakobi, mezzosoprano
Ulrich Eisenlohr, pianoforte

・Released in 1998
Cavalli Records
CCD 306

 

 

1. Zumsteeg: Maria Stuart
2. Reichardt: Monolog der Thekla
3. Reichardt: Die Blumen
4. Reichardt: Berglied
5. Reichardt: Licht und Warme
6. Reichardt: Monolog der Johanna
7. Reichardt: Der Pilgrim

  8. Reichardt: An Emma
9. Reichardt: Des Madchens Klage
10. Zumsteeg: Die Erwartung
11. Schubert: Der Pilgrim
12. Schubert: An Emma
13. Schubert: Des Madchens Klage
ゲーテ歌曲集

Vaclav Jan Tomasek: Goethe-Lieder
Kurt Widmer/ Klaus Linder

ヴァツラフ・ヤン・トマシェク(1774-1850)はピアノ曲の分野においてシューベルトの先駆者とされる。ピアノ小品集というジャンルを確立し、『楽興の時』のような作品の登場を促したというのである。代表的なのが『エクローグ集』といえるだろう。ただこれはジャンルの問題であって、作風が似ているわけではない。
ところが歌曲となると話が違う。ずいぶんシューベルトに似ているのだ。ベートーヴェンとシューベルトの中間地点を50とすると、80くらいの感じでシューベルトに近い。旋律線の繊細さには誰しもすぐ気づくだろう。歌詞に調和した無理のない自然な旋律。そして伴奏ピアノの役割の大きさ。シューベルトと同じようにピアノが情景や感情を積極的に表現していく。『魔王』では駆けていく馬の蹄の音がピアノの音型で示される。『憩いなき愛』のピアノは胸騒ぎそのものだ。
このアルバムのリートはすべてゲーテの詩によるもの(トマシェクは詩人と親交があった)。『さすらい人の夜の歌』『トゥーレの王さま』『最初の喪失』などシューベルトと同じ題材を扱ったものが多く、たいへん興味深い。

録音に使用したピアノは1816年製のナネッテ・シュトライヒャー。インティメイトな雰囲気はこの楽器のソフトな響きによるところが大きい。

 

Kurt Widmer, baritone
Klaus Linder, hammerklavier

・Recorded in 1981
Freiburger Musik Forum
Ars Musici AM 1210-2

Tomasek: Goethe-Lieder

Tomasek: Piano Music

 
1. Der Fischer
2. Nachgefuhl
3. Wandrers Nachtlied
4. Erlkonig
5. Fruhzeitiger Fruhling
6. Auf dem See
7. Mit einem gemalten Band
8. Mailied
9. Wer kauft Liebesgotter?
10. Selbstbetrug
11. Am Flusse
  12. Sorge
13. Der Konig in Thule
14. Der Rattenfanger
15. Schafers Klagenlied
16. An die Entferne
17. Erster Verlust
18. Jagers Abendlied
19. Rastlose Liebe
20. Trost in Tranen
21. Nahe des Geliebten
22. Philine
カルッリ:歌曲集 Carulli: Songs for Voice & Guitar
Antonia E. Brown/ Adriano Sebastiani

フェルディナンド・カルッリ(1770-1841)によるギター伴奏歌曲集。カルッリはベートーヴェンと同年にナポリで生まれ、おもにパリで活動していたギタリスト。作品は400ほどあるらしいが、歌曲はあまり紹介されていない。
最初の12曲はロッシーニのモチーフによるアリエッタ(1828年出版)。メタスタジオのテキストによる。他の歌曲もすべてイタリア語で歌われ、いずれもオペラ風の旋律が特徴だ。ドイツ・リート、シャンソンなどのイメージはなく、技巧的な歌唱を求める作品も混じる。最後の『6つの夜想曲』はデュエット。ソプラノののびやかな旋律にメゾが影のように寄り添いハーモニーをつけていく。美しい響きの楽しめる作品だ。
ギター独奏曲が間奏曲のように入っており、うれしいことにスペインのフォリアを主題とする変奏曲。同時代のギタリスト、ジュリアーニやソルが同じ主題で変奏曲を書いているので、聴き較べも楽しい。

 

Antonia Elisabeth Brown, soprano
Adriano Sabastiani, guitar
Lucia Sciannimanico, mezzosoprano*

・Recorded in 1994
Dynamic CDS 124

Songs for Voice & Guitar

Songs with Guitar

 
1. 12 Ariettes Italiennes sur Motifs de Rossini
2. Grand Air Italien
3. 3 Ariettes et 3 Romances Italiennes
  4. 3 Ariettes Italiennes
5. Les Folies d'Espagne variees, Op.75
6. 6 Nocturnes*
マヌエル・ガルシア

Manuel Garcia: Caprichos Liricos Espanoles
Teresa Berganza

テレサ・ベルガンサ円熟の歌声で聴くマヌエル・ガルシア。え?ガルシアって誰だ?じつはわたしも知りませんでしたのじゃ。1775年にセビリアに生まれたガルシアは19世紀前半のスペインにおける最も重要な音楽家であると、解説に書いてある。多くの弟子を育て、ガルシア派を構成するほどだったとも。ロッシーニの友人であり、歌手として欧州各地のほか新大陸でも活動した。
かれの業績のほんの一例に過ぎないというこの歌曲集はたいへん魅力的なもの。クラシックというより民謡や流行歌のような平明な親しみやすさ。チャーミングな旋律に満ちて聴き手の頬をゆるませる。歌詞の内容はたわいのないものが多いのだが、スペイン語のリズムを巧みに曲作りに活かした職人芸が見事。もちろんスペイン情緒濃厚な曲もある。
ベルガンサは愉快な曲のときは笑い声を交えたりしてリラックスした歌唱を展開。街の小さい酒場で聴いているような雰囲気だ。

 

Teresa Berganza, mezzosoprano
Juan Antonio Alvalez Parejo, piano
Jose Maria Gallardo del Rey, guitar*

・Recorded in 1995
Fundacion Autor
AR 0001

Caprichos Liricos Espanoles

Yo que soy contrabandista
Berganza Zarzuela Recital

 
1. Fortunilla
2. Ay ay ay, que si
3. San Anton lo bendiga*
4. El potrito
5. Ole, ole
6. A la lea lea
7. Caramba
  8. Si me llamaron la Chica
9. Bajelito nuevo*
10. El liru liru
11. El riqui-riqui
12. Poderoso caballero*
13. Yo que no se callar
14. Juguete espanol: alli esta
フュルステナウ Caspar Furstenau: Masonic Music
Coro Maschile della Radio Svizzera, etc.

息子のアントン・ベルンハルト・フュルステナウさえほとんど知られていないのではないかと思うが、これはその父親カスパー・フュルステナウ(1772-1819)の作品集。優れたフルート奏者であったと伝えられ、ここにもギター伴奏による『12の小品』が収められている。簡潔にして美しい愛すべき小品の連なり。
さて、前後の『6つの石工の歌』というのはフリーメーソンのための合唱曲だ。もちろん男声合唱で、独唱も入る。フルートとギターの伴奏をともない、19世紀初頭のグリークラブといったおもむき。悪く言えば無難な、とても歌いやすい曲たち。結社を讃える歌、友情を讃える歌やメンバーの義務を歌ったものなど、内容的には非常にインタレスティング。

 

Coro Maschile della Radio Svizzera, Lugano
Diego Fasolis, direction
Mario Carbotta, flute
Aldo Martinoni, guitar

・Recorded in 1998
Dynamic CDS 250

Caspar Furstenau: Masonic Music

The Furstenaus: World Premiere Recordings

 
1. 6 Masonic Songs
2. 12 Pieces for Flute & Guitar, Op.16
  3. 6 Masonic Songs
 
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