クラシックレビュー
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SP録音

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instrumental / theatrical / vocal works / contemporary / etc.
 
バルビローリ:ワーグナー

John Barbirolli in New York
1938 Wagner Concert

1938年11月20日、カーネギーホールで行われたジョン・バルビローリとニューヨークフィルによるヴァグナー・コンサートを収録。世界初出音源である。
トスカニーニの後を承けて米国の人気オケを振ることになったJB(ジョン・バルビローリ:1899-1970)は一部の口うるさい連中の批判にさらされていたとはいえ楽団員との関係は良好で、早くから厚い信頼を得ていた。トスカニーニとは違うタイプの、情感ゆたかでフレッシュなアプローチ。君臨する指揮者ではなくともに音楽を作っていく指揮者。音楽性への親しみだけでなく、仕事がやりやすかったのだろう。
JBのオペラというとヴェルディ、プッチーニといったイタオペが思い浮かぶが、若い頃はヴァグナーもレパートリーに入れていたのだそうだ。この管弦楽のみのコンサートでもかれに充分なヴァグナーへのシンパシーがあったことがわかる。JB最大の特徴であるカンタービレを活かしながら起伏の大きいスリリングなドラマを築いていくさまはみごとである。若さゆえの勢いは後年の録音にはない魅力。
『タンホイザー』の深さもいいが『トリスタンとイゾルデ』(前奏曲と愛の死)の悩ましさにはまいった。しびれるような演奏なのだ。ラストにヴァグナーの「家庭の幸福」を象徴する『ジークフリート牧歌』を置いたのも面白いアイディア。聴衆は最後にほっとしてから家路についたのではないだろうか。

New York Philharmonic Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1938 (Live)
Dutton Laboratories
CDSJB 1001

John Barbirolli in New York

 
1. Rienzi - Overture
2. Tannhauser - Venusberg Music
3. Tristan und Isolde - Prelude and Liebestod
  4. Die Meistersinger Suite from Act 3
5. Siegfried Idyll
バルビローリフランス音楽 Barbirolli Conducts French Music
The 1950-54 HMV Recordings

ニューヨークからもどったバルビローリは弱体化していた名門ハレ管弦楽団の建てなおしに着手。短期間でその水準を引き上げ、HMV (His Master's Voice)に積極的に録音を行うようになる。そのレパートリーは広く、ここに聴かれるような近代フランスものも多く含まれていた。
とはいえまさかイベールの『ディヴェルティメント』まで手がけていたとは…。劇付随音楽『イタリアの麦わら帽子』から改編されたこの組曲はイベール一世一代のおちゃらけ作品であり、古今の有名作品のパロディが続出する。さすがJBというべきか、ひょうきんさを強調しない上品な仕上がりになっている。
『牧神の午後への前奏曲』はハレ管特有のちょっと鄙びた風合いが功を奏し、牧神のまどろむ古代ギリシアの田園が眼前に広がるかのよう。『ペレアスとメリザンド』のロマンチックな展開もよく歌うJBの棒が活きている。他の収録曲は『動物の謝肉祭』と『アルルの女』。下記( )内は録音日時。

 

The Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor
Rawicz & Landauer, pianos (4)

・Recorded in 1950 - 54
Dutton Laboratories
CDSJB 1002

Barbirolli Conducts French Music

 

 

1. Debussy: Prelude a L'Apres-midi d'un faune (1953.12.23)
2. Faure: Pelleas et Melisande, Suite Op.80 (1954.01.04)
3. Ibert: Divertissement (1954.01.04)
4. Saint-Saens: Le Carnaval des animaux (1954.02.10-11)
5. Bizet: L'Arlesienne (1950.10.19)

バルビローリ:ハイドン John Barbirolli Conducts Haydn
The Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリの先輩に当たるトマス・ビーチャムはハイドンを主要レパートリーにしていた。いわゆる「パパ・ハイドン」のイメージの、暖かく包容力を感じさせる演奏だった。後輩バルビローリもハイドンを敬愛しており、1927年に早くも『交響曲 第104番』を録音していた。コンサートでもよく採り上げていたらしく、ベルリンフィル客演時にも何度か演奏して楽員たちから高く評価されていたという。
バランスのよさと上品さはビーチャムとあまり変わらない印象。どこが違うのかというと、バルビローリのほうが「シュトルム・ウント・ドランク」を感じさせるという点だろうか。昨今のピリオド楽器による切れ味のいいハイドンに、少しばかり近いのである。ま、半世紀以上昔なので「それなりに」と言わなければならないが、この凛々しさは気持ちがいい。
○当アルバムは2005年に同一内容で再発売されている(右記*印参照)。

 

The Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1949 - 53
Dutton Laboratories
CDSJB 1003

John Barbirolli Conducts Haydn

John Barbirolli Chamber Orchestra
Barbirolli Conducts Haydn*

 
1. Symphony No.83 in G minor "The Hen" (1949.12.15&17)
2. Symphony No.88 in G major "Letter V" (1953.08.31)
3. Symphony No.96 in D major "The Miracle" (1952.04.05)
バルビローリ:オペラ Barbirolli at the Opera
The Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリ&ハレ管のコンビがHMVに録音したさまざまなオペラの序曲、前奏曲、組曲を集めた一枚。『フィガロの結婚』『魔弾の射手』『オイリアンテ』『ローエングリン』『椿姫』など有名どころばかりのコンピレーション。
ちと珍しいのが『ダナエの愛』による「交響的断片」だろうか。1944年にザルツブルクで初演されるはずが中止に追い込まれ、1952年にようやく陽の目を見たという歌劇だった。もうひとつシュトラウスの『ばらの騎士』組曲も聴きもの。歌劇からワルツだけ抜き出したもの(よくあるタイプ)ではなく、第一幕前奏曲、ばらの献呈シーンなどから印象的部分を抜き出して構成したもの。組曲というより幻想曲のような印象だ。21分を超えるアルバム中最長のトラック。
ほかの曲は耳タコレパートリー。ねっとりしたものがうまい気もするが『フィガロ…』の突っ走りもなかなかいい。ちなみに『椿姫』第一幕への前奏曲はコンチネンタル・タンゴ『ヴィオレッタに捧げし歌』の原曲。

 

The Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1946 - 55
Dutton Laboratories
CDSJB 1004

Barbirolli at the Opera

 
1. R. Strauss: Die Liebe der Danae - Symphonic Fragments (1955.01.12)
2. Weber: Der Freischutz - Overture (1951.12.20)
3. Verdi: La Traviata - Preludes (1954.01.02)
4. Mozart: Le Nozze di Figaro - Overture (1949.03.05)
5. Weber: Euryanthe - Overture (1946.06.07)
6. Wagner: Lohengrin - Preludes (1946.06.07)
7. R. Strauss: Der Rosenkavalier - Suite (1946.06.07)
バルビローリ:ディーリアス John Barbirolli Conducts Delius
The Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリ&ハレ管のコンビがHMV(=EMI)を離れてパイ(Pye)レーベルに録音したディーリアスが5曲収められている(1〜5)。これらは英ニクサ(Nixa)からCD化されていたこともあるが、靄のかかったような音質だった。ダットン・ラボラトリーズはさすがにクリアな音に生まれ変わらせてくれている。
JBのディーリアス録音は少ないので貴重な覆刻といえる。ことにソプラノ、バリトンの二人の独唱者と管弦楽で演奏される『牧歌―わたしはかつて雑踏の都会を通り抜け)』(正式には『序曲と牧歌』)は他に録音していないのではないだろうか。ホイットマンの『草の葉』から採った詩句を自由に組み替え、追憶の愛が歌われていく。最後は朗々と“love is not over”で締めくくられるがどこか頽廃が感じられ、愛欲と死の影が交錯する耽美的な作品。
管弦楽は二管が基本になっている。はかない美しさをたたえたイントロ部分に不安がつきまとうのは、かすかなティンパニのトレモロのせい。シュトラウスが『死と浄化』冒頭部分で使ったティンパニは明らかに忍び寄る死の足音をあらわしていた。ディーリアスのティンパニは何をあらわしているのだろう。

 

Sylvia Fischer, soprano (5)
Jess Walters, baritone (5)
The Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1948 - 56
Dutton Laboratories
CDSJB 1005

John Barbirolli Conducts Delius

 
1. The Walk to the Paradise Garden (1956.06.21)
2. Irmelin Prelude (1956.06.21)
3. On Hearing the First Cuckoo in Spring (1956.06.21)
4. Intermezzo from 'Fennimore and Gerda' (1956.06.21)
5. Idyll: Once I Passed Through a Populous City (1956.12.11)
6. A Song of Summer (1950.02.04)
7. Two Aquarelles (1948.04.01)
8. A Song Before Sunrise (1929.06.07)- New Symphony Orchestra
ハレ・フェイバリッツ Barbirolli - Halle Favourites
The Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリ&ハレ管のパイ録音集。1950年代後半、プロムナード・コンサートで採り上げたりアンコール・ピースとして演奏していたかれらの愛奏曲を集めたものだという。ほとんどが軽いもの、親しみやすいもの、英国人にはおなじみのもので占められており、さすがに楽しい。オペラからは『運命の力』序曲、『カヴァレリア・ルスティカーナ』間奏曲、ポンキエッリの『時の踊り』があるが、ロッシーニの『ウィリアム・テル』の舞曲だけを抜き出した(4)は珍しい。演奏には14分を要し、ふだん聴く機会のないロッシーニ・ダンスがたっぷり聴けるしかけ。
フランスものはシャブリエ『楽しい行進曲』とマスネの『アルザスの風景』から「菩提樹の下で」。最後はおなじみ英国の小品たち。はなはだとりとめのない選曲なのでわたしは全部通して聴くことはあまりない。演奏もバルビローリにしてはちょっと雑な印象のものが混じる。

 

The Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1957 & 58
Dutton Laboratories
CDSJB 1006

Barbirolli - Halle Favourites

 

 
1. Verdi: La Forza del Destino - Overture (1957.06.12)
2. Mascagni: Cavalleria Rusticana - Intermezzo (1958.09.04)
3. Ponchielli: La Gioconda -Danse of the Hours (1957.08.11)
4. Rossini: William Tell - Ballet Music (1958.09.04)
5. Massenet: Scenes Alsacienne - Under the Linden Tree (1957.08.11)
6. Chabrier: Marche joyeuse (1957.08.11)
7. German: Nell Gwyn Dances (1957.05.03)
8. Grainger: Shepherd's Hey (1957.05.29)
9. Grainger: Molly on the Shore (1957.05.29)
10. Grainger: Londonderry Air (1957.05.29)
11. Grainger: Mock Morris (1957.05.29)
バルビローリ:チャイコフスキー Barbirolli in New York
The New York Philharmonic 'Live' in Concert

ニューヨークフィルとのライヴ。チャイコフスキーはEMI録音もあり得意なレパートリーだったが、シューマンはバルビローリには珍しい選曲といえるだろう。
チャイコは前任者トスカニーニを思わせるような勢いのある演奏。意外なほどインテンポでぐいぐい進んでいく。JBのことだからもちろんカンタービレしているのだが、ドライな印象が強いのである。パサついた音質のせいかも知れないのだが…。JBはトスカニーニの演奏についてピアニシモが強すぎると感想をもらしていたことがある。そう言うだけのことはある起伏の大きいアプローチで、変化に富んだドラマを描き出すバルビローリ。フレーズの一つひとつに気づかいが感じられるのちのバルビローリ・スタイルがすでにあらわれている。
シューマンも全体にきびきびした演奏。ほんとにJBかいと思うくらいだが、軽さをもったスケルツォは心地よい。一方で情感ゆたかなロマンツェは巧みな節回しが寂寥感さえ漂わす。ステレオでも録音しといてくれればよかったのに。

 

New York Philharmonic Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1937 & 39 (Live)
Dutton Laboratories
CDSJB 1007

Barbirolli in New York

 
1. Tchaikovsky: Symphony No.5 in E minor, Op.64 (1939.11)
2. Schumann: Symphony No.4 in D minor, Op.120 (1937.11.07)
バルビローリ:英雄 Beethoven: Symphony No.3 in E-flat
BBC Symphony Orchestra/ Barbirolli

以前イタリア盤で出ていたこともあるBBC交響楽団との『英雄』。音はこちらの方がよい。この演奏をはじめて聴いたとき驚いたのは、弦の美しさだった。BBC響の弦がこんなに美しく響くのを聴いたことがなかったからだ。英国のオケはそれぞれ個性的(たとえばフィルハーモニアは管楽器が美しいとか)だが、これまでBBCに音色の魅力を感じたことはなかった。まさに目からウロコの体験。有名なスケルツォのホルンパートもやわらかく魅力的だ。
バルビローリの指揮ぶりはいつも通り個性的。丁寧で、弦を中心にゆったりと歌いあげていく。この曲はベートーヴェンの交響曲中もっとも散漫になりやすい曲だと思うが、この演奏はまとまりがよい。全体像が明確なのだ。
『エリザベス朝組曲』はバルビローリの作品。英国ルネサンス期の小品をオーケストラ用に編曲したもので、バード、ブル、ファーナビーらの有名曲も含まれる。何種類かの録音があるが、これは慈しむような演奏で愛着のほどがうかがえる。

 

BBC Symphony Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1967
Dutton Laboratories
CDSJB 1008

Beethoven: Symphony No.3

 
1. Beethoven: Symphony No.3 in E-flat major, Op.55 (1967.05.18&19)
2. Barbirolli: An Elizabethan Suite (1967.05.19)
オーボエ協奏曲集 John Barbirolli ・ Evelyn Rothwell
Oboe Concertos

バルビローリはパイ・レーベルに夫人のオーボエ奏者エヴリン・ロスウェルを独奏者にした協奏曲録音をいくつも遺している。ここに集められたバロック協奏曲はその婦唱夫随(妻が唱い夫が伴奏する)ぶりがうかがえるもの。
最初のコレッリはヴァイオリンソナタをバルビローリが協奏曲に編曲。これがとても美しい。もひとつバルビローリ編のペルゴレージのメランコリーにも魅せられる。ロマンチックすぎるというご感想もあるだろう。今どきこんなアプローチは流行らないというご意見もごもっとも。しかしそういう時代だったのである。
お決まりのマルチェッロ、アルビノーニもある。ヘンデルはさすがに風格を感じる。選曲のいい楽しめるアルバムである。

 

Evelyn Rothwell, oboe
Halle Orchestra
Pro Arte Orchestra (3,4,5,6)
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1957 - 59
Dutton Laboratories
CDSJB 1009

Oboe Concertos

 
1. Corelli/arr. Barbirolli: Concerto for Oboe & Strings (1957.05.24)
2. Pergolesi/arr. Barbirolli: Concerto for Oboe & Strings (1957.05.25)
3. Cimarosa/arr. Benjamin: Oboe Concerto (1959.06.05)
4. Albinoni: Oboe Concerto in B-flat major, Op.7-3 (1959.06.06)
5. Albinoni: Oboe Concerto in D major, Op.7-6 (1959.06.06)
6. Marcello/arr. Rothwell: Oboe Concerto in C minor (1959.06.06)
7. Handel/arr. Rothwell: Oboe Concerto No.1 in B-flat major (1958.09.02)
ウィーンの夜 Barbirolli Viennese Night
Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリとハレ管弦楽団は『ヴィーンの夜』というコンサートを実際に行っていたそうである。くだけたコンサートだったらしく、ブックレットにはステージ上に風船が舞っている写真が掲載されている。レハールの『金と銀』以外はシュトラウス。『美しく青きドナウ』のほか『こうもり』や『ジプシー男爵』の序曲、『ヴィーンの森の物語』『アンネンポルカ』などなじみの曲ばかり。もちろん父親の『ラデッキー行進曲』もある。肩の力の抜けた軽快な演奏がいかにもそれらしくてよい。
最後の『シュトラウス・ファンタジー』はピアノデュエットのラヴィッチとランダウアーを主役にしたメドレー。14分近い曲だが編曲が楽しくて飽きない。録音はすでに出ている『動物の謝肉祭』と同日に行われた。

 

Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor
Rawicz & Landauer, piano duet (11)

・Recorded in 1954 - 57
Dutton Laboratories
CDSJB 1010

Barbirolli Viennese Night

 
Johann Strauss Jnr. (1956.06.19-23)
1. The Gypsy Baron - Overture
2. Radetzky March (Strauss Snr.)
3. Tales from the Vienna Woods
4. Die Fledermaus - Overture
5. Pizzicato Polka
6. Annen Polka, Op.117
7. Perpetuum Mobile, Polka schnell, Op.257
8. An der Schonen Blauen Donau - Waltz
  Franz Lehar (1957.05.03)
9. Gold and Silver - Waltz, Op.79
Johann Strauss Jnr. (1955.01.13)
10. Emperor Waltz, Op.437
Strauss Family (1954.02.11)
11. A Strauss Fantasy (arr. Landauer)
 
ヒストリカル 1 / 2 / [3] / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / theatrical / vocal works / contemporary / etc.