クラシックレビュー
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BBC Legends

1 / 2 / 3 / 4 / 5 / [6] / 7 / 8 / 9 / 10 early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / theatrical / vocal works / contemporary / etc.
 
マーラー:交響曲第3番

Mahler: Symphony No.3 in D minor
Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリは亡くなるまでの15年ほどの間、よくマーラーを採り上げていた。しかし正規録音は少なく、交響曲はEMIに5、6、9番、Pyeに1番があるのみ。ほかはベイカーとの歌曲が少々遺されているだけ。一説によるとEMIはクレンペラーとのダブりを避けたのだという。たしかにあの伝説的『第9番』以外は曲目が重ならない。それにあの『第9番』はベルリンフィルのメンバーのたっての願いで録音された例外的なセッションだった。
しかしCD時代になって、上記以外の交響曲の放送録音が続々とリリースされている。『交響曲 第3番』はベルリンフィルとの録音がイタリア盤、続いて英テスタメント盤で出ており、このアルバムは2種類目ということになる。1969年5月3日、マンチェスターで録音。オケはハレ管弦楽団。音が丸くなってしまった感があるが、鑑賞には問題ない。手兵ハレ管との録音というのが嬉しいではないか。
とはいえ、ベルリンフィルとの演奏と較べると切れ味が劣るのはどうしようもない。声楽もベルリン盤に及ばない。バルビローリはその辺りを承知していたはずで、若干アプローチがちがうのはそのためだと思われる。メリハリをつけて各部をくっきり描き出すより、全体をロマンチックなうねりの中でひと括りにしてしまうような、そんなアプローチなのである。慣れない人には癖っぽいと感じられるだろうが、これがバルビローリの特徴であり、ファンには納得のいく演奏なのだ。
2枚目の余白にバルビローリのインタビューが収録されている。チェロ奏者だった若き日、ニューヨーク時代や帰国後の活動について、晩年のJBが回顧する内容。

Kerstin Meyer, contralto
Ladies of the Halle Choir
Boys of Manchester Grammar School
Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1969 (Live)
BBC Legends
BBCL 4004-7 (2CDs)

Mahler: Symphony No.3

 
1. Mahler: Symphony No.3 in D minor (1969.05.03)
2. Sir John Barbirolli in Conversation
シンフォニア・ダ・レクイエム Britten: Sinfonia da Requiem, etc.
Halle Orchestra/ BBC Symphony/ Barbirolli

バルビローリはブリトゥンの『シンフォニア・ダ・レクイエム(鎮魂交響曲)』の初演者だった。初演のいきさつについては別の項目で書いたので参照していただくとして、JBは1970年の来日公演プログラムにこの曲を入れており、リハーサルまで済ませていたそうである。ご承知のようにかれは万博に合わせて初来日を果たすことになっていたが、直前に急死してしまった。

その『シンフォニア』が共感に満ちた名演である。「ラクリモーサ」「ディエス・イレ」「レクイエム・エテルナム」の3楽章で構成される悲痛な印象の作品。死者を悼む涙の日々から怒濤のような最後の審判を経ておだやかな祈りの境地に至る深いドラマがていねいに歌われていく。有名な『青少年のための管弦楽入門』もJBらしいやさしさを感じさせる。
ウォルトンの『パルティータ』はセルとクリーヴランド管弦楽団が初演したもの。かれらの筋肉質な演奏に較べてJBとハレ管のコンビはふくよかな感じがし、より古典的イメージに仕上がっている。

 

Halle Orchestra
BBC Symphony Orchestra (3)
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1967 - 70 (Live)
BBC Legends
BBCL 4013-2

Sinfonia da Requiem, etc.

 

 

1. Elgar: Concert Overture 'In the South' (Alassio), Op.50 (1970.05.20)
2. Walton: Partita for Orchestra (1969.08.08)
3. Britten: Sinfonia da Requiem, Op.20 (1967.08.08)
4. Britten: Youg Person's Guide to the Orchestra, Op.34 (1967.05.03)

マーラー:第4番 Mahler: Symphony No.4 in G major
BBC Symphny Orchestra/ Barbirolli

1967年1月3日、プラハのスメタナホールにて録音。かつてカナダ盤でも出ていたことのある、現在バルビローリ唯一の『第4番』である。このときバルビローリはBBC交響楽団とともにプラハ、ワルシャワ、モスクワ、レニングラードを巡る楽旅に出ており、ブレーズ、デュプレらが同行していた。同日に録音されたエルガーの『チェロ協奏曲』は英テスタメントからCD化されている。

いわゆる「角笛交響曲」の最後となった『第4番』はマーラーの交響曲の中では明るく軽いもので、「大いなる喜びへの賛歌」とも呼ばれる。第4楽章にソプラノ独唱による『天上の生活―わたしたちは天上の歓喜をうける』があらわれる、マーラーにしては現世肯定的な作品。冒頭からト長調という明るい調性でリズミカルに生を謳歌していくが、手放しで明るいわけではないのがマーラー。いや、これをあっけらかんとやってしまったら陳腐にしか聞こえないやっかいな作品だと言うべきだろう。バルビローリはさすがにわきまえており、酸いも甘いも噛み分けた末の喜びを表現していく。ヘザー・ハーパーもなかなかの名唱を聴かせ、たいへんまとまりのいい仕上がりになっている。
当盤にはカナダ盤になかったベルリオーズの序曲『海賊』が収録されている。

 

Heather Harper, soprano
BBC Symphony Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1967 (Live)
BBC Legends
BBCL 4014-2

Mahler: Symphony No.4

 
1. Mahler: Symphony No.4 in G major (1967.01.03)
2. Berlioz: La Corsaire, Op.21(1967.01.03)
マーラー:第7番 Mahler: Symphony No.7, Bruckner: Symphony No.9
Halle Orchestra/ Barbirolli

マーラーの『交響曲 第7番 夜の歌』とブルックナー『交響曲 第9番』という超重量級の組み合わせ、しかも超貴重な録音。しかし正直なところ、不得意な曲の組み合わせなのであまり聴かないアルバムでもある。なにせ曲が長い。
マーラーは散漫な印象がぬぐえないのだが、それは曲のせいか演奏のせいか。部分部分を聴けば楽器の組み合わせをさまざまに変えて音色、表情を変化させていくマーラー独自の書法がよく分かり、興味深い。編成は巨大だが音楽は室内楽的だといわれるマーラー交響曲の特徴が典型的にあらわれた作品でもあり、まとめにくいのはある程度しかたないと考えよう。気まぐれな美女の長話につき合わされているような、退屈なのに途中でやめられない不思議に幸福な時間が流れていく。これをラトルあたりで聴くと知的で皮肉な美女だが、バルビローリの美女は妖艶さとアンニュイが漂う。

それに較べればブルックナーは引き締まっているといえるだろう。ただシューリヒトやヨッフムのような「天上の音楽」を聴いている気がしない。わたしの場合ブルックナーに神の姿を見たいとは思わないのだが、JBのブルックナーなら『第8番』のほうに行ってしまう。

 

Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1960 & 66 (Live)
BBC Legends
BBCL 4034-2(2CDs)

Mahler & Bruckner: Symphonies

 
1. Mahler: Symphony No.7 in E minor 'Lied der Nacht' (1960.10.20)
2. Bruckner: Symphony No.9 in D minor (1966.07.29)
ハイドン、シュトラウス A Viennese Evening at the Proms
Halle Orchestra/ Barbirolli

重いものばかり続いたところでプロムナード・コンサートの登場。バルビローリ&ハレ管のコンビが1969年にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行った「ヴィーンの夕べ」を収録したもの。
ハイドンの『めんどり』は1949年のスタジオ録音がすでに出ている。プロムスだからか最晩年だからか、リラックスしたふくよかなハイドンになっている。それ以外はいかにものシュトラウス、レハール。バルビローリはお茶目なところをみせ、音楽を途中で止めてしまったり意表をつくテンポで演奏したり、聴き手を思うままに翻弄していく。レハールの『金と銀』はなんと鼻歌ワルツであり、これが大うけ。最後にもあの高い声でギャグを飛ばし、聴衆の爆笑を誘っている。
唯一シリアスなのはリヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』組曲。 といってもコンサートにメリハリがつく程度のシリアスさであり、くつろいだカンタービレが楽しい。おもわず頬のゆるむ一枚。

 

Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1969 (Live)
BBC Legends
BBCL 4038-2

A Viennese Evening at the Proms

 
1. Haydn: Symphony No.83 in G minor 'The Hen' (1969.08.09)
2. Strauss II: Die Fledermaus - Overture
3. Strauss II: Kaiser-Walzer, Op.437
4. Strauss II: Tritsch-Tratsch Polka, Op.214
5. Strauss II: Perpetuum Mobile, Op.257
6. R. Strauss: Der Rosenkavalier - Suite
7. Lehar: Gold and Silver - Waltz, Op.79
8. Speech by Sir John Barbirolli
英雄の生涯 Strauss: Ein Heldenleben, Op.40
London Symphony Orchestra/ Barbirolli

リヒャルト・シュトラウスの『英雄の生涯』はEMIにスタジオ録音があった。これは1969年の9月にロイヤル・フェスティヴァル・ホールで収録されたライヴ。同日録音のモーツァルト『リンツ』との組み合わせだ。
で、前菜みたいに入っているモーツァルトがいい。JB晩年のモーツァルトはたがの弛んだような録音もあるのだが、この『リンツ』は引き締まっている。そして力量にゆとりのあるオケを振るときのバルビローリらしい細やかさがある。かれは小うるさい注文に応えられるオケにはそれなりにきびしい注文を出すのである(見たのかよアンタは!)。
シュトラウスは正直いって曲があまり好きでない。かつて自分自身が英雄だといった感じの指揮者(誰とは言わない)を聴いてしまったトラウマかも知れない。ドラマチックで意味ありげな、というか「それがどしたい」と言いたくなるシーンの連続するこの作品にはある程度ケレン味が必要なのだろう。バルビローリはそれが乏しいような気がする。ただ複雑なスコアをあざやかに描き分ける手腕は活きている。マーラーの『第9番』のときのような、「いやぁ、それほどややこしいもんでもありませんぜ」てな感じの手際のよさ。『英雄』より『変容』のほうを録音しといてくれればよかったのにと思う。

 

London Symphony Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1969 (Live)
BBC Legends
BBCL 4055-2

Strauss: Ein Heldenleben

 
1. Mozart: Symphony No.36 in C major, K.425 "Linz" (1969.09.28)
2. R. Strauss: Ein Heldenleben, Op.40 (1969.09.28)
ブルックナー第8番 Bruckner: Symphony No.8 in C minor
Halle Orchestra/ Barbirolli

バルビローリの『ブル8』が出たとき、快哉を叫んだファンは少なくなかっただろう。そうでなくてもブルックナーの録音が少ないバルビローリ。それが1970年というすれすれの最晩年の、しかも人気の『第8番 ハ短調』だったのだから。オケは手塩にかけたハレ管。さぞかし滋味あふれる温かいブルックナーだろうなと、聴く前から想像して満足してしまった…というのはわたしか。
予想どおりでしたというとそれで話は終わってしまうが、予想どおりだった。じつはこの曲、若い頃にジュリーニの先生方ベタほめ盤(グランプリかなんか受賞してたよな)で聴いた。あまりのスケールと気高さについていけなかった。自分は凡人なのかと落ち込んだ。しかしバルビローリの『ブル8』は手の届くところにある音楽。むやみに大きくなく、権威や威厳も感じず、重層する音の快感に安心してひたっていられるのだ。ただ正直なところ、ブルックナーはこれでいいのかという思いもある。作曲者が目指したであろう音楽との乖離が、何度も聴いているうちに気になってきた。

 

Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1970 (Live)
BBC Legends
BBCL 4067-2

Bruckner: Symphony No.8

 
1.Symphony No.8 in C minor (1887 version) (1970. 05.20)
モーツァルト、ベートーヴェン Mozart: Symphony No.35/ Beethoven: Symphony No.7
Halle Orchestra/ Barbirolli

モーツァルトの『ハフナー』とベートーヴェンの『第7番』に『ジークフリート牧歌』という豪華なオマケのついたBBCレジェンズ2001年リリース。で、オマケは1966年のスタジオ録音なのにモノラルというのが不満だが、AM放送局だったからしかたないのかも知れない。
このうちベートーヴェンは正規録音になかったもので、バルビローリ節で「舞踏の権化」が聴ける貴重なトラック。躍動するリズムの祭典というか狂乱というか、ベートーヴェンの全交響曲中もっとも特徴的な曲といえるだろう。いくらしっとりねっとり系のJBとはいえ、こりゃ踊らないわけにいかない。バス(たいへん重要な声部だ)を巧みに操り、歯切れよくたたみかけてくる。第2楽章のアダージェットがもすこし凛々しいとよかったが、さすがのカンタービレが美しくて酔える。
モーツァルトも『ハフナー』は他に聴いた記憶がなく、これが初登場かも知れない。わりとインテンポだが彫り込みの深いドラマチックな演奏で聴き応えあり。

 

Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1966 - 68 (Live)
BBC Legends
BBCL 4076-2

Mozart & Beethoven: Symphonies

 
1. Mozart: Symphony No.35 in D major, K.385 'Haffner' (1967.08.12)
2. Beethoven: Symphony No.7 in A major, Op.92 (1968.04.24)
3. Wagner: Siegfried Idyll (1966.04.22)
ヴォーン=ウィリアムス Vaughan Williams : Symphony No.8, etc.
Halle Orchestra/ Barbirolli

どうにも焦点の定まらないアルバム。しかし内容は面白い。実際のコンサートの雰囲気をということか、英国国歌吹奏で始まり、ロースソーンの序曲が華やかに聴衆を楽興の時にいざなう。メインはRVWの『交響曲 第8番』。1956年にバルビローリとハレ管によって初演されたかれらの主要レパートリー。初演直後の録音に較べてゆったり余裕を感じさせる演奏になっている。細部にわたって書き込まれたスコア(けっこう複雑)を目の当たりにするような明晰さと共感に満ちたゆたかな感情表現が両立した、得がたい演奏といえるだろう。
面白いのはバックスの『オーボエ五重奏曲』をバルビローリが協奏曲ふうに編曲したもの。ソロイストはもちろん奥さんのエヴリン・ロスウェル。こうやって奥さんのレパートリーを増やしてやっていたということだろうか。エキゾチックかつファンタジックな味わいがそのまま大編成に置き換えられていてなかなかよい。
最後に『希望と栄光の国』の古い録音が収められている。英国の第二の国歌とも呼ばれる人気曲であり、行進曲『威風堂々 第1番』の中間部のメロディとして日本でもおなじみ。それをなんと、キャスリーン・フェリアーが歌っているのだ。

 

Evelyn Rothwell, oboe (4)
Kathleen Ferrier, contralto (7)
Halle Choir (7)
The Trumpeters and Band of the Royal Military School of Music (1,6)
Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1951 - 1969 (Live)
BBC Legends
BBCL 4100-2

Vaughan Williams, etc.

 
1. The British National Anthem (1969.11.19)
2. Rawsthorne: Street Corner Overture (1968.04.24)
3. Vaughan Williams: Symphony No.8 in D minor (1967.08.11)
4. Bax/arr. Barbirolli: Oboe Quintet (1968.11.13)
5. Delius: On Hearing the First Cuckoo in Spring (1969.11.19)
6. Walton: Crown Imperial - A Coronation March (1969.11.19)
7. Elgar: Land of Hope and Glory (1951.11.16)
エルガー:交響曲第1番 Elgar: Symphony No.1, etc.
Halle Orchestra/ Barbirolli

1970年7月24日にキングズ・リン・フェスティヴァルで録音された、バルビローリ最後のエルガー演奏。かれはこの年、万博に合わせて初来日し、大阪と東京でコンサートを行うことになっていた。フェスティヴァルののちバルビローリはロンドンに向かい、ニュー・フィルハーモニアとの来日に備えた3日間のリハーサルに入った。初日はベイカーとのマーラーの連作歌曲など、翌7月28日はかれが初演を手がけた日本にはゆかりの深いブリトゥンの『シンフォニア・ダ・レクイエム』、そしてベートーヴェンの『英雄』だった。その夜バルビローリは妻に不調を訴え、深夜に心臓発作を起こして帰らぬ人となった。時計は0時をすぎ、7月29日になっていた。
そういうことを知って聴くとバイアスがかかってしまいそうだ。涙なしには聴けない…、なんて。交響曲のほうは以前の録音に較べて若干集中力が落ちるような気もする。まあ気がする程度であって、英国音楽史上最初の傑作交響曲への尊敬と愛情が感じられる温かい演奏である。エルガーの最大特徴であるノビルメンテも申し分ない。そして影のようにつきまとう一抹のメランコリーも。

 

Halle Orchestra
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1970
BBC Legends
BBCL 4106-2

Elgar: Symphony No.1, etc.

 
1. Introduction and Allegro, Op. 47 (1970.07.24)
2. Symphony No.1 in A-flat major, Op.55 (1970.07.24)
 
ヒストリカル 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / [6] / 7 / 8 / 9 / 10
early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / theatrical / vocal works / contemporary / etc.