クラシックレビュー
ムラヴィンスキー   アドマックス「カフェマキシマム」  
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レニングラード・フィル

1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / [10] early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / theatrical / vocal works / contemporary / etc.
 
ムラヴィンスキー:未完成

Schubert & Brahms: Symphonies
Mravinsky Edition Volume 1

BMGがリリースしたメロディア原盤による「ムラヴィンスキー・エディション」第1シリーズ10タイトル。その巻頭を飾ったのがヴェーバー、シューベルト、ブラームス。本拠地レニングラードの大ホールでの1978年4月のライヴと記されている。
『オベロン』序曲はヴェーバーの数ある序曲のなかで最高傑作かも知れない。ロマン派の生んだ序曲のなかでもと言い換えてもいい。その天才的作品をムラヴィンスキーは抑制の効いた小ぶりのタクトでさらっと仕上げている。わざとらしさのない清潔な音楽。そこから芸術の高みに昇華された喜怒哀楽が芳しいほどの魅力を放つ。
同様のアプローチによる『未完成』が感動的でないはずがない。淡々とした歩みから漂い出す寂寥感は夭折の天才の哀しみをそのまま映し出すかのようだ。ところがブラームスになるとその行き方が少々もの足りなく感じられる。もう少し恰幅のいい、色気のある演奏のほうがこの曲にはふさわしくないだろうか。

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1978 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25190 2

Schubert & Brahms: Symphonies

オベロン序曲他
Schubert: Symphony No.8

 
1. Weber: Oberon - Overture (1978.04.29)
2. Schubert: Symphony No.8 in B minor, D.759 'Unfinished' (1978.04.30)
3. Brahms: Symphony No.2 in D major, Op.73 (1978.04.29)
ムラヴィンスキー:モーツァルト

Mozart & Sibelius: Symphonies
Mravinsky Edition Volume 2

1965年の真冬に行われたモスクワ音楽院大ホールでの伝説のコンサートから5曲。最初に置かれた『フィガロの結婚』序曲は耳を疑うほどの疾走。あっけにとられるが、これが力ずくでないのがムラヴィンスキーのすごいところ。つづく『交響曲第39番』は夙に有名な演奏で、引き締まった快速の演奏が爽快。ただしなやかさも充分そなえており、速さばかりに気をとられずにじっくり聴いていただきたい。ロシア系指揮者にはまれなドイツ・オーストリア系音楽への深い理解と共感が感じられるだろう。
シベリウスも昔は評判のいい演奏だった。今聴くとやはり楽器間バランスの悪さが気になる。全体の統一感も弱いし、わざわざムラヴィンスキーでなくてもと思う。
『トゥオネラの白鳥』と『モスクワ川の夜明け』(『ホヴァンシチナ』前奏曲)はアンコールピースだったのだろうか、ほどほどのテンションを保った美しい演奏だ。LPのころ、マスターは聴衆の咳をするタイミングまで憶えてしまうほど繰り返し聴いたものである。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1965 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25191 2

Mozart & Sibelius: Symphonies

モーツァルト&シベリウス

 
1. Mozart: The Marriage of Figaro - Overture (1965.02.23)
2. Mozart: Symphony No.39 in E-flat major, K.543 (1965.02.23)
3. Sibelius:The Swan of Tuonela, Op.22-3 (1965.02.23)
4. Sibelius: Symphony No.7 in C major, Op.105 (1965.02.23)
5. Mussorgsky: Dawn on the Moscow River (1965.02.21)
ショスタコーヴィチ、ストラヴィンスキー

Shostakovich: Symphony No.15/ Stravinsky: Agon
Mravinsky Edition Volume 3

ストラヴィンスキーのバレエ『アゴーン』は1965年の10月、ショスタコーヴィチ最後の交響曲は1976年5月、ともにレニングラードで録音された。前者はあまり録音されないという点でも貴重だが演奏も上々。明快さ、正確さ、個人技の巧みさ、そしてほどほどの熱っぽさの絶妙のバランス。音質もこの時代にしては満足のいくもの。
作品はバロック期フランスの舞曲に素材を採った、ストーリーを持たないお洒落なバレエ。他人の旋律からモダンなバレエを作ってしまうのは『妖精の口づけ』(1928)で経験済みだったもの。『アゴーン』も親しみやすい素材がモダンな和声と多彩なオーケストレーションによってみごとな変身を遂げている。作曲者75歳の1957年、ニューヨークで初演されている。
『交響曲第15番』は1972年に息子マクシム・ショスタコーヴィチによって初演されたもの。ロッシーニやヴァグナーからの引用があり、古典的でわかりやすいことなどから生涯を回顧する内容なのだといわれている。この録音は作曲家の死後、友人だったムラヴィンスキーが行った追悼コンサートの演奏。心なしか第二楽章の悲痛さが際立ってきこえる。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1965 & 76 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25192 2

Shostakovich: Symphony No.15
ショスタコーヴィチ:交響曲第15番

Apollon Musagete

 

1. Stravinsky: Agon - Ballet for 12 Dancers (1965.10.29)
2. Shostakovich: Symphony No.15 in A major, Op.141 (1976.05.26)

ムラヴィンスキー:ブルックナー

Bruckner: Symphony No.9 in D minor
Mravinsky Edition Volume 4

ムラヴィンスキー晩年のブルックナー。なんだかずいぶん自由になっちゃったなぁという気もする。年齢のせいなのか曲が曲だからかよく判らないのだが、あまりオケを引き締めずに自由にやらせたような、そんな気がする。といってもたがが弛んでいるわけではなく、こぢんまりしていないだけである。ふだんのレパートリーとは性質(たち)が違うので、さすがのムラヴィンスキーも難しかったのかも知れない。
ブラスの咆吼はダイナミックだがなにやらスラヴっぽい。繊細微妙な旋律のたゆたいもシューベルトからではなくチャイコフスキーから流れてくるように思える。ムラさんのヴァグナーがあまりヴァグナーっぽくないように、ブルックナーもいまいちブルックナーっぽくないのである。崇高さとか畏怖の念といったものの弱いブルックナー。それらしい厚みはちゃんと出ているのにどういうわけだろう。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1980 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25193 2

Bruckner: Symphony No.9
ブルックナー:交響曲第9番

 
1. Bruckner: Symphony No.9 in D minor (1980.01.30)
チャイコフスキー、プロコフィエフ

The Nutcracker, Romeo & Juliet
Mravinsky Edition Volume 5

ロシアの代表的バレエ音楽を振るムラヴィンスキー。『くるみ割り人形』のほうは組曲でなく6つのシーンの抜粋なので、おなじみの旋律はほとんど出てこない。子ども向けバレエにしてはちょいと深刻じゃないかと思えるアプローチだが、ストーリーと関係なく聴けばいいのかも知れない。晩年の録音なのでテンションは高くない。
同じバレエ音楽でもプロコフィエフのほうがムラヴィンスキーには合っている。『ロメオとジュリエット』第2組曲はバレエを書き上げてすぐ演奏会用に編まれた二つの組曲の片われ。プロコフィエフは祖国に戻ってとんがったところがなくなってはいたものの、モダンでシャープな、なおかつお洒落な曲を次々と産み出していた。15歳下のムラヴィンスキーとは友人だったそうである。演奏はだいぶまろやかさが加わっていて決して急がず、じっくり構えたものになっている。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1981 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25194 2

The Nutcracker, Romeo & Juliet

 

1. Tchaikovsky: The Nutcracker, Op.71 - Excerpts
2. Prokofiev: Romeo & Juliet, Suite No.2, Op.64b

ヒンデミット、オネゲル

Hindemith & Honneger: Symphonies
Mravinsky Edition Volume 6

1965年モスクワ音楽院大ホールでのライヴ。ずいぶん難しい顔をした写真が使われているのはこれら2曲が難解な作品だというつもりなのか。たしかに理屈っぽいほどに書き込まれた曲であり、人なつこさのない交響曲たちではある。
ヒンデミットの『世界の調和』は天文学者ケプラー(Johannes Kepler)の同名著書(1619年)に触発されたオペラから改編された。「調和(harmonie)」は「和声」に通じるが、ヒンデミットの世界観、人生観が反映された作品と評される傑作である。3つの楽章はそれぞれ「楽器の音楽」「人間の音楽」「天体の音楽」と名づけられている。演奏はムラヴィンスキーの同時代音楽へのシンパシーを感じさせる名演。表情は厳しいが、作曲者の平和への願いや真摯さが伝わってくる。
オネゲルの『交響曲第3番』も平和への願いを謳った内容。神の怒りに始まるドラマチックな展開をもち、最後は祈りで締めくくられる。この曲はボード&チェコ・フィルの演奏が素晴らしいと思う。それに較べるとムラヴィンスキー盤はちょっと軽いのだが、ボード盤につきまとう田舎っぽさがここにはなく、スマートに仕上がっている。ただ説得力はさすがであり、このころがかれの絶頂期だったのだろう。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1965 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25195 2

Hindemith & Honneger
世界の調和/典礼風

 
1. Hindemith: Symphony 'Die Harmonie der Welt' (1965.02.26)
2. Honneger: Symphony No.3 'Liturgique' (1965.02.28)
ベートーヴェン:交響曲第4番

Beethoven & Tchaikovsky: Symphonies
Mravinsky Edition Volume 7

1973年レニングラードにおけるライヴ。ベートーヴェンの『交響曲第4番』とチャイコフスキーの『交響曲第5番』という組み合わせだ。どちらもわたしがよく聴く曲ではないものの、ベートーヴェンはスピード感が快適な佳演だと思う。この曲で走るのはクライバーが有名なので比較したくなるが、ムラヴィンスキーはスポーツ的な速さではないので好感がもてる。オケは鞭打たなくても自然に走ってしまうようでまったく無理がない。第2楽章など表情がゆたかで細やかささえ感じられ、ムラヴィンスキーは冷徹な指揮者だと思っている人にぜひ聴いてもらいたい。
チャイコフスキーは1960年のグラモフォン録音はじめいくつもの演奏がリリースされている。堂々として行き届いた感じのするグラモフォン盤がたぶん最高峰なのだろう。このライヴは緊張感はそれほどでもないが起伏が大きくなっており、よく練り込まれた音楽が聴かれる。音質が1973年にしてはよくないが、ステレオ録音さえなかなか導入されなかったレニングラードの音楽事情を思ってよしとしよう。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1973 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25196 2

Beethoven & Tchaikovsky
ベートーヴェン:交響曲第4番他

 
1. Beethoven: Symphony No.4 in B-flat major, Op.60 (1973.04.29)
2. Tchaikovsky: Symphony No.5 in E minor, Op.64 (1973.04.29)
ムラヴィンスキー:バルトーク

Bartok: Music for Strings, Percussion and Celesta
Mravinsky Edition Volume 8

1965年モスクワ音楽院大ホールのライヴ。ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』、バルトークの『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』、ストラヴィンスキーの『ミューズを率いるアポロ』という3曲。このうちバルトークとストラヴィンスキーはそれぞれの曲の代表的名演としてよくガイドブックに紹介されていたものである。1970年代のことで競争相手が少なかったせいもあるのだが、今でも推薦に値する名演といえる。『弦チェレ』はフリッツ・ライナーに超名演があるが、あれでは厳しすぎブレーズでは緩すぎるという人にはムラヴィンスキーがぴったりだろう。バルトークの研ぎ澄まされた感性はあるていどの緊張があってはじめて再現されるのであり、ムラヴィンスキーはちょうど具合がいいのである。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1965 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25197 2

Music for Strings, Percussion and Celesta

牧神の午後への前奏曲
アポロ

 
1. Debussy: Prelude a l'apres-midi d'un faune (1965.02.28)
2. Bartok: Music for Strigs, Percussion and Celesta (1965.02.28)
3. Stravinsky: Apollon Musagete - Ballet in 2 scenes (1965.02.26)
ムラビンスキー:ショスタコヴィッチ

Shostakovich: Symphonies Nos. 6 & 10
Mravinsky Edition Volume 9

ショスタコーヴィチの『交響曲第6番』は1965年のライヴが有名。これは1972年に場所も同じモスクワ音楽院大ホールで収録されたもの。若干テンポを落とした感じもあるが基本的に同じアプローチとみていいだろう。最終楽章のたたみかける迫力は相変わらず。この曲はあの『第5番』のあとに書かれた叙情的作品であるためショスタコの『田園』とも呼ばれるもので、変則的3楽章形式の小規模な作品。こぢんまりしているのに演奏は難しいようで、散漫な演奏に当たることが多い。第1楽章「ラルゴ」だけがやけに長いせいかも知れない。ムラヴィンスキーはさすがに慣れたもので、抽象化されたモダンな「田園」を集中力をもって丹念に描き出す。含蓄のある言葉を静かに聴かされているよう。
『交響曲第10番』も『第6番』同様にムラヴィンスキーとレニングラードフィルによって初演されている。こちらは1953年に発表され、それ以前の作品とちがって吹っ切れた感じがする。といっても決して明るくはなく、わざとらしさや屈折したところが少ないのである。ムラヴィンスキーは第1楽章の過去の苦しみへの回想を同時代者としての共感を持って描ききる。スターリンの死を待っていたかのように発表された曲であり、聴衆もピンとくるところがあったに違いない。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1972 & 76 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25198 2

Shostakovich: Nos. 6 & 10
ショスタコーヴィチ:6 & 10

Shostakovich: No.10

 
1. Symphony No.6 in B minor, Op.54 (1972.01.27)
2. Symphony No.10 in e minor, Op.93 (1976.03.31)
ムラビンスキー:ワーグナー

Wagner: Orchestral Music
Mravinsky Edition Volume 10

ファンに怒られるかも知れないが、ムラヴィンスキーのヴァグナーは珍品である。モーツァルトやベートーヴェン、ブラームスは得意なのに、ヴァグナー、そしてブルックナーとなるとどこかヘン。思うにあっさりしすぎているのである。どこまでも続く長い長い旋律と独特の和声が産み出す蠱惑的な世界。頽廃の一歩手前まで行ってしまった痺れるような快感。足を引きずるような管弦楽の厚さ、重さ。それらすべてがムラヴィンスキーでは希薄なのだ。たとえようもなく美しく陰影もあるけれど、その翳りは健康的であり、妖しさを持たない。その分気楽に聴けるとは言えるが。
そんなわけで『ヴァルキューレの騎行』や『マイスタージンガー前奏曲』、『ローエングリン第3幕前奏曲』あたりがいい。ブラスの切れ味のいい咆吼がスカッとさせてくれ、お得意の引き締まった疾走が活かされる。

 

Leningrad Philharmonic Orchestra
Yevgeny Mravinsky, conductor

・Recorded in 1965 - 82 (Live)
BMG/Melodiya
74321 25199 2

Wagner: Orchestral Music
ヴァグナー:管弦楽曲集

Mravinsky Edition 1-10
Mravinsky Edition 11-20

 
1. Die Meistersinger von Nurnberg, Prelude Act 1 (1982.01.31)
2. Lohengrin, Prelude Act 1 (1978.03.30)
3. Lohengrin, Prelude Act 3 (1965.02.23)
4. Tannhauser - Overture (1978.03.31)
5. Tristan und Isolde, Prelude and Death of Isolde (1978.03.31)
6. Gotterdammerung, Siegfried's Funeral March (1978.03.31)
7. Die Walkure, The Ride of the Valkyries (1965.02.23)
 
ヒストリカル 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / [10]
early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / theatrical / vocal works / contemporary / etc.