クラシックレビュー
協奏曲   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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協奏曲レビュー 1 / 2 / [3] / 4 / 5
early music / baroque / orchestral / chamber / instrumental
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.
 

ミスリヴェチェク

Myslivecek: Violin Concertos
Shizuka Ishikawa/ Dvorak Chamber Orchestra/ Pesek

ベートーヴェンの傑作は論外として、古典派には優れたヴァイオリン協奏曲がない。モーツァルトの5曲はかれにしては平凡な作だし…。そう思っていたが、有名な3人以外に目を向けると魅力的な作品が見つかった。ヨゼフ・ミスリヴェチェク(1737-1781)。モーツァルトと同時代の人で、モーツァルト父子と親交があったそうだ。
かれの作品の持つ雰囲気はモーツァルトに近い。古典的なバランス、美しく明快な旋律、自然な和声進行は聴いていて気持ちがいい。チャーミングな面もあり、人気作曲家だったという話も理解できる。少なくともヴァイオリン協奏曲ではモーツァルトに負けていないと断言しておこう。
演奏は石川静とリボル・ペシェクのコンビ。素直で楚々としたたたずまいだ。古楽器によるウォルフィッシュ(英ハイペリオン)の演奏も出ているが、この石川盤のほうが親しみやすい。

Shizuka Ishikawa, violin
Dvorak Chamber Orchestra
Libor Pesek, conductor

・Recorded in 1983 & 86
Supraphon Records
SU 0016-2 011

Myslivecek: Violin Concertos

第2集もある
Myslivecek: Violin Concertos, vol.2

 
1. Violin Concerto in C major
2. Violin Concerto in E major
  3. Violin Concerto in F major
4. Violin Concerto in A major
マンハイム楽派フルート協奏曲 Mannheim Flute Concertos
(Richter/ K. Stamic)

マンハイム楽派の長老フランツ・クサヴァー・リヒター(1709-1789)と中堅カール・シュターミツ(1745-1801)のフルート協奏曲が二曲ずつ収められている。ソリストはイルジー・ヴァーレク。
リヒターはシュターミツの父親ヨハン・シュターミツ(1717-1757)より年長。最初は歌手としてマンハイムの宮廷に雇われ、ここに聴かれるような落ち着いておだやかな作風の器楽曲を多く遺した。個人的感想だが同僚たちの中でいちばん美しい旋律を書いた人物じゃないだろうか。
カール・シュターミツの作品はリヒターよりヴィヴィッドな印象を受ける。しかしどちらも典型的な古典派の協奏曲であり、世代の差はそれほど感じられない。よくまとまった完成度の高い曲ばかり。マンハイム楽派を古典派以前の未熟な音楽、あるいはバロックと古典派のあいだの中途半端な音楽だと思ってる人がいるが、それは誤解というものだ。
ヴァーレクたちの真摯な演奏も好感がもてる。最初のホ短調の曲はロバート・ドーンやクイケンの録音と較べて初々しさと真面目さがきわ立つ。

 

Jiri Valek, flute
Dvorak Chamber Orchestra
Vladimir Valek, conductor

・Recorded in 1994
Supraphon Records
11 1872-2 031

Mannheim Flute Concertos

姉妹編もあり
Mannheim Flute Concertos
バルトルド・クイケンで
Flute Concertos

 
1. Richter: Flute Concerto in E minor
2. Richter: Flute Concerto in D major
  3. Stamic: Flute Concerto in D major
4. Stamic: Flute Concerto in G major
ヨハン・シュターミツ「オルガン協奏曲」

Jan Vaclav Stamic: Organ Concertos
Alena Vesela/ Dvorak Chamber Orchestra/ Valek

マンハイム楽派の中心人物、古典派を準備した作曲家として知られるヤン・ヴァツラフ・スタミツ(ヨハン・シュターミツ)のオルガン協奏曲集。
これらの作品の存在が知られたのは1966年、6曲からなる鍵盤楽器用協奏曲集のチェロ・パートが発見されたことによる。 その後オーケストラ・パート、鍵盤楽器のソロ・パートなどが相次いで発見され、6曲中の4曲までは演奏可能なかたちにまで復元された。当アルバムはその演奏可能になった4曲を録音したものだ。
正直なところ、わたしはJ. スタミツが苦手だった。新しいスタイルを開拓した人物にありがちなあざとさ、今ふうに言えばとんがったところがあったからだ。どうだ参ったか、って感じが。しかしこれらの協奏曲はスタミツにしてはおだやかな印象だ。落ち着いて聴いていられる。レパートリー的にも貴重だし、マンハイム楽派に興味のある方は是非…。

 

Alena Vesela, organ
Dvorak Chamber Orchestra
Frantisek Xaver Thuri, cembalo contiuo
Vladimir Valek, conductor

・Recorded in 1982 & 84
Supraphon Records
SU 3094-2 011

Stamic: Organ Concertos

 
1. Organ Concerto No.1 in D major
2. Organ Concerto No.2 in C major
  3. Organ Concerto No.3 in B-flat major
4. Organ Concerto No.4 in E-flat major
フランツ・クサヴァー・リヒター

Franz Xaver Richter: Wind Concertos
Dohn/ Lencses/ Slovak Chamber Orchestra/ Warchal

マンハイム楽派のなかでわたしが一番好きなフランツ・クサヴァー・リヒター。悪く言えば一番無難かも知れないが、音楽が自然で無理がないのである。かれは最初、歌手としてマンハイムの宮廷にやってきた。そのせいかどうか、メロディーラインの美しさと和声進行の流麗さは同僚たちの中でも群を抜いている。
そんなわけでたいへん耳あたりがいい。モーツァルト作品と較べても落ち着いていて刺激が少ない。言うなれば癒しのコンチェルト。そうはいっても音楽が単調なわけではなくて、『オーボエ協奏曲 ヘ長調』の第2楽章で聴かれる哀しみを含んだ抒情、『フルート協奏曲 ホ短調』の付点つきリズムの効果など、聴きどころには事欠かない。クセは強くないが個性はあるんである。一度おためしを。

 

Robert Dohn, flute
Lajos Lencses, oboe
Slovak Chamber Orchestra
Bohdan Warchal, conductor

・Recoeded in 1991 & 93
CPO 999 117-2

Richter: Wind Concertos

 
1. Flute Concerto in D major
2. Oboe Concerto in F major
  3. Flute Concerto in E minor
ドゥヴィエンヌ

Devienne: Bassoon Concertos
Huebner/ Slovak Chamber Orchestra/ Warchal

フランソワ・ドゥヴィエンヌ(1759-1803)はフルートとバスーンの名手だった。だからこの二つの楽器のための曲が多いのだが、LP時代はフルート曲ばかりが録音され、CD時代になったらバスーンの曲ばかり録音される。しかも市場を見るかぎり、フルートよりバスーンのほうが優れた録音が多いのだ。なんでじゃ。
このヒュプナー盤もその例にもれずたいへん優れたもの。フランスのモーツァルト(モーツァルトは世界中にいる!)と呼ばれたドゥヴィエンヌの快活でお洒落で気の利いた作風を見事に再現している。低音楽器だから鈍重だろうと思うなかれ。はずむリズム、素早いパッセージ、身軽な跳躍。作曲者自身もさぞかしうまかったんだろうなと思わせる小気味のいい演奏だ。
最後に入っている『変ロ長調』はモーツァルトの作品ではないかといわれるもの。モーツァルト唯一の(とされている)『バスーン協奏曲』と調性が同じ。しかし似ている度合いはほかの曲と変わらないと思う。表情ゆたかな曲で名技性という点でも満足度が高い。だれの曲でもいいじゃない。

 

Eckart Huebner, bassoon
Slovak Chamber Orchestra
Bohdan Warchal, conductor

・Recoeded in 1992
CPO 999 120-2

Devienne: Bassoon Concertos

Devienne: Flute Concertos
Devienne: Bassoon Sonatas

 
1. Bassoon Concerto No.4
2. Bassoon Concerto No.2
  3. Bassoon Concerto No.1
4. Bassoon Concerto in B-flat major
ロゼッティ

Rosetti: 3 Oboe Concertos
Lencses/ Slovak Chamber Orchestra/ Warchal

フランティシェク・アントニン・レスラー(c1750-1792)はボヘミアの生まれ。イタリア風のフランチェスコ・アントニオ・ロゼッティという名前で活動していた。現在交響曲、協奏曲、室内楽、ハープ曲などの録音が出ている。モーツァルトの同時代人で典型的な古典派の作曲家だ。
バランスのいい落ち着いた作風でおだやかな印象がある。しかしオーボエには華やかな技巧が要求され、魅力的な旋律が散りばめられている。オーケストラは弦楽にホルン、フルートが加わっただけのシンプルなもの。あまり小細工をせず典雅なハーモニーでソロを支えていく。
ソロはハンガリー出身のラーヨシュ・レンチェス。カデンツァはすべてかれ自身によるもの。

 

Lajos Lencses, oboe
Slovak Chamber Orchestra
Bohdan Warchal, conductor

・Recoeded in 1990
CPO 999 062-2

Rosetti: 3 Oboe Concertos

Rosetti: 3 Horn Concertos
Rosetti: Bassoon Concertos

 
1. Oboe Concerto in C major
2. Oboe Concerto in D major
  3. Oboe Concerto in F major
デュセック:ピアノ協奏曲ほか

Dussek: Piano Concertos
Staier/ Concerto Koeln

デュセック(=ドゥシーク 1760-1812)のピアノ協奏曲を古楽器で演奏したもの。古楽器界のポリーニと呼ばれるアンドレアス・シュタイアーと活きのいい古楽アンサンブル、コンチェルト・ケルンの顔合わせだ。
『協奏曲 ト短調』はベートーヴェンの『ピアノ協奏曲 第3.5番』といった感じ。1801年に出版されたこの作品はベートーヴェンの『第3番』と同じ時期に書かれ、一足先に初演されている。そして似ているんである。ベートーヴェンみたいな曲を書く人がほかにもいた!
きりりと引き締まった勇壮なアレグロ。ピアノの性能を最大限に発揮させる多彩で力強い展開。落差の大きい抒情的緩徐楽章(ベートーヴェンの『第4番』を連想した)。そしてみっちり書き込まれたヴィヴィッドなロンド。大団円に向かって高揚する技巧的・情熱的な疾走。どれをとってもすごいの一言。
『協奏曲 変ロ長調』はそれほどすごい曲ではないが、シュタイアーの起伏の大きい演奏によって手応え充分の仕上がりになっている。
オマケの『マリー・アントワネット』も要注目。この作品は『フランス王妃の受難』とも呼ばれ、ナレーション付きのピアノソロで王妃の生涯をつづるというもの。優雅な宮廷の暮らしから断頭台の露と消えるまでが描かれ、ギロチンの音まで入っている。デュセックはこのころ革命の難を逃れて英国に渡っており、留守中の悲劇を音で書きとめたことになる。

 

Andreas Staier, pianoforte
Concerto Koeln
Jean-Michel Forest, narrator (3)

・Recorded in 1995
Delta Music
Capriccio 10 444

Dussek: Piano Concertos

Piano Concertos & Sonata

 

1. ピアノ協奏曲 ト短調 作品49(1801)
2. ピアノ協奏曲 変ロ長調 作品22(1793)
3. マリー・アントワネット 作品23(1793)

サリエリ

Antonio Salieri: Piano Concertos
Pietro Spada/ Philharmonia Orchestra

メインディッシュのピアノ協奏曲以外は楽しめる。なんてこと言ったらサリエリに失礼かな。だけど一番かっこいいのは5分前後しかない二つの序曲なのだ。どちらも引き締まってドラマチックな、聴き応えのある作品だ。
『スペインのフォリアによる24の変奏曲』も楽しめる。ソロ・ヴァイオリンが活躍するというのが面白い(コレッリを意識したかも)。オーケストレーションもいろいろ工夫が施されてじつに華やか。悪く言えば派手。あの荘重な主題からこれほどの千変万化な変奏曲を書いた人は他にいないだろう。ただ解説書がラヴェルの『ボレロ』を引き合いに出しているのは無理がある。それほどのものじゃないでしょ。
二つの協奏曲は古典派の様式にそってそつなく書かれてはいる。しかし無難すぎる。これまで聴いた範囲では、サリエリは声楽曲のほうがうまい。

 

Pietro Spada, piano & conductor
David Nolan, violin
Philharmonia Orchestra

・Recorded in 1994
Academy Sound & Visions
ASV CD DCA 955

Salieri: Piano Concertos

サリエリ作品集
Salieri: Konzerte
Salieri: Overtures, etc.
Salieri: Serenades for Winds

 
1. 序曲『ホレーショ』(1786)
2. ピアノ協奏曲 ハ長調(1773)
3. 序曲『セミラーミデ』(1782)
  4. ピアノ協奏曲 変ロ長調(1773)
5. スペインのフォリアによる24の変奏曲(1815)
ホルン協奏曲集

Haydn/ Danzi/ Rosetti: Horn Concertos
Baumann/ Concerto Amsterdam/ Schroeder

時代の古いホルン協奏曲では『ターフェルムジーク』第3集にある『2つのホルンのための協奏曲』が好み。あれはこの分野の最初期の傑作と言えるだろう。で、古典派時代ではモーツァルトが有名すぎるのでこの辺を聴くことが多い。へそ曲がりじゃなくて耳タコを避けるという意味で。
ハイドン(1732-1809)は何かひょうきんなことをやってくるかと思ったら至極まとも(何を期待しているんだ!)な曲だった。無理のない音域で楽器をのびのび歌わせている。なかでも第二楽章の美しさにはほれぼれする。
ダンツィ(1763-1826)はやさしく優雅な旋律に満ちている。しかしかれはホルンソナタ、木管五重奏など管楽器のための作品が多い作曲家だ。急速楽章では名手ならこれくらいはできるだろうとばかり難しいパッセージを散りばめてくる。躍動感が素晴らしい。
ロゼッティ(1750-92)は最近ようやく録音が多くなってきたので古典派ファンならご存知だろう。ハイドンなみのバランスのよさとモーツァルトなみの優雅さをもち、楽器用法の巧みな作曲家だ。この作品でもオーケストレーションのうまさが十分に発揮され、のどかなホルンの音色と管弦楽との対比、融合がさまざまに楽しめる。

 

Hermann Baumann, horn
Concerto Amsterdam
Jaap Schroeder, conductor

・Released in 1969
Teldec Classics International
0630-12324-2

Horn Concertos

Classical Horn Concertos
Horn Concertos (Tuckwell)
Czech Horn Concertos
Concertos for 2 Horns

 
1. Haydn: Concerto for Horn and Orchestra in D major, Hob. VIId:3
2. Danzi: Concerto for Horn and Orchestra in E major
3. Rosetti: Concerto for Horn and Orchestra in D minor, Kaul III:43
 
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