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Clementi:
Sonatas for the Pianoforte
Jos Van Immerseel
いわゆる「魔笛ソナタ」を収めたアルバム。クレメンティがモーツァルトとピアノ競争をしたときに演奏したとされる曲だ。モーツァルトはそのモチーフを『魔笛』の序曲にちゃっかり使ってしまった。パクられたクレメンティは、のちにこのソナタを出版するに当たり、パクリでないことを説明しなければならなかったという。聴いてみるとたしかに楽想がそっくりだ。
そういう話題性を抜きにしても、4曲とも名手の手になることを実感させられる佳品ばかり。学習者用のソナチネしか知らないなんてもったいない。インマゼールの演奏も楽器の特性を活かした好演。曲そのものが、ストロークが小さく、キーが軽く、流れるような演奏がしやすいという、当時のピアノの特徴に合わせて作られているわけで、これくらいの軽快なアプローチが正解というものだろう。
ジャケ写にロンドン工房で制作されたクレメンティのピアノ(銘板の部分)が使われているので誤解しやすいが、録音に使ったピアノはヴィーンのローゼンベルガーによるもの。楽器の状態もよい。
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Jos Van Immerseel, pianoforte
(Michael Rosenberger, Vienna ca.1795)
・Recorded in 1979
Accent ACC 67911 D
Clementi:
Piano Sonatas
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1. Sonata in B-flat
major, op.24 no.2
2. Sonata in F-sharp minor, op.25 no.5 |
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3. Sonata in G minor, op.37
no.2
4. Sonata in F monor, op.13 no.6 |
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Clementi:
3 Sonatas & Monferrinas
John Khouri
ロンドンのチープサイドにあったクレメンティ工房で作られたフォルテピアノを使用した録音。演奏はジョン・コウリ。
この中でいちばんよく演奏されるのはロ短調のソナタだろう。ゆたかな情感に満ち、起伏のあるドラマチックな展開をもつ名品だ。古典派をつき抜け、ロマン派に一歩踏み込んだ自由な世界が広がる。わたしは聴くたびにベートーヴェン後期のソナタを思い出す。
他のソナタはロ短調と比べると居ずまいを正した感じ。端正な古典派スタイルで書かれている。ト長調は旋律線の美しさが特徴。展開も機械的なところが全くなく、自然で手際がよい。転調や強弱の表情も効果的だ。
気がついたのは音色の変化。弱音(ウナコルダ)で音色が変わるのだ。現代のピアノは音色の均質化が図られていて、低音から高音まで、また強音から弱音まで、ほぼ同じ音がする。しかしこの時代のピアノは音色が変化するのだ。クレメンティはそういう特徴をふまえて書いているのだろう。弱音になったときにふっと音色が変わるのが魅力的だ。この楽器は高音域でもちょっと音色が変わるので、その辺を気をつけて聴いてみると面白いと思う。
というわけで、曲を楽しむほかに楽器の特徴を聴く楽しみがある。ピアノの歴史、あるいはフォルテピアノに興味のある人にもお奨めしたいアルバムだ。
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John Khouri, pianoforte
(Clementi, London ca.1806-07)
・Recorded in 1998
Music & Arts
CD 1055
Clementi:
3 Sonatas
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1. Sonata in G
major, op.40 no.1
2. Sonata in B minor, op.40 no.2 |
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3. Sonata in D major, op.40
no.3
4. 4 Monferrinas, op.49 |
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Clementi:
Music for Fortepiano
Gert Hecher
最初に入っている嬰ヘ短調のソナタは独特の暗さをもっている。悲痛な中間楽章をはさむ急速楽章でさえ、幻想的な暗さ、哀しみを含んでおり、モーツァルトの「走る哀しみ」とはちょっと違った、ロマン派的な重さを感じさせる。音の選び方にも繊細さが感じられ、クレメンティのセンスのよさがわかる作品だ。
二曲目の変ロ長調ソナタは三曲中いちばん早い時期のもので、30歳ころの作品。軽やかで楽しい曲だ。第三楽章が13分半もある変奏曲になっていて、主題は『わたしはランドール』。そう、モーツァルトの変奏曲(KV354)と同じ主題なのだ。聴きくらべるのも面白い。
三曲目のロ短調ソナタはかなり自由な構成。50歳のころに書かれており、テンションの高い、聴き応え十分の作品だ。ベートーヴェン後期の作品を思い起こさずにはいられない。この曲はわたしがひそかに(?)名曲の称号をたてまつっている作品で、上記ジョン・コウリの明晰な演奏と、主情的ともいえる当盤をともに愛聴している。
三曲の作曲時期にはそれぞれほぼ十年の間隔があるので、クレメンティの作風の変遷を知るには好適。ヘッヒャーの個性的な演奏も面白い。クレメンティのソナタはモーツァルトふうに弾く人もいるが、ヘッヒャーのアプローチは言うならばベートーヴェンふう。けっこうダイナミックで、クレメンティの先進性が際だってきこえるのはそのせいかも知れない。嬰ヘ短調のソナタ(1)を上記インマゼール盤と聴き較べるとよく分かると思う。
使用されているシュタインのフォルテピアノ(1819年製)の状態も良好。
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Gert Hecher, pianoforte
(Stein, Vienna 1819)
・Recorded in 1994
Dorian Recordings
DIS 80134
Clementi:
Music for Fortepiano
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1. Sonata in F-sharp minor, op.25 no.5
2. Sonata in B-flat major, op.12 no.1
3. Sonata in B minor, op. 40 no.2
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Clementi:
Sonatas for Pianoforte
Laure Colladant
コラダンによるクレメンティのソナタ集。初期から中期の作品でまとめられている。4曲とも短調の作品という選曲は興味深い。また出版の順に演奏されているため、モーツァルトふうの軽みをもった作風が次第に重みと厚みをもつものに変化していくのが聴きとれる。
嬰ヘ短調のソナタは上記ヘッヒャー盤にも書いたとおりロマン派的。1790年に出版されているが、ベートーヴェンはこのときまだ二十歳。ソナタを一つも発表していなかった。クレメンティの先進性がわかる作品だ。
1795年出版の『ソナタ ト短調』はぐっとスケールが大きくなる。ベートーヴェンみたいな表情記号“Allegro con fuoco”(情熱をもって急速に)をもつ第一楽章はクレメンティ版の『熱情』だ。変ホ長調に転じる第二楽章も劇的な深みを感じさせる。そしてふたたび激情をほとばしらせるフィナーレがくる。鍵盤上をめまぐるしく駆けまわる右手。力強く厚い和音のアタックを加えつづける左手。素晴らしい高揚のうちに曲は締めくくられる。これは数多いクレメンティのソナタの中でも最も優れた作品の一つだろう。
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Laure Colladant, pianoforte Molitor
・Recorded in 1999
Mandala MAN 4970
Clementi:
Sonatas for Pianoforte
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1. Sonata in G
minor, op.7 no.3
2. Sonata in G minor, op.8 no.1 |
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3. Sonata in F-sharp minor,
op.25 no.5
4. Sonata in G minor, op.34 no.2 |
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Clementi:
Sonatas
Andreas Staier
シュタイアーはときに力強すぎると感じられることがある。アタックが鋭いからだろう。しかしクレメンティとの相性はよかった。名曲『ソナタ
ト短調 作品34の2』のすごさがこれほど如実にわかる演奏はほかにない。上記コラダン盤の軽やかなアプローチでもすごさはわかるが、やはり迫力がひとまわり違う。
楽器のちがいもある。シュタイアー所有のブロードウッドはイギリス式アクションと呼ばれる機構をもつもの。大陸のピアノより大きくゆたかな音を出すことができた。クレメンティもロンドンでピアノ工房をやっていたわけで、当時のピアノの表現力を最大限に活かす曲を書いていたのである。
このアルバムはクレメンティのユーモアにも着目したものだという。『ハイドン風前奏曲』『モーツァルト風前奏曲』『奇想曲』のほか、フランスの子どもの歌を素材にした『幻想曲』が収められている。迫力あるソナタ3曲の合間に肩の凝らない親しみやすい曲が聴けるしかけ。…いや、最後の曲は例外だ。この愛らしい曲が超絶技巧雨あられのド迫力ピースに変容していくなんて、だれが想像できるだろう。これをステージでやったら大うけだろうなぁ。
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Andreas Staier, pianoforte Broadwood
・Recorded in 1999
Teldec Classics International
3984-26731-2
Clementi:
Sonatas
クレメンティ:ソナタ集
同じ録音かも知れない
Clementi:
Sonatas
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1. Prelude alla
Haydn
2. Sonata in F minor, op.13 no.6
3. Capriccio in B-flat major, op.17
4. Sonata in G minor, op.34 no.2 |
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5. Prelude alla Mozart
6. Sonata in F major, op.33 no.2
7. Fantasia on "Au clair de la lune", op.48 |
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Leopold
Kozeluch: 4 Sonatas for Pianoforte
Diane Andersen
レオポルト・コジェルフ(1747-1818)はさまざまな分野に優れた作品を遺した。現在入手できる交響曲、協奏曲、室内楽、ピアノ曲のいずれもが、かれが古典派の王道を行く作曲家だったことを示している。
1785年から1789年にかけて書かれたこれらのピアノソナタはナポリ派の影響が指摘されるもの。『作品30』のセットはヴィーンで出版されている。聴いた感じではベートーヴェンに通じる明確さと力強さを持っており、同世代のモーツァルトにはあまり似ていない。若い頃のベートーヴェンを華やかにした感じと言えばいいだろうか。
どれも魅力的だが『第19番 変イ長調』の第1楽章が変奏曲になっていて楽しい。作品番号のない『第26番 ニ長調』のはずむようなリズムも素晴らしく、端正な「アダージョ」につづく颯爽とした最終楽章「ロンド・アレグロ」は秀逸。
ディアーヌ・アナスンはデンマーク人の父親を持つベルギーのピアニスト。ブリュッセルの王立音楽アカデミーの教授を努めている。確かな技術と柔軟な音楽性の持ち主で、埋もれた作品の紹介に積極的。ただ惜しいことに入手可能なCDが少ない。
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Diane Andersen, pianoforte
(A. Walter, 1795)
・Recorded in 1996
Classic Talent
DOM 2910 32
Kozeluch:
Sonatas for Pianoforte
→Diane
Andersen
Tansman:
Mazurkas
Jongen:
Piano Works
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1. Sonata in B-flat major, Op.30 No.1
2. Sonata in C major, Op.30 No.2
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3. Sonata in A-flat major,
Op.30 No.3
4. Sonata in D major, WoO. |
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Mozart:
Complete Solo Piano Works
Walter Gieseking
モーツァルトのピアノ独奏曲全63曲を収めたギーゼキングの「偉業」アルバム。巨匠クラスの演奏家による同種の録音は全くない。ギーゼキングのレパートリーは恐ろしく広かったけれども、モーツァルトとドビュッシーはとくに優れており、幸いなことにどちらも全集録音が遺されている。
かれのモーツァルトはナチュラルさが最大の美点だ。肘から先だけで軽々と弾いており、大きな表情づけやダイナミズムの変化はない。あまりに淡々としているので、演歌ふうの演奏が好きな人は興味を示さない。しかし曲が書かれた時代を考えるとこれが正解なのだ。古典派だというだけでなく、モーツァルトが弾いたピアノはキイのタッチが軽く、ストロークが小さく、たいして大きな音は出なかったのだから。だいいちピアノは全身で弾いたり顔で弾いたりしなくても充分表現力のある楽器なのだ。(どうもこの辺、ある特定の音楽評論家を意識してるな〜。)
演奏はどれも素晴らしいが、変奏曲が貴重だ。ソナタとちがって、変奏曲となると巨匠クラスの録音がほとんどないのだ。変奏曲の名手だったモーツァルトの名品の数々がこれほどの名演奏で聴けるのはこのアルバムを措いてほかにない。モーツァルトの変奏曲はよく聴くと繊細な工夫が施されている。転調をおこなう前の変奏に、転調を予告する音がさりげなく一つ二つ組み込まれていたりするのだ。唐突な印象を与えないためのアイデアと考えられる。凡庸なピアニストではそこがうまく聴きとれなかったりわざとらしく聴こえることがある。ギーゼキングはさすがにさらりと自然に表現しており、各変奏の描き分けも巧みだ。
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Walter Gieseking, piano
Complete
Solo Piano Works
ドビュッシーは
Complete
Works For Piano
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Complete
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