クラシックレビュー
器楽曲   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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ピアノ曲 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / [9] / 10
11
early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.
 
ルース・ラレード

Scriabin: 24 Preludes, Op.11 & 5 Preludes, Op.74
Ruth Laredo

米国には優れた女性ピアニストが少ないため、ルース・ラレードに対する米国内での評価は下駄を履かせられる場合が多い。「米国ピアノ界のファースト・レディ」という称号はその典型と言えるだろう。
レパートリーは広いが、掛け値なしに評価できるのはロシアものとスペインもの。なかでもラフマニノフとスクリャービンは優れた録音がいくつもある。当盤はスクリャービンの前奏曲集から『作品11』と『作品74』の全曲を選んだもの。若干思い入れの強い積極的アプローチでこれら性格的な小品群を巧みに描き分けていく。
スクリャービン初期の『24の前奏曲』はショパンふうでわかりやすい。晩年の『5つの前奏曲』は調性が失われてすっかりアヴァンギャルドになっている。ラレードは後者のほうにうまさを発揮し、作曲者が付した表記「悲痛な」「漠然と」「高慢に」などの再現を優先しているようだ。ピアニスティックな洗練より情感の表出に重きを置いているのだ。

Ruth Laredo, piano

・Released in 1990
KEM Enterprises Inc.
Phoenix PHCD 114

Scriabin: Preludes, Opp.11 & 74

The Complete Piano Sonatas
Rachmaninov: Preludes

Ruth Laredo HP

 
1. 24 Preludes, Op.11
2. 5 Preludes, Op.74
  3. Poem in F-sharp, Op.32 No.1
リスト:ピアノソナタ

Liszt: Sonata in B minor, 3 Sonnets, 2 Legends
Artur Pizarro

好きな曲ばかりだったので一も二もなく買ってしまったアルバム。ピアニストについては何も知らなかった。ピサロはポルトガルの生まれだそうで、いくつかコンクール優勝歴があるらしい。N響との共演歴もあるという。
ゆったりしたテンポで表情づけがゆたかな演奏。とくに『ペトラルカのソネット』が顕著で、若者らしからぬ(?)悠々としたテンポをとり、リズムを自在に伸縮させながらロマンチックな歌を紡いでいく。長大な『ソナタ ロ短調』でもその姿勢はかわらない。背景に壮大なドラマがあるかのごとく起伏に富む難曲。ややもすると散漫になりがちなこの曲を表情ゆたかに歌いながら、アルトゥール・ピサロは巧みにまとめあげていく。
わたしはリストの演奏は引き締まった端正なタイプが好きなはずだった。しかしピサロだと何の抵抗もなく聴けてしまう。何故だろう。若々しさがいいのかなぁ。

 

Artur Pizarro, piano Steinway

・Recorded in 1992
Collins Classics
13572

レーベル移行
Sonata in B minor, etc.

ピサロの録音
Hungarian Rhapsodies
Beethoven: Piano Sonatas
Rodrigo: Piano Music

 
1. ソナタ ロ短調
2. ペトラルカのソネット 第47番
3. ペトラルカのソネット 第104番
4. ペトラルカのソネット 第123番
  5. 2つの伝説曲
  I. 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
 II. 水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ
フレデリック・チュウ

Schubert-Liszt: Lieder Transcriptions
Frederic Chiu

シューベルト最後の歌曲集『白鳥の歌』をリストがピアノ独奏用に書き直したもの。同様の試みはラフマニノフやゴドフスキも行っているが、元祖はリストであり、しかも全曲のトランスクリプションである。ただの編曲ではない。リートの部分とピアノ伴奏部分を同時に弾くだけでなく、リストは音符をぎっしり書き加えてこれら愛すべき歌曲集をピアノのためのヴァーチュオーソピースに変身させてしまった。演奏時間も長くなっているものがあり、かなりの変容ぶり。有名な『セレナーデ』など主旋律の音域をさまざまに変えたりカノンを加えたり、思いがけない方向に展開していく。オマケの『ます』も3分43秒を要し、シューベルトの書いたせせらぎをあらわすピアノパートが迫力ある急流に変わっている。なんてぇことをするんだと怒るか、技のすごさを堪能するか、それは聴き手しだいってことで。

 

Frederic Chiu, piano

・Recorded in 1998
Harmonia Mundi
HMU 907239

Lieder Transcriptions

 
1. ます
2. 都会
3. 漁夫の娘
4. わが宿
5. 海辺で
6. わかれ
7. 遠い国で
8. セレナーデ
  9. かの女の絵姿
10. 春のあこがれ
11. 愛のたより
12. アトラス
13. 影法師
14. 鳩の使い
15. 戦士の予感
ゴドフスキー

Piano Music by Leopold Godowsky
Rian de Waal

ポーランド生まれのゴドフスキ(1870-1938)は20世紀前半を代表するピアノ・ヴァーチュオーソのひとり。作曲家としてはかわいらしい小品『なつかしきヴィーン』(9)のほか超絶技巧を駆使した難曲の数々で知られている。このアルバムはシューベルトを中心としたさまざまな有名曲のトランスクリプションを集めたもの。
最初に入っている『パッサカリア』はあの『未完成交響曲』冒頭のコントラバスで奏されるモチーフを用い、44の変奏曲、カデンツァとフーガを作りあげたという恐るべき作品。あんなに暗く重い素材が華麗な技巧に彩られた長大な変奏曲に変わっていくさまは誰しも驚くのではないだろうか。かのホロヴィッツさえ「演奏不能」と嘆いたと伝えられる作品である。
『楽興の時 第3番』『舞踏への勧誘』『芸術家の生涯』などのトランスクリプションも同じようなヴァーチュオーソピース。原曲の姿をとどめないほどに変容させられた曲もあり、圧倒的な音の洪水が聴き手を包み込む。

1. Passacaglia - 44 variations, cadenza & fugue on Schubert's 'Unfinished Symphony' (1927)
2. Das Wandern - Schubert/trns. Godowsky (1926)
3. Gute Nacht - Schubert/trns. Godowsky (1926)
4. Ungeduld - Schubert/trns. Godowsky (1926)
5. Aufforderung zum Tanz - Weber/truns. Godowsky (1905)
6. Ballet Music from 'Rosamunde' - Schubert/arr. Godowsky (1922)
7. Moment Mucsical in F minor - Schubert/trns. Godowsky (1922)
8. Kunstlerleben - Strauss/trns, Godowsky (1905)
9. Alt-Wien (1919)

 

Rian de Waal, piano

・Redorded in 1991
Hyperion Records
CDA66496

Piano Music by Godowsky

Sonata and Passacaglia

フィビヒ

Fibich: Moods, Impressions & Souvenirs
William Howard

ズデニェク・フィビフ(フィビヒ 1850-1900)のいわくつき作品『気分、印象と思い出』は1891年から94年にかけて作曲されたピアノ小曲集。なぜいわくつきなのかというと、全部で376曲に及ぶ小品の一つひとつが日記になっているから。しかもそれが不倫の日記なのだ。相手はアネズカ・シュルゾヴァ。かの女は18歳のときフィビフのピアノの弟子となった。当時としては稀な解放された女であったアネズカはフィビフの心を捉え、二人は恋仲となった。
1〜2分程度の短い曲ばかり。情熱的な曲、愉快な曲や悩ましい曲、深刻な曲が次々と現れ、それぞれがその日の二人の愛の記録なのだ。いやはやなんとも。
このアルバムは40曲の抜粋。12枚バラ売りの全曲盤がスプラフォンから出ているので不倫につき合ってみたい方はそちらを。演奏はラプシャンスキでこのハワード盤よりうまい。共感が感じられる(共感してどーする)。ハワードもテンポを動かして情感は豊かだが、ピアニスティックにまとめている。迫力ならこちらか。
ちなみによくヴァイオリンで演奏される『詩曲』は当曲集に含まれるもの。オリジナルは第139番 変ニ長調。

 

William Howard, piano

・Recorded in 1993
Chandos Records
CHAN 9381

Moods, Impressions & Souvenirs

全曲録音は
Moods, Impressions... Vol.1
Moods, Impressions... Vol.2
Moods, Impressions... Vol.3
......

 
1. Moods1 Part I: No.44 in B Flat major
2. Moods Part I: No.4 in G minor
3. Moods Part I: No.8 in E-flat major
4. Moods Part I: No.13 in A-flat major
5. Moods Part I: No.14 in D minor
6. Moods Part I: No.15 in C major
7. Moods Part I: No.19 in E minor
8. Moods Part I: No.21 in B-flat minor
9. Moods Part I: No.24 in G minor
10. Moods Part I: No.25 in F minor
11. Moods Part I: No.36 in B-flat major
12. Impressions Part II: No.49 in A-sharp minor
13. Impressions Part II: No.50 in A-flat major
14. Impressions Part II: No 51 in F minor
15. Impressions Part II: No.52 in F major
16. Impressions Part II: No.54 in A-flat major
17. Impressions Part II: No.74 in E major
18. Impressions Part II: No.78 in G major
19. Impressions Part II: No.85 in G minor
20. Impressions Part III: No.88 in A-flat major
  21. Impressions Part III: No.94 In A-flat major
22. Impressions Part III: No.98 in B-flat major
23. Impressions Part III: No.99 in A-flat major
24. Impressions Part III: No.103 in A minor
25. Impressions Part III: No.106 in A-flat major
26. Impressions Part III: No.108 in C major
27. Impressions Part III: No.109 in C major
28. Impressions Part III: No.122 in F minor
29. Impressions1 Part III: No.123 in G minor
30. Impressions1 Part III: No.124 in G major
31. Souvenirs Part IV: No.127 in C major
32. Souvenirs Part IV: No.134 in A minor
33. Souvenirs Part IV: No.135 in A major
34. Souvenirs Part IV: No.139 in D-flat major
35. Souvenirs Part IV: No.143 in B-flat minor
36. Souvenirs Part IV: No.146 in G major
37. Souvenirs Part IV: No.149 in D major
38. Souvenirs Part IV: No.154 in G major
39. Souvenirs Part IV: No.158 in C minor
40. Souvenirs Part IV: No.161 in B-flat major
リャードフ:音楽玉手箱

Liadov: Marionette & Other Piano Music
Stephen Coombs

アナトール・リャードフ(1855-1914)のピアノ独奏曲集。『キキモラ』『ババ・ヤガー』『8つのロシア民謡』などの管弦楽曲で知られる人物だが、じつはその作品の大半を占めるのがピアノ独奏曲。あまり演奏されないのはおそらく玉石混淆だからで、こういう丹念に玉だけを拾い出してくれたアルバムはありがたい。聴いてみるとリャードフは小品にうま味を発揮することがわかる。最初と最後によく書き込まれた変奏曲が置かれているのだけれど、間に置かれたそこはかとない小曲たちのほうがはるかに輝いているのだ。前奏曲などはショパンの影響が強いものの、ロシアふうの抒情漂う小品や子どもへの愛情を感じさせるかわいらしい作品など、魅力的なものが多い。『音楽玉手箱 作品32』(8)はピアノでオルゴールを真似た楽しい作品で、これには管弦楽版もある。

 

Stephen Coombs, piano

・Recorded in 1997
Hyperion Records
CDA 66986

♪ A Musical Snuffbox

Liadov: Solo Piano Music

Liadov: Orchestral Works

 

1. Variations on a Polish Folk Theme, Op.51
2. Marionette, Op.29
3. Three Pieces, Op.11
4. Two Pieces, Op.24
5. Three Pieces, Op.57
6. Little Waltz in G major, Op.26

  7. Three Preludes, Op.36
8. A Musical Snuffbox, Op.32
9. Barcarolle in F-sharp major, Op.44
10. Four Pieces, Op.64
11. Variations on a Theme by Glinka, Op.35
リャードフ:ピアノ曲集

Lyadov: A Piano Anthology
Inna Poroshina

こちらのリャードフは1994年にキエフで録音されたもの。ポロシナのピアノは上記クームスほどには冴えない(というより素人っぽい)が曲目が面白い。いくつもの曲集からマズルカだけ、前奏曲だけを選び出して並べていたりするので、同じ曲種でも曲ごとにあれこれ工夫されているのがわかりやすいのである。単独の作品ではクームスもやっていた『音楽玉手箱』のほか、『舟唄』『古き日々より』などが美しい。このあたりがリャードフらしさの発揮された作品たち。
作品番号の若い小曲集『麦わら遊び 作品2』はシューマンの作品を連想させ(『謝肉祭』に似ている!)、ショパン以外の作曲家の影響もあるのだった。その一方でのちの作品はスクリャービンを予見させるような和声が聴かれる。リャードフは20世紀に足を踏み入れていたのだった。

 

Inna Poroshina, piano

・Recorded in 1994
ESS.A.Y Recordings
CD1045

Lyadov: A Piano Anthology

Balakirev: Piano Music

 
1. 5 Mazurkas
2. 4 Bagatelles
3. 6 Preludes
4. Four Preludes, Op.46
5. Spillikins, Op.2
6. Barcarolle in F-sharp major, Op.44
  7. Waltz in E, Op.57-2
8. Musical Snuffbox, Op.32
9. From Days of Old, Op.21
10. Beautiful, Op.57-1
11. Four Pieces, Op.64
アルベニス、グラナドス、ファリャ

Albeniz, Granados & Falla: Works for Piano
Block, Soriano, Ciccolini, Llacuna

写真はスペイン近代の代表的作曲家アルベニス、ファリャ、グラナドス。かれらの主要ピアノ作品がほぼ網羅されたお買い得5枚組。ピアニストはミシェル・ブロック(ベルギー)、アルド・チッコリーニ(伊→仏)、ゴンサロ・ソリアーノ(西)、テレザ・リャクーナ(西)の4人。1956年から1978年までの録音が集められている。

チッコリーニの『ゴイェスカス』のようにかつて評判のよかった録音も含まれているが、わたしの聴きたかったのはソリアーノの4曲(下記参照)。このうちファリャ以外はCD初出じゃないだろうか。かれのレパートリーは女王ラローチャと重なるせいか忘れられ加減だが、女王にはない庶民的味わいがあって好きである。
むかしLPでよく聴いていた『スペイン舞曲集』はことにもの憂げな翳りが絶妙。イベリアの強い陽射しと、それゆえに深く濃い闇。血の意志に導かれるままの人生がもたらす高揚、狂騒、哀しみ、悩み。そういったものが薄いヴェールをかけられたように甘美に昇華されて聴き手をとらえる。グラナドスの旋律はときにサルスエラのアリアを連想するほど平明で甘い。そしてソリアーノの歌い回しも気ままに揺れる。どっぷり浸りながら聴くにはいいのである。

ブロック、リャクーナもなかなかよかった。リャクーナの情熱的なファリャは拾いもの。ブロックの『イベリア』も品があって美しい。録音は1956年から1978年までで、すべてアナログのステレオ録音。一部に音のぱさついた感じのものがあるが、それほど気にならない。しかしブックレットはちと簡略にすぎるだろう。言語がフランス語のみというのもサービス悪すぎ。

《ミシェル・ブロック》
アルベニス:ピアノのための組曲「イベリア」/ナヴァーラ(遺作)

《ゴンサロ・ソリアーノ》
アルベニス:スペイン組曲 作品47/組曲「スペイン」作品165
グラナドス:スペイン舞曲集 作品37
ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」

《アルド・チッコリーニ》
グラナドス:ゴイェスカス

《テレザ・リャクーナ》
グラナドス:ゆっくりした舞曲/演奏会用アレグロ
ファリャ:スペイン舞曲(はかなき人生)/粉屋の踊り(三角帽子)/4つのスペイン小品
火祭りの踊り(恋は魔術師)/ベティカ幻想曲/ポール・デュカスの墓碑銘のために

 

Michel Block, Gonzalo Soriano,
Aldo Ciccolini, Teresa Llacuna, piano
Orchestre de la Societe des Concerts du Conservatoire
Rafael Fruhbeck de Burgos, conductor

・Recorded in 1956 - 78
EMI Classics (5CDs)
0946 336139 2 8

Albeniz, Granados & Falla

 
器楽曲 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / [9] / 10
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early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.