ジャズCDレビュー
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バードランド1

バードランド2

Art Blakey Quintet: A Night at Birdland, Vol.1 & 2

1954年2月21日、アート・ブレイキーがクリフォード・ブラウン、ルー・ドナルドソン、ホレス・シルヴァー、カーリー・ラッセルを率いて録音したバードランドでのライヴは、ハードバップ誕生を告げるものとして知られる。ブラウニーの輝かしいソロ、パーカー直系ドナルドソンの熱いアドリブ、シルヴァーのアーシーな個性、そして恐るべきパワーとテクニックを見せつけるブレイキー。それぞれがベスト・パフォーマンスといえる素晴らしいできばえだ。
とくにブラウニーの天才ぶりには圧倒される。フレージングが完璧なのだ。どの曲もすごいが、なかでも“Once in a While”のブラウニーは生涯最高のバラッドプレイではないだろうか。バラッドといえば、ドナルドソンのバラッド“If I had you”がいい。“Blues”のブルージーな味わいも。ただこの曲、“Please Send Me Someone to Love”だと思うんだけど…。
リーダーもほめておかないといけない。パワー全開のソロはもちろん、独特の「オカズ」をまじえてメンバーを鼓舞するさまがじつに面白い。

※左のジャケットデザインは10インチLPのもの。12インチのジャケットはカバーの中にある。

 

Clifford Brown, trumpet
Lou Donaldson, alto sax
Horace Silver, piano
Curly Russell, bass
Art Blakey, drums

・Recorded in 1954

A Night at Birdland, Vol.1
A Night at Birdland, Vol.2

国内盤2枚組は
コンプリート・バードランド

 
Volume 1
1. Split Kick
2. Once in a While
3. Quicksilver
4. A Night in Tunisia
5. Mayreh
6. Wee Dot (alternate)
7. Blues (improvisation)
  Volume 2
1. Wee Dot
2. If I Had You
3. Quicksilver (alternate)
4. Now's the Time
5. Confirmation
6. The Way You Look Tonight
7. Lou's Blues
アート・ブレイキー「モーニン」

Art Blakey & the Jazz Messengers: Moanin'

上記『バードランド』に続くアート・ブレイキーのエポックメイキングなアルバム。どちらもジャズ界に多大な影響を及ぼしたのだが、一般的にはこの『モーニン』のほうが有名だろう。入門者のかたは『バードランド』じゃなくてこちらから始められるといい。失神しなくてすむから。
このアルバムにはモダンジャズのさまざまな要素が判りやすく示されている。典型的なクインテットであること、トランペット、テナーサックス特有の音色やフレージングがわかること、ジャズドラムの多彩な表現が聴けること、などなど。曲が親しみやすいのもいい。すぐ覚えられるシンプルなテーマ。それをもとにして自由にアドリブが展開されるようすがわかると思う。
なぜエポックメイキングだったかというと、このアルバムがファンキーブームに火を点けたからだ。1950年代後半は公民権運動などを通じて米国黒人の自意識がたかまっていた時代。黒人のジャズミュージシャンたちも自分たちの伝統文化を反映した音楽を模索していた。ブルーズへの回帰もそのあらわれだった。『モーニン』は黒人教会の応答形式(コール・アンド・レスポンス)を採り入れたもの。神父が短いフレーズを歌い、会衆がそれに応えるというもの。同じ形式で書かれた曲はほかにもあるが、ダントツの大ヒットがこの『モーニン』だった。
黒っぽさを強調したこれらのジャズはファンキーと呼ばれ、世界中に大ブームを巻き起こした。アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズはファンキーの伝道者として世界各地を巡り、ジャズファンの増大に貢献したのである。

 

Lee Morgan, trumpet
Benny Golson, tenor sax
Bobby Timmons, piano
Jymie Merritt, bass
Art Blakey, drums

・Recorded in 1958

Art Blakey: Moanin'
アート・ブレイキー:モーニン

パリでの伝説のライヴ
サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ
オランピア劇場ライヴ

 
1. Moanin'
2. Are You Real?
3. Along Came Betty
4. The Drum Thunder Suite
  5. Blues March
6. Come Rain or Come Shine
7. Moanin' [Alternate take]
シェリー・マン

Shelly Manne's "The Three" & "The Two"

シェリー・マンのトリオとデュオ。10インチLPの2枚をまとめたもので、このカタチの12インチが出ていたこともある。右記のように珍しい組み合わせのセッションだ。
いずれもドラムスが通常編成の時より雄弁に自己主張している。つまりシェリー・マンのスーパー・ドラマーぶりがたっぷり味わえるわけだ。唯一無二の卓越したブラシワークはもちろん、スティックを持たせてもかれが超一流だったことがよくわかる。叩きまくってもうるさくなったり下品になったりしないのが素晴らしい。
ショーティ・ロジャース、ジミー・ジュフリとのトリオは木管を使い分けるジュフリの活躍で変化のある演奏になっている。アンサンブルや3者の掛け合いに工夫があり、単純なお気楽セッションではない。近代クラシックの室内楽みたいな曲もあるが、パーカーの“Steeplechase”のように歯切れよく疾走する爽快な演奏もある。
デュオの相方ラス・フリーマンが素晴らしい。かれはちょうどこのころチェット・ベイカーのクァルテットで名演をのこしており、絶頂期にあった。すごいピアニストではないがブルーズのセンスが抜群で“Everything Happen to Me”などで聴かせるバラッドプレイも抒情味あふれるもの。オリジナルを3曲提供していて、どれも気の利いたかっこいい作品だ。マンはいい相手を選んだ。かれはのちに自分のグループにフリーマンを招いていくつもの録音をのこしている。

 

<The Three>
Shelly Manne, drums
Shorty Rogers, trumpet
Jimmy Giuffre, tenor & baritone saxes,
 clarinet
--------
<The Two>
Shelly Manne, drums
Russ Freeman, piano

・Recorded in 1954

"The Three" & "The Two"
ザ・スリー&ザ・トゥー

同じ趣向で
2-3-4

 
<The Three>
1. Flip
2. Autumn in New York
3. Pas de Trois
4. Three On A Row
5. Steeplechase
6.: Abstract No.1
  <The Two>
7. The Sound Effects Manne
8. Everything Happens to Me
9. Billie's Bounce
10. With a Song in My Heart
11. A Slight Minority
12. Speak Easy
マイ・フェア・レディ

Shelly Manne & his Friends: My Fair Lady

ウェストコースト・ジャズの金字塔のひとつ。リリースと同時にブロードウェイ作品のジャズ化アルバムとしては空前の大ヒットとなった。功労者はアンドレ・プレヴィン。アレンジもうまいしピアノもうまい。なにしろ誰でも知っている曲ばかり。アレンジのひねりをそこそこに抑え、ミュージカルの楽しさをそのままジャズに移し替えている。初心者マークをつけたのは、よく知られた曲がジャズ化されるとどんなふうに変わっていくのかが理解できると思ったから。トリオの楽しさもよくわかるし。
ただ原曲のテンポにこだわっていないので、中には虚をつかれた感じがするものもある。それも慣れれば新たな魅力を引きだしたものだと納得が行く。ソロもなかなかアグレッシヴだ。自由なコード解釈でアドリブしているから今聴いても感覚が新しい。通の方にも十分お奨めできる内容だ。

 

Shelly Manne, drums
Andre Previn, piano
Leroy Vinnegar, bass

・Recorded in 1956

My Fair Lady
マイ・フェア・レディ

リマスター盤は
My Fair Lady (Rmst)

King Size!

 
1. Get Me to the Church on Time
2. On the Street Where You Live
3. I've Grown Accustomed to Her Face
4. Wouldn't It Be Loverly?
  5. Ascot Gavotte
6. Show Me
7. With a Little Bit of Luck
8. I Could Have Danced All Night
ピーター・ガン

Shelly Manne & His Men Play Peter Gunn

ウェスト・コースト・ジャズを隆盛に導いた白人ミュージシャンたちは、ハリウッドのスタジオで映画音楽をやっていた連中だった。初見で演奏できるくらいの音楽的素養のある音楽インテリ。かれらはバップ・ムーヴメントや『クールの誕生』の影響を受けながら、いかにも白人的なソフトで洗練されたジャズを産み出した。
このTVシリーズ『ピーター・ガン』の音楽も、かれらにしてみればお手のもの。ましてジャズ化となれば。興味深いのは作曲者ヘンリー・マンシーニ本人が編曲を担当していること。『ピンク・パンサー』や『シャレード』もでわかるように、マンシーニのジャズセンスはあなどれないものがある。
コンテ・カンドリ、ハーブ・ゲラーのフロントラインにヴィクター・フェルドマンのヴァイブ&マリンバが加わったセクステット。フェルドマンの参加によってサウンドに変化が生まれ、マンシーニの粋なアレンジのせいもあってお洒落なアルバムになっている。かっこいいけどあまり「スリルとサスペンス」を強調していないので、マンシーニのオーケストラ版を知っている人は軽いな〜と感じるかも知れない。
曲はすべてが『ピーター・ガン』のテーマというわけではなく、スタンダード化した名曲 “Dreamsville”が入っていたりする。ゲラーの美しいアルトソロは聴きものだ。他のメンバーではフェルドマンが目立つ。ソロもいいが、ミステリアスな雰囲気をかもし出すバッキングもうまい。

 

Shelly Manne, drums
Conte Candoli, trumpet
Herb Geller, alto sax
Victor Feldman, vibes & marimba
Russ Freeman, piano
Monty Budwig, bass

・Recorded in 1959

Shelly Manne & His Men Play Peter Gunn

同様の趣向で
Songs from Pal Joey
Daktari

ヘンリー・マンシーニは
モア・ミュージック・フロム・ピーター・ガン
ベスト・オブ・ヘンリー・マンシーニ
ティファニーで朝食を
シャレード
The Pink Panther

 
1. Peter Gunn
2. The Floater
3. Sorta Blue
4. The Brothers
5. Soft Sounds
  6. Fallout
7. Slow and Easy
8. Brief and Breezy
9. Dreamsville
10. A Profound Gass
チェックメイト

Shelly Manne & his Men: Checkmate

『スター・ウォーズ』や『ハリポタ』で知られる作曲家ジョン・ウィリアムスがジャズ・ピアニストだったというのは意外に知られていない。かれはピアノを弾くかたわら1950年代前半から映画やTVの音楽を書いており、これもTVシリーズ『チェックメイト』のために書かれたもの。演奏しているのはシェリー・マン率いる西海岸のミュージシャンたち。みんなジョンの仕事仲間だった。
ひとことで言えばかっこいい音楽。ほどほどの緊張感が心地よく、まさに「スリルとサスペンス」といった感じ。モードの導入が大きな要因だろう。クールでドライな仕上がりだ。ただそれほど大胆な飛翔をみせるわけではないので、マイルズみたいな演奏にはなっていない。突きつめたような鋭さを想像しないように。
個人的にはフリーマンとカミューカが好演を聴かせてくれるのがうれしい。フリーマンのいきいきした弾むようなピアノ、カミューカの抜群のリズム感となめらかな指さばき。スタンダード演奏時とは別の魅力が引き出されている。かれらがモードを積極的に求めていたかどうかは判らない。曲が違うから結果的にこうなったのかも知れない。ま、どっちでもいいか。これだけ楽しませてくれれば。

 

Shelly Manne, drums
Conte Candoli, trumpet
Richie Kamuca, tenor sax
Russ Freeman, piano
Chuck Berghofer, bass

・Recorded in 1961

Checkmate

このシリーズもかっこいい
At the Black Hawk 1
At the Black Hawk 2
At the Black Hawk 3
At the Black Hawk 4
At the Black Hawk 5

 
1. Checkmate
2. The Isolated Pawn
3. Cyanide Touch
4. The King Swings
  5. En Passant
6. Fireside Eyes
7. The Black Knight
ウィー・スリー

Roy Haynes: We Three

ロイ・ヘインズの代表的名盤。“We Three”というと有名な子どもの歌“We Three Kings”を思い出す(解説には関係ないと書いてあるが)。イエス誕生の時、星に導かれてやってきた東方の賢者たちのこと。賢者たちはマギ(Magi)ともいい、これはマジック(magic)の語源だ。このアルバムは素敵なマジックに満ちている。
レイ・ブライアント作の“Reflection”は魔法のように美しい曲。11分を超えるスローな“After Hours”はブルーズ・マジックの典型。この曲はブライアントがディジー・ガレスピーの“Sonny Side Up”で名演を遺している。フィニアスのアーシーな演奏もそれに負けない素晴らしさだ。
ヘインズの歌うようなドラミングもマジカル。アドリブに色彩とメロディが感じられるのだ。多彩なテクニックを駆使しているのだが全くうるさくなく、ピアニストを煽りたてることもない。
チェンバースはテクニックを前面に出さず渋い演奏に終始。含蓄のある言葉を聴かされているような、深みのあるソロだ。ほどよい緊張感がこころよい。

 

Roy Haynes, drums
Phineas Newborn, piano
Paul Chambers, bass

・Recorded in 1958

We Three
ウィ・スリー

ブライアントの名演は
Sonny Side Up

 
1. Reflection
2. Sugar Ray
3. Solitaire
  4. After Hours
5. Sneakin' Around
6. Tadd's Delight

The Roy Haynes Trio: Just Us

ロイ・ヘインズのトリオというと“We Three”がとにかく有名だ。なにしろメンバーがすごい。で、こちら“Just Us”はリチャード・ワイアンズとエディ・デ・ハースという顔ぶれだから、当然のように知名度が劣る。したがって隠れた名盤を楽しむという、マニアっぽい喜びがあるわけだ。
ワイアンズにはもとよりフィニアスのような圧倒的テクニックはない。だから全体がこぢんまりした印象になる。いくらでもアーシーになりそうな(1)は、しつこさのない軽さをもった仕上がりだ。きれいなメロディーの(2)や(6)も甘ったるくない。幾分ドライな、上品な演奏ともいえる。
ベースはピッチが正確で推進力のあるウォーキング・ベース。インドネシアで生まれたオランダ系だという。ライナーノートにはマイルズ、チェット、ソラールなどとの錚々たる共演歴が書いてある。かれのフットワークのよさはワイアンズ、ヘインズの軽快さによく合っている。ヴァン=ゲルダーの録音がその辺をうまく捉えており、ボワボワせずすっきりしていて聴きやすい。
ヘインズはソロをとっていない時は意外におとなしく、タイムキーパーに徹している。もちろんセンスのよさは発揮されているのだが、全体の調和を意識しているように感じられる。ソロの時もテクニック大爆発の騒がしい演奏にはならないのだ。多彩なワザとゆたかなイマジネーションで変化に富んだソロを展開しながら、品のよさを失わない。大人の、ジャズがよく分かる人のための一枚。

 

Roy Haynes, drums
Richard Wyands, piano
Eddie de Haas, bass

・Recorded in 1960

Just Us
ジャスト・アス

同時期のロイ・ヘインズ
Cymbalism
Cracklin'

 
1. Down Home
2. Sweet and Lovely
3. As Long As There's Music
4. Well Now
  5. Cymbalism
6. Con Alma
7. Speak Low
 
  DRUMS [1] / 2 TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL