ジャズ・イン・パリ

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「カフェ・マキシマム」  

エレク・バクシク

Elek Bacsik: Nuages

ハンガリアンジプシーの生まれというエレク・バクシクの初リーダー作。先に出ていた『ギターコンセプションズ』同様にモダンジャズ名曲集になっている。最初の『トルコ風ブルーロンド』からいきなり快調に飛ばしてくれる。ギターでやること自体めずらしいが、なんとブルーベックよりご機嫌な演奏になっている。同じブルーベックナンバー『テイクファイヴ』も新鮮味があって楽しい。ケニー・クラークが明らかにジョー・モレロを意識したソロをとっている。
よどみないなめらかなフレーズが心地よく、かなりのテクニシャンだ。タルの影響が聴かれるがタルほどごつごつした感じではない。ピアノのいないトリオ編成なのにスカスカにならないのはコードワークがうまいから。
オマケのボサノバセッション4曲はまずまずの出来。演奏時間も短いが、EPでのリリースだったと書いてある。

 

<Jazz in Paris 81>
Elek Bacsik, guitar
Pierre Michelot or Michel Gaudry, bass
Kenny Clarke or Daniel Humair, drums
--------
Elek Bacsik, guitar
Maurice Vander, arrangements (11-14)

・Recorded in 1962

Nuages
ヌアージュ

♪ Milestones

 
1. Blue rondo a la Turk
2. Angel eyes
3. Godchild
4. Take five
5. Willow weep for me
6. Opus de funk
7. My old flame
  8. On green dolphin street
9. Nuages
10. Milestones
11. Desafinado
12. Recado
13. Samba de uma nota so
14. Stardust
スタッフ・スミス

Stephane Grappelli & Stuff Smith: Stuff and Steff

ステファン・グラッペリが米国の名手スタッフ・スミスを迎えて吹き込んだヴァイオリン・バトル。ルネ・ユートルジェのトリオをしたがえた1965年録音。
スミスのアヴァンギャルドなアプローチを何に例えたらいいだろう。ジョニー・ギター・ワトソンとかバディ・ガイとか、ブルース・ギタリストがコード進行から大きくはずれたフレーズを織りまぜてスリリングな演奏をすることがあるが、スミスもそんな感じ。思いがけない展開にわくわくさせられる。アヴァンギャルドといってもバップやフリーの手法ではない。オーソドックスなスタイルの中で大胆に「はずして」みせるのだ。はずむようなリズム感も見事。渋い歌声も聴かせる→(2)と(4)。
グラッペリも触発されたかいつもより攻撃的だ。どっちがグラッペリだが判らなくなることがある。新鮮味があって面白いが、曲よってはスミスに食われてしまっている。ユートルジェはいつもながらの訥々とした演奏。この人はリズム感があるのかないのか判らないところが味だ。幾分ドライなタッチのソロが個性的。

 

<Jazz in Paris 82>
Stephane Grappelli, violin
Stuff Smith, violin
Rene Urtreger, piano
Michel Gaudry, bass
Michel Delaporte, drums

・Recorded in 1965

Stuff and Steff
スタッフ&ステッフ

 
1. How high the moon
2. Blues in the dungeon
3. Skip it
  4. S'posin
5. Willow weep for me
6. This can't be love
サラ・ヴォーンとクインシー・ジョーンズ

Sarah Vaughan: Vaughan and violins

1958年の録音で、クインシー・ジョーンズの編曲・指揮によるオーケストラがバックをつとめる。ズート・シムス、リチャード・デイヴィス、ケニー・クラークらの名も見える贅沢なオケ。アルバムタイトルどおりヴァイオリンのアンサンブルが参加しており、バラッド中心のしっとりした仕上がりになっている。
一番気に入っているのが“Misty”。クインシーのもの憂げなアレンジにのって、軽くフェイクしながら歌う粋な感覚がたまらない。これまでエラのヴァージョンがお気に入りだったが、今ではこればっかり聴いている。ミディアムテンポで歌われることの多い“Day by day”や“Gone with the wind”も、情感をこめてゆったり歌われると新たな魅力を発見した思い。こうしてみるとスタンダードには悲しい曲が多いなあ、などと改めて感じた。
サイドメンのソロではさすがズートが素晴らしい。短いけれど、サラに負けず粋で美しい。クインシーのアレンジも控えめながら工夫がなされ、バラッドばかりなのに単調にならない。
できれば昼間には聴かないようにしましょう。何もする気がしなくなるから。あとは寝るだけ、という時間帯にお奨め。

 

<Jazz in Paris 83>
Sarah Vaughan, vocals
Marcel Hrasko, alto sax
Zoot Sims, tenor sax
Michel Hausser, vibes
Ronnell Bright or Maurice Vander, piano
Richard Davis, bass
Kenny Clarke, drums
and others
Quincy Jones, arrangements

・Recorded in 1958

Vaughan and Violins
2in1でも入手可能
Sarah Vaughan: Misty

 
1. Please be kind
2. The midnight sun will never set
3. Live for love
4. Misty
5. I'm lost
6. Love me
  7. That's all
8. Day by day
9. Gone with the wind
10. I'll close my eyes
11. The thrill is gone

ディジー・ガレスピー

Dizzy Gillespie & his Operatic Strings Orchestra

よくあるストリングスものかと思ったら少しばかりおもむきが違う。流麗なストリングスをバックにトランペットが美しく歌う曲も、あることはある。しかしのんびり聴いているとドラマティックにぐいぐい盛り上がってきて圧倒される。(5)のようなアップテンポの曲もある。オケには管楽器も入っており、フル・オーケストラといえるほどの大編成。“Operatic”というタイトルが肯ける起伏に富んだアレンジだ。
ガレスピーの演奏もオペラのアリアを歌うコロラトゥーラ・ソプラノといった感じ。ハイノートを織りまぜ、技巧的パッセージをふんだんに使いながら自在なソロを聴かせる。1952年と53年のモノラル録音だが音質がよく、のびやかで輝かしいガレスピーの音色を充分に楽しむことができる。

 

<Jazz in Paris 84>
Dizzy Gillespie, trumpet
Andre Gosset, trombone
Albert Gillot, clarinet
Arnold Ross or Wade Legge, piano
Joe Benjamin, bass
Bill Clark, drums
and others

・Recorded in 1952 & 53

Operatic Strings Orchestra

この時代のガレスピー
Cognac Blues

 
1. Stormy weather
2. The very thought of you
3. Jalousie
4. I've got you under my skin
5. Fine and dandy
6. Pennies from heaven
7. Night and day
8. My old flame
  9. I waited for you
10. Sweet and lovely
11. The man I love
12. Ghost of a chance
13. Night and day [Alternate take]
14. My old flame [Alternate take]
15. Sweet and lovely [Alternate take 1]
16. Sweet and lovely [Alternate take 2]
カルタ遊び

Bobby Jaspar: Jeux de quartes

ボビー・ジャスパーがフルート吹きに徹したアルバム。ヴァイブを入れたピアノレスにラテンパーカッションが加わるという面白い編成だ。この涼しい〈夏向き〉編成ですいすい軽快にスウィングしていく。
フルート専門ではないのでどうしてもサックスふうのフレージングが出てくる。ま、小うるさいことはさておき、暖かみのある魅力的な音色で素敵な演奏を聴かせてくれるのはたしか。音色といえばパーカーの(8)でヴァイブ奏者がマリンバに持ち替えて変化を出している。
ケニー・クラークのブラシが大活躍するのも聴きどころだ。じつにうまいサポートだし、ソロもたっぷり聴ける。

 

<Jazz in Paris 85>
Bobby Jaspar, flute
Michel Hausser or Fats Sadi, vibes
Paul Rovere or Jymie Merritt, bass
Kenny Clarke, drums
Umberto Canto, percussion

・Recorded in 1958

Jeux de quartes

Club St-Germain

 
1. Cliff, Cliff
2. Phenil isopropilamine
3. Misterioso
4. Lullaby of the leaves
5. There will never be another you
6. Waiting for Irene
  7. Le JAMF
8. Chasing the bird
9. Speak low
10. Doxology (Memory of Dick)
11. Jeux de quartes
12. Jeux de quartes [Alternate take]
ジェラール・バディーニ Gerard Badini: The Swing Machine

ジェラール・バディーニ。ブーツ・ランドルフみたいなテナーマン。楽器が完全に手の内に入っており「俺にできないことはないぜ」といった感じで自在にテナーを操ってみせる。たしかにうまい。リズム感も優れていてノリがいいが、ここまでやったら悪ノリじゃあるまいか。意表をつくフレーズや過剰な装飾音はときにあっけにとられるほどのすごみを感じさせる。ただ者ではない。しかしマスターの好みには合わないな〜。技が優先ハートは後まわし。
サム・ウッドヤードが〈特別待遇〉で参加している。長〜いソロをまかされ、ほとんどやりたい放題。(4)など13分に及ぶ演奏時間の大半がかれのソロに費やされているのだ。別にいいんだけどね、むちゃくちゃうまいから。
てなわけで、業師たちのすごさを楽しむにはうってつけの一枚。アルバムタイトルがそのままバンド名ってのもすごい。軽い気持で聴いていればスカッとしますぜ。
 

<Jazz in Paris 86>
Gerard Badini, tenor sax
Raymond Fol, piano & celesta
Miche Gaudry, bass
Sam Wodyard, drums

・Recorded in 1975

The Swing Machine

ライヴ盤がある
Night at the Popcorn

 
1. It don't mean a thing
2. Let's do it
3. Sam Woodyard is back in town
  4. Cute
5. Asphodele
6. Stomp, look and listen
グラッペリ/ジャンゴ

Stephane Grappelli: Django

グラッペリの素晴らしいピアノレスクァルテット。ピエール・カヴァッリのギター、ギ・ペデルセンのベース、ダニエル・ユメールのドラムスという顔ぶれだ。
アルバムタイトルや曲目から亡きジャンゴに捧げられたアルバムと思えるが、昔を懐かしんだスウィングスタイルの演奏ではない。基本はハードバップにあり、アプローチもアグレッシヴだ。インスピレーションにあふれた、少々刺激的なくらいの多彩なソロ。おっと思わせる瞬間がいくつもある。それでいてかれらしい粋な感じも楽しめる。グラッペリが不世出のヴァイオリニストだったことが実感できるアルバム。
カヴァッリもよい。ジャンゴを意識せず、素直に個性を発揮。バッキングのセンスもなかなかのもの。ベーシスト、ドラマーについては言うまでもないだろう。名手ぶりを楽しませてくれる。

 

<Jazz in Paris 87>
Stephane Grappelli, violin
Pierre Cavalli, guitar
Guy Pedersen, bass
Daniel Humair, drums

・Recorded in 1962

Grappelli: Django

Swing from Paris
Peterson/Grappelli Quartet
Plays Cole Porter
Notre ami Django
Stuff & Steff

 
1. Django
2. Nuages
3. Alabamy bound
4. You better go now
5. Le tien
6. Like someone in love
  7. Minor swing
8. Daphne
9. Soft winds
10. Makin' whoopee
11. How about you?
12. Pent-up house
ガス・ヴィスール

Gus Viseur: De Clichy a Broadway

シャルル・トレネやエディト・ピアフが活躍していた頃の〈古き良きパリ〉の雰囲気を漂わせるアコーディオン。シャンソンには欠かせない楽器だったんだよな〜、これ。曲目はおなじみ“Nuages”のほかはヴィスールのオリジナルと古いシャンソン。トレネも2曲ある。
ヴィスールはジャンゴと同じベルギー生まれ。ジプシーギタリストたちとの交流を経てジャズに目覚め、第二次大戦後からパリで本格的に活動を開始した。米国のジャズアコーディオン奏者とは感覚の異なるスウィング感が楽しめる。

 

<Jazz in Paris 88>
Gus Viseur, accordion
and his orchestra

・Recorded in 1955 & 62

De Clichy a Broadway

このアルバムでも聴ける
Jazz sous l'Occupation

ご参考までに
Gus Viseur in Brussels

 
1. Le bal du P'tit Jardin
2. Jeannette
3. El victor
4. Paso del fuego
5. Ballade rabouine
6. 5 Juin
7. Nuages
8. Lorsque Django jouait
  9. Swing valse
10. Flambee montalbanaise
11. 46eme avenue
12. Genevieve
13. Paris je t'aime
14. Menilmontant
15. Quel temps fait-il a Paris?
16. Revoir Paris
リラの花咲く頃

Henri Crolla: Quand refleuriront les lilas balancs?

なつかしい曲の多いアルバムだ。たとえば最初の『リラの花咲く頃』は日本で『スミレの花咲く頃』として知られるもの。イヴェット・ジローなんかが歌っていた。2曲目の『ティティーヌ』も古いが、チャップリンが映画で使っていたので聴き覚えのある人が多いだろう。アンリ・クロラの軽く涼しげなギターが心地よく、BGMとして聴いてもお洒落。パーカーの『ヤードバード組曲』の意外な軽さもかっこいい。
前半6曲がマーシャル・ソラールを含むクァルテット、残りがクラリネットやヴァイブを含むセクステット。ジャズとしては後半の方が聴き応えがある。前半の曲はEPだったせいか演奏時間がとても短い。

 

<Jazz in Paris 89>
Henri Crolla, guitar
Martial Solal, piano
Emmanuel Soudieux, bass
Jacques David, drums
--------
Henri Crolla, guitar
Maurice Meunier, clarinet & tenor sax
Michel Hausser, vibes
Maurice Vander, piano
Emmanuel Soudieux, bass
Jacques David, drums

・Recorded in 1955

Quand refleuriront les lilas blancs

 
1. Quand refleuriront les lilas blancs?
2. Je cherche apres Titine
3. Have you met Miss Jones?
4.La romance de Maitre Pathelin
5. Ay, Ay, Ay
6. I only have eyes for you
7. Love for sale
  8. September song
9. Out of nowhere
10. Sweet Georgia Brown
11. Solitude
12. Yardbird suite
13. Tenderly
ジャンゴ・ラインハルト

Django Reinhardt: Nuits de Saint-Germain-des-Pres

ジャンゴ・ラインハルト1951年から53年のSP覆刻。右に見るような〈モダン〉な編成で、ひと頃の不調が嘘のような快演を聴かせる。自作の(3)や(6)(8)のほとばしるようなソロは、ただ蘇っただけでなく新しいスタイルに脱皮していることを示す。
かっこいいバップギタリストに変身したジャンゴ。圧倒的テクニックを活かして新鮮なフレージングと力強いドライヴ感で音楽を昂揚させていく。もはや迷いはない。サイドメンもジャンゴの意向をよく理解し、エネルギッシュなサポートで応えている。SPフォーマットのため3分程度で終わってしまうのが残念だ。

 

<Jazz in Paris 90>
Django Reinhardt, guitar
Bernard Hullin or Roger Guerin, trumpet
Hubert Fol, alto sax & clarinet
Raymond Fol or Maurice Vander, piano
Pierre Michelot, bass
Pierre Lemarchand, drums

・Recorded in 1951-53

Nuits de Saint-Germain

同じ頃の録音は
Nuages
最盛期なら
Swing from Paris

 
1. Double whisky
2. Dream of you
3. Impromptu
4. Vamp
5. Keep cool
6. Fleche d'or
  7. Troublant bolero
8. Nuits de Saint Germain-des-Pres
9. Crazy rhythm
10. Anouman
11. Fine and dandy
12. D.R. blues