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Beethoven:
Symphonies Nos. 5 & 7
Chicago Symphony Orchestra/ Reiner
ヴァルター/コロンビア響の『運命/未完成』でクラシック入門を果たしたわたしは、最初ライナーの『ハ短調』がピンとこなかった。そっけないと感じたのだ。ほとんど表情づけなしでぐいぐい突き進む音楽。かれがスコアを深読みしていることが判るまで時間がかかってしまった(ヴァルターの呪縛か)。
いわゆるトスカニーニ・タイプ。全体にインテンポなのでそっけないと感じたのだ。何度か聴くうちに、大きな身ぶりなしでもフレーズの隅々にまで深い意味をもたせられることが判った。ヴァルターが強調してみせた部分をさらりと通り過ぎ、ヴァルターが重視しなかった部分を際立たせるなど、指揮者によってこうも解釈に違いがあるのかと驚いた覚えがある。思えば初心者であった。
解釈はもちろん指揮者ごとに違う。しかしライナーの解釈に「必然性」を感じてしまうのは、その説得力のせいだろう。快速の推進力ある演奏なのに大切なものは何一つ抜け落ちていない。言うべきことはすべて言えている。ライナーの『ハ短調』は構成感も抜群だ。すべては最終楽章で解決する。その勝利に向かってひた走るためにほかの楽章が置かれている。恐るべき集中力でライナーは骨太に、一気呵成に描き上げていく。筆勢のある大家の書を見ているような爽快感、大きい感動がある。
『第七番』を聴くとライナーの懐の深さがさらによく判る。曲が『第五番』ほど筋肉質でないせいもあるだろう。これも快速の演奏だが歌うべきはきちっと歌われている。そしてリズムの処理のうまさ。これは特筆に値する。美しい旋律をもつ抒情的な第二楽章では、凛々しい歩みのなかから例えようのない哀しみがにじみ出してくる。この曲を聴いて涙が出たのはライナー盤だけである。
追記)第二楽章の主題は当初から多くの人々の心をとらえた。シューベルトやシューマンがこの主題による変奏曲(いずれもピアノ用)を書き、みごとに失敗している。主題がよすぎると自由に変奏できないのだろう。何種類か録音があったが現在すべて廃盤のようだ。
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Chicago Symphony Orchestra
Fritz Reiner, conductor
・Recorded in 1955 & 59
BMG Classics (RCA Victor)
09026-68976-2
Symphonies
Nos. 5 & 7/ Reiner
ライナー:ベートーヴェン
XRCDでも
Symphony
No.5 & Coriolan
『第九』の国内盤
ベートーヴェン「合唱付き」
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1. Symphony No.5
in C minor, op.67
2. Symphony No.7 in A major, op.92 |
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3. Coriolan Overture, op.62
4. Fidelio Overture, op.72b |
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Pavel
Vranicky: Symphonies in D Major/C Minor
Dvorak Chamber Orchestra/ Gregor
ヴラニツキはモーツァルトと同年にモラヴィアに生まれた。ウィーンで指揮者、ヴァイオリニストとして活躍し、モーツァルトの他ハイドン、ベートーヴェンとも親交があったという。とくに指揮者として名声が高く、ベートーヴェンの第一交響曲はかれの指揮で初演されている。
交響曲は51曲あり、ここには若書きの『ハ短調(作品番号なし)』と円熟期の『ニ長調(作品52)』が収められている。作風は誰とも似ていない。しいて言えばハイドンとベートーヴェンの中間といった感じだろうか。典型的古典派で、少しドライで覇気ある作風。このアルバムの2曲はたいへん魅力的な作品だ。
『ハ短調』は21分と小ぶりながら完成度が高く、暗く荘重な導入部、力強いアレグロ、情感豊かなアダージョなど印象深い部分が多い。
『ニ長調』はさらに聴き応えある作品。導入のアダージョ・マエストーゾの美しい和声、堂々としたなかに一抹の哀しみを含んだ表情に魅せられる。主部は典型的ソナタ形式。ダイナミックで深みのある見事な展開をみせる。つづくアダージョ楽章は14分を超える長さ。この時代にこんな長いアダージョは珍しい。美しくロマンチックで聴きどころ満載。内声部の充実、木管楽器の効果的な用法に注目。第3楽章のメヌエットは明るく軽快。パパパパーンという4つの音のモチーフがトランペットでくり返しあらわれる。ダダダダーンならベートーヴェンだが、メンデルスゾーンの『結婚行進曲』のあれだ。ただヴラニツキは微妙に音高や音形を変えてヴァリエーションをつけているので、あるいはダダダダーンのヒントになったかも知れない。フィナーレは快速の活気あふれるヴィヴァーチェ。ヴァイオリン・パートの名技的パッセージがぐいぐい音楽を昂揚させていく。作曲技法の確かさはもちろん、パッションの表出の見事さにも感心する。
わたしの知る範囲ではヴラニツキの交響曲は4曲しかCDがない。これだけの実力、魅力をもった作曲家なので、もっと積極的に録音して欲しいものだ。
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Dvorak Chamber Orchestra
Bohumil Gregor, conductor
・Recorded in 1988
Supraphon Records
Symphonies
in D & c
ヴラニツキの室内楽は
こちらを
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1. Symphony in
D Major, op.52
2. Symphony in C Minor, sine op. |
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Pavel
Vranicky: Symphonies in D Major/C Major
Dvorak Chamber Orchestra/ Gregor
上記アルバムの続編。ここではヴラニツキの51ある交響曲のうち作品11(3楽章形式)と作品36{4楽章形式)を演奏している。上記と較べると2曲とも印象が弱いが、よく書き込まれた作品たちである。
『ニ長調(作品36)』は管楽器奏者の忙しい作品。主旋律はほとんど任せてもらえないのに、小刻みなパッセージや大きい跳躍のある対旋律や装飾音をたっぷりやらされるのだ。主旋律に対する「合いの手」ていどではすまない。ちょうど管楽器類の近代化の時代に当たり、すぐれたオーケストラ指揮者でもあったヴラニツキはそれら管楽器の改良とその成果をまのあたりにしていた。以前より扱いやすくなった管楽器を活躍させない手はないではないか。
それからこの曲、第二楽章がロシア風で第三楽章がポロネーズになっている。ほのかな異国情緒といった効果。最終楽章は明快なロンド形式になっている。
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Dvorak Chamber Orchestra
Bohumil Gregor, conductor
・Recorded in 1988 & 1990
Supraphon Records
Symphonies
in D & C
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1. Symphony in
D Major, op.36
2. Symphony in C Major, op.11 |
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Joseph
Martin Kraus: Orchestral Works
Peinemann/ Stuttgart Chamber Orchestra/ Sieghart
ヨゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)はスウェーデンのモーツァルトと呼ばれることがある。生没年がほとんど同じというだけでなく、その作品から聴かれる天才ぶりはまさにモーツァルトなみなのだ。とくに短調の交響曲のもつ切迫した哀しみは、モーツァルト以外に較べるものがない。
このアルバムの2曲はともにハ短調ということもあり、聴き始めてすぐ胸騒ぎのするような不安にとらわれる。悲哀に満ちた美しい旋律に彩られた、深い感動をのこす傑作たち。『葬送交響曲』と名づけられた曲は国王グスタフ三世の葬儀のために書かれたもので、ホルンの使用が印象的。祈りに満ちており、第3楽章のコラールが効果的だ。かれはドイツ生まれだが、スウェーデン国王グスタフ三世の宮廷音楽家だった。主君の没後、後を追うようにわずか36歳で亡くなっている。
ハ長調の『ヴァイオリン協奏曲』は一転して快活な作品。旋律線の自然な美しさはこの作品でも生きている。エディト・ペイネマンの繊細なヴァイオリンを支えるマルティン・ジークハルトの指揮は情感ゆたかなもの。
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Edith Peinemann, violin (2)
Stuttgart Chamber Orchestra
Martin Sieghart, conductor
・Recorded in 1990 & 91
Orfeo International Music
C 254 921 A
Kraus:
Orchestral Works
Kraus:
Symphonies [Naxos]
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1. Symphony in
C minor (1783)
2. Violin Concerto in C major (1783)
3. Funeral Symphony in C minor |
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Charles
Munch
(Great Conductors of the 20th Century)
燃える指揮者シャルル・ミュンシュの超お買い得コンピレーション。録音年代もオーケストラも作曲家の時代もバラバラ、レーベルも3種類にまたがる。したがって曲が変わるごとに音色も雰囲気もがらっと変わってしまう。しかし内容は定評ある名演と珍しい音源が組み合わされていて、聴き応え満点のアルバムだ。
1枚目に入っている『合唱付き』はプライス、フォレスター、ポレリ、トッツィという強力無比の声楽陣を得て、文字どおり「白熱」の演奏を繰り広げている。脚さばきがよいというか、推進力のある、もたつきなど皆無のかっこいいベートーヴェンだ。ことに第4楽章は鳥肌が立つほどに感動的。LPでは少々ぱさついた印象のあった第3楽章も、ここでは美しくうるおいのある音に生まれ変わっている。
2枚目ではマルティヌーさいごの交響曲が目をひく。ミュンシュはこの作品の初演者だったのだ(これはその翌年=1956年の録音)。マルティヌーの6つある交響曲のなかでは例外的な曲で、形式的にかなり自由であり、他の5曲に比べて緊張感に乏しいともいわれる。ところがミュンシュの引き締まった指揮はぐいぐい聴き手を引き込んでいく。勢いと統一感があり、ファンタジーも感じられる素晴らしい演奏だ。
ビゼーのハ長調も颯爽とした演奏。マスターはプラッソンののんびりしたパストラールな演奏が好みだったが、選択肢が増えてしまった。きびきびした小気味のいい運び。一方で緩徐楽章のメランコリックな気分の表出も巧みだ。指揮者としてのスケールがちがうという印象。
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Leontyne Price, soprano
Maureen Forrester, contralto
David Poleri, tenor
Giorgio Tozzi, bass
New England Conservatory Chorus
Boston Symphony Orchestra
Orchestre National de la Radiodiffusio Francaise
Orchestre de la Societe des Concerts du Conservatoire
Charles Munch, conductor
・Recorded in 1948 - 1966
IMG Artists
7243 5 75477 2 7
Charles
Munch
ベートーヴェン:交響曲第5番&第6番
ベルリオーズ:幻想交響曲
ブラームス:交響曲
第1番
ラヴェル:管弦楽名曲集
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<CD 1>
1. サン=サーンス:歌劇「黄色の王女」序曲
2. ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
3. ベルリオーズ:序曲「海賊」
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<CD 2>
1. メンデルスゾーン:八重奏曲よりスケルツォ
2. ビゼー:交響曲 ハ長調
3. マルティヌー:交響曲第6番
4. プロコフィエフ:ロメオとジュリエット抜粋
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Svendsen
& Halvorsen: Norwegian Rhapsodies
Trondheim Symphony Orchestra/ Ruud
スヴェンセン(1840-1911)とハルヴォルセン(1864-1935)の『ノルウェー狂詩曲』をおさめた楽しいアルバム。演奏はノルウェーのトロントハイム交響楽団。
民謡素材の親しみやすい作品ばかり。いずれもリズミカルな舞曲と抒情的な歌を組み合わせたもので変化に富んでいる。
面白い発見があった。スヴェンセンの『第二番』に『ソルヴェイグの歌』によく似た旋律が使われているのだ。物の本によるとグリーグは「『ペール・ギュント』に使用した旋律はすべてわたしのオリジナルだ」と明言していたという。いっぽうスヴェンセンは「『ノルウェー狂詩曲』に使用した旋律はリンデマン氏が採集した『ノルウェー山岳旋律集』から借用したものだ」と明言している。一部分ならともかく全体がよく似ているのだから、グリーグが民謡旋律に少々手を加えたもの、というのが真相だろう。グリーグは『ノルウェー舞曲集』にも同じ曲集から旋律を借用している。
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Trondheim Symphony Orchestra
Ole Kristian Ruud, conductor
・Recorded in 1991
Pro Musica Recording
Simax PSC 1085
Norwegian
Rhapsodies
白夜のアダージェット
Grieg/Svendsen
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-Johan Halvorsen
1. Norwegian Rhapsody No.1 in A major
2. Norwegian Rhapsody No.2 in G major
-Johan Svendsen
3. Norwegian Rhapsody No.1, op.17
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4. Norwegian Rhapsody No.2,
op.19
5. Norwegian Rhapsody No.3, op.21
6. Norwegian Rhapsody No.4, op.22 |
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Ferencsik
Conducts Liszt
Tasso/ Orpheus/ Les Preludes
ヴァイマール時代のリストといえばロ短調ソナタや二つの協奏曲が思い浮かぶが、交響詩12曲もこの時代の代表的な成果だった。ご承知のようにリストは交響詩の創始者とされる作曲家だ。ただかれの交響詩はいわゆる描写音楽とは異なり、具体的な何かの場面を描いたものではない。
交響詩『レ・プレリュード』にしてもラマルティーヌの詩が引用されているが直接内容には関係がないという。崇高なほどに美しい旋律があらわれ、劇的な緊張感もある力作。ピアノ曲『バラッド』などにも通じる自由で起伏の大きい構成は、聴いていてたしかに何かの物語が背景にあると感じずにはいられない。苦難の末に何かを勝ち取るといったイメージ。
『オルフェウス』はグルックの『オルフェオとエウリディーチェ』上演の際に後奏曲(前奏曲ではなくて)として演奏された。オルフェウスを象徴するハープが活躍する美しい作品。オーケストレーションが素晴らしく、オルフェウスの悲劇の余韻が巧みに表現されている。
『タッソー、哀しみと勝利』にはバイロンの詩が付されている。ヴェネツィアのゴンドラの歌が用いられた親しみやすい曲だ。ベートーヴェンの曲に類似したモティーフがあらわれたりハ短調からハ長調への移行があったりするのでベートーヴェンの影響が云々される。しかしそれは表層のことだ。リストの交響詩にはベルリオーズとヴァグナーが大きな影を落としている。ロマン派音楽を切り拓いた偉大な同時代者たちである。
さて、なぜハンガリー国立管弦楽団なのかというと、かれらが不器用だから。なぜヤーノシュ・フェレンチークなのかというと、かれがくそ真面目な指揮者だから。名人オケを芝居っ気のある指揮者が振ると音楽が大袈裟になりやすい。安っぽく響いてしまうことさえある。真摯な作品として楽しむにはこのコンビが最適なのだ。
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Hungarian State Orchestra
Janos Ferencsik, conductor
・Recorded in 1982
Hungaroton Classic
HCD 12446
Les
Preludes, etc.
リスト:管弦楽曲集(Bernstein)
リスト:管弦楽曲集(Sinopoli)
リスト:ハンガリー狂詩曲集(Masur)
フェレンチークは
リスト:レクイエム
バルトーク:青ひげの城
コダーイ:ハーリ・ヤーノシュ(全曲)
ハイドン:十字架上のキリストの最後の七つの言葉
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1. 交響詩 第3番「レ・プレリュード」
2. 交響詩 第4番「オルフェウス」 |
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3. 交響詩 第2番「タッソー、哀しみと勝利」 |
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