クラシックレビュー
チャイコフスキー   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
ジャズのページ ブルースのページ ワールドミュージックのページ 吹奏楽のページ クラシックのページ
管弦楽曲 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / [6]
early music / baroque / concerto / chamber / instrumental
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.
 
組曲第1番

Tchaikovsky: Suite No.1, The Storm, Fate
Detroit Symphony/ Jarvi

チャイコフスキーは管弦楽のための組曲を4曲遺した。ネーメ・ヤルヴィとデトロイト交響楽団は1990年代にそのすべてを連続録音し、あまり演奏されない管弦楽曲と組み合わせて合計4枚のアルバムをリリースした。録音順では最後となった当アルバムは『あらし 作品76』と『宿命 作品77』を採り上げている。
『組曲第1番』は6つの小曲で構成される。よく書き込まれた「導入部とフーガ」のあと「ディヴェルティメント」「間奏曲」「小行進曲」「スケルツォ」「ガヴォット」がつづく。深刻な交響曲が始まったかと思う第一楽章に較べて他の楽章がチャーミングだが、そこがチャイコフスキーらしさだろう。「小行進曲」はリリパットの行進を描き、「ガヴォット」は巨人たちの踊りをイメージしているという。長めの「間奏曲」がメランコリーをたたえてアクセントになっている。
『あらし』は作曲家24歳の、最初の大規模管弦楽作品だった。劇のための序曲であり、全体はソナタ形式のようだが色彩的で変化に富むなかなかの作品。『宿命』も若い頃に書かれたもので、詩に触発されているが描写音楽ではない。バラキレフに献呈され、かれの指揮で演奏されたこともあるそうだ。時期的には『冬の日の幻想』と同じ頃で、すでに職人技の管弦楽法が身についているのが分かる。

1. Suite No.1 in D minor/D major, Op.43 (1879)
2. The Storm (Groza), Op.76 (1864)
3. Symphonic Poem "Fate(Fatum)", Op.77 (1868)

Detroit Symphony Orchestra
Neeme Jarvi, conductor

・Recorded in 1996
Chandos Records
CHAM 9587

Suite No.1, The Storm, Fate

Tchaikovsky: Complete Suites

組曲第2番

Tchaikovsky: Suite No.2, The Tempest
Detroit Symphony/ Jarvi

『組曲第2番 ハ長調』はフランス語のタイトルのついた5つの曲からなる。いかにも書きたいように書いたふうな「音の遊び(Jeu de sons)」がディヴェルティメントな全曲を予告する。ユーモラスというかひょうきんというか、チャイコのいたずらっぽい笑みが見えるような曲である。お得意の「ワルツ」でも優美というより浮かれた雰囲気を漂わす。中央に置かれた「スケルツォ」はさらにひょうきんさを増し、誰の曲を聴いているのか分からなくなってしまうほど。1884年にオペラ『マゼッパ』上演に先立って初演されたという。
交響的幻想曲『テンペスト』はもちろんシェイクスピアがテーマ。1873年モスクワで初演された。チャイコフスキーには交響的序曲『ロメオとジュリエット』、幻想的序曲『ハムレット』があり、かれの文学趣味にシェイクスピアは合っていたのかも知れない。25分ほどのこの作品はテンポや表情が小刻みに変わり、嵐の場面、ミランダとフェルディナンドの恋、キャリバンやアリエルの姿などが次々と目に浮かぶ。


1. Suite No.2 in C major, Op.53 (1883)
2. The Tempest, Op.18 -Symphonic Fantasia after Shakespeare (1873)

 

Detroit Symphony Orchestra
Neeme Jarvi, conductor

・Recorded in 1994 & 95
Chandos Records
CHAN 9454

Suite No.2, The Tempest

組曲第3番 Tchaikovsky: Suite No.3, Francesca da Rimini
Detroit Symphony/ Jarvi

4曲の中で演奏時間が44分ともっとも長い『組曲第3番 ト長調』。しかしこの聴き応えは長さのせいばかりではない、いちばん出来がいいのである。チャイコらしい品のある哀しみをたたえた「エレジー」、沈んだ足どりの「憂鬱なワルツ」、アクセントとなる軽く切れ味のいい「スケルツォ」、そして最後に長大な「主題と変奏」が待っている。ことにソロヴァイオリンが活躍する「主題と変奏」は表情ゆたかな12の変奏それぞれが魅力的。聴き終えて充足感の味わえる作品である。4曲中この曲ばかりが頻繁に演奏されるのも無理からぬことだと思う。1885年1月28日ハンス・フォン・ビューローによって初演。多くの聴衆の感動を誘ったと確信したチャイコフスキーはフォン・メック夫人に、今までこれほどの勝利を経験したことはなかったと書き送ったそうである。
この盤のオマケはダンテによる『フランチェスカ・ダ・リミニ』。『神曲』の一部を交響詩としたもので、フランチェスカは物語中の美女の名。道ならぬ恋の果てに死んだ(嫉妬する夫に殺害された)かの女の苦しみが巧みな管弦楽法で表現される。実際きめ細かな配慮・工夫が素晴らしく、そうとう熱を入れて取り組んだものと思われる。長い旋律線や半音階進行など、ちょっとヴァグナーの影響も入っている気がする。

1. Suite No.3 in G major, Op.55 (1885)
2. Francesca da Rimini, Op.32 -Fantasia after Dante (1876)
 

Detroit Symphony Orchestra
Neeme Jarvi, conductor

・Recorded in 1995
Chandos Records
CHAN 9419

Suite No.3, Francesca da Rimini

モーツァルティアーナ Tchaikovsky: Suite No.4 'Mozartiana', The Seasons
Detroit Symphony/ Jarvi

モーツァルト作品を編曲して組曲に仕立て上げたのが『組曲第4番 ト長調』。素材はほとんどモーツァルト後期のもので、あの短い『ジーグ ト長調』(K.574)や『アヴェ・ヴェルム・コルプス』(K.618)など比較的なじみのうすいもの。二管編成への編曲はたしかにうまいけれどチャイコフスキーならこれくらいは当然だろうと思ってしまう。たいへん聴きやすい楽しい曲ではあるけれども。この曲も『第3番』同様に最後が変奏曲になっていて、ソロヴァイオリンが出てくるところまで同じ。出来映えは『第3番』ほどではないと思うのだが、どうだろう。
このアルバムの主役はピアノ組曲『四季』の管弦楽版のほうかも知れない。あの人気の高い12曲のセットをアレクサンドル・ガウク(1893-1963)が編曲したものだ。原曲のイメージを壊すまいと努力したところを好ましいと見るか、なんだけっこうそのまんまじゃないかと思うかで評価がわかれそう。アルバム全体を聴くとオール編曲もので耳当たりもよく、それはそれで面白いのだが。

1. Suite No.4 'Mozartiana' in G major, Op.61 (1887)
2. The Seasons, Op.37b (arr. A. Gauk)(1876/1942)
 

Detroit Symphony Orchestra
Neeme Jarvi, conductor

・Recorded in 1995 & 96
Chandos Records
CHAN 9514

Suite No.4, The Seasons

バルビローリ:バックス English Tone Pictures (Bax, Ireland & Delius)
London Symphony/ Barbirolli

バルビローリとロンドン響が1965年から翌年にかけて録音した英国近代交響詩集。ただ(5)(6)の2曲は1968年のハレ管とのもので、LPは緑のジャケットで出ていたもの。バックスの『ティンタジェル』、アイアランドの『ロンドン序曲』とディーリアスの『楽園への道』『アーメリン前奏曲』『夏の歌』の計5曲というのがオリジナル。すべてCD既出音源だが、英EMIご自慢の“art”で音がよくなっている。
ロマンチックなバックス、ていねいなアイアランドもいいが、やはりディーリアスはバルビローリの独壇場。ことに『夏の歌』は名演。『夏の庭にて』と並ぶディーリアス夏の名品のひとつであり、木洩れ日の下でそよ風を感じながら過ぎ去りし日々を思い出すような、どこかもの憂い昼下がり。この寂寥感が『夏の庭にて』との大きなちがいだろう。この曲は病に倒れたディーリアスと青年フェンビーとの最初の共同作品だった。
『アーメリン前奏曲』は最初のオペラ『アーメリン』から採られたノスタルジックな旋律が美しい。木管を巧みに使い分けた微妙な音色の変化など、ディーリアス好きにはたまらない魅力を持った作品だ。
オペラ『村のロメオとジュリエット』の道行きの音楽として書かれたのが『楽園への道』。親同士のいさかいに巻き込まれた若く無力なカップルが死の旅に出る絶望的な場面で流れる音楽(ビーチャムによる演奏会版を使用)。冒頭ののどかな響きは暗さと哀しみを含み、こみあげる感情が一瞬高揚したのち、はかなく消え去っていく。バルビローリは弦のカンタービレを中心に若者たちの悲劇を共感たっぷりに歌いあげていく。救いようのない愚かな悲劇。正直に言うとそこまでコブシを利かせなくてもと思うが、うまいのはどうしようもない。
 

London Symphony Orchestra
Halle Orchestra*
John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1965 - 68
EMI Classics
0946 3 79984 2 7

English Tone Pictures

ディーリアス管弦楽曲集

バントック

Granville Bantock: A Hebridean Symphony, etc.
Royal Philharmonic/ Handley

ハンドリー&ロイヤル・フィルによるグランヴィル・ハントック(1868-1946)作品集。メインは35分を要する『ヘブリディーズ交響曲』である。実質は交響詩であり、変幻する海の情景をダイナミックに描いたもの。どこかなつかしいケルトの旋律をまじえながら凪や嵐や波間を飛ぶ鴎たちが巧みに描写されていく。主題といい雰囲気といい、ドビュッシーの交響詩『海』、ブリッジの組曲『海』あたりを連想せずにはいられない。作風は印象主義と言っていいかも知れない。バントックの並々ならぬ力量が示された聴き応えある作品である。
『ケルト交響曲』は弦楽のための組曲(5曲構成)。ハープが6台加わっており重要な役割を果たしている。5つの部分は連続して演奏され、変化のある幻想曲のような雰囲気。最大7部に分けられた弦がケルトふうのエア、リールをしっとり歌う。具体的な情景や物語を背景にしたものではなさそうで、美しくてちょっと憂いを含んだ小曲たちが夢のように過ぎ去っていく。

バントックの文学嗜好を示すのが『アトラスの魔女』。シェリーが1820年に書いた同名長編詩(672行)から44行を選んで8つのグループに分け、それぞれのイメージを曲にしたもの。ヒロインはアトラスの山の泉の傍らにある洞窟に住む若き魔女。かの女をめぐるさまざまなできごとが、それはそれはロマンティックな音楽で綴られていく。これはブックレットを見ながら楽しもう。

1. Celtic Symphony for String Orchestra and Six Harps (1940)
2. The Witch of Atlas - Tone Poems for Orchestra (1902)
3. The Sea Reivers - Hebridean Sea Poem No.2 (1920)
4. A Hebridean Symphony (1913)

 

Royal Philharmonic Orchestra
Vernon Handley, conductor

・Recorded in 1990
Hyperion Records CDA66450

A Hebridean Symphony, etc.

Pagan Symphony, etc.
The Cyprian Goddess, etc.
Sappho, etc.
Violin Sonatas

 
管弦楽曲・交響曲 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / [6]
early music / baroque / concerto / chamber / instrumental
theatrical / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.