ジャズCDレビュー
ジャス・ピアノ   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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PIANO

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11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL
 
ワーレン・バーンハート

Warren Bernhardt: So Real

若い頃はそれほど魅力的とも思えなかった人が、年齢とともに渋く輝いてくることがある。ピアニストでいうとケニー・バロンとか、このウォーレン・バーンハートがそうだ。特に個性的というわけではない。派手な存在になったわけでもない。熟成されたのである。〈熟成〉の前には〈個性〉なんて問題じゃない。そう思えるほど、かれらのこなれた語り口には洗練と深みがある。
無理のない音楽。どの曲を聴いても、クラシックでいうムジツィーレン(音楽する喜び)がある。バラッドの一つひとつの音を慈しむような繊細なタッチ。アップテンポでのリラックスしたスウィング感。アンダーソンとアースキンの寄り添うようなサポートがゆたかな情感の表出に貢献している。結果的に耳あたりがいい仕上がりになっているけれど、聴き流すには惜しい内容の濃いアルバムだ。
『枯葉』など超有名曲にジョビン(3)や自作をまじえた選曲。“Don't Explain”の美しさ、軽さ、しっとりした情感に、このトリオの美点が集約されている。

 

Warren Bernhardt, piano
Jay Anderson, bass
Peter Erskine, drums

・Recorded in 2001

Warren Bernhardt: So Real

同じ頃の録音
Amelia's Song
ちょっと前の録音
マンハッタン・アップデイト

 
1. Autumn Leaves
2. Never Let Me Go
3. Brigas Nunca Mais (No More Fighting)
4. Somewhere
5. I Mean You
  6. On the Lake
7. Don't Explain
8. I Should Care
9. So Real
ジャック・ルーシェ

Jacques Loussier: Baroque Favorites

ジャック・ルーシェによるバロック名曲集。パッヒェルベルの『カノン』やヘンデルの『ラルゴ』、偽作の『アルビノーニのアダージョ』も入っている。
一番面白いのはマレ。『サント・ジュヌヴィエーヴ・ドゥ・モン教会の鐘』が5/4拍子で演奏されているのだ。原曲は3拍子なのだが、ピアノで鐘の音を模した音型を示した後、あの『テイク・ファイヴ』そっくりのリズムでおなじみの旋律が奏されていく。ドラマーのアルピノがジョー・モレロを意識した演奏を聴かせる。
マルチェッロの『オーボエ協奏曲』はバッハがチェンバロ独奏曲に編曲したことで知られる作品。ルーシェはそのバッハ版を基本にしているようだ。即興部分は少ないがたいへん美しい仕上がりで、有名な第二楽章もしみじみとした感興がわきあがる。
ルーシェは何でもジャズ化してしまうが、やはりバロック音楽が一番無理がない。手なれたアレンジに少しばかりスパイスを工夫し、楽しいアルバムになっている。

 

Jacques Loussier, piano
Benoit Dunoyer de Segonzac, bass
Andre Arpino, drums

・Recorded in 2001

Baroque Favorites
バロック・ヒッツ

新しいところでは
Loussier plays Beethoven
ルーシェの代名詞
Best of Play Bach

 
1. Handel: Sarabande & Variations from Suite No.11
2. Marais: La sonnerie de Sainte-Genevieve du Mont
3. Scarlatti: Sonatas Nos.33 & 32
4. Handel: Largo from "Xerxes"
  5. Pachelbel: Canon in D major
6. Marcello: Oboe Concerto in D minor
7. Albinoni: Adagio
8. Handel: Organ Concerto in F major
オイゲン・キケロ

Eugen Cicero Trio: Spring Song

ルーシェもいいけどキケロもねってことでオイゲン・キケロ。一時期ルーシェをしのぐほどの人気だったこともあるが、故人となってしまった。
8分近い『モルダウ』が最大の聴きもの。原曲を忠実になぞることはせず、新たなフレーズを加えた自由な編曲。雄大な自然を描写した管弦楽曲が無理なくスウィンギーなジャズに生まれ変わっている。
マリガンのセクステットで有名なショパンの『前奏曲ホ短調』はクレイトンのアルコを前面に出した渋い導入。夜の雰囲気。あとはパガニーニの弾むようなアレンジが面白いかな。ちらっと『マイルストーンズ』のフレーズが顔を出す。選曲に変化があり編曲もうまいので飽きずに最後まで一気に聴ける。

附記)左は輸入盤の写真。国内盤はジャケットが異なる。

 

Eugen Cicero, piano
John Clayton, bass
Billy Higgins, drums

・Recorded in 1983

Eugen Cicero: Spring Song
オイゲン・キケロ:春の歌

キケロはほかにも
スウィンギング・チャイコフスキー
クラシック・イン・リズム

 
1. バッハ:前奏曲第2番
2. パガニーニ:カプリース第24番
3. メンデルスゾーン:紡ぎ歌(無言歌集より)
4. スメタナ:モルダウ
 

5. メンデルスゾーン:春の歌(無言歌集より)
6. ショパン:前奏曲ホ短調
7. バッハ:G線上のアリア
8. キケロ:パラフレーズ

ビル・チャーラップ

Bill Charlap Trio: Written in the Stars

夜のマンハッタンを背景にした体育会系ビジネスマン、てな感じのビル・チャーラップ。かれの有能ぶりがよく判るアルバムだ。サポートする二人の大統領もよく上司の意を汲み、決してでしゃばらない。自己主張をしても対立することはなく、つねに協調が図られている。
チャーラップは顧客の意向を大切にしている。美しい旋律をほとんど素(す)のまま提供し、アドリブでも顧客の理解しにくい言葉は使わない。意外な方向に話が向かうこともない。わかりやすく、ていねいに、すべてが納得のいくように…。
だから顧客は安心して聴いていられる。この男なら信頼できそうである。契約してもいいかな。商品はみんな宝石のようにきれいだし、これほど気分よくさせてもらえたんだから。
そういうわけで(どういうわけだ!)刺激の少ないロマンチックなピアノトリオが好きな人にはたまらないアルバムだと思う。あか抜けたロマンチシズムがたっぷり味わえるから。

 

Bill Charlap, piano
Peter Washington, bass
Kenny Washington, drums

・Recorded in 2000

Written in the Stars
星の降る夜

いろいろあるけど少しだけ
All Through the Night
The Songs of Leonard Bernstein
Stardust
ス・ワンダフル
過ぎし夏の想い出

要注目!
Bartoncini w. Charlap & Smith

 

1. In the Still of the Night
2. Dream
3. The Man That Got Away
4. Blue Skies
5. Where Have You Been?
6. Where or When

  7. On a Slow Boat to China
8. One for My Baby
9. I'll Never Go There Anymore
10. Lorelei
11. It Was Written in the Stars
ティム・リチャーズ

The Tim Richards Trio: The Other Side

ティム・リチャーズはロックエイジのピアニストである。8ビートの曲が実にかっこいい。それでいて4ビートもうまい。バラッドもしっとりきれいにまとまっている。器用である。あまり深みはないが、さらっと軽いところが気持ちいい。
ジャズ名曲集って感じの選曲。それを「今ふうにやるとこうなるのさ」と鮮やかに料理してみせる。ブルーズチューンは泥臭さを洗い落とし、バラッドは甘さをひかえ、ときにロックリズムというスパイスを効かせて。
すっきりして聴こえるけれどティムのテクニックはかなりのもの。左手がよく動く。サイドメンもみんなうまい。とくにトリロという一見ロック少年みたいなドラマー。あまりでしゃばらないがスピード感のある巧みなサポートだ。しなやかなスティックさばきが目に見えるよう。なにより機械的でないのがいい。

 

Tim Richards, piano & electric piano (5)
Kubryk Townsend, bass
Andrea Trillo or Kenrick Rowe, drums

・Recorded in 1997
33 Records
33 JAZZ 037 CD

♪ The Other Side

Tim Richards: The Other Side

もひとつどうだ
Twelve By Three

 
1. The Other Side ♪
2. Body and Soul
3. Coincidence Calypso
4. Blues the Most
5. Freedom Jazz Dance
6. Alice in Wonderland
7. String Bean
8. Seven Steps to Heaven
  9. Beautiful Love
10. Milestones
11. Polkadots and Moonbeams
12. Blues in Three
13. Caravan
14. Georgia on My Mind
15. Broccoli Blues
ジャン・ミシェル・ピルク

Jean-Michel Pilc Trio: Welcome Home

続々登場するヨーロピアンジャズのピアニストの中でも刺激的な方に属するジャン=ミシェル・ピルク。スタンダードをやってるからロマンチックかと思うと大違い。マイルズの『ソー・ホワット』にしてもほとんどドシャメシャ。たたみかけるような疾走感と強靱なタッチが爽快だ。つづくエリントンナンバーはぐっと音を減らして乾いた和声で淡々と進む。『星影のステラ』ではテーマ→アドリブ→テーマという明確な流れがない。テーマが徐々に変容していくというイメージだ。とうぜん従来型のコード進行に沿ったジャズではない。スタンダードを素材にしていかに新しい音楽をやるか。ひとつはリハーモナイズだが、もうひとつがモードへの読み替えだ。きわめて知的な作業。しかし理屈っぽく聴こえるわけではない。聴き手は素直にスリルとドライな感覚を楽しもう。
ムータンの自在なベースもいい。この人はトリオ・モンマルトルに参加していたが、この録音では別人のようにアグレッシヴ。ドラマーのヘーニヒも切れ味鋭いかっこいいドラミングを聴かせる。

 

Jean-Michel Pilc, piano
Francois Moutin, bass
Ari Hoenig, drums

・Recorded in 2001

Welcome Home
ウェルカム・ホーム

これも刺激的
カーディナル・ポインツ
ソロアルバムもある
フォロー・ミー

トリオ・モンマルトルは
カフェ・モンマルトルからの眺め

刺激的トリオなら
The Bad Plus

 

1. So What
2. I Got It Bad and That Ain't Good
3. Stella by Starlight
4. Autumn in Newfane
5. Colchiques dans les Pres
6. Solitude
7. Cousin Mary

  8. Giant Steps
9. Tenderly
10. Welcome Home
11. Serial Mother Blues
12. Scarborough Fair
13. Rhythm-a-ning
14. Beginning
スティーブ・キューン

Steve Kuhn: Oceans in the Sky

スティーヴ・キューン1989年パリ録音。リリカルと評されるキューンの美点が充分に発揮されたアルバムだ。ミロスラフ・ヴィトウス、アルド・ロマーノという先鋭的技巧派と組んでいるので、ただ美しいだけでなくスリルを味わうこともできる。
最初の曲“The Island”はイヴァン・リンスの作品、“Angela”はジョビン。ともに素材はブラジルだが演奏はボサノヴァでもなんでもない。特徴的な和声進行を活かした抒情的な美しい仕上がりになっている。(3)はドビュッシーの『レントよりおそく』からエリントンの曲に移行していくというアイディア。まったく違和感がないが、この二人は音楽的に親戚筋にあたるので当然といえば当然。ほかのジャズオリジナルではケニー・ドーハムの(2)とデイヴ・ブルーベックの(8)が目を引く。前者はスウィンギーな推進力あるプレイが聴きもの。後者はキューンのリリシストぶりが発揮された美しいバラッド。ブルーベック本人の演奏より数倍美しい。自作の(5)で聴かせるスケールの大きいソロ、ヴィトウス、ロマーノの刺激的なサポートも冴えている。
録音のよさも大きな魅力。ピアノの状態もよく、キューンのタッチの美しさがうまく捉えられている。ベースの音もヌケがよくすっきりしている。

 

Steve Kuhn, piano
Miroslav Vitous, bass
Aldo Romano, drums

・Recorded in 1989
OWL 013 428 2
(Universal Music France)

Steve Kuhn: Oceans in the Sky
オーシャンズ・イン・ザ・スカイ

キューンの出世作は
スリー・ウェイヴス
最近の人気作から
イージー・トゥー・ラブ
誘惑
Love Walked In
こちらもぜひ
The October Suite

 
1. The Island
2. Lotus Blossom
3. La Plus Que Lente/ Passion Flower
4. Do
5. Oceans in the Sky
  6. Theme for Ernie
7. Angela
8. In Your Own Sweet Way
9. Ulla
10. The Music that Makes Me Dance
ヨアヒム・キューン

Easy to Read
Joachim Kuhn/ Daniel Humair/ J-F. Jenny-Clark

ヨアヒム・キューンを中心とするヨーロピアン・アヴァンギャルドの典型みたいなトリオ。こう書いただけで一部の人は引いてしまうだろう。どうぞ引いてください。そういう音楽です。
米国に発したフリージャズはやがて陳腐化したりエネルギーを失ったりして惨憺たるものになっていったけれども、異なる音楽的伝統に立脚するヨーロッパのミュージシャンたちは、フリージャズの遺産を独自のかたちでかれらの音楽に活かしていった。知的に熱い、冷静に走るスリリングな音楽が産み出されたのだ。
このトリオはどうだろう。まず卓越したテクニックがあり、それを極限まで発揮することによって従来のジャズになかった表現が可能になっている。下手でも味があるからいい、という価値観は通用しない。情念なんてものの入り込む余地もない。徹底したアブストラクト。これがかっこいいのである。プロコフィエフのピアノ曲を聴いているような感じもある。
バラッドも乾いている。美しいけれど甘くなることがない。凛とした抒情とでも言おうか。タイトル曲“Easy to Read”の禁欲的な美はその好例だ。

 

Joachim Kuhn, piano
Jean-Francois Jenny-Clark, bass
Daniel Humair, drums

・Recorded in 1985
OWL 014-802 2
(Universal Music France)

Easy to Read

 
1. Guylene
2. Easy to Read
3. Habits
  4. Sensitive Details
5. Open de Trio
6. Monday
ペトルチアーニ

Michel Petrucciani

ミシェル・ペトルチアーニ(1962-1999)18歳の録音。デビューしたときは16歳だったと思う。まさに天才君の登場。たまげたジャズファンは少なくなかった。少年とは思えない卓越したテクニックと楽想の豊かさは、同時期の新人ピアニストのなかでも群を抜いていた。そしてその強靱なタッチ。ベテランでさえこんな力強い演奏のできる人はまれである。
このアルバムはジェニー=クラークとロマーノというヨーロピアンジャズシーン屈指の先鋭的プレイヤーと組んだもの。しかしバリバリの演奏ばかりではない。ロマーノ作のキャッチーな美旋律『クリスマス・ドリームズ』やマンシーニの『酒とバラの日々』を聴いてみよう。叙情的な演奏だが適度なドライさを併せもち、独特の世界を創り出している。
ジェニー=クラークのスリリングなベースもわくわくさせてくれる。それ以上にすごいのがロマーノだ。とくに『チェロキー』で聴かせるしつこいくらいの爆発的なソロ。ワザもセンスもただ者ではない。

 

Michel Petrucciani, piano
Jean-Francois Jenny-Clark, bass
Aldo Romano, drums

・Recorded in 1981
OWL 013-431 2
(Universal Music France)

Michel Petrucciani

人気の父子共演盤
カンヴァセーション
グラッペリとの共演盤も人気
フラミンゴ

 
1. Hommage a Enelram Atsenig
2. Days of Wine and Roses
3. Christmas Dreams
  4. Juste un Moment
5. Gattito
6. Cherokee
 
  PIANO 1 / [2] / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
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TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL