ジャズCDレビュー
ジャス・ピアノ   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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PIANO

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11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL
 

Mal Waldron: The Quest
with Eric Dolphy and Booker Ervin

マル・ウォルドロンとエリック・ドルフィというとファイヴ・スポットでの白熱のライヴを思い出す。これはその20日ほど前の6月27日のスタジオ録音。ライヴでも演奏された“Fire Waltz”が含まれる。
その“Fire Waltz”がこのアルバムに入ると違って聴こえてくる。マルのさまざまな試みのひとつとして位置づけられるからだ。当盤は7曲すべてマルのオリジナル。それぞれ異なる工夫が見られ、かれの作曲技法の多彩さが示されている。“Quest”=探求である。
“Fire Waltz”は名前どおり3/4拍子。“Warp and Woof”は5/4拍子という変拍子。“Take Five”とちがって引きずるような面白いリズムになっている。ドルフィのミステリアスなクラリネットをフューチャーした“Warm Canto”はフリギア旋法を使用。ミで始まる音階だ。エキゾチックな雰囲気があるのはスペインの音階と同じだからか。“Duquility”はDuke Ellingtonの“Du”と“tranquility”(=静けさ)をくっつけた造語。エリントンが使う現代音楽っぽい和声を採り入れている。13個の音を使った“Thirteen”という曲も面白い。

旋法や変拍子など気にしなくても、気づかなくても、マルの音楽の面白さは楽しめるだろう。快調にすっ飛ばすかっこいい曲もあるし、だいいちメンバーがただ者ではない。ダントツはやはりドルフィだが、ブッカー・アーヴィンのテクニック満開の熱いテナーも手に汗にぎるスリルを味わわせてくれる。マルのピアノよく練られたハーモニーの美しさが聴かれる味のあるもの。傾聴。

 

Mal Waldron, piano
Eric Dolphy, alto sax & clarinet
Booker Ervin, tenor sax
Ron Carter, cello
Joe Benjamin, bass
Charlie Persip, drums

・Recorded in 1961

The Quest
ザ・クエスト

Prestige時代のマル
Mal-1
Mal-2
Mal-3
Mal-4
4, 5 & 6

参考盤
直立猿人

話題になったECM録音
Free at Last
フリー・アット・ラスト

 
1. Status Seeking
2. Duquility
3. Thirteen
4. We Diddit
  5. Warm Canto
6. Warp and Woof
7. Fire Waltz
マル・ウォルドロン:レフト・アローン
Dedicated to Billie Holiday

日本人はみんなジャッキー・マクリーンのアルトがすすり泣く『レフト・アローン』が好きである、みたいなことを書いたジャズ本があった。わたしは日本人だけどこのアルバムが好きじゃない。情感のこもった演奏は好きだが、泣き節はほどほどにしてもらいたい。しかしマルのアルバム中もっとも人気があるのはたしかで、初心者向けとしてよく推薦されている。
わたしにはトリオで演奏される4曲のほうが面白い。音の少ないスカスカの演奏にマルの特徴、個性的フレージングや和声へのこだわりがあらわれているから。(4)なんてかっこいいと感じる人も少なくないと思う。8分を超える演奏で、せまい音程の中をぐるぐる走り回るというマルらしい突っ走りソロがたっぷり聴ける。ベース、ドラムスのソロも長い。

 

Mal Waldron, piano
Jackie McLean, alto sax (1)
Julian Euell, bass
Al Dreares, drums

・Recorded in 1957

Left Alone
レフト・アローン

レフト・アローン再演
マル・ウォルドロン

 
1. Left Alone
2. Cat Walk
3. You Don't Know What Love Is
  4. Minor Pulsation
5. Airegin
6. Mal talks about Billie Holiday
オール・アローン

マル・ウォルドロン:オール・アローン

全編ソロピアノというあるまじきアルバムが、なぜかよく売れた。SJ誌でベタ褒めしてたこともあり、貧乏学生は無理して買ったものである(わたしか、それは)。たしかに美しかった、曲が。あるまじきと言ったのは、マル・ウォルドロンの腕前で、という意味だ。リズム隊のサポートがないから左手の比重を大きくしないと薄っぺらになる。リズムの乱れがあると丸わかりになる。大丈夫なのか。
半分は杞憂に終わった。マルはテンポを落として左手で厚めの和音を響かせ、右手のメロディックなラインをうまく支えている。タイトル曲『オール・アローン』はキャッチーな美旋律がきわだってとくに効果的。トレモロ奏法が哀愁をかきたて、多くのファンがこれにはまってしまった。
それぞれ工夫のある曲なのでまじめにつき合っていけば聴き応えはある。しかしマスターの場合、ゴリゴリした不安定な低音が鼻について途中で放り出してしまう。相性の問題、ですかねぇ。

 

Mal Waldron, solo piano

・Recorded in 1966

オール・アローン

映画音楽集
記憶の中のフランス映画
ショパンを弾いた?
プラハの春

 
1. オール・アローン
2. デュー・トリ
3. ルーカの眺め
4. ブルー・サマー
  5. イフ・ユー・シンク・アイム・リックト
6. スリー・フォー・シッシ
7. モスク・レイド
8. 忘却のワルツ
フィニアス

Phineas Newborn, Jr.: A World of Piano!

フィニアス・ニューボーンがコンテンポラリーに遺したトリオ盤はみんな同じだ。無責任だって?いんや、どれを聴いてもハズレがないってこと。共演メンバーも一流どころばかりだしね。
ま、そうはいっても仕上がりのテイストはそれぞれ異なる。中でもいちばんハッピーなのがこれ。『マンテーカ』なんてガレスピーの「まーんてぇーかーっ」って叫び声がきこえてきそうなくらい陽気だ。ほかにもパーカー、ブラウニー、ロリンズのレパートリーやっていてどれも楽しい。B面にはイントロにラヴェルの『ソナチネ』のフレーズを使った曲があって…、あ、これはCDだったか、いろいろ楽しませてくれる。
テクニック先走りスタイルからようやく落ち着きが出てきた頃なので、時々無意味なフレーズが入ってしまうのは否めない。しかしピーターソンやテイタムに比せられたほどの圧倒的テクニックは「すごい」のひとこと。バド・パウエル以降のバップピアノも継承しているのだが、左手の雄弁さはパウエル派とはまったく違う。
(7)は早世してしまったユニークなピアニスト、カール・パーキンスに捧げられた曲。しみじみした美しい演奏で、のちの名演を予告するような出来ばえだ。

 

Phineas Newborn, Jr., piano
Paul Chambers or Sam Jones, bass
Philly Joe Jones or Louis Hayes, drums

・Recorded in 1961

World of Piano!
ワールド・オブ・ピアノ!
廉価盤で
ワールド・オブ・ピアノ!

あまり知られていないが
The Newborn Touch
ザ・ニューボーン・タッチ

 
1. Cheryl
2. Manteca
3. Lush Life
4. Daahoud
  5. Oleo
6. Juicy Lucy
7. For Carl
8. Cabu

Phineas Newborn, Jr.: Please Send Me Someone to Love

フィニアス・ニューボーンがコンテンポラリーに遺したトリオ盤はみんな同じだ。とくにレイ・ブラウン、エルヴィン・ジョーンズと組んだものは。どれも推薦に値する。ただ一枚ごとに雰囲気は若干異なる。これは中でもいちばんブルージーなもの。
“Please Send Me Someone to Love”が素晴らしい。こんなに美しくしっとりしたブルーズは聴いたことがない。情感たっぷりなのに品があり、ベテランブルーズシンガーの名唱を聴いているような錯覚にとらわれる。
ゆったりしたエリントンの“Come Sunday”もいいし“Black Coffee”の抑制の効いた盛り上がりも大人の味。面白く聴けたのは“Here's a Real Gone Guy”。この曲にはレッド・ガーランドの弾むようなリズムで駆け抜ける快演があったので聴き較べてみたのだ。得意のブロックコードでたたみかけるガーランド。それに対してフィニアスは一つひとつの音が明確できらびやか。指の走りの速さにスリルを感じる。
全体の印象は前項“A World of Piano!”ほどの派手さはない。どちらかというとじっくり聴くタイプのアルバムだ。

 

Phineas Newborn, Jr., piano
Ray Brown, bass
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1969

Please Send Me Someone to Love
プリーズ・センド・ミー・サムワン

同時期の録音
The Great Jazz Piano
ザ・グレイト・ジャズ・ピアノ
Back Home
バック・ホーム

これも代表作
We Three

 
1. Please Send Me Someone to Love
2. Rough Ridin'
3. Come Sunday
4. Brentwood Blues
 

5. Here's a Real Gone Guy
6. Black Coffee
7. Little Niles
8. Stay on It

Phineas Newborn, Jr.: Harlem Blues

フィニアス・ニューボーンがコンテンポラリーに遺したトリオ盤は…、しつこいか。これは上記“Please Send Me Someone to Love”に次いでマスターがよく聴くアルバム。はなやかさはこちらの方が楽しめる。
タイトル曲の“Harlem Blues”はどこかで聴いたようなゴスペルふうオリジナル。豪快にスウィングするブルーズで、鍵盤上を駆けめぐる指の速さ、力強いタッチに圧倒される。エルヴィンのたたみかけるようなサポートもうまい。
レイ・ブラウンが書いたバップ作品“Ray's Idea”も豪快なブルーズ。ブラウンの太い音色のベースがクリエイティヴなラインを聴かせる。→かれは“Tenderly”でも活躍する。
“Stella by Starlight”もフィニアスらしさがよく出ている。この曲は1944年、ヴィクター・ヤングが映画『招かれざるもの』のために書いた曲。今でもジャズ・スタンダードとして親しまれている。フィニアスはフリーリズムで美しい元旋律に装飾音をちりばめていく。テイタム→ピーターソンの流れを感じさせるアプローチ。リズム隊が入ってテンポを上げるとテンションが高まり、アグレッシヴなステラになっていく。ロマンティックなバラッドじゃないのだ。なるほど、そう来たか。
 

Phineas Newborn, Jr., piano
Ray Brown, bass
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1969

Harlem Blues
ハーレム・ブルース

セクシーな一枚
ホワイル・マイ・レディ・スリープス

 

1. Harlem Blues
2. Sweet and Lovely
3. Little Girl Blue
4. Ray's Idea

  5. Stella by Starlight
6. Tenderly
7. Cookin' at the Continental
メッセンジャース Horace Silver and the Jazz Messengers

ホレス・シルヴァー名義のジャズ・メッセンジャーズ唯一のアルバム。かの有名な無人島アルバム『バードランド』の9か月後の録音が4曲、翌年2月の録音が4曲収められている。シルヴァーとブレイキーはこのあと袂を分かってしまうので、数少ない共演盤の一枚でもある。
ハードバップ誕生に寄与したシルヴァー、まさに王道のハードバップを聴かせてくれる。しかしフロントラインがケニー・ドーハム、ハンク・モブレーというソフト路線なので、マイルズのクインテットやブラウン=ローチ・クインテットとはだいぶおもむきが違う。ドーハムの温かい音色がバンドカラーを支配し、ふくよかなモブレーとともに快いリラクゼーションにいざなう。突きつめたようなところがないのである。曲目では『ザ・プリーチャー(伝道師)』がファンク最初期の名作として名高い。一度聴いたら忘れられない楽しく親しみやすい旋律。ほかの曲も魅力的で、シルヴァーの作曲家としての実力が早くも100%発揮されている。
ピアニストとしてはマイルズの『ウォーキン』で聴かせたシンプルで粋なブルーズの延長線上にあり、マスターの好きなスタイル。作曲家らしいとも言えるが、しゃべりまくらないところがいいのである。
 

Kenny Dorham, trumpet
Hank Mobley, tenor sax
Horace Silver, piano
Doug Watkins, bass
Art Blakey, drums

・Recorded in 1954 & 55*
Blue Note Records BLP1518
7243 8 75339 2 9

Horace Silver and the Jazz Messengers
ザ・ジャズ・メッセンジャーズ

 
1. Room 608
2. Creepin' in
3. Stop Time
4. To Whom It My Concern*
  5. Hippy*
6. The Preacher*
7. Hankerin'*
8. Doodlin'
シックス・ピース Horace Silver: Six Pieces of Silver

LPはタイトル通りホレス・シルヴァーの作品6曲を揃えたアルバムだった。1956年の録音であり、この時期自作曲ばかりでアルバムを作ってしまうミュージシャンは少なかったと思う。スタンダードのコード読み替えでなく、オリジナルのコードでアドリブを組み立てていくのである。コード優先でへんてこな曲を作る人もいたが、シルヴァーはそういう野暮なことはしない。いい曲ばかりである。
有名な『セニョール・ブルーズ』を収録。いくらシルヴァーでも全編ファンキーなわけではなく、エキゾチックな魅力を放つ作品もいくつか。これも変化のあるソロを導くための手段なのである。トランペットが若いドナルド・バードに代わったこともあって明るさが増し、モブレーのやわらかテナーも好調。シルヴァーのピアノも出番が多く、インスピレーションゆたかな気の利いたソロを聴かせてくれる。

CDでは1958年のステレオ録音が追加されている。ビル・ヘンダーソンをフューチャーした『セニョール・ブルーズ』のヴォーカル・ヴァージョン(10)もある。
 

Donald Byrd, trumpet
Hank Mobley, tenor sax
Junior Cook, tenor sax*
Horace Silver, piano
Doug Watkins, bass
Gene Taylor, bass*
Louis Hayes, drums
Bill Henderson, vocal (10)

・Recorded in 1956 & 58*
Blue Note Records BLP1539
7243 5 25648 2 8

Six Pieces of Silver
シックス・ピーシズ・オヴ・シルヴァー

 
1. Cool Eyes
2. Shirl
3. Camouflage
4. Enchantment
5. Senor Blues
  6. Virgo
7. For Heaven's Sake
8. Senor Blues [Alt. take]
9. Tippin*
10. Senor Blues - vocal version*
ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ

Horace Silver: Blowin' the Blues Away

1959年録音。ホレス・シルヴァーはピアニストとしてさらに磨きがかかり、イマジネイティヴな素晴らしいソロを連発する。タイトル曲(1)や人気曲(5)はもちろん、フロントを休ませたトリオ(2)などでも絶好調ぶりをうかがわせる。トランペッターはブルー・ミッチェルに代わり、バンドの響きはさらに明るくなった。かれの活きのよさもこのアルバムの魅力を高めている。明るいとはいっても底抜けにハッピーなわけではない。それは音色の話で、テンションの高い勢いのあるアドリブを繰り出してバンドを引っぱっていくのである。バラッドでは美しく繊細なところを聴かせ、この人選は大成功だった。クックのテナーも豪快さを増している。
有名すぎる『シスター・セイディ』ばかり聴かず変化に富んだ名作たちを味わっていただきたい。『バグダッド・ブルーズ』『メランコリー・ムード』などシルヴァーの巧みな曲作りが味わえるし、それぞれの曲に合わせた各メンバーの幅広い表現力も楽しめる。この5人はしばらく固定メンバーで活動を続けるが、おそらくこのアルバムが一番の出来映えだろう。お奨め。

 

Blue Mitchell, trumpet
Junior Cook, tenor sax
Horace Silver, piano
Gene Taylor, bass
Louis Hayes, drums

・Recorded in 1959
Blue Note Records BST84017
7243 4 95342 2 3

Blowin' the Blues Away
ブローウィン・ザ・ブルーズ・アウェイ

 
1. Blowin' the Blues Away
2. The St. Vitus Dance
3. Break City
4. Peace
  5. Sister Sadie
6. The Bagdad Blues
7. Melancholy Mood
8. How Did It Happen?
ソング・フォー・マイ・ファーザー Horace Silver: Song for My Father

麦わら帽子で秋草の上に座って微笑んでいるのはジョン・タヴァレス・シルヴァー。ホレズ・シルヴァーのパパである。ポルトガルからの移民だったそうで、小さくて見えないがカヴァーの“Song for My Father”の下には“Cantiga para Meu Pai”とポルトガル語で表記されている。シルヴァーの曲に特徴的なラテン的旋律と抒情は音楽好きなこの父親譲りのものなのだろう。
録音は過渡期のもので、ミッチェル、クックを含むものとそのクインテットを解散した後のカーメル・ジョーンズ、ジョー・ヘンダーソンを含むものとに分かれる。次々と気鋭の若手を入れて刷新を図っていくあたりブレイキーみたいである。ハードバップの基本形であるクインテット編成を保持しながらも、こののち新主流派の中心となっていくヘンダーソンの参加によって、シルヴァーのファンクはぐっとモダンになっている。かれのピアノもハードバップから一歩はみ出そうとしている。『カルカッタ・キューティ』の東洋的モード、『ケ・パサ?』の特徴的和声など、作曲面でも聴きどころの多いアルバムである。
 

Carmell Jones, trumpet
Blue Mitchell, trumpet*
Joe Henderson, tenor sax
Junior Cook, tenor sax*
Horace Silver, piano
Teddy Smith, bass
Gene Taylor, bass*
Roger Humphries, drums
Roy Brooks, drums*

・Recorded in 1963 & 64
Blue Note Records BST84185
7243 4 99002 2 6

Song for My Father
ソング・フォー・マイ・ファーザー

 
1. Song for My Father
2. The Natives Are Restless Tonight
3. Calucutta Cutie*
4. Que Pasa?
5. The Kicker
  6. Lonely Woman*
7. Sanctimonious Sam*
8. Que Pasa? (Trio Version)
9. Sighin' and Cryn'*
10. Silver Treads Among My soul*
 
  PIANO 1 / 2 / 3 / [4] / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL