クラシックレビュー
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バレー音楽・オペラ

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early music / baroque / orchestral / concerto / chamber
instrumental / vocal works / contemporary / historical recordings / etc.
 
ドンキホーテ

Boismortier: Don Quichotte chez la Duchesse
Le Concert Spirituel/ Niquet

1743年に初演されたボワモルティエ(1689-1755)の3幕ものバレエ・コミック『公爵夫人家のドン・キショット』。ドン・キショットとはドン・キホーテのフランス語読み。通常のバレエと異なり声楽が入るため、オペラ・バレエとも呼ばれる。18世紀のフランス宮廷で人気のあった形式で、悪く言えばお気楽なエンターテインメントだった。

さて、お読みになった方は憶えていらっしゃるだろう。ドン・キホーテは行く先々で馬鹿にされてひどい目に逢うが、最悪なのがこの公爵夫人との出会いだった。かの女はひまを持てあましており、ドン・キホーテ主従を自邸に招いて思う存分からかいつくす。公爵も侍女たちもみんなグルになって。
ボワモルティエの作品は長い物語のその部分だけを取り出してオペラバレエに仕立てたもの。しかし内容は原作とだいぶ違う。短縮したというより明らかな改作。だいいち何故日本人が出てくるのか!
原作ではサンチョが実在しない国の太守に任命されるが、どことも知れない国という意味合いで日本が引き合いに出されたのだろう。その日本人はアリアまで歌う。
ボワモルティエの音楽は当時としてはモダンでオーケストレーションもうまい。滑稽な物語にふさわしくきびきびした展開をみせ、きれいでお洒落なアリア、楽しい合唱も聴かれる。珍妙なやり取りはフランス語なのでよくわからないが、英語の対訳がついている。
ニケ率いるコンセール・スピリチュエルの演奏は明快。作曲者のウィットにとむ作風を見事に再現していて素晴らしい。

Stephan Van Dyck, Don Quichotte
Richard Brian, Sancho Panza
Meredith Hall, Altisidore
Paul Gay, Le Duc, Merlin, etc.
Marie-Pierre Wattiez, une paysanne
Patrick Ardagh-Walter, Montesinos
Le Concert Spirituel
Herve Niquet, conductor

・Recorded in 1996
Naxos International
8.553647

Don Quichotte chez la Duchesse

ドン・キホーテ<全巻>

ラモー:ピグマリオン

Rameau: Pigmalion
Le Concert Spirituel/ Niquet

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』の原作がバーナード・ショーの『ピグマリオン』だというのをご存知だろうか。ピグマリオンというのは神話上の人物ピュグマリオーンのこと。オウィディウス『変身譚』(Metamorphoses)にある。かれは自分の作った女神像に恋をしてしまう。しかし相手はもの言わぬ大理石の彫像。恋がかなうはずもなく、悲嘆の日々を送るピュグマリオーン。その姿を哀れに思った愛の女神は彫像にいのちを吹き込み、願いをかなえさせてやる。

理想の美の追求と生命を与えられる彫像というテーマは多くの芸術家の創造意欲を刺激し、詩人、画家、音楽家がさまざまな作品を創出している。フランスの後期バロックを代表するラモー(1683-1764)の作品は声楽をともなうバレエ。1748年に初演された挿入バレエ(他のバレエの幕間に上演されるもの)だった。当時の評判は上々だったと伝えられる。
華やかな序曲をもち、登場人物の性格づけも明快なわかりやすい展開。ピグマリオンの嘆きのソロ、愛の女神のアリアが美しい。上演効果を考えてか彫像は第3場で早くも動き出し、ここは何処、わたしは誰、何を考えているのかしら、どうして動いているのかしらと歌い始める。バレエなので舞曲も組み込まれており、ガヴォット、メヌエット、タンブーランなどが楽しげに連続する。生命を得た彫像も一緒に踊る。愛を讃える歌声とはずむようなコントルダンスで曲はめでたく締めくくられる。

ヴォルテールの台本によるオペラ・バレエ『栄光の殿堂』抜粋がオマケ。

 

Jean-Paul Fouchecourt, Pigmalion
Greta de Reyghere, Amour
Nicole Fournie, Cephise
Sandrine Piau, Statue
Le Concert Spirituel
Herve Niquet, conductor

・Recorded in 1992
Fnac Music 592196

レーベル移行
Rameau: Pigmalion

ベンダの作品
Benda: Melodramas

オウィディウス変身物語 上巻
オウィディウス変身物語 下巻
Bernard Shaw: Pygmalion
ベスト・オヴ・ショー

 
1. Pigmalion (1748)   2. Le Temple de la Gloire (extraits)

ヴェルディ:オテロ

Giuseppe Verdi: Otello
McCracken/Jones/Fischer-Dieskau/New Philharmonia/Barbirolli

聴き手が主人公オテロをどうとらえているか、それによって評価が大きく変わってくるアルバム。かれを高潔な人物、完全無欠な英雄と考える人たちにとっては、このオテロは許しがたいものらしい。堂々としていないではないか、かっこわるいではないかと。なかには「下品」とまで酷評する批評家もいる。
一方オテロを普通の人間、弱みを持った人間と思っている聴き手には、あまり堂々としたオテロは違和感がある。戦場では英雄だったかも知れないが、讒言をたやすく信じて若妻を殺してしまうような愚かな男ではないか。悲劇はイアーゴひとりのせいだけではない。オテロにも問題があったのだ。シェイクスピアの作品を読んで、オテロ(オセロー)を完全無欠と感じる人がいるのだろうか。
バルビローリ盤は後者の立場にたち、人間くさいドラマを展開する。感情表現の巧みなバルビローリの棒と歌詞の内容を表現に直結させた歌手たちによって、リアリズムとでも呼べるような情念の世界が聴かれる。もちろんヴェリズモとは違うのだけれども、物語が身近に感じられるのは確かだ。

 

James McCracken, Otello
Gwyneth Jones, Desdemona
Dietrich Fischer-Dieskau, Jago
Piero de Palma, Cassio
Anna di Stasio, Emilia
Ambrosian Opera Chorus
New Philharmonia Orchestra
Sir John Barbirolli, conductor

・Recorded in 1968
EMI Classics
CMS 5 65296 2 (2CDs)

Barbirolli: Otello

英雄的『オテロ』は
Karajan: Otello

オセロー(新潮文庫)

この世で一番強い者はだれか

Martinu: Who is the Most Powerful in the World
(Ballet Comedy in 1 Act) Prague Symphony/ Belohlavek

バレエ音楽『世界で一番強い者は誰か』(1922)。何だかすごいタイトルだけど、一番強いのは実は、ネズミ。ネズミの両親が愛娘(まなむすめ)を世界で一番強い者に嫁がせようと太陽のところに行く。ところが太陽はわたしより雲のほうが強いといい、雲は自分より風が強いといい…、という有名なおとぎ話『ネズミの嫁入り』がバレエになっているのだ。
さまざまな候補者たちへの訪問場面から最後にネズミの王子と結ばれるまでがユーモラスに描かれる。優雅なワルツがあるかと思えば風が吹いたり雷鳴がとどろいたり、迫力も満点。太陽や雲やネズミがどんなふうに踊るのか、ステージをいっぺん見てみたいものだ。そんなチャンスは簡単には訪れそうもないけれど、マルティヌーの巧みな描写力とビェロフラーヴェクのあざやかな棒さばきのおかげで、音だけでも想像力をはたらかせて楽しむことができる。
この作品はマルティヌー20年代の特徴であるジャズっぽい作品のひとつ。太陽を訪問する部分の“Shimmy-foxtrot”は単独でも演奏される。

 

Prague Symphony Orchestra
Jiri Belohlavek, conductor

・Recorded in 1986
Supraphon Records
SU 3303-2 031

Who is the Most Powerful

バレエ『踏みつけられた蝶』
Butterfly That Stamped

ロメオとジュリエット

Prokofiev: Romeo and Juliet, op.64
London Symphony/ Andre Previn

アンドレ・プレヴィンがクラシックに転向して10年ほど後の、1973年の録音。かれの録音は70年頃からすべて評判がよかったが、私見では交響曲よりこういう情景描写をともなう作品の方が数段優れていた。30年後に聴きなおしても、各場面の描き方の巧みさには驚くばかり。映像なしでバレエの全曲録音を聴くのはしんどいものなのだが、プレヴィンなら最後まで飽きずに聴き通せる。
『ロミオとジュリエット』はプロコフィエフが祖国復帰を果たしてからの作品。保守的といっては語弊があるが、わかりやすい曲である。前衛から足を洗ったとはいえモダンな才気あふれる作風はそのまま。初演(1938年) 当初から人気が高く、コンサート用として第3組曲まで作られている。
各シーンが細かくトラックに分けられているので、ステージを想像しながら聴くのに便利。プレヴィンのつぼを押さえた〈語り手〉ぶりに身をまかせ、シェイクスピアの世界に入っていこう。

 

London Symphony Orchestra
Andre Previn, conductor

・Recorded in 1973
EMI Classics
7243 5 68607 2 8 (2CDs)

Prokofiev: Romeo and Juliet

同じ頃の録音
Prokofiev: Cinderella
バレエではないけれど…
Prokofiev: Peter and the Wolf

原作を読もう
ロミオとジュリエット(中野訳)
ロミオとジュリエット(小田島訳)

 
<CD 1>
1. Act 1/ Scene 1
2. Act 1/ Scene 2
3. Act 2/ Scene 1(beginning)
<CD 2>
1. Act 2/ Scene 1(conclusion)
  2. Act 2/ Scene 2
3. Act 2/ Scene 3
4. Act 3/ Scene 1
5. Act 3/ Scene 2
6. Act 3/ Scene 3
7. Epilogue
 
バレー音楽・オペラ [1] / 2
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