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マイルス・デイビス   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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演奏家インデクス
ジャズ・トランペット

TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND /COMBO / VOCAL
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マイルス/ウォーキン

Miles Davis All Stars: Walkin'

マイルズの〈オリジナルクインテット以前〉を代表する名盤のひとつ。J.J. ジョンソン、ラッキー・トンプソンを従えたセクステットによる2曲(4月29日録音)が素晴らしいからである。ここには1951年の“Dig”で方向を示したじっくり聴けるジャズの熟成された姿が刻印されている。“Walkin'”では音を減らし、音域を下げ、落ち着いた深みのあるソロを展開。洗練されたブルーズ演奏を聴かせる。よく「無駄な音がない」という表現を使うが、その典型みたいなソロである。J.J.もテクニカルなアプローチをひかえ、構築的な素晴らしいソロをとっている。そしてラッキー・トンプソンのふくよかなソロ。このアルバムをしてかれの代表作と呼ぶ人がいるくらいのイマジネイティヴなソロだ。そしてホレス・シルヴァーの抜群のブルーズピアノ。
同一メンバーによる“Blue 'N' Boogie”はクールなアップテンポ。シルヴァーのよく弾むピアノが素晴らしい。
クインテットによる3曲(4月3日録音)はパーシー・ヒース、ケニー・クラークのタイトなサポートが際立つ。相方をつとめているのはパーカー派のアルト、シルドクラウト。マイルズのミュートが独特の雰囲気をかもし出し、シルヴァーはここでも印象に残る素晴らしいソロを聴かせる。

Miles Davis, trumpet
J.J. Johnson, trombone (1 & 2)
Lucky Thompson, tenor sax (1 & 2)
David Schildkraut, alto sax (3-5)
Horace Silver, piano
Percy Heath, bass
Kenny Clarke, drums

・Recorded in 1954

Miles Davis All Stars: Walkin'
リマスター盤は
Walkin (Rmst)
国内盤は
ウォーキン
XRCDも出ている
ウォーキン〈XRCD〉

 
1. Walkin'
2. Blue 'N' Boogie
3. Solar
  4. You Don't Know What Love Is
5. Love Me or Leave Me
バグス・グルーブ

おすすめ

Miles Davis & the Modern Jazz Giants: Bag's Groove

上記と同じ1954年の録音。2テイク収められた“Bag's Groove”が12月24日のクリスマスセッション、別名「喧嘩セッション」だ。マイルズとモンクの喧嘩のいきさつはさんざん語られているので書かない。
マイルズのシンプルなソロはますます磨きがかかり、即興による完成度の高さという困難な課題を見事にクリアしている。こんな気品のあるソロはめったに聴けない。オリジナルクインテット直前のクール&ソフトなハードバップだ。
そしてモンクのひらめきに満ちた寡黙なソロの面白さ。優れたコンポーザーらしいアイディアが独特の緊張感をもたらす。この和声感覚をぜひ味わってほしい。バグスのブルージーなアドリブも自在なメロディラインを紡ぎだし、聴き手を惹きつける。
残る5曲は6月29日録音。ソニー・ロリンズを迎えたクインテットで、ピアノはホレス・シルヴァー。この編成でもっと録音を残してもらいたかった。恐ろしく完成度の高いグループである。ロリンズの豪放でゆとりのあるプレイが堪能できる。
雑学をひとつ。(3)のロリンズ作品『エアージン(Airegin)』は逆さに読むと「ナイジェリア(Nigeria)」になる。2年後のコルトレーンとの録音と較べてみるのも一興かと思う。

 

Miles Davis, trumpet
Sonny Rollins, tenor sax (3-7)
Milt Jackson, vibes (1 & 2)
Thelonious Monk, piano (1 & 2)
Horace Silver, piano (3-7)
Percy Heath, bass
Kenny Clarke, drums

・Recorded in 1954

Bag's Groove
リマスター盤は
Bag's Groove (Rmst)
国内盤は
バグス・グルーヴ

参考文献:
マイルズ・デイヴィス自叙伝

 
1. Bag's Groove [Take 1]
2. Bag's Groove [Take 2]
3. Airegin
4. Oleo
  5. But Not for Me [Take 2]
6. Doxy
7. But Not for Me [Take 1]
ブルー・ヘイズ

Miles Davis: Blue Haze

マイルズ・デイヴィス1953年の4曲と1954年の4曲。そのうち(1)は『ウォーキン』のB面(3)〜(5)と同日のセッション。寄せ集めだが出来映えは素晴らしい。マスターの隠れた(?)愛聴盤のひとつ。
タイトなリズムセクションが心地よい(1)はマイルズのミュートが冴える。オリジナルクインテット以降の鋭い音色と比べるとだいぶソフトな印象だ。アルトのシルドクラウトもなめらかなアドリブを聴かせる。
53年のセッションはミンガスが1曲だけピアノを弾いている。けっこうきれいなピアノ。しかし主要レパートリー(7)あたりがいちばんいいかな。
ブレイキーと組んだ3曲では“Blue Haze”が聴きものだ。自叙伝によるとスタジオの照明をおとして真っ暗な中で録音したという話。「おい、おまえどこにいるんだ」なんて言いながらやっていたらしい。忍び足みたいなパーシー・ヒースのウォーキングにブレイキーのシンバルがからむミステリアスな導入部。真夜中の雰囲気が高まったところでマイルズのトランペットがジャン・ギャバンふうに登場。なんともかっこいい入り方。寡黙なソロがまたスリリングである。

 

Miles Davis, trumpet with
on 4, 6, 7 & 8 ------
John Lewis or Charles Mingus(4), piano
Percy Heath, bass
Max Roach, drums
on 2, 3 & 5 --------
Horace Silver, piano
Percy Heath, bass
Art Blakey, drums
on 1 only ----------
Dave Schildkraut, alto sax
Horace Silver, piano
Percy Heath, bass
Kenny Clarke, drums

・Recorded in 1953 & 54 (1,2,3 & 5)

Blue Haze
ブルー・ヘイズ

 
1. I'll Remember April
2. Four
3. Old Devil Moon
4. Smooch
  5. Blue Haze
6. When Lights Are Low
7. Tune Up
8. Miles Ahead
マイルス・デイビス

Miles Davis and the Modern Jazz Giants

二つの伝説のセッションからの5曲。(3)がマラソンセッションで、他はすべてクリスマスセッションから採られている。残りものを集めたような気もするがさすがマイルズ、聴き応えある演奏ばかりだ。
クリスマスセッションは上記“Bags Groove”に劣らない。マイルズの抒情的表現のうまさはむしろこちらの方がよく味わえる。バグスの美しく流麗なアドリブ、存在感充分のモンクのピアノもたっぷり聴ける。とくにリズムも和声も無視したようなモンクのソロは〈すごい〉のひとこと。正確さはヒースとクラークに任せてしまい、ほとんどやりたい放題。合わせる方は大変である。
オリジナルクインテットによる唯一のトラックは人気曲“'Round Midnight”で、同曲録音がコロンビア盤で先に出てしまったため発売が遅れたといわれる。演奏はこっちの方が若干いいような気がする。無責任のようだが、気がするというていどの違いしかないと思う。相方コルトレーンがプレスティジ盤の方が安定しているし、録音状態(ルディ・ヴァン・ゲルダー)もいいからだ。

 

Miles Davis, trumpet
Milt Jackson, vibes
Thelonious Monk, piano
Percy Heath, bss
Kenny Clarke, drums
--------
Miles Davis, trumpet
John Coltrane, tenor sax
Red Garland, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1954 & 56 (3)

And the Modern Jazz Giants
アンド・ザ・ジャイアンツ

 
1. The Man I Love [Take 2]
2. Swing Spring
3. 'Round Midnight
  4. Bemsha Swing
5. The Man I Love [Take 1]
マイルス・デイビス

Miles Davis and Milt Jackson
Quintet/Sextet

クリスマスセッションの半年ほど後の録音。共通メンバーはミルト・ジャクソンとパーシー・ヒース。ジャッキー・マクリーンの参加が2曲だけなので「クインテット/セクステット」ということになる。
そのジャッキーだが、マイルズとの初共演だった『ディグ』の初々しい熱演と較べるとゆるゆる。バグスもクリスマスセッションほどには飛翔していない。マイルズじたいジャケ写の強面イメージとはちがって少々ひかえめだ。リラックスしていると考えれば不満はないのだが…。
レイ・ブライアントのピアノがいい。あの『黄金の耳飾り』の入ったトリオ盤だけでブライアントを知っている人には違和感があるかも知れないが、かれはゴリゴリのブルーズピアノを弾く男なのだ。

 

Miles Davis, trumpet
Milt Jackson, vibes
Jackie McLean, alto sax
Ray Bryant, piano
Percy Heath, bass
Arthur Taylor, drums

・Recorded in 1955

Miles Davis and Milt Jackson
アンド・ミルト・ジャクソン

 

1. Dr. Jackle
2. Bitty Ditty

  3. Minor March
4. Changes
マイルス・デイビス

The New Miles Davis Quintet

オリジナルクインテットによるファーストレコーディング。記念すべきアルバムではあるが、評判は必ずしもよろしくない。ジョン・コルトレーンが下手くそだからだ。この下手くそが翌年のマラソンセッションであんなに堂々としたアグレッシヴなプレイを聴かせてくれることを思うと、わずか1年でよくぞ変貌したものだと感心せざるを得ない。マイルズの人を見る目の確かさにも驚く。
そういうわけで、コルトレーンを除けばバッチリ。マイルズのミュートは鋭さを加えて完成度が高まり、マラソンセッションに劣らない叙情的表現を繰りひろげる。レッド・ガーランドもすでに完成されている。そして素晴らしいのがポール・チェンバース。基本的にはウォーキングなのだが、これぞハードバップという和声の自由さとフレージングの柔軟さを示す。これ以前のアルバムのベーシストたちがみんな古くさくきこえてしまうくらいだ。このバンドはコルトレーンの起用ばかりが云々されるが、チェンバースの果たした役割にも注目していただきたい。
コルトレーンのファンの方にも《未完の大器》時代の演奏が聴ける貴重な(?)アルバムなのでおすすめだ。

 

Miles Davis, trumpet
John Coltrane, tenor sax
Red Garland, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1955

The New Miles Davis Quintet
ニュー・マイルズ・デイヴィス・クインテット

 
1. Just Squeeze Me
2. There Is No Greater Love
3. How Am I to Know?
  4. S'posin
5. The Theme
6. Stablemates
マイルス・デイビス「クッキン」

Cookin' with the Miles Davis Quintet

プレスティジからコロンビアへの移籍話が進んでいたマイルズは、アルバムの契約枚数を消化するために1956年の5月と10月、オリジナルクインテットを率いてテープ回しっぱなし全曲一発録りというセッションを行った。のちに「マラソンセッション」として伝説化した一連の録音は、合計4枚のLPとなってリリースされた。そのすべてが名演、というのが一般的な評価だ。
最初のリリースがこの『クッキン』だった。以後ほぼ10年にわたって主要レパートリーとなる『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』が含まれ、とくに日本での人気が高いアルバムだという。曲目へのこだわりがないマスターは『スティーミン』と『リラクシン』が好み。しかしうっかり「一番聴かないのが『クッキン』だ」なんて言うと石が飛んでくる(言ってしまったか)。
たしかに『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』のミュートは美しい。リリカルな表現力もだれにも真似できない域に達している。だけどほかの曲も聴こうよ。『ブルーズ・バイ・ファイヴ』のガーランドは抜群のリズム感を示すし、『エアージン』のコルトレーンは意欲的でスリルのあるソロを聴かせてくれるから。

 

Miles Davis, trumpet
John Coltrane, tenor sax
Red Garland, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1956

Cookin'
リマスター盤は
Cookin'(Rmst)
国内盤は
クッキン

 
1. My Funny Valentine
2. Blues by Five
  3. Airegin
4. Tune Up/ When Lights Are Low
マイルス・デイビス「リラクシン」

マスターのおすすめ

Relaxin' with the Miles Davis Quintet

マイルズのマラソンセッション4部作のうちで最高ランクに位置づけられる『リラクシン』。研ぎ澄まされた即興表現と表題どおりのリラクゼーションが味わえる稀有のアルバムだ。マイルズ個人に関して言えば、かれが到達した抒情表現の極致が聴かれる大傑作である。
ポップチューン“If I Were a Bell”を洗練されたジャズに昇華させるマイルズの優れたセンス。チェンバースのひらめきに満ちたベースライン、成長したコルトレーンの自在なソロも楽しめる。
唯一のバラッド“You're My Everything”ではマイルズがガーランドにイントロを「ブロックコードでやれ」と指示しているのがきこえる。この部分をカットしなかったのは粋なはからいだった。些細なことだが、聴き手はこれでセッションの雰囲気を想像するのである。マイルズの完成度の高い美しいソロに続いてコルトレーンの情感ゆたかなソロが聴かれる。かれはバラッドのとき休ませられていることが多いので貴重なバラッドプレイといえる。
ロリンズの曲“Oleo”をロリンズ本人との共演と較べてみるのも興味深い。アレンジの工夫で面白みが増しており、ガーランドの低音域を活かしたソロ、チェンバースとフィリー・ジョーのシャープなサポートが冴えている。ロリンズの悠々とした演奏に対してコルトレーンはかなりアグレッシヴ。どっちがうまいかって?個性ですよ、個性。あえて言うならロリンズの方がやっぱこの時点では…。

 

Miles Davis, trumpet
John Coltrane, tenor sax
Red Garland, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1956

Relaxin'
リマスター盤は
Relaxin' (Rmst)
国内盤は
リラクシン

 
1. If I Were a Bell
2. You're My Everything
3. I Could Write a Book
  4. Oleo
5. It Could Happen to You
6. Woody'n You
ワーキン

Workin' with the Miles Davis Quintet

マスターが清水銀座のすみやで買った『ワーキン』は赤かった。二色刷なので片方の刷り色を替えれば赤くも青くもなるのである。当時あの店ではプレスティッジの輸入盤が1200円で買えた。高校生の頃の話だけどね。
さて、オリジナルクインテットによるマラソンセッションは1956年の5月11日と10月26日に録音されている。わずか5か月の違いなのだが、この短い間にコルトレーンは長足の進歩を遂げている。そんなわけで、ほとんどが5月のセッションという『ワーキン』は4枚の中でいちばん評価が低いのだそうだ。
しかしコルトレーン抜きのバラッド“It Never Entered My Mind”ではマイルズが絶品のミュートを聴かせるし(なんと繊細な!)、マイルズさえ入っていない“Ahmad's Blues”はガーランドのチャーミングなピアノが冴えまくる。出番の少ないコルトレーンもやる気は充分(曲により不完全燃焼だけど)、フィリー・ジョーも遠慮知らずで活躍している。それにしてもマイルズってのはすごいよなぁ。自由にやらせているようでいながら、全編みごとにマイルズ・カラーで染め上げてしまうんだから。

 

Miles Davis, trumpet
John Coltrane, tenor sax
Red Garland, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1956

Workin'
リマスター盤は
Workin' (Rmst)
国内盤は
ワーキン

 
1. It Never Entered My Mind
2. Four
3. In Your Own Sweet Way
4. The Theme [take 1]
  5. Trane's Blues
6. Ahmad's Blues
7. Half Nelson
8. The Theme [take 2]
スティーミン

Steamin' with the Miles Davis Quintet

マラソンセッション4枚のうち最後に発売された『スティーミン』はマスターがいちばんよく聴いたアルバム。マイルズのミュート(弱音器つきの演奏)がたっぷり楽しめるからだ。ミュート奏法じたいは珍しくないが、マイルズの音色はだれにも似ていない。鋭いのである。器楽演奏にはソノリティを活かすってことがあって、優れたミュージシャンは楽器の響かせ方と音楽表現が緊密に結びついている。ジャズの場合もこの響きだからこそ歌える歌ってのがあるのだ。
“Surrey with the Fringe on Top”(飾りのついた四輪馬車)が最高の出来だろう。バラッド2曲(3)(6)のほどよい緊張感を保った叙情にも魅せられる。全4枚中いちばんのバラッド演奏だと思う。典型的バップチューン“Salt Peanuts”の突っ走りもかっこいいが、これはフィリー・ジョーのロングソロが単調になってしまうのが惜しい。

 

Miles Davis, trumpet
John Coltrane, tenor sax
Red Garland, piano
Paul Chambers, bass
Philly Joe Jones, drums

・Recorded in 1956

Steamin'
リマスター盤は
Steamin' (Rmst)
国内盤は
スティーミン

 
1. Surrey with the Fringe on Top
2. Salt Peanuts
3. Something I Dreamed Last Night
  4. Diane
5. Well, You Needn't
6. When I Fall in Love
 
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