ジャズCDレビュー
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VIBES 1 / [2] / 3 / 4 TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL
 
テリー・ギブス

Jazz Band Ball; Second Set

同種楽器の組合せなんか珍しくないって?いやいやこれはテリー・ギブス、ヴィクター・フェルドマン、ラリー・バンカーというヴァイヴ奏者3人の競演だ。リズム隊はルー・レヴィのピアノ、マックス・ベネットのベース、メル・ルイスのドラムスと選りすぐり。1957年のステレオ録音。
デンジル・ベストの作品(10)以外、丁々発止というより和気あいあいの楽しげな演奏。とくに凝ったアレンジや仕掛けはなく、自由でのびのびした感じ。ただ曲目に関してはMJQやベニー・グッドマンのレパートリーも選ばれているから、「俺たちがやったらこうなるぜ」という主張なのだろう。
また曲によってマリンバやシロフォンが使われていて、これが音色的に面白い。余韻がないから連打せざるを得ないわけで、これが楽想に影響を及ぼす。慣れていないせいか、ヴァイブのときとは勝手が違うようだ。
編成が編成だけに全体に涼しい響き。しかし名手ばかり並べただけあって、聴き応えは充分ある。珍品だと思って敬遠したらもったいない。

 

Terry Gibbs, vibes & Marimba
Victor Feldman, vibes & xylophone
Larry Bunker, vibes & xylophone
Lou Levy, piano
Max Bennett, bass
Mel Lewis, drums

・Recorded in 1957

Jazz Band Ball; Second Set

テリー・ギブスは
Dream Band, Vol.1
The Latin Connection
Chicago Fire

 
1. The Dipsy Doodle
2. Where or When
3. I'm Getting Sentimental Over You
4. Hollywood Blues
5. Tangerine
  6. Just Friends
7. Softly As In a Morning Sunrise
8. Memories of You
9. Broadway
10. Allen's Alley
ヴィクター・フェルドマン

Vic Feldman on Vibes

ヴィクター・フェルドマン(1934-87)が米国に渡って間もない1957年の録音。のちにシェリー・マンキャノンボール・アダレイマイルズ・デイヴィスらと共演して名をなしていくフェルドマンの、まだ無名に近かった頃のリーダー作だ。
1957年といえばフェルドマンがウディ・ハーマンのバンドを辞めてロスに居を定めた年。その新参者がいきなりいくつものレコーディングに参加していることを思うと、西海岸でのかれの評価がいかに高かったかが想像できる。この一枚を聴いても、23歳ですでにジャズミュージシャンとして充分完成されていたことがわかる。
ここではヴァイブしかやっていないが、かれはピアノよりヴァイブの方が非凡さを発揮する。目にもとまらぬマレットさばき(見たのか?)で魅力的なフレーズを叩き出す圧倒的テクニックと音楽性。バラッドで聴かせる繊細さと洒落たコードセンス。恐るべき若者である。
後半の3曲、フランク・ロソリーノ、ハロルド・ランドの入ったセクステットもご機嫌だ。トロンボーンとテナーサックスという渋い2管。ランドのテナーがブラウン/ローチの時よりソフトな音色に聴こえるのは録音のせいだろうか。短いのが惜しいけれど二人ともさすがにうまい。

 

Victor Feldman, vibes
Frank Rosolino, trombone
Harold Land, tenor sax
carl Perkins, piano
Leroy Vinnegar, bass
Stan Levey, drums

・Recorded in 1957

Vic Feldman on Vibes

英国録音
Victor Feldman in London, Vol.1
Victor Feldman in London, Vol.2
サイドマンとして
Leroy Walks!
Bob Cooper: Coop!

 
1. Fidelius
2. Just Squeeze Me
3. Sweet and Lovely
4. Bass Reflex
  5. Chart of My Heart
6. Wilbert's Tune
7. Evening in Paris
ヴィクター・フェルドマン

The Arrival of Victor Feldman

スコット・ラファロが参加しているため昔から評価の高いアルバムだ。フェルドマンはヴァイブとピアノ。前項アルバムと同じスタン・リーヴィがドラムス。
フェルドマンのスーパー・テクニックはこのアルバムの方が味わえる。ガレスピーの“Bebop”で聴かせるはやワザは目が回るくらいだ。しかしリーヴィが「天与の才能」と讃えたのは技術だけではなくて、作曲の腕前を含めたかれの幅広い音楽的才能だった。(3)(8)(9)のオリジナルを聴けばコンポーザーとしての魅力がよくわかる。そういえばマイルズもかれの曲をレパートリーに入れてたな〜。
スコット・ラファロに触れないわけにいかないだろう。天才と呼ばれただけのことはある自在でクリエイティヴなベースが充分味わえる。本来のリズムから離れてフェルドマンにからんでくる個性的フレーズ。ベースがヴァイブ/ピアノと対等に、もう一人のソリストとして存在を主張している。

 

Victor Feldman, vibes & piano
Scott La Faro, bass
Stan Levey, drums

・Recorded in 1958

The Arrival of Victor Feldman

ほかには
Suite Sixteen
Merry Olde Soul
His Own Sweet Way

 
1. Serpent's Tooth
2. Waltz
3. Chasing Shadows
4. Flamingo
5. S'posin
  6. Bebop
7. There is No Greater Love
8. Too Blue
9. Minor Lament
10. Satin Doll
レム・ウィンチェスター&ラムゼイ・ルイス

Lem Winchester & the Ramsey Lewis Trio
Perform a Tribute to Clifford Brown

早世したヴァイブ奏者レム・ウィンチェスターとラムゼイ・ルイス・トリオとの組み合わせ。レムの少年時代の友人だったクリフォード・ブラウンに捧げられたアルバムだ。ブラウンの作品も演奏されている。1958年シカゴ録音。
レムはのちのプレスティッジ盤に較べるとまだそれほど個性的ではない。しかしミルト・ジャクソンふうのハードバップを基本にした、ほどほどにアーシーで、ほどほどに斬新なスタイルは確立されている。シンプルでノリのいい演奏は、あるいはプロデューサーの意向か。トリオのはずむようなバックに支えられてのびのびしたソロを聴かせる。スローな曲で聴かせる独特のフレージングも美しい。のちのアルバムで聴かれる深みのある表現の萌芽のようなものを感じる。
ラムゼイ・ルイスもこの頃は無名に近い存在だった。演奏スタイルも後年のようなソウルフルなものではない。アート・テイタムの流れとハードバップが融合したような感じだ。左手の使い方に注目していただきたい。ベーシストもドラマーも『ジ・イン・クラウド』のときと同じ。アップテンポでの過剰スウィング感はこの二人に負うところが大きい。少々ハッピーすぎるきらいがあるが、好みの問題だろう。聴いていてうきうきすることは保証する。
レムのファンはもちろん、ラムゼイ・ルイスのファンにもお奨めしたい一枚。

 

Lem Winchester, vibes
Ramsey Lewis, piano
Eldee Young, bass
Red Holt, drums

・Recorded in 1958

♪Joy Spring

Lem Winchester & the Ramsey Lewis Trio

ラムゼイ・ルイスとくれば
ジ・イン・クラウド

 
1. Joy Spring
2. Where It is
3. Sandu
4. Once In a While
  5. Jordu
6. It Could Happen to You
7. Easy to Love
8. A Message from Boysie
レム・ウィンチェスター

Lem Winchester & Benny Golson: Winchester Special

『ウィンチェスター・スペシャル』というのはレム・ウィンチェスター(1928-61)が警察官だったことにちなむ銃がらみのタイトル。のちに銃で命を落としてしまったことを思うとなにやら因縁めいたものを感じる。
プレスティッジへの初録音となった当盤はベニー・ゴルソン、トミー・フラナガンを含む豪華メンバーによるもの。期待されていたのだろう。
ときにウィンチェスター31歳。すでに期待にたがわぬ堂々たるインプロヴァイザーだった。大物たちを相手にのびのびイマジネーションを飛翔させて見事である。ゴルソンも気持ちよさそうによく歌っているし、フラナガンもさすが美しい。
キャッチーなスタンダードが入っているので全体のイメージは明るく軽やか。しかし手応えのあるのはブルーズだ。10分に及ぶ“Down Fuzz”や“The Dude”の自作曲で聴かれるアーシーな感覚こそウィンチェスター最大の魅力である。

 

Lem Winchester, vibes
Benny Golson, tenor sax
Tommy Flanagan, piano
Wendell Marshall, bass
Arthur Taylor, drums

・Recorded in 1959

Winchester Special

 
1. Down Fuzz
2. If I Were a Bell
3. Will You Still Be Mine?
  4. Mysticism
5. How Are Things in Glocca Morra?
6. The Dude
lem winchester

Lem Winchester Sextet: Lem's Beat
featuring Oliver Nelson

レム・ウィンチェスター1960年の録音。今回はオリヴァー・ネルソンの参加が目玉だ。ネルソンの作編曲で上記ゴルソンとの盤よりフレッシュな印象に仕上がっている。スタンダード“Just Friends”(ただの友だち)のほか、映画『友情ある説得』のテーマが採り上げられているのが珍しい。ドミートリ・ティオムキンの曲で、たしか主演はゲイリー・クーパーだった。この曲のジャズ版はほかに知らない。
メンバーのレベルが一定していないうらみはあるものの、アレンジのよさとリズム隊のうまさで最後まで一気に聴かされてしまった。ブルーズ作品、とくに(1)の気持ちよさはお奨め(11:37の長尺演奏)。

 

Lem Winchester, vibes
Curtis Peagler, alto sax
Oliver Nelson, tenor sax
Billy Brown, piano (1 & 4)
Roy Johnson, piano (all others)
Wendell Marshall, bass
Arthur Taylor, drums

・Recorded in 1960

Lem Winchester: Lem's Beat

同じ顔合わせで
Nocturne

 
1. Eddy's Dilemma
2. Lem & Aide
3. Friendly Persuasion
  4. Your Last Chance
5. Lady Day
6. Just Friends
lem winchester

Lem Winchester with Feeling

上記アルバムと同年の秋に録音されたレム・ウィンチェスターのクァルテット盤。うってかわってこちらは美しい旋律のスタンダードを中心にした、それはそれはビューティフルなアルバムだ。ウィンチェスターのバラッドのうまさがたっぷり味わえるマスターとっておきの一枚。
唯一の自作曲(7)とロジャース&ハートの(8)で軽快にスウィングするほかはスローもしくはミディアムスロー。落ち着いた雰囲気で心地よくリラクゼーションに浸ることができる。ワイアンズのちょっぴりドライなアプローチが過度に甘くなるのを巧みに抑えている。せっかくの名手ロイ・ヘインズが目立たないのはアルバムの性格上しょうがないか。

 

Lem Winchester, vibes
Richard Wyands, piano
George Duvivier, bass
Roy Haynes, drums

・Recorded in 1960

Lem Winchester with Feeling

おすすめ
Taking Care of Business

 
1. Why Don't They Understand
2. Butterfly
3. With a Song In My Heart
4. But Beautiful
  5. Skylark
6. To Love and Be Loved
7. The Kids
8. My Romance
lem winchester

Lem Winchester: Another Opus

レム・ウィンチェスターの最高傑作『アナザー・オパス』はタイトルどおりミルト・ジャクソンの『オパス・デ・ジャズ』を意識したもの。メンバーも右記のようにほとんど同じだ。ケニー・クラークが欧州に行ってしまっていたため、ガス・ジョンソンが代わりをつとめている。この時期ジェリー・マリガン、エラおばさまなどと共演していた名ドラマーだ。
これほど美しくかつブルージーなヴァイブ・アルバムはほかに知らない。フランク・ウェスのフルートに関して言えば『オパス・デ・ジャズ』よりはるかにクリエイティヴでうまい。ハンク・ジョーンズもはずんだソロを聴かせるし、ガスの軽くて粋なドラムスも絶妙。そして若きリーダーのゆたかなイマジネーション。
レムの演奏するブルーズはバグスに負けていない。演奏時間10分を超えるスロー・ブルーズ(2)の表現力、快速の(5)のあざやかなマレットさばき、唯一のスタンダード(4)の抒情的な美しさ。どれをとってもかれが超一流だったことが判る。

レムのリーダー作はここに挙げた5枚のほかにデルマークに1枚ある(未見だが)のみ。かれは当録音の7カ月後にピストル事故で亡くなってしまった。

 

Lem Winchester, vibes
Frank Wess, flute
Hank Jones, piano
Eddie Jones, bass
Gus Johnson, drums

・Recorded in 1960

Lem Winchester: Another Opus

これにも参加している
Talk That Talk

 
1. Another Opus
2. Blues Prayer
3. The Meetin'
  4. Like Someone In Love
5. Both Barrels
6. Lid Flippin' [Bonus track]
ロイ・エアーズ

Roy Ayers: Stoned Soul Picnic

ジャケットの左下に写っているのが親分のハービー・マン。ロイ・エアーズはかれに有名にしてもらったのだ。折しもマンの“Memphis Underground”がバカ売れしていた時代で、このアルバムもその路線に沿ったもの。つまりポップでソウルフル、軽くて楽しいジャズである。
右記のように素晴らしい顔ぶれ。だったらもっとちゃんとしたジャズやれよ、という声は当時からあった。流れからいうと数年前からマーケットを拡大していたイージーリスニング系ジャズ(ウェス・モンゴメリが最初の大スターだった!)の延長線上にある。ポップヒットを採り上げて耳当たりのいいジャズに仕立て上げるスタイル。この盤でもスティーヴィー・ワンダー(4)、ローラ・ニーロ(2)、ジョビン(3)が演奏されている。よく聴けばうまいし(1)など時代相応の新しさが感じられるけれども、スリルのあるジャズにはなっていない。評価が二分された理由である。
このあとロイ・エアーズはどんどんソウルに傾斜していくので、それに較べたらはるかにジャズしてると言えるかも知れない。微妙な位置にあるアルバムだ。

 

Roy Ayers, vibes
Charles Tolliver, trumpet
Gary Bartz, alto sax
Hubert Laws, flute
Herbie Hancock, piano
Ron Carter or Miroslav Vitous, bass
Grady Tate, drums

・Recorded in 1968

Stoned Soul Picnic

ほかには
Shining Symbol
Daddy Bug & Friends/Virgo Vibes
In the Dark/You Might Be Surprised

 
1. A Rose for Cindy
2. Stoned Soul Picnic
3. Wave
  4. For Once in My Life
5. Lil's Paradise
6. What the People Say
 
  VIBES 1 / [2] / 3 / 4 TRUMPET / TROMBONE / WOODWINDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL