ジャズCDレビュー
ジャズ・ボーカル   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
ブルーズCD ワールドミュージック クラシックCD ブラスバンドCD book review jazz index
VOCAL 1 / [2] / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO
 

イーデン・アットウッド

Eden Atwood: The Bossa Nova Session

イーデン・アットウッドはコンコードレーベルのアルバムを一枚持っていたが、しばらく聴かずにいたら随分大きく変貌していた。声が以前よりぐっとハスキーになり、音域が低くなっているのだ。そして肩の力が抜けた余裕のある歌い方になっている。かつての録音が聴きづらかったのは、先輩歌手たちの影響から脱しきれず、背伸びした歌い方をしていたからだ。自分の個性を活かした歌唱ができていなかったとも言える。当録音では自分なりの歌い方におちついたためか、無理がなく、安定感が増している。ダルな、ちょっぴりセクシーな大人の女の歌が楽しめる。
演奏時間が長めでバックのミュージシャンのソロもたっぷり聴けるのがいい。テナーのクリストリーブはゲッツを意識しているようだ。意識といえばビートルズナンバーの(8)はセルジオ・メンデスのヴァージョンを意識している。似すぎの感もあるが、このソフトな仕上がりは心地よい。(2)もメンデスっぽいところがあるが、こちらははるかにジャズになっていて充実した演奏だ。イーデンのお茶目なヴォーカルも楽しい。
ルグランの(5)やバーリンの(9)、エリントンの(6)、そしてラテンの定番(10)など、選曲が多彩。アレンジ(ピアニストが担当)が控えめでくせがないので、繰り返し聴いても飽きることがない。

 

Eden Atwood, vocals
Bill Cunliffe, piano
Darek Oles, bass
Joe LaBarbera, drums
Anthony Wilson, guitar
Pete Christlieb, tenor sax & flute
Scott Breadman, percussion

・Recorded in 2002

The Bossa Nova Session

新作はこちら
The Ballad Session

 
1. He's A Carioca
2. O Pato
3. Meditation
4. Girl From Ipanema
5. Once Upon a Summertime
6. Don't You Know I Care
  7. Waves (Caminos Cruzados)
8. Fool On the Hill
9. How Deep Is the Ocean
10. Brazil
11. It's a Quiet Thing
カーティス・スタイガース

Curtis Stigers: You Inspire Me

カーティス・スタイガースはかつてポップスを歌っていたそうだ。ジャズアルバムはまだ少ない。この盤ではニュー・スタンダードなどと言われる新しめの曲(ビートルズ、ビリー・ジョエル、ジョン・セバスチャンなど)を中心に採りあげている。カントリーのマール・ハガードの曲(3)が入っているのが珍しい。
カーティスの歌い方はなげやりというよりぶっきらぼう。ピザレリやチェットとはちょっと違う。そのせいか(5)のボブ・ディランの曲がいい出来ばえだ。ついくり返して聴いてしまった。そしてニーナ・シモンの歌ったディランを思い出した。あれはリラックスしたいい歌唱だったが、カーティスも印象に残る演奏だ。(7)で聴かせるスキャットもなかなかうまい。ただなにぶんにもぶっきらぼうなので、曲によっては気になることも。
かれはサックスも吹く。とくに巧いわけではないがソフトな音色で雰囲気のあるテナーである。余技という以上の腕前と思われる。
バックのミュージシャンではラリー・ゴールディングスがいい味を出している。(9)の気の利いたピアノには感心した。ハーモニーセンスがいいのである。数曲にスライドギターが加わっているが、妙にクセっぽい演奏をする人だ。変わった感覚の持ち主らしく、カントリー、カントリーしていない。ベーシスト、ドラマーともかなりうまい人たちのようだ。

追記)輸入盤は映像トラックが入っていてインタヴューや演奏風景が見られる。

 

Curtis Stigers, vocals & tenor sax
Larry Goldings, piano & organ
Ben Allison, bass
Matt Wilson, drums
David Tronzo, slide guitar
John Sneider, trumpet

・Recorded in 2002

輸入盤(エンハンスドCD)は
You Inspire Me
国内盤は
ユー・インスパイアー・ミー

スタンダードコレクション
Baby Plays Around

 
1.I Feel Fine
2.Fools in Love
3.Crazy Moon
4.Did You Ever Have to Make Up Your Mind
5.Don't Think Twice, It's Alright
6.She's Got a Way
  7.Tired of Waiting for You
8.You Inspire Me
9.Love
10.I Fall in Love Too Easily
11.I'll Be Home
12.Blue Skies
コニー・エヴィンソン

Connie Evingson: Some Cats Know

これぞ通好みのジャズヴォーカル。コニー・エヴィンソンは申し分ない歌唱力とジャズセンスの持ち主だ。今どきの白人女性ジャズヴォーカリストの例にもれず声の質は軽い。スキャットがうまく、歌い方はカリン・アリソンに近い。ただ雰囲気をたとえるならジュリー・ロンドンあたり(古いか)。落ち着いた大人の女という感じ。しっとりしていながらしたたかにジャズのスリルを味わわせてくれる。
いったい誰が思いついたのか、いろいろな仕掛けが施されていて面白くてしょうがない。『イエスタデイ』がするりと『イエスタデイズ』に移行してしまう(8)にはびっくり。(2)の2曲も意外な取り合わせ(どちらもコール・ポーターだけどね)。それにこのトラック、テナーバトルが入っているのだ。(13)はパーカーの曲だが、シーラ・ジョーダンのスキャットソロ(ミューズ・レコード)にコニーが歌詞をつけたもの(歌詞はブックレットに掲載されている)だという。パーカーがベースじゃないのだ。手の込んだことをしてくれるものだが、これがまたかっこいい。
ゲストも右記のように多士済々。トゥーツ・シールマンスが自作のワルツ(5)に参加しているほか、レイ・ブラウン、ドク・セヴェリンセン、ジャック・マクダフなどなど意外な顔ぶれが含まれている。
通好みと書いたが初心者の方にもお奨め。早いうちからいいものに出逢ってヘヴィリスナーになりましょう。

 

Connie Evingson, vocals
Sanford Moore, piano
Terry Burns, Jay Young, bass
Gordy Johnson, Gary Raynor, bass
Reuben Ristrom, guitar
Phil Hey, Joe Pulice, drums
with guests...
Ray Brown, bass
Von Freeman, tenor sax
Al Grey, trombone
Jack McDuff, organ
Doc Severinsen, trumpet
Toots Thielemans, harmonica
Gene Adams, trumpet
Jimmy Hamilton, piano
Dave Karr, tenor sax
Jeanne Arland Peterson, piano
Irv Williams, tenor sax

・Released in 1999

Some Cats Know
サム・キャッツ・ノウ

シーラ・ジョーダンは
Lost & Found

 
1. Some Cats Know
2. I Love Paris/It's Alright With Me
3. Close Your Eyes
4. More Than You Know
5. Bluesette
6. I Wanna Be Loved
7. I've Got the World on a String
  8. Yesterday/Yesterdays
9. Accentuate the Positive
10. All the Things You Are
11. 'Round Midnight
12. I'm Gonna Wash that Man Right Outa My Hair
13. Anthropology
connie evingson

Connie Evingson Sings the Beatles: Let It Be Jazz

とびきりお洒落なビートルズ・カヴァー・アルバム。コニー・エヴィンソン2003年のリリースである。あんまり気に入ったのでさるビートルマニアに聴かせたところ、お叱りを受けた。けしからんと。そもそもビートルズをアレンジすること自体が冒涜である。まして原曲のイメージを尊重しないとはナニゴトか。
さよう、原曲のイメージからはほど遠いものばかり。しかしマスターはそこが気に入ったのだ。こだわりのなさ。ビートルズはあくまで素材である。
アレンジも自由だがコニーも原曲の旋律を自由にくずしている。リハーモナイズによる新たな旋律さえ出てくる。まったく別物になっちまったと感じる人がいるのも無理はない。そこがかっこいいんだけどな〜。
コニーのスキャットのうまさはこのアルバムでも味わえる。安定感もバッチリで、これぞジャズ、という自在なフレーズが楽しい。選曲も超有名曲をはずしているのが憎い。オトナ向け、ですかね〜。

 

Connie Evingson, vocals
Mary Louise Knutson, piano
Anthony Cox, bass
Jay Epstein, drums
Dave Jensen, flugelhorn
Dave Karr, tenor sax
Dave Singley, guitar
Dean Magraw, electric sitar
and others

・Released in 2003

Let It Be Jazz
レット・イット・ビー・ジャズ

ザ・シークレット・オヴ・クリスマス
これの「くるみ割り」が…

これもおすすめ
Sarah Vaughan

 
1. Blackbird
2. Wait
3. The Night Before
4. Can't Buy Me Love
5. From Me to You
6. Fixing a Hole
7. When I'm 64
  8. I'm Looking Through You
9. For No One
10. I Will
11. Oh! Darling
12. Got to Get You Into My Life
13. Good Day Sunshine
14. When I'm 64 [Version 2]
ハリー・コニック

Harry Connick, Jr.: Only You

オールドファン泣かせのアルバム。なにせいきなり『世界残酷物語』だ。知らない?映画ですよ、映画。衝撃的な映像満載の洋画だったけど、テーマ曲が美しかったので映画と関係なくシングルヒットした。その後歌詞をつけてアンディ・ウィリアムスが歌ってビッグヒットとなった。その時はこの『モア』というタイトルで。東京オリンピックの頃の話だ。
その頃大人気だったドゥーワップ・グループ、プラターズのヒットが(8)と(9)。かれらにはほかに『煙が目にしみる』とか『港の灯』なんてヒットもあった。同じドゥーワップのドリフターズ(コミックバンドじゃない!)の『ラストダンスは私に』もある。ただこれ、多くの日本人には越路吹雪のほうが有名だよね。
もっと古い『私の青空』もあるな〜。新しくてもスティーヴィー・ワンダー(7)か?いやいや自作がまぎれ込んでる(10)じゃないか。違和感がなくて気づかなかった。
ハリー・コニック・ジュニアはこれらおじさんレパートリーをみずから編曲し、オーケストラを率いてのびのび歌っていく。素直でいやみのないアレンジ。かれの歌い方そのまんま。チロチロきこえるかれ自身のピアノもきれいなタッチだ。
あまりの懐かしさに一緒に歌いたくなっても大丈夫。全曲歌詞が掲載されている手回しのよさ。やはりターゲットはおじさんか。

 

Harry Connick, Jr., piano & vocals
Neal Caine, bass
Arthur Latin, II, drums
with Orchestra

・Recorded in 2003

Only You
オンリー・ユー

映画のテーマ集
ソングス・アイ・ハード

ご参考までに
プラターズ:オンリー・ユー
Save the Last Dance for Me

おすすめフランスもの
Piano Bar by Patricia Kaas

 
1. More
2. The Very Thought of You
3. Save the Last Dance for Me
4. My Blue Heaven
5. You Don't Know Me
6. All These Things
  7. For Once In My Life
8. Only You
9. My Prayer
10. Other Hours
11. I Only Have Eyes for You
12. Good Night My Love
クリスティーン・ヒット

Christine Hitt: You'd Be So Nice To Come Home To

女性ミュージシャンの常として(?)年齢を書いてない。本職はジャズ教師だそうで、見た感じそこそこのベテラン。弾き語りの名手である。
ヘレン・メリルでおなじみの“You'd Be So Nice...”はいきなり軽快なスキャットで始まるご機嫌なナンバー。素晴らしいベーシストとドラマーに支えられてドライヴ感あふれる演奏を展開する。自分の声の質(軽くて素直な声)をよく理解した、かしこい唱法だ。手慣れてはいるがスリルがあり、チャーミングでもある。とくに個性的ということもないが、これだけ気持ちよければどうでもよろしい。
“Beautiful Love”などインストのみの曲もあり、ピアニストとしての資質も優れていることが分かる。テクニックが安定しており、タッチも美しい。
さいきんの弾き語りではクラールあたりがうまいと思うが、クリスティーン・ヒットはそれ以上かも知れない。ぜひ続編を聴きたいと思わせるミージシャンだ。
ボーナストラックは映像トラック。薄暗いスタジオでの弾き語りの様子が収録されていて、なかなか雰囲気がある。

 

Christine Hitt, piano & vocals
Tom Kennedy, bass
Jeff Hamilton or Todd Strait, drums
Scott Alberci, clarinet
Rick Haydon, guitar
Ray Kennedy, piano (13)

・Recorded in 1997 & 98

♪ You'd Be So Nice to Come Home To

You'd Be So Nice To Come Home To

ヘレン・メリルは
With Clifford Brown
ウィズ・クリフォード・ブラウン

 
1. You'd Be So Nice to Come Home To
2. Sitting in a Tree
3. Beautiful Love
4. What'll I Do?
5. Dream a Little Dream of Me
6. Moonlight
7. Thou Swell
8. Sometime Ago
  9. A Time for Love
10. Moonglow
11. I've Got a Crush on You
12. Joy Spring
13. My Foolish Heart
14. What is This Thing Called Love?
15. In a Mellow Tone
16. In The Wee Small Hours [Video track]
アンヌ・デュクロ

Anne Ducros: Close Your Eyes

フランスのベテランシンガー、アンヌ・デュクロ。あまり目にする/耳にする機会のない人だが、捨て置くには惜しいのでご紹介。
最初の曲はキャロル・キングの大ヒット。ほかにスティーヴィー・ワンダー(3)やビートルズ(6)、イヴァン・リンス(8)、クリスティーン・マクヴィー(10)もあって、スタンダードは少ない。デュクロは原曲のイメージにこだわらず、自由な解釈で軽々と歌っていく。(1)や(3)などしっとりしたバラッドふうのアプローチなのだが、ちっとも重くならないのだ。ダルな感じの(6)ではかの女のスキャットが粋なところを聴かせる。アレンジのうまさも光る。
ゲンズブール(2)が採り上げられているあたりさすがフランスというべきか。ほかにもフランス語で歌われたものがあり、さすが英語の歌唱よりしっくりくる。

ゲスト参加しているトゥーツ・シールマンス以外知った名前が見あたらないが、センスのいいミュージシャンばかり揃えたようで、バックもソロもなかなかのもの。とくにピアニストがいい。

 

Anne Ducros, vocals
Benoit de Mesmay, piano & keyboards
Sal La Rocca, bass
Bruno Castellucci, drums
Toots Thielemans, harmonica (3,11)
Sarah Morrow, trombone (9)
Benoit Fromanger, flute (2,4)
and others

・Recorded in 2002
Dreyfus Jazz
FDM 36641-2

Close Your Eyes

ほかには
Purple Songs
Piano, piano

 
1. You've Got a Friend
2. L'eau a la Bouche
3. Lately
4. In Your Eyes
5. Faded Roses
6. Blackbird
  7. Taking a Chance on Love
8. The Island
9. Close Your Eyes
10. Song Bird
11. Clopin Clopan
クリスティ・バロン

Christy Baron: I Thought About You

かっこいい選曲とアレンジで聴かせるアルバム。最初がレノン&マッカートニーでスティーヴィー・ワンダーが(3)(9)(12)の3曲。ビル・ウィザース(4)も面白い試みだ。そしてジャズ・オリジナルのモンク(2)、ガーナー(6)、さらにコール・ポーターなどおなじみのスタンダード。これら多彩な作品をクリフ・コーマンが知的かつスリリングに編曲。そこにクリスティ・バロンの繊細なヴォーカルがスッと入ってくる。
なにぶんにも線が細いので好みが分かれそうなシンガー。そっと支えてあげたいと感じるか、もっと練習してから来いよって思うか…(笑)。センスは悪くないしブリッコしてるわけでもないので、マスターはなんとか許容範囲。

 

Christy Baron, vocals
Cliff Korman, piano
George Young, saxes
William Galison, harmonica
David Finck, bass
Payton Crossley, drums

・Recorded in 1996
Chesky Records
JD 152

I Thought About You

See also→
Tales of Wonder

 
1. Got to Get You Into My Life
2. 'Round Midnight
3. Knocks Me Off My Feet
4. Ain't No Sunshine
5. Night and Day
6. Misty
  7. Columbus
8. Body and Soul
9. Summer Soft
10. Somewhere Over the Rainbow
11. I Thought About You
12. If It's Magic
ステッピン

Christy Baron: Steppin'

クリスティ・バロン2000年録音。選曲がポップ色濃厚になっているのとアレンジが凝っているのが上記アルバムとのちがい。今回のアレンジャーはディディエ・ラショーというフランス系の人物。多彩でセンスのいいところを聴かせてくれる。パーカッションのプログラミングとギターもかれが担当している。
ビートルズ“Tomorrow Never Knows”がすごい。まずホーミーを使ったミステリアスなイントロに驚く。そして明らかに80年代のマイルズを意識したトランペット・ソロ。7分にわたって不思議なテンションを保った時間が流れていく。
懐メロに属するゾンビーズ(7)やクラシックス・フォー(11)がモダンに生まれ変わっているのも楽しい(マスターの世代のせいか)が、どうも電化されて以降のジャズ手法でポップ素材を料理しようというコンセプトのようだ。ピーター・ガブリエル(2)、フィル・コリンズ(5)、ジョージ・デューク(9)あたりがドンピシャに決まっているのはそのせいだろう。

 

Christy Baron, vocals
Chris Rogers, trumpet
Andy Midddleton, flute or soprano sax
Christos Rafalides, vibes
Dan Zank, piano
John Hebert, bass
Zach Danziger, drums
Didier Rachou, drum programming, guitar
and others

・Recorded in 2000
Chesky Records
JD 201

Christy Baron: Steppin'

Take This Journey
Retrospective

ザ・ゾンビーズ・ベスト
The Best of Classics IV

 
1. Will It Goo 'Round in Circles
2. Mercy Street
3. Tomorrow Never Knows
4. Thieves in the Temple
5. This Must Be Love
6. Delays on the Downtown 6
  7. She's Not There
8. The Shadow of Your Smile
9. Is Love Enough
10. Ain't No Half Steppin'
11. Spooky
12. Nite and Day
 
  VOCAL 1 / [2] / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO