ジャズCDレビュー
ジャズ・ボーカル   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
ブルーズCD ワールドミュージック クラシックCD ブラスバンドCD book review jazz index
VOCAL 1 / 2 / 3 / 4 / [5] / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO
 
ジュリー・ロンドン Julie London: The End of the World/ Nice Girls Don't Stay for Breakfast

論争があったそうだ。ジュリー・ロンドンはジャズではないと主張する過激なグループが安田講堂に立てこもり…、そりゃ学園紛争か。聞くところによれば大橋巨泉元議員センセイが自称ジャズ評論家だった時代のことらしい。しかしかの女がジャズシンガーであろうとなかろうと、人気があったことはまちがいない。あんなもんジャズじゃねぇよと言うジャズファンだってかの女のセクシーな声を好み、ひそかに妖艶なLPジャケットを飾っていたのはまちがいない。あんたも悩殺されないように気をつけろっ(長井秀和か)。
そんな論争は昔の話。かつての隠れジュリーファンがおおっぴらにかの女のアルバムを聴ける自由な時代になったのは喜ばしい。
さて、この2in1には1960年代中ごろのポップヒットのカヴァーが含まれる。スキーター・デイヴィスの『この世の果てまで』やトニー・ベネットの『思い出のサンフランシスコ』など懐かしの大ヒット。お洒落なアレンジのせいもあってちっとも古さを感じさせない。ジャズスタンダードのムーディーな仕上がりもいい。メロディをほとんど素(す)のまま歌っているのだが、それがかえって曲のよさを素直に引きだす結果になっている。いかにもジャズですというスリルはないし、何を歌っても同じといえば同じ。しかしそれがジュリーなのだ。
情感はたっぷりだし選曲とアレンジが工夫されているので単調さはない。ギター伴奏でしっとり歌う『ミッキーマウス・マーチ』にはやられたと思った。『酒とバラの日々』の追憶の世界、『夢見る頃をすぎても』のアンニュイな歌声に、セクシーなお姉さんに憧れていた少年時代を思い出すおじさんも少なくないだろう。

 

Julie London, vocals
with
unkown orchestra and chorus

・Released in 1963 & 67

Julie London: The End of the World

ほかの2in1アルバム
Lonely Girl/ Make Love to Me
Love Letters/Feeling Good
About the Blues/ London by Night
Sophisticated Lady/ For The Night People
Calender Girl/ Your Number

こんなジャケットのがあった
Wild Cool and Swingin'
コンピレーションは
Sings the Standards

スキーター・デイヴィスは
ベスト・セレクション

 
<The End of the World>
1. The End of the World
2. I Wanna Be Around
3. Call Me Irresponsible
4. Our Day Will Come
5. I Left My Heart in San Francisco
6. Fly Me to the Moon
7. Days of Wine and Roses
8. I Remember You
9. My Coloring Book
10. Chances Are
11. Desafinado (Slightly out of Tune)
12. Good Life
  <Nice Girls Don't Stay for Breakfast>
13. Nice Girls Don't Stay for Breakfast
14. When I Grow Too Old to Dream
15. I've Got a Crush on You
16. Everything I Have Is Yours
17. You Made Me Love You
18. Baby Won't You Please Come Home
19. I Didn't Know What Time It Was
20. Give a Little Whistle
21. I Surrender, Dear
22. You Go to My Head
23. There Will Never Be Another You
24. Mickey Mouse March
ジュリー・ロンドン

Julie London: Julie... At Home/Around Midnight

これも2in1。“Julie... At Home”のほうはかなりうまいコンボがつき合っていて、ヴァイブはエミール・リチャーズのようだ。美しいギターは誰だろう。ジュリーはソフトなノリで超有名曲の数々をさりげなく歌いついでいく。ホント、知らなきゃもぐりってくらいのスタンダード・オンパレード。
“Around Midnight”はオーケストラ伴奏。こちらも超有名曲ばかりで、モンクやストレイホーンのジャズオリジナルが入っている。いわゆるムーディーな仕上がりで、情感を込めたヴォーカルが夜の雰囲気を漂わす。窓の外には都市の夜景。雑踏が彼方に聞こえ、上空にはいくつもの星が瞬く。そしてソファにはセクシーな美女。いいのかなーと思うくらいのリッチなシチュエーションだ。『あなたと夜と音楽と』全部ひとり占めしたい人に。

 

Julie London, vocals
with
unkown orchestra and chorus

・Released in 1960

♪ Lonsome Road

Julie... At Home/Around Midnight

代表的アルバムといえば
彼女の名はジュリー
セクシージャケットの
ユア・ナンバー・プリーズ

 
<Julie... At Home>
1. You'd Be So Nice to Come Home To
2. Lonesome Road
3. They Didn't Believe Me
4. By Myself
5. The Thrills Is Gone
6. You've Changed
7. Goodbye
8. Sentimental Journey
9. Give Me the Simple Life
10. You Stepped Out of a Dream
11. Let There Be Love
12. Everything Happens to Me
  <Around Midnight>
13. 'Round Midnight
14. Lonely Night in Paris
15. Misty
16. Black Coffee
17. Lush Life
18. In the Wee Small Hours of the Morning
19. Don't Smoke in Bed
20. You and the Night and the Music
21. Something Cool
22. How About Me?
23. But Not for Me
24. The Party's Over

サラ・ヴォーン

Sarah Vaughan at Mister Kelly's

サラ・ヴォーンの極めつけライヴが、ボーナストラックがたっぷり加わって73分に及ぶ長時間収録になった。シカゴの“ミスターケリーズ”で録音された1950年代のサラを代表的するライヴ。名盤だがビギナーには地味に感じられるかもしれない。
アップテンポの軽快な曲が少ないのだ。サラは抑えた表現で、聴衆に語りかけるように歌っていく。バラッドでも情感の込めかたはほどほど。お客が手の届くほど近くにいるからだろう。ジョークで笑わせ、自分もリラックスして、夏の夜のひとときを楽しむサラ。大人の時間が過ぎていく。
数は少ないがスウィンギーな曲のノリのよさはさすがだ。なかでもエラ・フィッツィの十八番“How High the Moon”が楽しい。スキャットならわたしも負けてないわよとばかり、ホーンのようなアドリブを聴かせてくれる。歌詞にもエラの名前を織り込んでユーモラス。

 

Sarah Vaughan, vocals
Jimmy Jones, piano
Richard Davis, bass
Roy Haynes, drums

・Recorded in 1957 (Live)

Sarah Vaughan at Mister Kelly's
アット・ミスター・ケリーズ

こちらもおすすめ
Sings George Gershwin
Gershwin Live!

究極のコンピ
Ken Burns JAZZ Collection: Sarah Vaughan
The Very Best of サラ・ヴォーン

 
1. September In the Rain
2. Willow Weep for Me
3. Just One of Those Things
4. Be Anything But Darling Be Mine
5. Thou Swell
6. Stairway to the Stars
7. Honeysuckle Rose
8. Just a Gigolo
9. How High the Moon
10. Dream
  11. I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter
12. It's Got to Be Love
13. Alone
14. If This Isn't Love
15. Embraceable You
16. Lucky In Love
17. Dancing In The Dark
18. Poor Butterfly
19. Sometimes I'm Happy
20. I Cover the Waterfront
サラ・ヴォーン

Sarah Vaughan: Swingin' Easy

サラ・ヴォーンがかの女のトリオを率いて録音した二つのセッション。ジョン・マラカイ、ジョー・ベンジャミン、ロイ・ヘインズというトリオが1954年。前項ライヴと同じ顔ぶれなのが1957年のもの。
全編歌詞なしの“Shulie a Bop”からあっさりサッシーワールドに引き込まれる。絶妙のスキャット。粋なメンバー紹介。敏感に反応してくるトリオをバックに自在なフレーズで飛翔していく。ほかの曲もスキャットの入るものが多い。かの女のスキャットがほかの人とちがっていたのは、楽器のようなフレーズで歌うこと。いかに声のコントロールがうまかったかの証明だ。
曲目は有名スタンダード中心。こういうおなじみの曲を極上のヴォーカルで、少なくとも一枚は持っていたいもの。

 

Sarah Vaughn, vocals
John Malachi or Jimmy Jones, piano
Joe Benjamin or Richard Davis, bass
Roy Haynes, drums

・Recorded in 1954 & 57

Swingin' Easy

こちらはいかが?
Crazy and Mixed Up
How Long Has This Been Going On?

 
1. Shulie a Bop
2. Lover Man
3. O Cried for You
4. Polka Dots and Moonbeams
5. All of Me
6. Words Can't Describe
7. Prelude to a Kiss
  8. You Hit the Spot
9. Pennies from Heaven
10. If I Knew Then (What I Know Now)
11. Body and Soul
12. They Can't Take That Away from Me
13. Linger Awhile
サラ・ヴォーン

Sarah Vaughan with Clifford Brown

1954年の暮れにニューヨークで録音されたこのアルバムは、クリフォード・ブラウンの参加によって、数多いサラの作品中もっとも評価の高いものとなった。前項にみるかの女のトリオにホーンが加わった編成。アレンジはアーニー・ウィルキンス。
サラは二十歳の頃アール・ハインズのバンドにいた。しかしすぐ同僚の歌手ビリー・エクスタイン(史上初のバップ・オーケストラを結成した男)とともに脱退。ディジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーと行動をともにしていたこともある。かの女の器楽的といわれる唱法は、バップ・ムーヴメントを身をもって体験したことによっている。大胆なフレージングはバッパーたちのアドリブを思わせる。
さて、このアルバム。クリフォード・ブラウンのソロがさすがに突出している。クィニシェットのテナーも粋なところを聴かせるが、マンのフルートはいささか凡庸。全体としてはリラックスしながらそれぞれ持てる技とセンスを充分発揮している感じ。楽しく聴ける一枚だ。

 

Sarah Vaughan, vocals
Clifford Brown, trumpet
Paul Quinichette, tenor sax
Herbie Mann, flute
Jimmy Jones, piano
Joe Benjamin, bass
Roy Haynes, drums
Ernie Wilkins, arrangement

・Recorded in 1954

Sarah Vaughan w. Clifford Brown
サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン

23歳のサラ
One Night Stand: The Town Hall Concert
エクスタインとの共演
The Irving Berlin Songbook

 
1. Lullaby of Birdland
2. September Song
3. I'm Glad There Is You
4. You're Not the Kind
5. Jim
  6. He's My Guy
7. April in Paris
8. It's Crazy
9. Embraceable You
10. Lullaby of Birdland [Alternate take]
サラ・ヴォーン

Sarah Vaughan: After Hours

最初の2曲は明らかにコルトレーンのアルバム“My favorite things”を意識した選曲。心憎いことをやってくれる。録音は1961年7月。
サラ・ヴォーンのバラッドのうまさを味わうには最適のアルバム。じつは最近、「エラ、サラ、カーメンは聴かない」と公言する知人に名前を伏せて聴かせてみた。すっかり気に入ったところで名前を明かすと、「なんだサラって重くないんだ」と言う。先入観というか食わず嫌いというか、いったい誰の影響なんだ! 軽く歌っても完璧。それがかの女のすごいところなのだが、なまじ「完璧」とか「すごい」なんて言葉を使うから敬遠されるのかも。
夜更けに小さめの音量で聴いていると、神経が鎮静されていく。安心して心身ともにゆだねられる音楽。サラももちろん素晴らしいが、マンデル・ロウのひかえめで粋なギターにも、ぜひ耳を傾けてやって欲しい。

 

Sarah Vaughan, vocals
Mundell Lowe, guitar
George Duvivier, bass

・Recorded in 1961

Sarah Vaughan: After Hours
アフター・アワーズ

こちらはいかが?
エリントン・ソングブック Vol.1
エリントン・ソングブック Vol.2
Vaughan and Violins
同時期の名唱
The Benny Carter Sessions

 
1. My Favorite Things
2. Ev'ry Time We Say Goodbye
3. Wonder Why
4. Easy to Love
5. Sophisticated Lady
6. Grear Day
  7. Ill Wind
8. If Love Is Good to Me
9. In a Sentimental Mood
10. Vanity
11. Through the Years
サラ・ヴォーン・ビートルズ

Sarah Vaughan: Songs of the Beatles

サラ・ヴォーンのロックンロール・アルバム。リッチなオーケストラをバックに、円熟期のサラが歌うビートルズのヒット曲の数々。名匠マーティ・ペイチが息子デヴィッドと組んだアレンジがどえりゃーかっこええだがね。“Come Together”なんかまるでR&Bずら。“I Want You”のバック・コーラス、ブラスの扱いもソウルフルっちゅうだか。そうかと思やぁバラッドのしっとりアレンジもうみゃあ。
メンバーにもすげぇ衆がいるだよ。ギターがリー・リトナーずら。トゥーツ・シールマンスの口笛とハーモニカも聴こえるずら。ジョン・スミスのサックスもかっこえぇのう。えりゃぁ豪華だがや。
サラさんもうみゃあ。余裕しゃくしゃくで歌ってらぁ。“The Long and Winding Road”は心がこもってるってゆうだか、しんみり聴いちまったなぁ。おみゃぁも聴いてみるとえぇだ。

 

Sarah Vaughan, vocals
with orchestra including
Lee Ritenour, guitar
Toots Thielemans, harmonica & guitar
John Smith, tenor sax
Jeff Porcano, drums
Billy Thedford, background vocals
Marty & David Paich, arrangements
and others

・Recording dates unknown

Songs of the Beatles

こちらはいかが?
ラヴァーズ・コンチェルト
不機嫌なジーン

マスターおすすめ盤
Let It Be Jazz

 
1. Get Back
2. And I Love Her
3. Eleanor Rigby
4. Fool on the Hill
5. You Never Give Me Your Money
6. Come Together
7. I Want You (She's So Heavy)
  8. Blackbird
9. Something
10. Here There and Everywhere
11. The Long and Winding Road
12. Yesterday
13. Hey Jude
ダイナ・ワシントン

Dinah Washington: Dinah Jams

ウィズ・クリフォード・ブラウンといえばサラ・ヴォーンヘレン・メリルとこのダイナ・ワシントン。豪華メンバーのジャム・セッションで、ダイナの代表盤として知られる。右記のようにブラウン=ローチ・クインテット全員が参加。そこにハーブ・ゲラーやクラーク・テリー、ジュニア・マンスなど5人が加わっている。
全トラックに全員が参加しているわけではなくて、曲ごとに編成の工夫が見られる。たとえば(6)ではトランペット奏者3人がバトルを聴かせる。それぞれ個性的で面白い。ハイノートを聴かせるのはメイナード・ファーガソンだ。ダイナのレギュラートリオから参加したジュニア・マンスのスウィンギーなピアノ、キーター・ベッツの粋なソロもフィーチャーされている。ボーナス・トラックではマックス・ローチの芸術的ソロが堪能できる。
ジャムなのでダイナの出番はそれほど多くないが、名手たちを向こうにまわしてパワフルなヴォーカルを聴かせてくれる。乱暴なくらいのシャウト唱法。存在感抜群の迫力。今どきこういうタイプの歌手はいないので、若いジャズファンは驚くかも。

 

Dinah Washington, vocals
Clifford Brown, trumpet
Clark Terry, trumpet
Maynard Ferguson, trumpet
Herb Geller, alto sax
Harold Land, tenor sax
Junior Mance, piano
Richie Powell, piano
Keeter Betts, bass
George Morrow, bass
Max Roach, drums

・Recorded in 1954 (Live)

Dinah Jams
ウィズ・クリフォード・ブラウン

ほかには
Queen: The Music of...
Sings the Standards
Live at Birdland 1962

 

1. Lover Come Back To Me
2. Alone Together
3. Summertime
4. Come Rain or Come Shine
5. No More
6. I've Got You Under My Skin

  7. There Is No Greater Love
8. You Go To My Head
9. Darn That Dream [Bonus track]
10. Crazy He Calls Me [Bonus track]
11. I'll Remember April [Bonus track]
ダイナ・ワシントン

Dinah Washington: Dinah!

ダイナ・ワシントンのスタンダード・アルバム。ハル・ムーニーの編曲・指揮によるオーケストラをバックに、わりと淡々とした歌唱を聴かせる。豪快さは抑えられているものの、貫禄は充分。さすがダイナでんな。
バラッドが多いのが特徴。感情の込め方はほどほどだが、さらりとした仕上がりは気持ちがいい。シナトラの名唱がある“Goodbye”にしても、哀しみにどっぷりつかることはなくスマートに歌いあげていく。フェイクのうまさが光る。プラターズでおなじみの“Smoke Gets In Your Eyes”はシャウトぎみのダイナ節バラッド。ん?バラッドにしちゃワイルドだって?これがダイナの魅力なんですよっ。神経質なとこがないってのが。
数少ないミディアムテンポでは“All of Me”がいい。サイドメンのソロも入り、ご機嫌な仕上がりだ。“The Birth of the Blues”ではダイナの「ブルーズの女王」ぶりが聴かれる。

 

Dinah Washington, vocals
with
Wynton Kelly, piano
Keeter Betts, bass
Jimmy Cobb, drums
Maynard Ferguson, trumpet
Frank Rosolino, trombone
Herb Geller, alto sax
Georgie Auld, tenor sax
Hal Mooney, arrangements
and others

・Recorded in 1955

Dinah!

ほかには
The Best of Dinah Washington
What a Diff'rence a Day Makes!
縁は異なもの
Mellow Mama
Blue Gardenia

 
1. Look To the Rainbow
2. Ill Wind
3. A Cottage for Sale
4. All of Me
5. More Than You Know
6. There'll Be Some Changes Made
7. Goodbye
8. Willow Weep for Me
  9. Make Me a Present of You
10. Smoke Get In Your Eyes
11. I Could Have Told You
12. Accent On Youth
13. What Is This Thing Called Love [Bonus track]
14. The Show Must Go On [Bonus track]
15. The Birth of the Blues [Bonus track]
 
  VOCAL 1 / 2 / 3 / 4 / [5] / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO