ジャズCDレビュー
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11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO
 

シャーリー・ホーン

Shirley Horn: I Remember Miles

ある朝、シャーリー・ホーンのもとにマイルズ・デイヴィスから電話が入った。「キミの初アルバムを聴いた。一緒にやらないか」。あの有名なマイルズ?シャーリーは誰かのいたずらだと思ったという。面識がなかったのはもちろん、かの女はその時ダンナの母親の家にいたのだ。あのマイルズが電話番号を知ってるはずがない。
そりゃ疑うよな、フツー。しかしホントの話だった。かの女はすぐマンハッタンに駆けつけ、ヴィレッジ・ヴァンガードでマイルズの前座をつとめた。クラブ側はマイルズの勝手な起用に難色を示したが、マイルズは「かの女を採用しないならオレは降りる」とまで言って譲らなかった。たいへんな惚れ込みようだ。
マイルズはシャーリーの歌うバラッドをとくに気に入っていた。のちにCBSのアルバム“Seven Steps to Heaven”で演奏した(2)(4)(7)は、その時シャーリーのレパートリーだったもの。このアルバムではほかにもマイルズゆかりの曲が集められている。“Porgy and Bess”からも3曲あり、(1)(9)もマイルズファンにはおなじみだろう。
シャーリーはヴォーカル、ピアノのほかアレンジも担当。このアレンジがえらくかっこいい。おばさんのアレンジとは思えない。(8)は二人のドラマー、二人のベーシストを使って“Bitches Brew”以降のマイルズみたいなサウンドを引きだしている。ほかの曲も伝統的4ビートから離れてずいぶん新しい感覚を示す。
かの女の声は若い頃に較べれば低く渋くなっている。歌い方もそれにふさわしいものに変化しており、今まで以上の深みを感じさせる。

追記)ジャケットのイラストはマイルズが描いたもの。かの女と共演したときのプレゼントだったそうだ。

 

Shirley Horn, piano & vocals
Charles Ables & Ron Carter, bass
Steve Williams & Al Foster, drums
Roy Hargrove, trumpet (2,6,7,8)
Buck Hill, tenor sax (4)
Toots Thielemans, harmonica (3)

・Recorded in 1997

I Remember Miles

マイルズとの共演
You Won't Forget Me
シールマンスとの共演
For My Lady
レイ・チャールズに捧げる
Light Out of Darkness

マイルズはこちらを
Cookin' with the Miles Davis Quintet
Kind of Blue
Seven Steps to Heaven
Porgy and Bess

同じタイトルのアルバム
I Remember Miles

 
1. My Funny Valentine
2. I Fall in Love Too Easily
3. Summertime
4. Baby Won't You Please Come Home
5. This Hotel
  6. I Got Plenty O' Nuttin'
7. Basin Street Blues
8. My Man's Gone Now
9. Blue in Green
ニーナ・シモン「悲しき願い」

Nina Simone: Don't Let Me Be Misunderstood

ニーナ・シモン1960年代中ごろの録音。アルバムタイトルになっている『悲しき願い』はもちろんあのアニマルズのビッグヒット。ほかにジャック・ブレルの『行かないで』、ビリー・ホリデイの『奇妙な果実』や『言いわけしないで』もあるしファンキー・ジャズの代表曲『ワークソング』、英国民謡『夏の名残のバラ(庭の千草)』まで歌っているという、思いきり欲張りなラインナップだ。ま、だからこそそれらをニーナ節で聴いてみたいと思ったんだけど(笑)、いやーよかった。
ニーナはジャズという範ちゅうではくくりきれない。ゴスペルやブルーズ、R&Bなどさまざまな要素が混じり合っている。それ故の柔軟さなのだろうか、多彩な素材を何の違和感もなく取り込み、ニーナ・ワールドの中で消化してしまう。どれもかの女の持ち歌にきこえてしまうくらいに。

 

Nina Simone, vocals
other personnels unknown

・First released in 1964, 65 & 67

Don't Let Me Be Misunderstood

♪ Don't Let Me Be Misunderstood

ほかには
Baltimore
Sings the Standards
ライヴ・イン・ニューヨーク
ジャック・ブレルを聴こう
ベスト・オヴ・ジャック・ブレル

 
1. Don't Let Me Be Misunderstood
2. The Last Rose of Summer
3. Ne Me Quitte Pas
4. Work Song
5. Little Girl Blue
6. Trouble in Mind
7. Strange Fruit
8. Love Me or Leave Me
  9. Come Ye
10. I Put a Spell on You
11. Don't Explain
12. Wild Is the Wind
13. What More Can I Say?
14. Nobody Knows You When You're Down and Out
15. I Loves You, Porgy [Live]
16. Mississippi Goddam [Live]

ニーナ・シモン

Nina Simone: To Love Somebody
and Here Comes the Sun

ニーナ・シモンの2 in 1アルバム。よほど相性がいいのだろう、ディラン(4曲もある)やバーズなどのフォーク系の曲(当時「フォークロック」と呼ばれていたもの)が素晴らしい。見事にハマっているので、かの女のために書かれたかと思えるものさえある。“Mr. Bojangles”はなかでも特にお奨めの名唱。ていねいに、しかしリラックスして、曲の魅力をあますところなく表現している。
“Here Comes the Sun”は発売当初話題になったもので、面白がって聴いた覚えがある。しかし“O-O-H Child”のほうが、今となっては楽しく聴こえるのはなぜだろう。“My Way”は当時も今もあまり面白くない。
2 in 1だが、組合せがいいから続けて聴いても違和感がまったくない。肩の凝らない楽しいアルバムだ。

 

Nina Simone, vocals
other personnels unknown

・First released in 1969 & 71

To Love Somebody

この辺から聴くのもいいかと
Jazz as Played in an Exclusive Side Street Club
Quiet Now - Night Song
シルク・アンド・ソウル

 
<To Love Somebody>
1. Suzanne
2. Turn! Turn! Turn!
3. Revolution (Part 1)
4. Revolution (Part 2)
5. To Love Somebody
6. I Shall Be Released
7. I Can't See Nobody
8. Just Like Tom Thumb Blues
9. Times They Are-a-Changing
  <Here Comes the Sun>
10. Here Comes the Sun
11. Just Like a Woman
12. O-O-H Child
13. Mr. Bojangles
14. New World Coming
15. Angel of the Morning
16. How Long Must I Wander
17. My Way
ニーナ・シモン

Nina Simone and Piano

これこそがピュアなニーナ・シモンだ。ニーナは色々なタイプのアルバムを作っているけれど、これを聴くとかの女の音楽がゴスペルやブルーズをルーツとしていることがよく分かる。伴奏はみずから弾くピアノだけというシンプルさ。だからこそ際立つかの女の個性。他のアルバムと比べてたしかにジャズっぽさは後退しているが、このナチュラルな表現は味わい深く、聴き飽きることがない。それほどの重厚さも迫力もないのに、気軽に聴き流すことはとうていできない。つい聴き入ってしまう。ニーナはいいアルバムを遺してくれた。

 

Nina Simone, piano & vocals

・Recorded in 1968

Nina Simone and Piano
ニーナとピアノ

おすすめライヴ
Nina at the Village Gate

 
1. Seems I'm Never Tired Lovin' You
2. Nobody's Fault But Mine
3. I Think It's Going To Rain Today
4. Everyone's Gone To The Moon
5. Compassion (aka Compensation)
6. Who Am I
7. Another Spring
  8. The Human Touch
9. I Get Along Without You Very Well
10. The Desperate Ones
11. Music For Lovers
12. In Love In Vain
13. I'll Look Around
14. The Man With The Horn

カーメン・マクレー

Carmen McRae Alive!

カーメン・マクレー1965年の名ライヴ。(13)以降の9曲はMainstreamから“Live & Wailing”というタイトルで出ていたもので、マスターの愛聴盤だったLP。一般に名盤といわれる“Book of Ballads”をさし置いてよく聴いていたものだ。前半は“Woman Talk”という別アルバムだったらしい。こっちは初めて聴いた。
当時カーメンは円熟期にあり、若い頃に金属的と言われていた声にまろやかさと深みが出て、表現力もはるかに増していた。カーメンはヴィレッジ・ゲイトの聴衆にじっくり語りかけるように歌う。客席の音がすぐ近くに聴こえる。歌詞にいちいち反応する客がいる。小さい空間ならではのインティメイトな雰囲気が楽しめる。
前半はフルートやギターが加わったセッション。ジョー・ピューマのなめらかなフレーズが粋でお洒落な雰囲気を高めている。カーメンはリラックスして楽しげだ。
後半は別の日の録音らしく伴奏はトリオのみ。音も若干ちがう。こちらはバラッドが多くて、7分以上かけた“Love for Sale”の表現力、“Midnight Sun”のスリリングなグリッサンドなど、カーメンの歌唱力をたっぷり味わうことができる。

 

Carmen McRae, vocals
Norman Simmons, piano
Paul Breslin, bass
Frank Deverino, drums
with Ray Beckenstein, flute
Joe Puma, guitar
Jose Mangual, bongos

・Recorded in 1965 (Live)

Carmen McRae Alive!

こんな楽しいアルバムも
Heat Wave
テイク・ファイヴ

 
1. Sometimes I'm Happy
2. Don't Explain
3. Woman Talk
4. Kick Off Your Shoes
5. The Shadow of Your Smile
6. Sweetest Sounds
7. Where Would You Be Without Me?
8. Feeling Good
9. Run Run Run
10. No More
11. Look at That Face
  12. I Wish I Were in Love Again
13. You Better Go Now
14. Love for Sale
15. If I Could Be With You (One Hour Tonight)
16. Miss Brown to You
17. Perdido
18. Too Close for Comfort
19. Midnight Sun
20. Travelin' Light
21. Our Love Is Here to Stay
カーメン・マクレー

Carmen McRae: The Great American Songbook

カーメン・マクレー代表盤のひとつ。円熟の極みにあった時期の、コクもキレも抜群のライヴ。サイドメンにジョー・パスが加わっているのがミソ。
カーメンは融通無碍の境地。軽々と歌い飛ばしているように思えるが見事にコントロールが効いており、思い切ったフレージングでジャズヴォーカルの楽しみをたっぷり味わわせてくれる。スキャットほとんどなしでもスリルのあるヴォーカルは可能なんですよ、みなさん。
積極的にからんでくるジョー・パス。お洒落でかっこいいとウチの息子もお気に入り(関係ないか)。他のメンバーもカーメンに寄り添ったりあおったり、うまいバックをつけている。
曲目のよさも人気の理由。エリントンからコール・ポーター、レオン・ラッセル、そしてバカラック、マンシーニなど、文字どおりグレートなソングライターが揃っている。新しいレパートリーにも積極的だったカーメンらしい。
ビギナーからベテランまで、満足間違いなしのアルバム。一家に一枚カーメン・マクレー!

 

Carmen McRae, vocals & Piano
Jimmy Rowles, piano
Joe Pass, guitar
Chuck Domanico, bass
Chuck Flores, drums

・Recorded in 1971 (Live)

The Great American Songbook
語りも収録した国内盤
グレート・アメリカン・ソングブック

ほかには
ライブ・イン・トーキョー
トゥー・フォー・ザ・ロード
The Sound of Silence/Portrait of Carmen
フォー・レディ・デイ

 
1. Satin Doll
2. At Long Last Love
3. If the Moon Turns Green
4. Day by Day
5. What Are You Doing the Rest of Your Life?
6. I Only Have Eyes for You
7. Medley: Easy Living/The Days of Wine and
  Roses/It's Impossible
8. Sunday
9. A Song for You
  10. I Cried for You
11. Behind the Face
12. The Ballad of Thelonious Monk
13. There's No Such Thing as Love
14. Close to You
15. Three Little Words
16. Mr. Ugly
17. It's Like Reaching for the Moon
18. I Thought About You
カーメン・マクレー

Carmen McRae: After Glow

カーメン・マクレー、デッカ時代の人気アルバム。ジャケットに一緒に写っているのはレイ・ブライアント・トリオの面々。かの有名なプレスティッジ盤“Ray Bryant Trio”を吹き込んだ頃の姿である。またこの時期、ベーシストのアイク・アイザックスはカーメンのダンナだった(芸能ネタ)。
だいたい想像がつくように、落ち着いた大人の雰囲気に充たされたアルバム。軽快な曲もあるが、それもハッピーというよりシックな仕上がりだ。エラおばさまとはちがうし、サッシーともちがう。何がって、歌詞の重さが。
エラ、サラを悪く言ってるわけじゃない。カーメンが歌うと歌詞がひときわ重くなるって話。のほほんとした恋の歌は軽薄にならずにすむ。“My Funny Valentine”みたいなバラッドはしみじみ心に沁みてくる。でもカーメン、なんで“Guess Who I Saw Today”なんか歌ったの。こりゃこわいよ。
奥さんがダンナに言うのだ。今日わたしが見かけた人、だれだか当ててごらんなさい。若い女の人と楽しそうに歩いていたわ…。おぉ、こわっ。

 

Carmen McRae, vocals & piano
Ray Bryant, piano
Ike Isaacs, bass
Specs Wright, drums

・Recorded in 1957

アフター・グロウ

この時代のカーメン
Torchy/Blue Moon
ボーイ・ミーツ・ガール

 
1. I Can't Escape from You
2. Guess Who I Saw Today
3. My Funny Valentine
4. The Little Things That Mean So Much
5. I'm Through With Love
6. Nice Work If You Can Get It
  7. East of the Sun (and West of the Moon)
8. Exactly Like You
9. All My Life
10. Between the Devil and the Deep Blue Sea
11. Dream of Life
12. Perdido
カーメン・マクレー

Carmen McRae: Book of Ballads

カーメンの極めつけ、なんて他人には言いながら、実は100%気に入っていたわけではなかった。フランク・ハンターのアレンジが面白くなかったのだ。でも今聴きなおすとそれほど気にならない。平凡ではあるけれど邪魔にならないから。カーメンの声を際立たせる録音のせいもあって、かの女の素晴らしいバラッドを心ゆくまで堪能することができる。
聴き惚れるとはこういうのを言うのだろう。カーメンのバラッドは直球勝負。聴き手の心にすっと入り込み、支配する。金縛り状態とでもいうのか、席を立てなくなってしまうくらいだ。ゆたかな表現力、深々とした情感はジャズ界随一である。こんなバラッドシンガーは二度と現れないんじゃないだろうか。

 

Carmen McRae, vocals
Don Abney, piano
Joe Benjamin, bass
Charlie Smith, drums
with orchestra
arranged & conducted by Frank Hunter

・Recorded in 1958

ブック・オブ・バラーズ

 
1. By Myself
2. The Thrill Is Gone
3. How Long Has This Been Going On?
4. Do You Know Why?
5. My Romance
6. Isn't It Romantic?
  7. If Love Is Good to Me
8. When I Fall In Love
9. Please Be Kind
10. He Was Too Good to Me
11. Angel Eyes
12. Something I Dreamed Last Night
Carmen McRae

Carmen McRae
with Mat Mathews Quartet & Tony Scott Quartet

カーメン・マクレーがデッカに移籍する前の録音。ファンには貴重な音源で、これがベツレヘムへの全録音となる。別テイクにはステレオ録音が含まれる!
デビュー当時の若々しくチャーミングな歌声は魅力的。まだ貫禄こそないものの、絶妙の歌いまわしとていねいで情感に満ちた表現はさすがと言うしかない。
メンバーの一覧がないのだが、ハービー・マン、マンデル・ロウ、ディック・カッツといった一流どころが参加しており、若いカーメンをがっちりサポート。アルバムの完成度を高めている。

 

Carmen McRae, vocals
Mat Mathews Quartet
Tony Scott Quartet

・Recorded in 1954

Carmen McRae

日本独自編集盤
カーメン・マクレー&ジュリー・ロンドン

 
1. You'd Be So Easy to Love
2. If I'm Lucky
3. Old Devil Moon
4. Tip Toe Gently
5. You Made Me Care
6. Last Time for Love
7. Misery
  8. Too Much in Love to Care
9. Too Much in Love to Care [Alt. take]
10. Old Devil Moon [Alt. stereo]
11. You Made Me Care [Alt. stereo]
12. Too Much in Love to Care [Alt. stereo]
13. Last Time for Love [Alt. stereo]
 
  VOCAL 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / [6] / 7 / 8 / 9 / 10
11
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO