ジャズCDレビュー
ジャズ・ヴォーカル   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
ブルーズCD ワールドミュージック クラシックCD ブラスバンドCD book review jazz index
VOCAL 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
[11]
TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO
 
アニタ・シングス・ザ・モスト Anita Sings the Most

1919年10月18日、カンザスに生まれたアニタ・ベル・コルトンは10代でダンサーとして活動を始め、このころ芸名をアニタ・オデイとした。歌手に転向してからジーン・クルーパ、ロイ・エルドリッジらと共演。1943年からはスタン・ケントンのバンドで歌って名を知られるようになった。ソロシンガーとして独立したのは1946年。大ブレイクは50年代に入ってからで、最盛期の録音はこのヴァーヴにある。
アップテンポの曲のたたみかけるようなドライヴ感、ハスキーな声を活かしたレイジーなバラッド、そして自在でスリリングなスキャット。ジャズの面白味を存分に味わわせてくれる名歌手である。
当盤はハーブ・エリスがいたころのオスカー・ピーターソン・トリオとの顔合わせ。ドラムスはジョン・プール。録音時37歳のアニタはすでに貫禄充分。突っ走るオスカーやハービーを向こうにまわして有名スタンダードの数々をこともなげに歌いこなしていく。脱帽ものとはこういうのを言うのである。

 

Anita O'Day, vocals
Oscar Peterson, piano
Herb Ellis, guitar
Ray Brown, bass
John Poole, drums

・Recorded in 1957
Verve Records
829 577-2

Anita Sings the Most
アニタ・シングズ・ザ・モスト

This is Anita
ディス・イズ・アニタ
Pick Yourself Up with Anita
The Complete Recordings, 1949-50

 
1. S'wonderful/They Can't Take That Away from Me
2. Tenderly
3. Old Devil Moon
4. Love Me or Leave Me
5. We'll Be Together Again
6. Stella by Starlight
7. Taking a Chance on Love
8. Them There Eyes
9. I've Got the World on a String
10. You Turned the Tables on Me
11. Bewitched, Bothered and Bewildered
アニタ・シングス・ザ・ウィナーズ Anita O'Day Sings the Winners

LPは12曲で、A面がマーティ・ペイチ、B面がラッセル・ガルシアの編曲・指揮によるオーケストラというふうに分けられていたような気がする。CDでは同時期の別アルバムから選んだ7曲がオマケ。
エリントン、ガレスピー、マイルズやグッドマン、ケントンらのレパートリーを揃えたご機嫌な選曲で、絶好調のアニタ姉御が天馬空を行く勢いで歌いつづる痛快なアルバム。オケはバド・シャンク、メル・ルイスらを含む豪華版。いやでも元気が出てしまう(!?)ノリのよさだ。どれもかっこいいけど『南京豆売り』(12)のジャズ・ヴォーカル版てのは珍しいかも。ボーナストラックも考えて選ばれていて、ベニー・ゴルソン、グレン・ミラーらの十八番が聴ける。
前項で書いたようにアニタはスウィング時代から歌っているが、バップムーヴメントを経験して器楽的唱法を身につけた。古い曲もあるのにバンドシンガーっぽい仕上がりのトラックがないのはそのせいなのだ。

 

Anita 0'Day, vocals
Orchestra arranged by Marty Paich (1-6) and Russell Garcia (7-12)
and others

・Recorded in 1958
Verve Records
837 939-2

Anita O'Day Sings the Winners
シングズ・ザ・ウィナーズ

From Swing to Bop

アット・ミスター・ケリーズ

 
1. Take the "A" Train
2. Tenderly
3. Interlude (A Night in Tunisia)
4. Four
5. Early Autumn
6. Four Brothers
7. Sing, Sing, Sing
8. My Funny Valentine
9. Frenesi
10. Body and Soul
  11. What's Your Story, Morning Glory
12. Peanut Vendor
13. Whisper Not*
14. Blue Champagne*
15. Stompin' at the Savoy*
16. Hershey Bar*
17. Don't Be That Way*
18. Peel Me a Grape*
19. Star Eyes*
  (*Bonus tracks)
コール・ポーターを歌う

Anita O'Day Swings Cole Porter with Billy May

ブランコに乗ってスウィングって、あまりにチープ。しかしビリー・メイのご機嫌アレンジに乗ってコール・ポーターの名曲の数々を歌うアニタ・オデイはかっこいいったらありゃしない。ソングライターとしてのコール・ポーターの魅力がたっぷり味わえる超有名曲ラインナップ。気の利いたアレンジ。スリル満点のヴォーカル。同じレーベルにエラおばさまの素晴らしいポーター集があるけれど、あちらは二枚組。いいとこ取りという点ではこちら。
わたしは白人の女性ジャズヴォーカルで誰か一人を選べと言われたら、迷わずアニタを選ぶ。かの女は決してうまいわけではない。音程はたいして正確ではないし、なにしろ声量がない。しかしジャズセンスはピカ一であり、これほど自在さを感じさせてくれる歌手はなかなかいない。そしてサラサラと軽い声の魅力。粘性を感じないというか、脂っこさのない爽快な肌触りがたまらないのである。

 

Anita O'Day, vocals
with Orchestra
arranged by Billy May

・Recorded in 1959
Verve Records
849 266-2

Swings Cole Porter
国内盤2 in 1あり
コール・ポーター+ロジャース&ハート

The Cole Porter Songbook (Ella)

 
1. Just One of Those Things
2. Love for Sale
3. You'd Be So Nice to Come Home to
4. Easy to Love
5. I Get a Kick of You
6. All of You
7. Get Out of Town
8. I've Got You Under My Skin
9. Night and Day
  10. It's Delovely
11. I Love You
12. What Is This Thing Called Love
13. You're the Top*
14. My Heart Belongs to Daddy*
15. Why Shouldn't I*
16. From This Moment on*
17. Love for Sale*
18. Just One of Those Things*

アニタ・オデイ

Anita 0'Day/Cal Tjader: Time for 2

粋な姉御アニタ・オデイがジャズ・ヴァイブの名手カル・ジェイダーと組んだ1962年録音。ラテンタッチの軽快なコンボを従えてスタンダードやポップヒットをすいすい歌い継いでいく夏向き爽快度100%アルバム。
アニタは元ダンサーという経歴ゆえかノリが素晴らしく、これぞジャズヴォーカルといったお洒落なくずしが魅力。男でいうならメル・トーメみたいなセンス。スキャットがうまいってとこも共通する。ついアップテンポの曲に耳を奪われるが、ハスキーな声を活かしたバラッドのレイジーな魅力も独特だ。
バックを努めるジェイダーのクァルテットも好調。ちょうど名手ジョニー・レイがいた頃で、例によってジェイダーと楽器を交換して闊達なプレイを聴かせてくれる。

 

Anita O'Day, vocals
Cal Tjader, vibes and drums
Bob Corwin or Lonnie Hewitt, piano
Freddy Schreiber, bass
Johnny Rae, drums and vibes

・Recorded in 1962
Verve Records
314 559 808-2

♪ Just in Time

Anita 0'Day: Time for 2
タイム・フォー・2

 
1. Thanks for the Memory
2. It Shouldn't Happen to a Dream
3. Just in Time
4. Under a Blanket of Blue
5. That's Your Red Wagon
6. Peel Me a Grape
  7. An Occasional Man
8. The Party's Over
9. I Believe in You
10. Mr. Sandman
11. Spring Will Be a Little Late This Year
12. I'm Not Supposed to Be Blue Blues
アニタ・オデイ/ゲイリー・マクファーランド Anita 0'Day: All the Sad Young Men

これは公言してもらっては困るのだが、マスターがいちばん好きなアレンジャーはゲイリー・マクファーランドなのである。かれは1961年7月、ジェリー・マリガンのコンサート・ジャズバンドにオリジナル2曲を提供してデビュー。同年11月に『努力しないで出世する方法(How to Succeed in Business without Really Trying)』のジャズヴァージョンを手がけて一躍注目される。アニタとの共演はその間の10月に行われた。マリガンのアルバムはまだリリースされていなかった。つまりまったく無名といっていいアレンジャーが売れっ子アニタの作品に起用されたわけで、よほど期待されていたものと考えられる。
すでにかれの個性、クセっぽいフレージングや特異な楽器のブレンドが聴かれ、ファンとしてはうれしい限り。かれのアレンジはピート・ルゴロやギル・エヴァンスのような近代/現代クラシックの影響下にある人たちとはひと味ちがう。ヨーロッパ正統ではない、血の違いみたいなものを感じる。あるいはケルトの血か。
オケが豪華で、ハンク・ジョーンズ、フィル・ウッズ、ズート・シムスなどが名を連ね、短いながらソロも聴ける。主役アニタは風変わりなアレンジに歌いにくそうなところもなく、軽妙洒脱。とくにブルーズのノリのよさには感心するばかり。

 

Anita O'Day, vocals
with Gary McFarland Orchestra
incl. Doc Severinsen, Bob Brookmeyer, Phil Woods, Zoot Sims, Hank Jones, Mel Lewis, etc.

・Recorded in 1961
Verve Records
314 517 065-2

All the Sad Young Men

Gary McFarland

 
1. Boogie Blues
2. You Came a Long Way from St.Louis
3. I Want to Sing a Song
4. A Woman Alone with the Blues
5. The Ballad of All the Sad Young Men
  6. Do Nothin' Till You Hear from Me
7. One More Mile
8. Night Bird
9. Up State
10. Senor Blues
メル・トーメ/ルル Mel Torme: Lulu's Back in Town

白人女性ジャズヴォーカルの最高峰がアニタ・オデイなら、白人男性のほうはこの人、メル・トーメ。うるさいことを言うならトーメの音程はわずかにうわずることがあり、リズムにもきっちり乗っていない。しかし音程もリズムもぴったりのジャズシンガーは面白くないんである。マーティ・ペイチ・デクテットという駿馬にまたがった騎手、メル・トーメは行儀よく座ってはいない。常に腰を浮かせ、身体を前後左右に揺すりながら、余裕綽々で疾駆していく。まさに職人技。
最大の人気トラックは『バードランドの子守唄』(10)だが『魅惑のリズム』(4)『レディは気まぐれ』(7)、ラテンタッチの『キャリオカ』(6)も素晴らしい。絶妙のくずし、巧みなスキャットはトーメの独壇場だ。あまり言及されないバラッドだってドライな仕上がりが粋。
デクテットの顔ぶれも右記のように強者ぞろい(ぜいたくすぎか!)。かれらのソロも聴きどころのひとつだ。

 

Mel Torme, vocals
Marty Paich, piano and arrangements
Pete Candoli, Don Fagerquist, trumpets
Bob Enevoldsen, trombone
Bud Shank, Bob Cooper, Jack Montrose,
Jack DuLong, saxes
Vince DeRosa, John Cave, french horns
Albert Pollan, tuba
Red Mitchell, bass
Mel Lewis, drums

・Record in 1956
Avenue Jazz/ Bethlehem Archives
R2 75732

Mel Torme: Lulu's Back in Town
ルルズ・バック・イン・タウン

Mel Torme's California Suite

 
1. Lulu's Back in Town
2. When the Sun Comes Out
3. I Love to Watch the Moonlight
4. Fascinating Rhythm
5. The Blues
6. The Carioca
  7. The Lady is a Tramp
8. I Like to Recognize the Tune
9. Keeping Myself for You
10. Lullaby of Birdland
11. When April Comes Again
12. Sing for Your Supper
メル・トーメ

マスターおすすめ

Mel Torme Swings Shubert Alley

珠玉のミュージカルナンバーを揃えたメル・トーメ代表作中の代表作。アート・ペッパーやフランク・ロッソリーノを含む強力バンドを率いるのはマーティ・ペイチ。悪かろうはずがないのである。軽快にお得意のタップを踏みながら上機嫌で歌う姿が見えるような楽しい仕上がりだ。ペイチのアレンジも軽快さ、シャープさを前面に出したもので、スピード感がたまらない。
録音が1960年なのでネタは古いものの、スタンダード化した名作がほとんど。誰もがどこかで聴いたことのある曲。それがメルのせせらぎのような軽いヴォーカルでさらさら流れていく心地よさ。渋さや重さは無縁。ちょいハスキーなヴェルヴェット・ヴォイスはときに飛沫をあげながら滑らかに流れ下っていく。

 

Mel Torme, vocals
with Marty Paich Orchestra
incl. Art Pepper, Stu Williamson, Frank Rosolino, Bill Perkins, Mel Lewis, etc.

・Recorded in 1960
Verve Records
821 581-2

Mel Torme Swings Shubert Alley
スウィングズ・シューバート・アレイ

Swingin' on the Moon
マイ・カインド・オヴ・ミュージック

 
1. Too Close for Comfort
2. Once in Love with Amy
3. A Sleepin' Bee
4. On the Street Where You Live
5. All I Need is a Girl
6. Just in Time
  7. Hello Young Lovers
8. The Surrey with Fringe on Top
9. Old Devil Moon
10. Whatever Lola Wants
11. Too Darn Hot
12. Lonely Town
ジョージ・シアリング/メル・トーメ An Evening with George Shearing & Mel Torme

1982年4月、シスコのホテルで収録された珠玉のディナーショー。ジョージ・シアリングのデュオにメル・トーメがゲスト参加するというカタチで、大ベテランふたりの夢の競演が実現したのだった。ジャケットには“Grammy Winner”の文字が誇らしげに…。
一連の代表作を次々とリリースしていた時代から20年も経っているのに、トーメの若々しさとヴォーカルのテクニックは微塵も衰えていない。『神の子らはみな踊る』からいきなりハイテンションで始まるのだが、マスターがいちばん驚いたのはブライアン・トーフっていうベーシスト。まるでギターをかき鳴らすみたいにウッドベースを弾くんである。たまげていると往年ののほほんスタイルをかなぐり捨てたシアリングの超絶ピアノがかぶさり、さらにこれも超絶のトーメのヴォーカルが入ってくる。すんごいトリオである。あれよあれよという間に時は過ぎ去っていく。そして最後の最後に極めつけの『バードランドの子守唄』だ。

 

George Shearing, piano
Mel Torme, vocals
Brian Torff, bass

・Recorded in 1982 (Live)
Concord Jazz CCD-4190

An Evening with...
An Evening with...〔XRCD〕

An Elegant Evening
A Vintage Year

 
1. All God's Chillun Got Rhythm
2. Born to Be Blue
3. Give Me the Simple Life
4. Good Morning Heartache
5. Manhattan Hoedown
  6. You'd Be So Nice to Come Home to
7. A Nightingale Sang in Berkeley Square
8. Love
9. It Might As Well Be Spring
10. Lullaby of Birdland
マット・デニス Welcome Matt Dennis

かの名作『エンジェル・アイズ』の作者としても知られる名歌手マット・デニスがサイ・オリヴァーの率いるオケと吹き込んだこのアルバムのジャケットは、ふざけている。部屋からぬっと顔を出したマットが手にしているのは玄関マット、つまりウェルカムマット。よく“WELCOME”と書いてある、あれだ。美女はあきれたのかそっぽを向いている。
アルバムのキーワードは“home”。集められた曲を見ると、家に帰り、暖炉のそばでくつろぎ、頬に頬よせて踊り、最後は灯りを消すという筋書き。『帰ってくれてうれしいね』など有名曲も含まれ、じつは楽しいアルバムなのである。
マットはソフトでナチュラルな歌唱が特徴。こってりせずリラックスしているが巧みなスキャット(8)も聴かせるしピアノもうまい。(10)などヴォーカルなしで延々とソロをとっている。

 

Matt Dennis, piano & vocals
with Sy Oliver Orchestra

・Recording dates unknown
Fresh Sound Records (Jubilee)
FSR-CD87

プレイズ・アンド・シングス
デニス・エニワン

 
1. Show Me the Way to Go Home
2. You Make Me Feel at Home
3. By the Fireside
4. You'd Be So Nice to Come Home to
5. Back in Your Own Back Yard
6. Welcome Mat
  7. Home
8. My Blue Heaven
9. Your Family
10. Cheek to Cheek
11. A Cup of Coffee, a Sandwich and You
12. Let's Put Out the Lights
マット・デニス

Matt Dennis: Play Melancholy Baby

マット・デニスの代表作『プレイ・メランコリー・ベイビー』。カクテルを手にした美女をはべらせクラブの雰囲気濃厚だが、内容はスタジオ録音。自己のクァルテットにトランペット、アルトフルートを加えた小編成で、洒脱なピアノとなめらかなヴォーカルを満喫させてくれる。粋な夜を過ごしたいときには最適の一枚だ。
6曲目のラテンタッチの『キサス・キサス・キサス』が陽気なくらいで、全体の印象はしっとり落ち着いたもの。バラッドが多いのである。マットのソフトな歌にミュート・トランペットや渋いアルトフルートがからみ、大人のジャズが展開されていく。自身のピアノだけで歌う『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』でアルバムは締めくくられる。この構成も粋。

 

Matt Dennis, piano & vacals
Don Fagerquist, trumpet
Ronny Lang, alto flute
Bill Pitman, guitar
Ray Leatherwood, bass
Richmond Frost, drums

・Recorded in 1956
RCA 74321898332

Play Melancholy Baby

She Dances Overhead
ロジャース&ハートを歌う

 
1. Between the Devil and the Deep Blue Sea
2. Cottage for Sale
3. This Is My Story
4. I Gotta Right to Sing the Blues
5. I'm Thru with Love
6. Perhaps, Perhaps
  7. My Melancholy Baby
8. Heart of Stone
9. Spring Is Here
10. I'll Never Be the Same
11. For the Losers
12. My Funny Valentine
 
  VOCAL

1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
[11]

TRUMPET / TROMBONE / WOODWONDS / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO