ジャズCDレビュー
ジョン・コルトレーン   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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WOODWINDS 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11 / [12] / 13
TRUMPET / TROMBONE / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL
 
ディア・オールド・ストックホルム

John Coltrane: Dear Old Stockholm

コルトレーン・クァルテット1963年と65年の録音を収録。どちらもエルヴィン・ジョーンズでなくロイ・ヘインズがドラマーを努めたセッションだ。エルヴィンは当時ヘロイン禍でスケジュールに穴をあけることが多く、そのつど代役が立てられた。筆頭がヘインズだったそうで、かつて『インプレッションズ』で共演していたので安心だったのだろう。
そうはいっても重厚なエルヴィンと軽やかなヘインズ、効果はまったく違う。タタタタッと細かい刻みのスネアがうわずるように対位法的に絡みつき、コルトレーンを煽る。タイトル曲『ディア・オールド・ストックホルム』ではマッコイを休ませてピアノレスでコルトレーンが走るのだが、ドスドスした大砲みたいなエルヴィンとは異なる機関銃みたいなドラムスが新鮮だ。この曲はマッコイのソロの後に出るコルトレーンのカデンツァもすごい。
後半は65年録音なのでコルトレーンのソロにフリーキーなトーンが混じってくる。情熱のありったけをぶつけるようなすごい迫力。マッコイのしつこいソロもマジカルな効果を挙げ、ヘインズの絶妙の刻みが冴える。そして最後に『デイア・ロード』のやさしく美しい歌!

 

John Coltrane, tenor sax
McCoy Tyner, piano
Jimmy Garrison, bass
Roy Haynes, drums

・Recorded in 1963 & 65
Impulse Records
GRD-120

Dear Old Stockholm

Duke Ellington & John Coltrane
エリントン&コルトレーン
セルフレスネス
トランシジョン

 
1. Dear Old Stockholm
2. After the Rain
3. One Down, One Up
  4. After the Crescent
5. Dear Lord
バードランド

Coltrane Live at Birdland

インパルスはなぜか複数セッションを寄せ集めてのリリースが多く、ここでもタイトル通りのバードランド・ライヴ(10月8日)は前半の3曲のみ。たった3曲で終わるはずがないので未発表の音源はまだあるはず。LPには11月18日のスタジオ録音が2曲入っており、CDでは3月6日の録音が追加されて合計6曲になっている。
このアルバムは人気曲『アフロ・ブルー』が目玉。一度聴いたら忘れられない印象的な旋律をもつこの作品は他人の作品なのだが、コルトレーンのオリジナルだと思った人が多かったらしい。太さを増したソプラノ(“My Favorite Things”とは大違い)で堂々たるソロを繰り広げる充実のトラック。“Soultrane”でやっていた(2)もまるで別の曲のようにアグレッシヴになっており、この時期得意のカデンツァもたっぷり聴ける。これを聴いているとドルフィみたいな完全なソロ・トラックを聴いてみたいと思う。録音してなかったんだろうか。
ボーナス・トラックの(6)は『ヴィリアの歌』として知られるレハールの作品。オペレッタ『メリー・ウィドウ』で歌われる。この美旋律はかつてギタリストのジョニー・スミスが『ヴァーモントの月』で採り上げていた。コルトレーンはソプラノを用い、軽快なスウィングでこなしていく。マッコイのピアノもノリがよくオマケとしては上々の出来映え。

 

John Coltrane, teonr and soprano saxes
McCoy Tyner, piano
Jimmy Garrison, bass
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1963 (Live)
Impulse Records
IMPD-198

Coltrane Live at Birdland
ライヴ・アット・バードランド

Live Trane: The European Tours

 
1. Afro Blue
2. I Want To Talk About You
3. The Promise
 

4. Alabama
5. Your Lady
6. Vilia

コルトレーン:クレッセント John Coltrane Quartet: Crescent

黄金クァルテット1964年の録音。つまり『至上の愛』と同年。この時期が最も充実していたと評する人も多い。たしかにグループとしての一体感は頂点に達していたと言えるだろう。それももっともだが、曲にも注目していただきたい。5曲すべてがコルトレーン自作であり、しかもシリアスな曲ばかりなのだ。このシリアスさは次の『至上の愛』で大輪の花を咲かせることになる。
とはいえ、聴いていて肩が凝るほどのシリアスさではない。甘くないだけであって、ここには心地よい安楽がある。『ワイズ・ワン』などソフトな音色で歌うし、主要レパートリー『ロニーズ・ラメント』はミディアムテンポで渋く重厚にソロを展開、叙情的表現のうまさ、深さがたっぷり味わえる。マッコイのピアノも充分に美しさを発揮。ギャリソンのつぶやくようなソロも入り、この曲がアルバムの中心をなす。さいごにエルヴィンの欲求不満解消の曲があって全体を締めくくる?いやいやこの曲もリリカルな美しい曲なのだ。まずしみじみしたコルトレーンの導入があり、あとを任されたエルヴィンが技の限りを尽くしながら起伏のあるロングソロを聴かせる。すさまじいといえばすさまじい。しかしワイルドではない。
 

John Coltrane, teonr and soprano saxes
McCoy Tyner, piano
Jimmy Garrison, bass
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1964
Impulse Records
IMPD-200

John Coltrane Quartet: Crescent
クレッセント

 
1. Crescent
2. Wise One
3. Bessie's Blues
  4. Lonnie's Lament
5. The Drum Thing
至上の愛

John Coltrane: A Love Supreme

コルトレーン代表作中の代表作『至上の愛』はエリントンを意識したものではなかっただろうか。エリントンはジャズ界最大のコンポーザー。かれはクラシックの音楽作法を活かしつつ独自の「米国黒人の音楽」を作りあげた。かれはジャズという呼称を嫌っていたと伝えられるが、ジャンル的にも一般的ジャズの範ちゅうに収まらない芸術の高みを目指した音楽を産み出していた。“Black, Brown and Beige”はその代表的な成果といえる。
コルトレーンはみずからのクァルテットでそれに挑戦した。緻密な構成と完成度の高さ。クラシックでは当然のものを、即興性を重んじるジャズによって成し遂げようとしたのである。曲は4楽章からなり、第3楽章と第4楽章は切れ目なく演奏される。クラシックでいうアタッカ。これはベートーヴェンの『交響曲第5番 ハ短調』、つまり『運命』と同じ。生真面目で切迫したようなフレーズもベートーヴェンを思わせる。アドリブも素晴らしく、第1楽章『承認』で聴かれるソロはコルトレーン一世一代の名演だろう。ほんとうに即興なのかと思える完成度。第2楽章『決意』からはエルヴィンのドラムスが海のように多彩なパルスをぶちまけ、第3楽章『追求』でクライマックスに達する。こんな重厚さはかれにしか出せない。このアルバムのもうひとりの主役である。このスケルツォを経て最終楽章『賛美』になだれ込む。崇高さもあるが暗さもある、ちょっと不思議な雰囲気をもった部分。若干沈潜しながらもスケール感たっぷりに全曲が締めくくられる。

 

John Coltrane, teonr sax
McCoy Tyner, piano
Jimmy Garrison, bass
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1964
Impulse Records
GRD-155

John Coltrane: A Love Supreme
至上の愛

John Coltrane: Transition

 
1. Acknowlegement
2. Resolution
  3. Pursuance/Psalm
アセンション

John Coltrane: Ascension

1965年6月28日、コルトレーンは精鋭10名を率いて問題作『アセンション』を吹き込んだ。従来のモードの追求からフリーへと踏み込んだ集合即興演奏は批評家・ファンの間に論争を巻き起こし、長年のコルトレーン支持者の中にさえ喝采を送る人々、けなす人々、とまどう人々を産んでいった。
アルバム初出時の日本題は『神の園』。これも敬遠するジャズファンを作った原因だろう。これを聴いて宗教を感じるかどうか疑わしいものだが、あまり気を入れて聴いていると「昇天」しそうになるのは確かだ。
まずコルトレーンが短いモティーフ(動機)を提示する。それに導かれてホーン全員がモード(旋法)に基づくアドリブを展開する。コルトレーンを含めて7人いるわけで、これが同時に思い思いのフレーズを吹きまくるため混沌とした音の塊が聴き手に襲いかかる。ひとしきり混沌が続いたあとコルトレーンひとりがリズム隊をバックにソロをとる。再び全員の咆吼が始まり、それが終わると今度はデューイ・ジョンソンのトランペットソロ。そんな繰り返しで7人のソロが続いたあとマッコイのソロ、ベースのデュエット、ドラムソロがあらわれる。演奏時間約40分。
混沌にうろたえてしまうと訳が分からなくなり、滅茶苦茶な音楽にしか思えなくなるかも知れない。しかしこれはよく考えられた知的な音楽であって、ちゃんとコントロールが効いているのだ。

CDは下記のように二つのセッションを収めている。わたしが持っていたLPはドラムソロの入った“エディションI”だった。こっちの版はアート・デイヴィスのアルコ(弓弾き)が聴けるのでお気に入り。あるデータによればファースト・テイクは1000枚しかプレスされなかった(コルトレーンの意志で再プレス以降はセカンド・テイクに差し替えられた)ということで、あたしゃそんな稀少品を持っていたんだろうか。

 

Freddie Hubbard, Dewey Johnson, trumpets
Marion Brown, John Tchicai, alto saxes
John coltrane, Pharoah Sanders, Archie Shepp, tenor saxes
Mccoy Tyner, piano
Art Davis, Jimmy Garrison, basses
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1965
Impulse Records
314 543 413-2

John Coltrane: Ascension
アセンション

 
1. Ascension - Edition II
2. Ascension - Edition I
ニューポート John Coltrane/ Archie Shepp: New Thing at Newport

上記『アセンション』の4日後に録音されたニューポート・ライヴ。タイトルが紛らわしいが、最初の2曲がコルトレーン・クァルテットによるもので残りはアーチー・シェップのクァルテット。共演しているわけではない。
30分しか持ち時間がなかったそうでお得意ナンバー『ワン・ダウン、ワン・アップ』と『マイ・フェイヴァリット・シングス』2曲のみ。コルトレーンは例によってエネルギーの限りを注ぎ込んだ熱い演奏を聴かせる。フリークトーンが多く、時折息も絶え絶えって感じで消え入りそうになるのは『アセンション』の疲れが残っていたせいか。エルヴィンにしても大迫力の反面緊張感がいまいちで、『マイ・フェイヴァリット・シングス』後半になるとただ勢いで叩いているような…。

アーチー・シェップはボビー・ハッチャーソンとその僚友ジョー・チェンバース、そしてバール・フィリップスという興味深い編成。かれらのほうが年代的に若いということもあるが、印象がだいぶ異なる。コルトレーンたちのようにエモーションを前面に出した演奏ではないのだ。突き放しているとでもいうのか、相対化しているというのか、この時代の現代音楽を聴いているような瞬間もある。チェンバースのこの手の音楽へのシンパシー(兄は作曲家)も感じられ、興味深いトラックが続く。
 

John Coltrane, soprano & tenor saxes*
McCoy Tyner, piano*
Jimmy Garrison, bass*
Elvin Jones, drums*
Archie Shepp, tenor sax
Bobby Hutcherson, vibes
Barre Phillips, bass
Joe Chambers, drums

・Recorded in 1965 (Live)
Impulse Records
314 543 414-2

New Thing at Newport
ニュー・シング・アット・ニューポート

 
1. One Down, One Up*
2. My Favorite Things*
3. Gingerbread, Gingerbread Boy
4. Call Me by My Rightful Name
  5. Scag
6. Rufus (Swung his Face at Last to the Wind,
 Then His Neck Snapped)
7. Le Matin des Noire
John Coltrane: Meditations

最初の曲は『父と子と聖霊』、すなわち三位一体をあらわす。二曲目は『慈悲』。さらに『愛』『因果』『静寂』と続き、宗教街道まっしぐらだったコルトレーンらしい曲名たち。5曲は切れ目なく演奏され、組曲もしくは交響詩と考えられる。
なぜ宗教に走るとフリーになるのか分からないが、法悦とは秩序の超越をともなうものなのだろうか。『アセンション』からわずか5か月でこのフリーの嵐。(1)と(4)ではサックスがノイズ・マシーンと化している。ドラムスが二人になっているのはリズムの増強のためではなく、パルスを複雑化するためである。分身としてファラオ・サンダースを入れたのは密儀を司る呪文を重層化させるためである。もはやクァルテット編成ではコルトレーンの「瞑想」を表現しきれなくなっていたのだ。
心洗われるような曲もあり、単調にはなっていない。聴き終えてずしりと重いものが残る。『アセンション』なんて屁でもない重要作かも知れない。ただもはやドラムスはエルヴィンである必要がなくなっており、ピアノもマッコイの奏法では合わなくなりはじめている。
 

John Coltrane, tenor sax, percussion
Pharoah Sanders, tenor sax, tambourine
McCoy Tyner, piano
Jimmy Garrison, bass
Elvin Jones, drums
Rashied Ali, drums

・Recorded in 1965
Impulse Records
IMPD-199

John Coltrane: Meditations
メディテーションズ

First Medidations

 
1. The Father and the son and the Holy Ghost
2. Compassion
3. Love
  4. Consequences
5. Serenity
 
  WOODWINDS 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11 / [12] / 13
TRUMPET / TROMBONE / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL