ジャズCDレビュー
リー・コニッツ   アドマックス「カフェ・マキシマム」  
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WOODWINDS 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11 / 12 / [13]
TRUMPET / TROMBONE / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL
 
サブコンシャス・リー

Lee Konitz: Subconscious-Lee

知的でクール、というのがトリスターノ・スクールの特徴とされる。しかしマスターがこの時代のリー・コニッツを聴くのはメロウでセクシー、なおかつレイジーな音色を楽しむため。やーカタカナばかり並べるともっともらしくていいなぁ。
黒人中心のバップに対してトリスターノたちのジャズはいかにも頭のよさそうな音楽ではある。和声の工夫でずいぶんドライにきこえる。こぶしもうねりもないのでよく言えば上品、悪く言えばスカスカ。予想どおりに展開しないのでよく言えばスリルがあり、悪く言えば落ち着かない。結局は好み、なんだろうな。
これらのセッションは親分トリスターノが参加している(1〜5)こともあり、実質かれのバンドといえる。知的にコントロールされた切れ味するどいインプロヴィゼーション。なのに温かさが感じられるのはひとえにコニッツの音色のおかげだと思う。その魅力的な音色で、バップとはひと味違う、激情に走らないクールなスリルを味わわせてくれるのが若き日のコニッツ(22歳ですってよ奥さま!)なのである。軽々と吹いているように思うかも知れないがこれは真剣勝負なのだ。

 

Lee Konitz, alto sax
Warne Marsh, tenor sax
Lennie Tristano, Sal Mosca, piano
Billy Bauer, guitar
Arnold Fishkin, bass
Shelly Manne, drums
and others

・Recorded in 1949 & 50
Prestige Records P-7004
OJCCD-186-2

Subconscious-Lee
サブコンシャス・リー

レニー・トリスターノ
Lee Konitz with Warne Marsh

 
1. Progression
2. Tautology
3. Retrospection
4. Subconscious-Lee
5. Judy
6. Marshmallow
7. Fishin' Around
  8. Tautology
9. Sound-Lee
10. Rebecca
11. You Go To My Head
12. Ice Cream Konitz
13. Palo Alto
インサイド・ハイファイ

Lee Konitz: Inside Hi-Fi

リー・コニッツ1957年リリースのアトランティック盤。ビリー・バウアー、サル・モスカ、アーノルド・フィシュキンらの参加で想像がつくようにまだトリスターノの路線を走っていた時代のもの。しかし変化は見えている。あまりクールじゃなくなっているのだ。といってホットなわけでもない。よく言えばリラックスしているが上記『サブコンシャス・リー』のような真剣勝負のスリルがない。
それをどう捉えるかだろう。トリスターノの呪縛から自由になったと考えるか、疲れて腑抜けになったと思うか。少なくともここに惰性や倦怠は感じられず、知的なアプローチはそのままにエモーショナルな方向に向かおうとしている姿がある。音色もまだ柔らかさを保っており、魅力は失われていない。(1)のノリのいいかっこよさは今でも新鮮だし、スタンダードに新鮮な和声を施して生まれ変わらせる手際のよさはのちの『モーション』を予見させる。

 

Lee Konitz, alto and tenor saxes
Sal Mosca, piano (5-8)
Billy Bauer, guitar (1-4)
Arnold Fishkin, bass (1-4)
Peter Ind, bass (5-8)
Dick Scott, drums

・Released in 1957
Atlantic Records 1258
Koch Jazz KOC CD 8504

Lee Konitz: Inside Hi-Fi
インサイド・ハイファイ

ヴェリー・クール
トランキリティ

 
1. Kary's Trance
2. Everything Happens To Me
3. Sweet and Lovely
4. Cork'n'Rib
 

5. All of Me
6. Star Eyes
7. Nesuhi's Instant
8. Indiana

リー・コニッツ:モーション

Lee Konitz: Motion

コニッツの『モーション』に大量のお蔵入りセッションがあることは、国内盤LPを買ったときから知っていた。それがニック・スタビュラスをドラマーに据えたものであることも。なぜあんないいドラマーとのセッションをリリースしなかったのか。
1961年8月、コニッツとスタビュラス、ソニー・ダラースの3人は3日間にわたる録音を行った。しかしドラマーがコニッツの要求を満たすことができず(ダラースの証言による)同じフォーマットでやり直そうということになった。コニッツはマックス・ローチを入れたかったが契約上の問題で使えず、ローチの推薦でエルヴィン・ジョーンズを起用したのだという。エルヴィンは想定していなかった、同類とは思えなかったとコニッツは言うが、「どうすればいいんだい」とエルヴィンに問われたコニッツは「好きなようにやってくれ」と答えたそうである。

さて、なぜドラマーを交代させたかったのかは聴けば分かる。スタビュラスが伴奏の域を出ないのに対してエルヴィンはコニッツと対等にわたりあっている。クールでホットな吹きまくりコニッツに対峙して強烈なパルスを送り続ける。この時期コルトレーンのコンボでヴィレッジゲイトに出演中だったエルヴィン。テンションの高い刺激的なドラミングをここでも充分聴かせてくれるのである。
コニッツはアドリブの追求に徹しているようで、曲によってはテーマを奏さずにいきなりアドリブが始まる。スタンダードばかりだが何の曲をやっているのかすぐには分からない。この辺もねらいだったと思われる。手垢のついたような古い曲から新鮮でスリルのあるフレーズが次々と産み出される。
スタビュラスはコニッツの意図するところに応えられなかったことになるが、演奏は悪くない。較べると迫力負けしているものの、センスのいい演奏を聴かせてくれる。

 

Lee Konitz, alto sax
Sonny Dallas, bass
Elvin Jones, drums (CD 1)
Nick Stabulas, drums (CD 2&3)

・Recorded in 1961
Verve Records
314 557 107-2 (3CDs)

Lee Konitz: Motion

通常盤
Lee Konitz: Motion
モーション

 

<CD 1>
1. I Remember You
2. All of You
3. Foolin' Myself
4. You'd Be So Nice to Come Home To
5. I'll Remember April
6. You Don't Know What Love Is
7. These Foolish Things
8. Out of Nowhere
9. It's You or No One
<CD 2>
1. I Remember You [Reheasal take]
2. I Remember You [Reheasal take]
3. I Remember You
4. I Remember You
5. I Remember You
6. You Don't Know What Love Is
7. It's All Right With Me
8. Foolin' Myself
9. Just Friends
10. It's You or No One

  11. Out of Nowhere
12. My Melancholy Baby
13. Imagination
14. Tha Old Feeling
15. All the Things You Are
<CD 3>
1. (Back Home Again In) Indiana
2. Alone Together
3. Embraceable You
4. I'm Gettin' Sentimental Over You
5. I'm Gettin' Sentimental Over You
6. Pennies from Heaven
7. I'll Remember April
8. There Will Never Be Another You
9. What's New?
10. Everything Happens To Me
11. Sweet and Lovely
12. You'd Be So Nice to Come Home to
13. Lullaby of the Leaves
14. I'm Gettin' Sentimental Over You (overdub)
デュエッツ The Lee Konitz Duets

初出時スウィング・ジャーナル誌ゴールドディスクを受賞。先生方の評価の高かったアルバムだ。ところが時代が変わって先生方の世代交替が進むと評価が落ち、つまらないとおっしゃる方々もぼちぼち。知的に過ぎ、実験臭が感じられるというのだ。
タイトル通りデュエットを集めたもので、コニッツがマーシャル・ブラウン(tb)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ジム・ホール(g)、レイ・ナンス(vn)、エディ・ゴメス(b)たちと、次々と相手を変えて二重奏を繰りひろげるという趣向。全員で演奏したものは最後の“Alphanumeric”のみ。
演奏は素晴らしくハイレベル。誰もが持ち味を発揮しながらのびのびプレイしているのがわかる。デュエットばかりというだけで実験の臭いはない。スウィング感も充分だ。リッチー・カミューカ(ts)とテナーで共演した“Tickle toe”など最たるもの。ディック・カッツ(p)やカール・ベルガー(vib)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)との組合せでは、ハードバップから脱却した新感覚のソロが聴かれる。67年という、まさに時代を感じさせる演奏。スタンダードが2曲あるが、それら古い曲を素材にしてもこれだけ新鮮な演奏ができるということを示しているのだ。名盤“Motion”の延長線上にある優れた録音といえるだろう。
 

Lee Konitz, alto, tenor and baritone saxes
Marshall Brown, trombone
Joe Henderson, Richie Kamuca, tenor saxes
Ray Nance, violin
Karl Berger, vibes
Dick Katz, piano
Jim Hall, guitar
Eddie Gomez, bass
Elvin Jones, drums

・Recorded in 1967
Milestone Records MSP-9013
OJCCD-466-2

The Lee Konitz Duets
デュエッツ

 
1. Struttin' with Some Barbecue
2. You Don't Know What Love Is
3. Variations on Alone Together
4. Checkerboard
  5. Erb
6. Tickle Toe
7. Duplexity
8. Alphanumeric
ヨーロピアン・エピソード

Konitz-Solal: European Epidode

コニッツのヨーロピアン・リズムマシーンと、マスターは勝手に名づけている。エンジニアがまずかったようで音質は少しばかり気になるが、マーシャル・ソラール、アンリ・テキシェ、ダニエル・ユメールというフランス製リズム隊の出来映えがよく、コニッツの他流試合ものの中でも推薦に値する一枚。
実際ウッズのERMとピアニストしか違わず、録音年代も同じ。対抗意識があったかどうか分からないが、推進力のあるスムーズなアルトが疾走してくれて気持がいい。この時期のコニッツはコンセプチュアルなアルバムを作っていて一部ファンから理屈っぽいなどと言われていた。このセッションも基本的に同じ。ピアニストがソラールなので少々クラシックっぽい試みがあるのは納得のいくところ。ソラールはこのころマリウス・コンスタンなど現代音楽の作曲家とコラボしていたりして、そっち方面に傾いていたのである。普通じゃないスリルが味わえるのでマスターはよく聴くのだが、普通なほうがいいという方は下記を。

 

Lee Konitz, alto sax
Martial Solal, piano
Henri Texier, bass
Daniel Humair, drums

・Recorded in 1968
CamJazz CAM 498375-2

Konitz-Solal: European Epidode

Konitz-Solal (2CDs)
ジャズ・ア・ジュアン

 
1. Collage on Standards
2. Duet for Saxophone and Drums, and Piano
3. Anthropology [1st version]
  4. Lover Man [2nd version]
5. Roman Blues [1st version]
インプレッシブ・ローマ Konitz-Solal: Impressive Rome

上記と同日、1968年10月12日の録音。同じ曲をいくつもやっているが単なる別テイクではなく、アプローチが異なるのがミソ。総じてこっちのほうが「素直な」演奏が集められていると言えるだろうか。バラッドもリリカルに仕上がっている。コニッツとソラールがデュオで聴かせる『星影のステラ』も美しい。スウィングするコニッツをソラールが引き止めようとするが、こういう一体化するまいとするデュオがまた面白いんである。ほどほどの距離感、緊張感。ソラールが散りばめる和音も新鮮味がある。ただ好みから言えば『ヨーロピアン・エピソード』のほうが面白いと思う。

これらの録音は別レーベルから2006年に2枚組で出てしまった(右記参照)。バラで買うよりたぶんお得。
 

Lee Konitz, alto sax
Martial Solal, piano
Henri Texier, bass
Daniel Humair, drums

・Recorded in 1968
CamJazz CAM 498376-2

Konitz-Solal: Impressive Rome

Konitz-Solal (2CDs)

 
1. Anthropology [2nd version]
2. Impressive Rome
3. Lover Man [1st version]
  4. Stella by Starlight
5. Roman Blues [2nd version]
サトリ Lee Konitz: Satori

アルバムタイトルは「悟り」。コニッツの後方に小さい仏像が写っている。ギョッとするかも知れないが、当時の仏教ブームの反映というくらいに考えておいたほうがいい。1970年代には東洋思想にかぶれたミュージシャンが米国中にぞろぞろいたのである。チック・コリアもそうだったし。
で、その“Satori”という曲はフリーである。これのみプロデューサーでもあるディック・カッツ(エレクトリックピアノ)が参加し、ピアノ2台の変則クインテット。曲といっても大まかな枠組みしかなく、一応モードは設定されているらしいが、かなりの部分がフリー。ただしドシャメシャタイプのフリーではなく、落ち着いた思索的な響きが特徴だ。ただなぜ悟りがフリーになるのかは不明。
ほかの曲はこの時代のコニッツスタイル。スタンダードのかっこいいドライな解釈もいつも通り。違いはソラールのアヴァンギャルドなピアノだ。思いがけない和声やフレーズを繰り出して刺激的。ちょっとジャキ・バイアードみたいなところがあるが、ソラールのほうが知的にきこえる。
 

Lee Konitz, alto sax
Martial Solal, piano
Dick Katz, electric piano
Dave Holland, bass
Jack DeJohnette, drums

・Recorded in 1974
Milestone Records M-9060
OJCCD-958-2

Lee Konitz: Satori

 
1. Just Friends
2. On Green Dolphin Street
3. Satori
4. Sometime Ago
 

5. What's New
6. Hymn
7. Free Blues

 
  WOODWINDS 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10
11 / 12 / [13]
TRUMPET / TROMBONE / PIANO / GUITAR / ORGAN
VIBES / DRUMS / MISCELLANEOUS / BIG BAND / COMBO / VOCAL