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修羅のごとく

音の世界遺産 トルコの軍楽

TVドラマを見ない。したがって向田邦子ドラマという一大ジャンルにも触れることなく済ませてきたのだけれど、なんでもかの女の『阿修羅のごとく』という作品にオスマントルコの軍楽が使われていたのだそうで…。
(1)の『ジェッディン・デデン(祖先も祖父も)』がそれで、これを聴かせると「恐ろしいドラマがよみがえる」とおっしゃる方が少なくない。恐ろしい音楽…。そう、本当にこれは恐ろしい音楽だったのだ。オスマントルコの脅威におびえていたヨーロッパ東部の国々、とくにハプスブルク家の支配下にあったところは、トルコの軍楽隊の音楽を恐怖とともに聴いていたのである。
ズルナ合奏と太鼓の響きは何も知らずに聴いても恐ろしい。それほど力強く、聴き慣れない音色や旋法、怒濤の打楽器群が聴き手の不安をかき立てる。みずからの音楽として聴けば勇気を奮い立たせる効果があるのだろうが、異文化に属するものには威圧的でさえある。

ズルナはオーボエ系の楽器で、古楽をご存知の方はショームを思い出していただくとわかりやすい。ヨーロッパではトルコの軍楽をまねて軍楽隊が作られ、バロック期にはオーボエバンドが編成された。同種の楽器には違いないが迫力負け。ヴェルサイユの音楽家フィリドールの曲がCDになっているので右に示しておいた。いわゆるファイフ&ドラムス(鼓笛隊)もここらが原点なのだろう。
ティンパニのもとになったケスという打楽器、大型シンバルも活躍する。ご承知のようにシンバルは今でもこの地域が本場だ。
(17)までが軍楽なので、類似した勇ましい曲が続く。(18)以降はトルコの古典音楽。われわれの音楽とはだいぶ違う旋法が用いられ、微分音も頻出。半音よりさらに細かく音程を分けるもので、慣れないと音程がはずれているようにしか聴こえない。拍子も独特だ。生理的不快感をおぼえる人もいるだろう。
そんなわけで『阿修羅のごとく』だけへの興味でお聴きになるのは危険かも。神経がまいってしまうかもしれない。吹奏楽の歴史を知りたい人、多様な民族音楽を聴きたい人にはまたとない贈り物である。

 

オスマントルコ軍楽隊(1〜17)
ハルドゥン・メネメンジオール、ケメンチェ
エルメ・メネメンジオール、歌

・1969〜1977現地録音

音の世界遺産 トルコの軍楽

トルコの音楽は
音の世界遺産 トルコの吟遊詩人
神秘のブルーモスク

ルイ14世のオーボエバンド
Marches, Fetes & Chasses pour Louis XIV

微分音のアルバム
Hossam Ramzy

音の世界遺産シリーズ
音の世界遺産 イランの音楽
音の世界遺産 アラビアの音楽
音の世界遺産 エジプトの音楽
音の世界遺産 シタールの新時代
音の世界遺産 南インドのヴィーナ
音の世界遺産 バリのケチャ
音の世界遺産 西ジャワの宮廷音楽
音の世界遺産 モンゴルの歌
音の世界遺産 モンゴルの馬頭琴
音の世界遺産 モンゴルのホーミー
音の世界遺産 パンソリと散調
音の世界遺産 韓国の伽椰琴
音の世界遺産 中国の二胡
音の世界遺産 アイヌのユーカラ
音の世界遺産 沖縄の古典音楽
音の世界遺産 ウズベクの音楽
音の世界遺産 アンデスのケーナ

 
  1. 古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」
  (祖先も祖父も)
2. 陸軍行進曲
3. 祖国のマーチ
4. テクビル行進曲
5. 若いオスマン
6. シヴァストポル行進曲
7. 前奏曲1
8. 前奏曲2
9. ジハード(聖戦)
10. 行進曲「勇気満ちて」
11. ズルナ・タクシーム〜エステルゴン城
  12. 軍隊行進曲
13. 行進曲「歴史のページをめくる」
14. シュレイマン王子の行進曲
15. サズ・セマイ
16. エステルゴン城
17. 古い陸軍行進曲「ジェッディン・デデン」
 〜軍楽の祈り
18. ベステニガル旋法のタクシーム
19. イスファハーン旋法のタクシーム
20. バラの園(ニハーベント旋法)
21. 路上の夜(キュルディリ・ヒジャーズカル
  旋法)
セファルディの歌 Melodies & Chants Judeo-Espagnols
Sephardic Songs

ローマ帝国によって国を滅ぼされたイスラエルの民は、東欧や地球海沿岸の国々に散らばっていった。ディアスポラである。そのうちスペインに住みついた人々をセファルディと呼ぶ。スペインはイスラームの支配下にあったころはユダヤ人に寛大だったが、レコンキスタによって再びキリスト教国となるとユダヤ人排斥が激しくなった。改宗か追放かの二者択一。フェルディナンドとイザベラのカトリック両王の時代、大量のユダヤ人がスペインを脱出していった。15世紀終わり頃のことだ。経済の中心を担っていたユダヤ人を追放したため王国は危機に瀕したといわれるが、宗教的情熱と国民意識の高まりは異教徒のユダヤ人を目の敵にしつづけた。
このアルバムはセファルディのさまざまなタイプの曲を集めたもの。15世紀に書かれたことが明確に判っている曲もある。中身はおとぎ話みたいな曲、子守歌、にぎやかな舞曲など世俗的音楽ばかり。(3)は二人の恋人の間で揺れ動く娘心を歌ったもので、どっちを選んだらいいかしらお母さん、という内容。
曲調は長年にわたる異文化との接触によって独特のエキゾチックな味わいをもつ。曲ごとにイベリアふうだったりアラビアふうだったりするのだ。ドローン効果を活かした曲もあって、土俗性が強く感じられて面白い。
アンサンブル・アレグリアは古楽器による演奏。写本に描かれた楽士たちの絵を参考にして当時の楽器を使い分けている。

 

<Ensemble Alegria>
Jean-Michel Deliers, hurdy-gurdy, bagpipes,
psaltery, chalumeau, percussion
Francois Enok, fiddles & rebec
Francisco Orozco, solo vocals, medieval lute,
citole, citarrina, cithara, percussion
Denis Zaidman, recorder, traverse flute, capped oboe, positive organ, percussion

・Recorded in 1996
Pierre Verany
PV798091

Sephardic Songs

セファルディの音楽
Sephardische Romanzen
Diaspora Sefardi
Sephardic Folksongs
Music For Joan The Mad
Secular Music from Christian and Jewish Spain

 
  1. La vida es un pasaje
2. Una matica de ruda
3. Los dos amantes
4. Morenica a mi me llaman
5. El raptor pordiosero
6. Ventanas altas tienes tu
  7. De edad de quinze anos
8. Ven veras y ven veremos
9. Nani, nani
10. El sueno de la hija del Rey
11. Alta, alta es la luna
シャガールの音楽

Les Musiques de Chagall

『シャガールの音楽』と題された2枚組。マルク・シャガール(1887-1985)は現ベラルーシのヴィテブスクに生まれたユダヤ系ロシア人。1枚目にはシャガールが祖国で聴いた(であろう)音楽、2枚目にはシャガールにインスピレーションを与えた(であろう)音楽が集められている。
最初の曲『ドナドナ』はかつてジョーン・バエズがヒットさせたもの。たしか教科書にも載ったはずで、これで合唱した人もいると思う。馬車に揺られて売られていく子牛を歌った哀しい内容だった。これは1930年代に書かれたイディッシュの歌。イディッシュというのは東欧やドイツに住んでいたユダヤの人々の言語。かれらは牛みたいに貨物列車やトラックに載せられ、収容所に送られていったのである。
(4)(5)はクレズマーの音楽。ユダヤ民謡を演奏する小編成アンサンブルのことで、ヴァイオリン、バラライカ、ギターがリズミカルな舞曲を奏でる。
(6)(7)は男声合唱によるロシアの古い歌『鐘の音は単調に響く』と『霧が降りてくる』。チャイコフスキーとショスタコーヴィチをはさんで(11)はおなじみロシア民謡の『カリンカ』。

2枚目はクラシック作品。シャガールが愛したというモーツァルトやバッハもあるが、ユダヤの作曲家ブロッホの作品やラヴェルの『2つのヘブライの歌』もある。シャガールをキーワードに集められた多彩な作品たち。演奏者もカザルス、クリュイセン、ヤブロンスキなど一流どころがそろっている。

 

Moshe Leiser, vocals & Guitar
Ensemble Kasbek
Moscow Male Voice Choir
Russian State Symphony Orchestra
The Rare Fruit Council
Bernard Kruysen, baritone
Pablo Casals, cello
and others

・Released in 2003 (this compilation)

Les Musiques de Chagall

イディッシュの歌はこのアルバム
から採られている
Yankele (Yiddish Songs)
ほかには
Our Town is Burning
Klezmer
Magic of the Klezmer
Songs of Old Russia
Russian Folk Songs

こんな本が出ている
童謡なぞとき―こんなに深い意味だった
謎とき 名作童謡の誕生

 
  <CD 1>
1. Dona, Dona
2. Az Der Rebe
3. Rebe Elimelekh
4. Zilberne Khasene
5. Di Mezinke Oysgegebn
6. Monotonously Rings the Little Bell
7. The Fog is Coming Down
8. Tchaikovsky: If Only I Had Known
9. Tchaikovsky: Cradle Song
10. Shostakovich: Jazz Suite No.2
11. Kalinka
  <CD 2>
1. Broch: Prayer
2. Broch: Baal Shem
3. Mozart: Arie Ach, Ich Fuhl's (Pamina)
4. Bach: Vivace from Sonata BWV1029
5. Bach: Erbarme Dich from Matthew Passion
6. Ravel: Nocturne from Daphnis et Chloe
7. Ravel: Two Hebraic Songs
8. Tchaikovsky: Pezzo Elegiaco from Trio, op.50
9. Messiaen: Amen du Jugement
10. Bach: Cello Suite No.1 G major BWV1007
キラパジュン

Quilapayun: Survario
Cansiones Originales 1987

キラパジュンといえば『不屈の民』が代表作ということになるのだろう。メッセージ性の強いアルバムだったが、当盤も『ネルソン・マンデラを解放せよ』(2)などかれらの主張の込められた作品が収められている。(3)はガルシア・ロルカ、(9)はネルーダの詩を用いており、内容は一般的なフォルクローレ・グループとは一線を画している。なにやらやさしげな『ブエノスアイレスの娘たち』(7)にしても、かの女たちになにかひとこと言っているようだ(対訳がないっ!)。伝承曲はエクアドルの『ハタリチ』(8)一曲のみ。珍しいのはインストで『エリナー・リグビー』をやっていること。歯切れのいいかっこいい演奏だ。
伝統的な楽器も含まれるがサウンドが新しく、レゲエふうリズムやラテン・アメリカのさまざまな音楽が融合されたオリジナリティのある音楽。ずいぶん進んだ連中だったのだ。男声ハーモニーの力強さ、美しさもいまだに新鮮にきこえる。

 

Qiilapayun, vocals & instrumentals

・Released in 1983 - 87

Quilapayun: Survario

不屈の民
Umbral
Le Meilleur de Quilapayun

ファラフィナもマンデラを歌った
Bolomakote

 
  1. La Mano
2. Free Nelson Mandela
3. El Nino Mudo
4. Eleanor Rigby
5. Paris 1938
6. Todo Tiene Quever
  7. Las Mujeres de Buenos Aires
8. Jatarichi
9. Dos Sonetos
10. Palma Sola
11. Cancion de America
12. Canto VII (de Dialecto de Pajaros)
ドロレス・ケーン

The Best of Dolores Keane

ドロレス・ケーンも『檻の中のライオン』(2)でネルソン・マンデラを歌っている(スミマセン上の話の続きです)。かの女もまた聴く者に強く訴えかける歌を歌いつづけてきた。政治的内容が多いということではなくて、古いアイルランドの歌を採り上げても民族の苦難の歴史を歌っているのだ。
考えすぎかも知れないが、ドロレスの歌声を聴いていると大地の女の声を聴く思いがする。大地母神の歌声を。キリスト教文化によって地下に押し込められてしまった本来あるべき「女の力」を。「産む性」の神聖さを。…やっぱ考えすぎか^_^;。
柔らかく、温かく、深みのあるドロレスの歌声は一度聴けばはまってしまう。素晴らしい包容力。民謡を歌っても、ビートルズやヴァン・モリソンを歌っても同じ。途中で席を立てないほどに心を捉えるものがある。

エミルー・ハリスが(4)と(6)に、リアム・ブラドレーが(13)に参加しているのでご参考までに。

 

Dolores Keane, vocals

・Recorded in 1983 - 96

The Best of Dolores Keane (Dara)
13曲入りベスト盤は
The Best of Dolores Keane

ほかには
Where Have All the Flowers Gone?
花はどこへ行った
Tideland
タイドランド
May Morning Dew
Night owl

 
  1. Caledonia
2. Lion in a Cage
3. My Love is in America
4. Never Be the Sun
5. Galway Bay
6. Emigrant Eyes
7. The Island
8. Teddy O'Neill
  9. Storm in My Heart
10. Let It Be (with De Danann)
11. .Far Away in Australia
12. Telling Me Lies
13. Have I Told You Lately
14. Nothing to Show
15. A Place in Your Heart
16. Lili Marlene
アレック・フィン

Blue Shamrock
Irish Airs played on Guitar and Bouzouki by Alec Finn

アレック・フィン(初期デ・ダナンのメンバーだったそうだが、わたしはその時期を知らない)のギターとブズーキをフィーチャーしたアイルランドのエア。これがLPだったら擦り切れていたかも知れない、というほどよく聴いている。落ち着きたいとき、脱力したいときに最適だからだ。
右記のようにフィドル、ホイッスル、イーリアンパイプ、チェロなどが入った小編成アンサンブルで、ケルトにつきもののアコーディオンは参加していない。『サリー・ガーデン』や『川は広く』などのおなじみの曲がつぎつぎとあらわれる。エアばかりなのですべてゆったりしたテンポ。フィン自身によるアレンジも極めてシンプル(基本的にユニゾン)で涼しげ。名人芸を披露しようという演奏ではなく、美しく懐かしいケルトの旋律がひたすら物静かに流れていく。
メリハリがないとも言えるが、対峙して聴くものではないのだ。気持ちがとんがったとき、これをかけましょう。一家に一枚、ケルトのリラクゼーション。

 

Alec Finn, guitar & Bouzouki
Mary Bergin, Sean Ryan, tin whistles
Dearbhaill Standun, violin
Tommy Keane: pipes & low whistle
Gavan Gallagher, bass
Andrew Boland, keyboards
Clare O'Donaghue, cello

・Released in 1994
Celtic Heartbeat
UD-53096

Blue Shamrock

Frankie Gavin & Alec Finn
The Best of De Danann

 
  1. Down By the Sally Gardens
2. Micky Finn's Air
3. The Mountains of Pomeroy
4. The Lakes of Coolfinn
5. Sean O Duibhir An Ghleanna
  6. The Water Is Wide
7. Eamon An Chnuic
8. The Dark Island
9. Slan Le Maighe
10. The Wests Awake
リバーダンス

Riverdance - Music from the Show
Bill Whelan

一度は聴いときなさい、見ときなさい。とくにこの一枚は。現代ケルトの主要な顔ぶれとリヴァーダンスの名曲がずらり揃った傑作アルバム。このオリジナルを聴かずしてリヴァーダンスを語っ…てもいいけど、やっぱはずせないでしょ。
デイヴィ・スピラーンのイーリアン・パイプもアヌーナの天使の歌声も、そしてアイリーン・アイヴァースのあか抜けたフィドルも、この日のためにとっておいたかのような名演。シンフォニックな迫力も感動を誘う。
アイルランドの土着のダンスを見せるための舞踏として洗練させ、音楽をその伴奏の地位から聴き応えあるものへと変容させ、一つのショーとしてまとめ上げたビル・ウィーランの才能と手腕には万雷の拍手がふさわしい。いきいきと生きる生命への賛歌。アイルランドの大地から世界へ向けて飛び立ったかれらの熱い思いに触れて、さああなたも熱くなろう。

 

Bill Whelan, arrangements
Davy Spillane, whistle, pipes
Maire Breatnach, fiddle
Eileen Ivers, fiddle
Mairtin O'Conner, accordion
Anuna, vocals
The Riverdance Orchestra
and others

・Released in 1995
Celtic Heartbeat
UD-53076

Riverdance - Music from the Show
リヴァーダンス+2
リヴァーダンス10周年エディション

ベスト・オヴ・リヴァーダンス

 
  1. Reel Around the Sun
2. The Heart's Cry
3. The Countess Cathleen/Women of the Sidhe
4. Caoineadh Cu Chulainn (Lament)
5. Shivna
6. Firedance
7. Slip into Spring
8. Riverdance
  9. American Wake (The Nova Scotia Set)
10. Lift the Wings
11. Macedonian Morning
12. Marta's Dance/The Russian Dervish
13. Andalucia
14. Home and the Heartland
15. The Harvest
16. Riverdance [Remix]
 
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